やっと誠也がウィザードに変身して戦います。
では第5話をどうぞ。
誠也「さあ、ショウタイムだ!!」
仮面ライダーウィザードとなった誠也は決め台詞をそう言うと、右手の指輪を今度はコネクトの指輪に変え、ドライバーのハンドーオーサーを操作して再びバックルを右に傾けた。
電子音声『ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!コネクト・プリーズ!』
コネクトウィザードリングを使い別空間と魔方陣をつなぎ、その中に手を入れて武器であるウィザーソードガンを取り出す。
誠也「さて・・・行くぞ!熊ゾンビ!!」
そう言って誠也はウィザーソードガンをソードモードにして怪物に斬りかかった。
そんな光景を見ていた孝介と翔子であったが、いきなり誠也が変身した事に驚いていた。
翔子「・・・・・誠也・・・くんが・・・・・・・・変身して・・・・何かに変わった?」
翔子はいきなり変身した誠也に驚きながらもその光景を見続けた。
孝介「・・・・・仮面ライダー。」
翔子「え?」
突如聞きなれない言葉を言った孝介の方を見る翔子。
孝介「最近ネットなんかで騒がれている都市伝説さ。影で人類の敵と人知れず戦う仮面のヒーローが居るって・・・それが・・・」
翔子「仮面ライダー・・・・・」
そう言って翔子はその仮面ライダーになった友達の誠也の姿を見た。
誠也「はあ!」
ザン!ザン!
怪物の鋭い爪をかいくぐり、その胴体へ2度3度と斬撃を叩き込むウィザードとなった誠也。
誠也「なんだ?こいつ・・・切ってもあまり手応えが無い。これじゃあ効いているのかわからないぞ!!」
怪物と距離を取りながら言う誠也。怪物も変身後の誠也の動きの良さに警戒して間合いを取ったままでいる。
カナリヤ《見た目通り、ゾンビみたいな存在なんでしょうから、おそらく銃も斬撃もあまり効果がないと思うわ》
誠也の戦いを上空で見ていたカナリヤが誠也に念話で助言をする。
誠也「なるほどね。なら、ゾンビに効く定番の火炎攻撃を「ダメよ!」ってなんでダメなんだよ?」
カナリヤ《ここは山の中なのよ!アイツを燃え散らすぐらいの炎の魔法なんて使ったら、周りの木にも飛び火して、あっという間に山火事になるわよ!!》
誠也「あ!そうれもそうか・・・なら、大きな力で一瞬でバラバラにすれば!」
そう言った誠也は、ホルダーから新しい指輪・キックストライクの指輪を右手にハメてドライバーを操作してかざした。
電子音声『超イイネ!キックストライク・・・サイコー!!!』
誠也は足元に赤色の魔方陣が発生し、その魔力が右足に纏っていく。そして走り出し、ロンダートをして、その反動を使い空中反転、そこからの飛び蹴りを怪物に叩き込んだ!
誠也「でやあああああああああっ!」
キックが決まり、怪物はその威力で爆散した。
誠也「ふぃ~」
怪物を粉砕した誠也は一息ついた。
カナリア《お疲れ様、無事倒すことが出来たわね。》
誠也「ああ、しかし・・・・なんだったんだろうな、コイツ・・・・」
誠也はそう言いながら、自分が粉砕した熊のゾンビモドキが居た跡地を見た。
誠也のキックストライクの余波で地面が多少抉れている中、誠也はその場所にキラリと光る何かを発見した。
誠也「ん?あれは?」
誠也は跡地に何やら淡い青色の光を放つ何かを発見したので、近づき屈んでそれを手に取った。
誠也「・・・なんだろう・・・これ?」
誠也は手に取った青い石のような物を見た。
それは青白い石のような物で親指大の大きさの物だった。
カナリヤ《・・・もしかしたら、あの熊をあんな姿にした原因なのかもしれないわね》
誠也「これが?何なんだ?コレ?」
そう言いながら誠也は立ち上がると同時に変身を解いた。
カナリア《兎に角、証拠として持っていきましょう。後でラボで分析すれば何かわかるかもしれないから。》
誠也《わかった。》
そう言って誠也は石をポケットにしまった。
翔子「・・・誠也・・くん。」
誠也「ん?翔子?」
変身を解いた誠也に翔子がおずおずと声を掛けてきた。
誠也「ケガは無いか?」
翔子「え?う、うん。大丈夫。」
誠也「孝介さんは?」
孝介「お、俺も大丈夫だ。」
そう言って孝介もしどろもどろに返事をした。
誠也「そうか。よかった~。」
そう言って胸をなでおろす誠也。
翔子「あ、あの・・・誠也くん、さっきの姿は・・・」
誠也「あ!あれは・・・その・・・・痛ッ!」
翔子に先程変身したことについて説明仕様としたその時、不意に左腕から痛みが伝わってきた。
危機が去り、緊張が解けたせいで、先程翔子を庇って負ったケガの痛みが蘇ったのである。
黙り込み、左腕を右手で押さえ込む誠也。抑えこんだ手からは傷口から流れ出た血がまとわりついていた。
翔子「あ!誠也くん!」
孝介「誠也!!」
左腕を右手で押さえ込む誠也を見て、慌てて駆け寄る翔子と孝介。
翔子「誠也くん!」
孝介「誠也!大丈夫か!」
誠也「ええ。大丈夫です。ちょっと血が出たぐらいで、こんなの何ともないですよ。」
そう言いながら、誠也は心配かけないよう二人に「なんでもないよ。」と笑いかけた。
翔子「このキズ・・・さっき私を庇って・・・・・うっうううっ・・・ごめんね・・・・・ごめんね。」
誠也の傷を見て申し訳ない顔をした翔子は涙を流して泣き始めた。
誠也「翔子・・・・大丈夫だってこれぐらいの傷。だから、泣かないで、ね。」
翔子「でも・・・・でも・・・私のせいで・・・・ごめんね、ごめんね・・・・」
翔子は誠也が自分を庇って傷を負った事に対して罪悪感もあってか、泣きながら謝り続けた。
そんな翔子を見て、孝介もどうすればいいのか困った顔をしていた。
誠也「翔子・・・・謝るなよ。翔子が友達のごんたを助けたいから夜中に家を抜け出して助けに来た様に、俺も翔子を助けたくってやったんだ。友達を助けるのは当然だろう?」
翔子「友達を助けるのは当然・・・・」
涙を拭きながら誠也の言葉を言う翔子。
誠也「そう!それに言うんだったら、泣き顔で言う謝罪の言葉より、笑顔でのお礼の言葉が良いな。」
翔子「笑顔での・・・お礼の・・・言葉・・・・」
誠也「うん、お礼の言葉だ!」
翔子「・・・・うん!誠也くん、ありがとう。」
涙を拭きながら翔子は笑顔でお礼の言葉を言った。
誠也「どういたしまして。」
そう言って誠也は拳を縦にして翔子の前につきだした。
翔子「あ・・・・・」
突き出された拳を見た翔子は、昼間に誠也とした握手と共に互いの拳を数回打ち合わせる「友情のシルシ」を交わした。
翔子「えへへへ////」
「友情のシルシ」をして若干照れくさそうな顔をする翔子。
孝介「へ~翔子ちゃんにも「ソレ」教えてあげたんだな。」
誠也「ええ、翔子とは友達ですから。」
そう言って笑顔で言う誠也。
孝介「友達か・・・あ、そう言えば、俺もお礼がまだだったな。ありがとうな、誠也。お前が居なかったら俺達どうなっていたか・・・・」
誠也「どうって事ないですよ。あれ?そう言えば翔子、ごんたは?」
誠也は翔子がさっきまで胸に抱いていた子狐のごんたが居ない事に気づきその事を聞いた。
翔子「・・・・さっき怪物が爆発した時の音に驚いて逃げちゃった。」
しゅんとなり落ち込む翔子。
誠也「そっか・・・・まあ、あの怪物はもう居ないんだから、ごんたも大丈夫だろう。」
翔子「そう・・・だね。きっと大丈夫だよね。」
誠也「ああ。あ!そうそう、二人共、さっきの事なんだけど・・・」
孝介「さっきの事って・・・・もしかして仮面ライダーに変身したことの事か?」
誠也「あれ?なんで孝介さん、仮面ライダーの事を知ってるんです?」
孝介「最近ネットで話題になってるんだ、都市伝説として。影で人類の敵と人知れず戦う仮面のヒーローが居るって。」
誠也「へ?ネットで?!」
誠也は孝介から聞かされた事に驚き、素っ頓狂な声を出して驚いた。
カナリア《・・・・どうやら今まで関わってきた怪人達との戦いの情報が何処からか漏れて伝わったみたいね。》
誠也《はぁ~まさか都市伝説になってるなんて・・・俺は口裂け女や人面犬かっての・・・・》
誠也は盛大にため息を吐いて額にてを当てた。
誠也「・・・兎に角、あの事は後でちゃんと話しますから、今は「お~い!孝介!翔子ちゃん!誠也く~ん!」ってこの声は・・・・」
翔子「いろはちゃんの声だ。」
突如暗闇の向こうから複数の灯りといろはをはじめとした複数の人物の声と気配が誠也達の方へと近づいてきた。
孝介「お、いろは達が来てくれたみたいだ。」
誠也「いろはさん達が?」
孝介「ああ、念のため、居間で寝ていたいろは達をたたき起こして、万が一のための救援を呼んでおいてもらったんだ。」
誠也「そっか・・・・これで村に戻れますね。」
孝介「そうだな。お~い!いろは~!!ここだ~!!」
そう言って孝介は大きな声でいろはの声がした方角に向かって声をあげた。
そんな誠也達を、月明かりを背にして木のてっぺんから見ている一人の人物がいた。
白い髪で赤い服を着た人物、かつて誠也が門矢士と共に巡った異世界の一つで、ライダーの居ない世界で誠也達と出会った人物。
彼の名は「憂う者・アルコル」、かつてその世界を作り変えるために、一度世界を滅ぼそうとしたシステム・ポラリスの下僕であった者である。
アルコル「・・・どうやら、僕が導いてあげたあの金色の鳥・カナリアは無事、誠也に出会い、力を託すことに成功したみたいだね。」
そう言ってアルコルは誠也を見て、嬉しそうな・・・懐かしそうな・・・そんな顔をした。
アスコル「誠也・・・・かつてヒビキと一緒に僕の事を友達だと言ってくれた僕の友人。君はこれからあの「ポラリス」と同じ、神々や古人達が残した様々な歪んだシステムと対峙することになるだろう・・・そして・・・「アイツ」とも。」
アルコルはそう言って、今度は少し心配そうな・・・・・そして少し悲しそうな顔をした。
アルコル「僕は直接、君に力を貸してあげることはできない。だから君の力になれそうな幾つかの人物をこの世界に呼んでおいたよ。彼らにはいい迷惑かもしれないけど、きっと君の力になってくれるはずだよ。だから・・・頑張って、僕の友人・誠也。」
そう言った後、アルコルは誠也を見て微笑むとその姿をかき消すようにしてその場から消えた。
ちなみに誠也達はその後、いろはが連れてきた猟友会の人達に無事保護され、誠也は怪我の手当をしてもらうため、そのまま病院に直行した。
その後、誠也と翔子と孝介の三人は警察や村のお偉いさんやらに事情を聞かれたり、説教をされたりして、村に帰ったのは翌日の昼過ぎだったと言う。
ちなみに今回遭遇した怪物の事は凶暴化した熊という事にして話しており、谷に謝って熊が落ちて助かったと誠也は翔子と孝介と共に口裏を合わせてそう話してもらったと言う。
*
駅のホームに黒いセーラー服を来た長い黒髪の少女が立っていた。
足元には大きめの旅行カバンを置き、自分が乗る御奈神村行きの電車を待つ間、携帯をいじって待っていた。
少女の名は「皆神さくや」。皆神孝介の実の妹である。
さくや「・・・ふう。」
携帯のディスプレイに浮かぶ「新着メールはありません」という言葉を見て大きく息を吐くさくや。
さくや「・・・まったく。こんなメールを出して音信不通だなんて・・・・」
そう言いながらさくやは昨夜届いた孝介のメールを呼び出して見た。
『悪い。ちょっとヤバイ事に首突っ込んだ。誠也と翔子ちゃんは帰らせるつもりだから、なんかあったら後はよろしくな。』
携帯のディスプレイには昨夜怪物に追われていた際に孝介が送ったメールが表示されていた。その内容はまるで遺言のような内容で、明らかに何か異常事態に巻き込まれているとしか言い様がない内容のものだった。
このメールの後、孝介からはメールはおろか、連絡が全く取れてないのである。これで心配するなという方が無理である。
さくや「・・・この内容だと、どうやら誠也くんも一緒みたいですね。もし、誠也くんも一緒に危険な目に会っていたなら悠菜にも連絡を入れた方が良いわね・・・・」
そう言って、額から流れてくる汗を手で拭きながらさくやはそう言った。
つづく
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