仮面ライダーを受け継ぐ者   作:剣 流星

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どうも、剣 流星です。
遅くなってすいません。外伝とは言え、一話を書き上げることができました。
リアルが忙しく、少しずつしか書く事ができなくて、更新がこんなに遅くなってしまいました。

では、外伝2をどうぞ



外伝2 異世界の旅編①エミルクロニクルオンラインの世界

この話は、誠也とはやてが、仮面ライダー・ディケイドこと門矢士の異世界を巡る旅に付いて行き、異世界を旅した時の1ページである。

 

 

 

 

 

門矢士達一行が異世界を巡る拠点として使用している光写真館。この写真館は一つの世界での役割を終え、今まさに、次の異世界へと旅立とうとしていた。だが・・・・・

 

夏海「もぐもぐ・・・う~ん♪”グル樹の実”、美味し~♪」

 

栄次郎「この“ホネナシサンマ”も美味しいね~♪」

 

はやて「この焼きたての“モアイモ”、めっちゃ美味いわ~♪」

 

キバーラ『こっちの“フグ鯨のお刺身”も良いわよ~♪』

 

士「“虹の実”、相変わらず美味いな♪」

 

彼らはお土産用に持たされたこの世界・トリコの世界特有の食材を食べるのに夢中になって、今だに旅立とうとしてなかった・・・・・

 

誠也「・・・・皆さん、いい加減食べるのをやめて、旅立ちましょうよ(^_^;)って言うか、夏海さん!そっちの方のグルメケースに保存して置いてある卵や種は食べないでください!それは僕が元の世界に戻ったら、養殖、栽培をするためにグルメ研究所からもらったサンプルなんですから!まったく・・・皆さん、本当にこの世界を存分に満喫してますね」

 

お土産の食材を片っ端から食べる士達に対して注意した後、呆れた様な顔をする誠也。

 

夏海「それを言うなら誠也くんだって充分満喫してるじゃない。」

 

はやて「せや。と言うか誠也くんは私達以上に満喫してるやないか。」

 

車椅子に座ったはやてが、手に持った「モアイモ」を食べるのをやめて誠也を指摘した。

 

誠也「へ?僕が?」

 

はやて「せや。現にさっきまで、二代目メルクさんが、小松さんの包丁を作った時に「ついでに」って、小松さんの弟子の誠也くんの、グルメデパートで購入してメルク包丁をカスタマイズしてくれた物をず~~~と、嬉しそうに見てったやないか。」

 

士「この世界に居る間だけとはいえ、小松に料理の弟子入りをしたんだ。誠也はもう一端の料理人なんだから、優れた料理道具に目がないのは仕方がないさ」

 

誠也「そう言う士さんだって、この世界に来た当時とは打って変わって、今じゃ立派な美食屋ですよ。」

 

士の言葉に対して嬉しそうな顔で返す誠也。

 

異世界を旅する士は、その世界に入った瞬間、その世界での役割を毎回与えられており、この世界、トリコの世界で士に与えられた役割はIGO傘下の美食屋であった。士はその役目のせいで、IGOからある命令をさせれた。その命令とは「美食屋トリコの手伝い」であり、誠也はその手伝いとして、士に付いて行き、そこで美食屋であるトリコやトリコの相棒の料理人である小松に出会った。

当初、誠也は以前の世界で出会った、アギトの世界の津上 翔一(つがみ しょういち)や、カブトの世界の天道 総司(てんどう そうじ)を見て、「自分も料理をしてみたい」と思い始めたのだが、思うように上達できずに悩んでいた。そんな時、小松と出会い、料理人としての小松の姿勢やその腕を見て、停滞している自分の料理の腕を上げることができるのではと思い、この世界にいる間限定で小松に弟子入りしたのである。

 

キバーラ『しかし・・・趣味とは言え、あの小松くんに弟子入りして、さらにあの食林寺で食義まで習得するんだから、もはや趣味とは言えないレベルよね。』

 

はやて「誠也くんは一度凝ると、とことんまで突き詰めるからな。」

 

栄次郎「本当にすごいね~。さてと・・・・よいしょっと!」

 

誠也の料理の腕の事で話をする光写真館の面々を他所、写真館の主である栄次郎は光写真館の異世界の移動の鍵カギとなる背景ロールを次に移動する世界の物へと変えた。

 

士「これは・・・・」

 

新たに現れた背景ロール。それは天高くそびえる塔の周りに、天使のような羽を持つ人物と黒いコウモリの羽を持った人物、そして冒険者風の人物が描かれているものだった。

 

誠也「これが・・・新しい世界・・・・」

 

はやて「どんな世界なんやろう」

 

士「とにかく、一度外に出よう。」

 

士の声に一斉に頷いた誠也達は、外に出て行く士に続いて写真館の外へと出て行った。

 

士「ここは・・・・・・」

 

写真館の外へと出て行った士達が見た物。それは雲一つない空に、浮遊している土台のような物の上に家が立っている物が複数浮かんでいる空が有り、綺麗に舗装されている道には、無数の露天が開かれていた。街の所々には高度な機械文明によって作られた機械が置かれており、通りに開かれた露天は冒険者風の格好をした人や、帽子を被った熊のヌイグルミのような物、炎を纏った鳥人間のような物が店番をしていた。そしてその露店を腰に剣や銃などをぶら下げた人物や、背中に白い羽を生やした人物、黒いコウモリのような羽としっぽを生やした人物などが覗い回っていると言う、どこかSFとファンタジーが混ざったような風景が広がっていた。

 

士「ここが・・・・次の世界」

 

周りを見回し様子を見る士。

 

誠也「どっかのファンタジー風のRPGに出てきそうな格好の人や、羽の生えた格好の人達が沢山いますね。」

 

夏海「そうね、ハロウィンの仮装パーティーでもやってるのかな?」

 

はやて「さあ・・・・って士さん、その格好?!」

 

士「格好?・・・・?!なんだコレ?!」

 

はやてに言われて、自分の格好を見た士は自分の今の格好に驚く。士の姿は、どこかのファンタジー物のRPGに出てくる冒険者風の格好をしていた。

 

夏海「何・・・その格好?」

 

士「・・・どうやら俺はレンジャーと呼ばれる職業をしている冒険者みたいだ」

 

士は、自分の懐から取り出した、一枚のカードとゴーグルのうち、ゴーグルに刻まれた文字を見て夏海の問いに答えた。

 

はやて「どうやらそのゴーグルは身分証明書の代わりみたいやな。で、そっちのカードにはなんて書かれてるん?」

 

士「このカードは、どうやらアクロポリスと言う所の通行許可書みたいだ。」

 

誠也「つまり士さんは、アクロポリスという所に入れる、レンジャーという職業の人なんですね。」

 

士「そうなるな。さて、まずは状況の確認だな。この街を見てまわろう。」

 

誠也「あ、僕も一緒に行きます。」

 

キバーラ『あ、私も一緒に行くわ。』

 

はやて「あ、じゃあ私も一緒に行くで。見た所、危険もなさそうやし、ええやろう?夏海さん」

 

夏海「そうね・・・・士くんも一緒だし、二人が護身用に、悪魔召喚アプリの入っている携帯を持って行くなら。」

 

はやて「それなら、既に準備して持ってるで。」

 

夏海に向かって「デビルサバイバー2」の世界(命名・誠也)で手に入れた悪魔召喚アプリの入った自分の携帯を見せるはやて。

 

誠也「僕も。」

 

誠也も携帯を差し出して、自分が携帯を持っている事を夏海に示した。

 

夏海「大丈夫みたいね。じゃあ、いってらっしゃい。私はここでおじいちゃんと留守番してるから。士くん、二人をお願いね。」

 

士「ああ、じゃあ行ってくる。」

 

キバーラ『行ってくるわね』

 

誠也「行ってきます。」

 

はやて「行ってくるで。」

 

夏海に見送られながら、誠也は街中へと向かう士の後を追うように、はやての乗る車椅子を押しながら付いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キバーラ『結構な人が集まっているわね。』

 

はやて「ホンマやな。さすがはこの世界最大の都市なだけはあるな~」

 

誠也「そうだね。」

 

キバーラを膝の上に乗せたはやての座った車椅子を押しながら、誠也は士達と共に歩いていた。

街中を暫く見て回り、この街・アクロポリスの大きさと人の多さに驚く誠也達は、街中を見て回りながら、この世界の情報を仕入れていた。

この世界は、天まで続く塔と言う軌道エレベーターにより、三つの平行世界が繋がってしまった世界で、この街、アクロポリスを中心として成り立っているエミル界は「高度なキカイ文明が戦乱の末滅びた」という歴史を持っていると言う事が分かった。時々街中で見かける機械などはその時代の遺跡から発掘して使えるように直した物で、人々はその恩恵で以前の生活を徐々に取り戻しつつあると言う。また、この世界にはエミル族と呼ばれる人間、タイタニアとよばれる天使のような外見を持った種族、そしてドミニオンと呼ばれる悪魔のような外見の種族を中心に、機械族であるDEMや古き民と呼ばれる種族の5つが共生していると言う事がわかった。

 

はやて「さっきから見かけている天使や悪魔の格好をした人達は、タイタニアやドミニオンの人達やったんやな。ハロウィンのコスプレじゃなかったんやな・・・わたしジロジロ見たりして、あの人たちに失礼事してもうたな(^_^;)」

 

誠也「そうだね(^_^;)」

 

誠也達はこの世界の情報を知るまで、すれ違うタイタニアやドミニオンの人達の姿を、物珍しそうにジロジロ見てしまった事を思い出してバツの悪そうな顔をした。

 

はやて「・・・・所で、今気づいたんやけど、その手に持ってる二つのペンダント、どなしたん?写真館を出たときは、そんな物もってなかはずやけど」

 

はやては、誠也が持っている二つのペンダントに気づき、どうしたのかと聞いた。誠也の持っている2つのペンダント、一つはシルバーの枠に6角形の形のエメラルド色の宝石がはめ込まれたシンプルな物で、もう一つは片方のものより一回り大きいな同じエメラルド色の宝石と、左右に黒と白の羽の装飾が入ったペンダントだった。

 

誠也「双葉と竜輝用の土産に買ったんだよ。黙ってあの世界を出てきちゃったから、今頃二人共心配してるだろうな~と思って、そのお詫びに買ったんだ。後は千早姉さんと悠菜姉さん、京香姉さんにもお土産を探さなきゃな。」

 

はやて「お土産って・・・・この世界のお金なんていつの間に手に入れたんや?

 

誠也「貴金属を売って作ったんだ。ほら、僕がエドさん達の世界・・・「鋼の錬金術」の世界で錬金術の基礎を勉強したのは知ってるだろう。で、錬金術の腕を上げるために錬成陣で石を貴金属に変えて練習してたじゃないか。その時出来た貴金属を売ったんだよ。」

 

はやて「なるほどね。貴金属を売ったお金でペンダントを買ったんやな。それにしても・・・・千早さんや悠菜さん、京香さんは兎も角として、双葉ちゃんにもお土産買ったんやな・・・・・」

 

誠也「うん?そうだけど?」

 

はやて「異世界まで来て双葉ちゃんか・・・・・・・フン!」

 

不機嫌そうな声を出して、誠也に対してそっぽを向くはやて。

 

誠也「ど、どうしたんだよ?急に不機嫌になって何かあっ「おい!誠也!はやて!前!!」って、へ?」

 

突然自分たちに対して大声を出す士の声を聞いて驚く誠也達だったが、突然目の視線が反転して目を回す誠也達

 

はやて・キバーラ「『キャッ!』」

 

互いに話し込んで歩いていた誠也とはやてとキバーラは、前方に段差があることに気がつかずに進み、結果、はやての車椅子の車輪が段差に引っかかり、その振動でキバーラは前方に投げ出されてしまい、はやてはそのキバーラの上に倒れ込んでしまった。

 

はやて「痛たたたた・・・・」

 

前方に投げ出されたはやては、投げ出されて地面にぶつけた部分を片手で抑えながら、もう片方の手を使って上半身を起こした。

 

誠也「はやて!ゴメン、大丈夫?!」

 

地面に投げ出されたはやてに真っ先に近寄ってはやてに声をかける誠也。そして誠也の後に続く用に士も近寄って声をかけようとしたが、士よりも先に、何者かがはやてに声をかけた。

 

???「大丈夫?ケガは無い?」

 

はやて「あ、はい。大丈夫、ちょっと地面に軽くぶつけただけですから。」

 

???「そう、良かった。」

 

はやてに声をかけた人物、メガネをかけた教職員のような格好をした女性は、心配そうな顔ではやてを見ていたが、はやての「大丈夫」と言う言葉を聞いて胸をなでおろした。

 

士「大丈夫か?」

 

女性に少し遅れて、士もはやてに声をかけた。

 

はやて「あ、大丈夫です。ちょっと打ち付けただけですから。」

 

誠也「ゴメン、ホントにゴメン。僕がちゃんと前を見てなかったから・・・」

 

すまなそうな顔をしてはやてに謝る誠也。

 

はやて「私は大丈夫やて。けど・・・・私が上に倒れ込んだせいでキバーラが伸びちゃってる・・・」

 

自分の下敷きになったキバーラを手に取って差し出して見せるはやて。

 

キバーラ「きゅ~~~~~」

 

はやての手の中、そこにははやての下敷きになり、伸びてしまっているキバーラの姿があった。

 

誠也「あ・・・・・・・・ゴメンなキバーラ。」

 

士「これは当分は目を覚まさんな。」

 

誠也の後ろから覗き込むように、はやての差し出したキバーラを見て言う士。

 

はやて「そうやな、それよりも車椅子に座るの手伝ってもらえるやろか?」

 

誠也「あ、うん。じゃあ車椅子持ってくるね。」

 

そう言って誠也は先ほどまではやてが乗っていた車椅子をはやての側に持ってきた。

 

士「さあ、はやて。」

 

はやて「あ、お願いします。」

 

誠也が持ってきた車椅子にはやてを座らせようと抱きかかえようとする士。

 

???「あ、手伝いますね。」

 

士がはやてを抱きかかえ用として、先ほど誠也達に声をかけた女性がそれを手伝うと言って、士の手伝いをし始めた。

 

士「すまない。」

 

はやて「おおきに、ありがとさんです♪」

 

二人の手によって車椅子に座ったはやては、座るのを手伝ってくれた士と女性に笑顔でお礼を言った。

 

士「かまわんさ。」

 

???「別にいいわよ。好きでやったことだから。それにしてもあなた達、さっきから見ていたけど・・・ひょっとしてアクロポリスは初めて?」

 

誠也「え?よ、よくわかりましたね。」

 

???「ごめんなさいね。車椅子の子なんて珍しいから、実はちょっと前からあなた達を見ていたの。物珍しそうに街並みを見ていたから、ひょっとしたらって思ったんだけど・・・当たっていたみたいね。」

 

はやて「あはははは・・・・はずかしわ。まるで「おのぼりさん」丸出しみたいやったみたいやな」

 

誠也「だね。田舎者だよ」

 

士「・・・・・・・・・」

 

女性に言われ少し恥ずかしそうな顔をする誠也とはやてと、自分もそう見られていた事に対して恥かしさを感じ、素知らぬ顔をする士。

 

???「別に恥ずかしくないわよ。それに、私も人の事は言えないの。私もつい最近アクロポリスに引っ越してきたばかりでね。周りを珍しそうに見て回る気持ち、わからなくもないわ。」

 

士「引っ越してきたばかり?」

 

女性の引っ越してきたばかりと言う言葉を聞いた士は、その事に付いて聞き返した。

 

???「ええ、つい一週間程前に。あ、そういえば自己紹介がまだだったわね。私の名前はアミスよ。よろしくね。」

 

誠也「あ、どうも。誠也って言います。よろしくお願いします」

 

はやて「はやてって言います。よろしゅうお願いします。」

 

士「・・・士だ。こいつらの保護者みたいな者だ。」

 

アミス「えっと・・・セイヤちゃんにハヤテちゃん、ツカサさんね、よろしくね。」

 

笑顔で手を差し出すアミスに対して、同じ用に挨拶をして、アミスの差し出した手を取り握手を交わす誠也達。

 

アミス「所でセイヤくん達はアクロポリスを見て回っているみたいだけど、よかったら私が案内してあげようか?一週間とは言え、この街のどこに何があるのかぐらいはちゃんと把握してるから簡単な案内になるけど・・・あ、でも冒険者であるツカサさんが居るからそれも必要ないかな。ごめんなさい、余計なお世話だったわね。」

 

アミスは士の格好が冒険者の格好なので、士が冒険者なら、アクロポリスに来ることが何回もあるだろうと思い、来てまだ一週間の自分が案内するよりは士に案内してもらうほうがいいと思い、余計なことだったかなと思って話を引っ込めようとした。

 

士「いや、ありがたい。俺もアクロポリスに来るのが随分と久しぶりで、どこに何があるのかすっかり忘れているから、案内してもらえるとありがたい。」

 

この世界での自分の役割が冒険者なので、「アクロポリスは初めてだ」と言うことができない士にとって、アミスの提案は非常にありがたかったので、自分がアクロポリスに来るのが久しぶりで、どこに何があるのかすっかり忘れてしまった事にして、アミスに案内してもらおうと考えた。

 

アミス「あ、そうなんですか。なら、まだ至らないとこがあると思いますが、私が案内しますね。」

 

誠也「あ、よろしくお願いしますね。」

 

はやて「よろしくや♪」

 

アミス「ええ。じゃあまずは中央にある大きな建物、ギルド元宮からね。」

 

こうしてアミスの案内によるアクロポリス巡りが始まった。

 

 

アミス「・・・・・それで、向こうにあるのが飛空庭の製造で有名な「トンカ」への飛空庭の定期航路がある所よ。」

 

数十分、アスミの案内でアクロポリスを見て回る誠也達。

 

誠也達は今、アクロポリスの南側にある飛空庭の定期航路がある場所へと来ていた。

 

誠也「飛空艇?」

 

アミス「あ、違うわよ。飛空“庭”よセイヤくん。ひょっとしてセイヤくんは飛空庭を見るのは初めてなの?」

 

誠也「え?あ、ええっと・・・まあ。」

 

実は異世界から来て、見るのも聞くのも初めてだと言えるわけもなく、言葉を濁して答える誠也。

 

はやて「あ、あはははは・・・・私らが前に居た所はすっごい田舎でして、見るのも聞くのも初めてなんです。」

 

誠也のフォローをするため、はやては咄嗟に自分達が田舎物だと言ってごまかすはやて。

 

アミス「そうなの?じゃあ飛空庭に付いても教えてあげるわね。いい?飛空庭って言うのはね・・・・・・」

 

こうして始まるアミスの飛空庭に付いての講義。その内容はとてもわかりやすく、ためになる内容だった。

まず、飛空庭とはその字のごとく空飛ぶ庭の事で、その庭の上に一軒の家を建て、土台である空飛ぶ岩塊である庭のサイドに、飛空庭を動かすためのプロペラや羽などが付いている物であるという。誠也は自分たちがこの世界に来て初めてみた風景で見かけた、アクロポリスの上空に無数に浮かんでいる物の事だと思い返しながらアミスの説明を聞いた。

 

アミス「・・・・と言う事なの。分かったかな?」

 

誠也・はやて「「あ、はい。説明、ありがとうございます。」」

 

アミスに礼を言う誠也とはやて。

 

はやて「いや~、アミスさんは人に物を教えるのが上手いな~」

 

誠也「まるで先生みたいだったな。」

 

アミスの教え方が上手い事を褒める誠也達。

 

アミス「そう?ありがとう♪私、このアクロポリスに先生になるために来たから、そう言ってもらえると、とても嬉しいわ。」

 

誠也達に教え方が上手いと言われて喜ぶアミス。

 

士「先生になりに?」

 

アミスの「先生になるために~」の言葉に反応し、アミスに聞き返す士。

 

アミス「ええ。私、先生に・・・教師になるためにアクロポリスに来たの。で、今は生徒になってくれる子を探している所なの。」

 

誠也「へ~、先生になりに・・・・どうりで教えるのが上手いわけだ。」

 

はやて「せやな。先生やっても充分通用するで。」

 

アミス「うふふふ、ありがとう。・・・あら?向こうの方が何だか騒がしいわね。」

 

誠也達がいる所より少し離れた場所、そこに人だかりが出来ているのを発見するアミス。

 

士「何かあったのか?行ってみるか。」

 

人だかりを見て、その方向へと向かう士。

 

アミス「あ、士さん!」

 

誠也「僕たちも行こう!」

 

はやて「せやな。」

 

アミス「そうね。」

 

士の後を追うようにして誠也達も人だかりへと向かった。

 

人だかりの中、その中心には紅いロングの髪で、誠也達と同じぐらいの少女が涙目で、鎧を身に纏った数人の男に怒鳴られていた。

 

鎧の男「もう一度聞くぞ、ドミニオンのお嬢ちゃん。お嬢ちゃんはどっから来たの!保護者は!許可書は!もしかして密入国をしたんじゃあるまいな!」

 

女の子「だ、だから・・・・・わたしはドミニオンってやつじゃなくて小悪魔なんです。ここに来たのだって、家の庭で遊んでいたら、突然現れた変な剣の転移に巻き込まれてここに来たちゃたから、保護者は居なくて・・・・・・・」

 

鎧の男に大声で怒鳴られ、今にでも泣き出しそうな顔をして黙り込む女の子。

 

士「ん?あの女の子、ドミニオンか?」

 

中心にいる女の子の背に、黒いコウモリの羽のような物が生えているのを見て、その女の子がドミニオンなのか?と言う士。

 

はやて「あの女の子、ドミニオンなのかな?なんか、他のドミニオンと羽の形が微妙に違うように見えるな。誠也くんはどう思う?・・・誠也くん?」

 

誠也「・・・・・・・」

 

士を追いかけて追いついたはやてが騒ぎの中心にいる女の子を見た後、誠也に声をかけたが、自分が声をかけたことに気づかずに、じ~っと中心の女の子を見ている誠也。

 

アミス「アレは・・・・混成騎士団の人?」

 

アミスが鎧姿の男たちを見て呟いた。

 

はやて「混成騎士団?」

 

アミス「ええ、このアクロポリスの治安維持をしている騎士団の人たちよ。あの女の子、何かしたのかしら?あの・・・・すいません、あのドミニオンの女の子は一体なにをしたんです?」

 

アミスは騒ぎで集まっている人の一人に、騒ぎの中心にいる女の子が何をしたのか聞いてみた。

 

見物人「ああ、どうやらあの女の子、このアクロポリスのアップタウンに入る為の通行書を所持してなかったみたいだよ。どうやら不法侵入者みたいだよ。」

 

アミス「え?不法侵入者?!あんな小さな子が・・・」

 

見物人の一人かから聞いた話を聞いて驚くアミス。

 

はやて「不法侵入者?どう言う事?」

 

アミス「このアクロポリスには下町とも言われているダウンタウンと、私達が今いるアップタウンの二つの区画があるの。それで、このアップタウンに入るには許可書が必要なの。はやてちゃん達もここに来る時、門番の人に許可書を見せて入ってきたでしょ?」

 

はやて「許可書・・・・・・あ!もしかして士さんが持っているあのカードのことか。え!でも私ら持って無い・・・・これって、まずいんじゃ・・・」

 

はやてはこの世界に来たとき、士の懐にいつの間にか入っていたカードの事を思い出し、自分たちが同じような物を持っていない事に気づき、焦った。

 

アミス「あ、大丈夫よ。ハヤテちゃん達みたいな子供は保護者が許可書を持って一緒に入れば大丈夫なんだけど、あの子・・・どうやら保護者の人とはぐれてしまったみたいね。」

 

はやて「なんか騎士団の人、あの子が黙り込んだせいで、ますます怒り出してもうたな。なんか可愛そうやな・・・・なんとか出来へん、士さん」

 

士「そうだな、まずは「・・・助けてきます。フォローお願いしますね」って、おい!誠也!」

 

はやてに話を振られて考え込む士の横で黙っていた誠也は、突然士に「フォローをお願いします」と言って、怒鳴られているドミニオンと思わしき女の子の側に駆け寄った。

 

混成騎士団の騎士「言っている事は支離滅裂だし、自分は「ドミニオンではなく小悪魔だ」と言ったり、出身地を聞いても「地獄」だなんて答えたり、ますます怪しいな。ひよっとして最近増えている、正規の手を踏まないでアップタウンに入っている不法侵入者の一人かもしれん。悪いが身柄を拘束させてもらう!おい!」

 

女の子を囲んでいる騎士団の騎士が一斉に女の子に迫る。

 

女の子「こ、コワイ・・・・来ないで!誰か・・助け「あ、居た居た!こんな所に居たのか、探したぞ。」って・・・・え?」

 

混成騎士団の騎士に、今まさに捕まろうとしていた女の子に、突如慣れ親しんだ者のように声をかける誠也。

 

騎士「ん?なんだね、キミは?」

 

誠也「あ、その子の連れです。いや~ホントすいません。今度僕らのお爺ちゃんがここにお店を出すことになって、それでそのお祝いをするために、知り合いの冒険者さんに頼んでココに来たんですけど、この子だけはぐれちゃったから、さっきまで探してたんですよ。ね?」

 

誠也はそう言って、騎士達に気づかれないように女の子に目配せをする。女の子はそれを見て、誠也が「話を合わせろ」と行っているのだなと悟った。

 

騎士「本当なのか?」

 

誠也の話を聞いた騎士が女の子に問いかける。

 

女の子「え、あ・・・・はい。そうです。」

 

騎士「そうか、なら君の保護者が許可書を持っているはずだな。で、君たちの保護者は?」

 

誠也「あ、そこにいます。士さん!」

 

誠也は見物人に紛れてこちらを見ている士に声をかけた。

 

士「え?あ・・・・・・・お、俺がこの子達の保護者だ。」

 

誠也に突然話を振られて一瞬戸惑った士だったが、誠也が先ほど言った言葉、「フォローをお願いします」という言葉を思い出し、話を合わせることにした。

 

騎士「君が保護者かね。では、許可書の提示をお願いします。」

 

騎士の一人が士に近寄り、許可書の提示を言ってきた。

 

士「あ、ああ。これだ。」

 

士は騎士に言われ、懐に入れてある許可書を差し出した。

 

騎士「・・・確かにちゃんとした許可書ですね。ふ~~、保護者なら、子供達から目を離さないでください。まったく人騒がせな。」

 

士「あ・・・・すいません。以後気を付けます。」

 

騎士「本当に気を付けてくださいね!では我々はこれで。」

 

混成騎士団の騎士たちは、士の許可書を確認すると、「気を付けろ」と士に注意をしてその場を去って行き、周りに居た見物客もそれに続く用にこの場を後にして行った。

 

誠也「大丈夫だった?」

 

誠也は事態についていけず、ぽか~んとしている女の子に声をかけた。

 

女の子「え、え~と・・・・ありがとうございます。あの・・・・なんで助けてくれたんですか?」

 

戸惑いながら誠也達にお礼を言った後、誠也になぜ助けてくれたのかと理由を聞いて来た。

 

誠也「なぜって・・・・・泣きそうな顔をした女の子を放って置くことなんて出来ないよ。」

 

女の子「え?たったそれだけの理由で?」

 

誠也の言った理由を聞いて女の子は意外そうな顔をした。

 

誠也「理由はそれだけで十分だよ。「困っている人は助ける!」理由なんてそれだけで充分だよ。ましてや、その困っている人が、君みたいなカワイイ子ならなおさらだよ。」

 

女の子「え?!か、カワイイ?!//////」

 

誠也の不意のカワイイの一言で顔を赤くする女の子。

 

アミス「あらあら、顔を真っ赤にして照れちゃってる♪」

 

士「会ったばかり子を早速ナンパするとは、意外と手が早いな。」

 

誠也「なっ!?べ、別にそんなんじゃありませんよ!ただ、この子を見ていたら、自然と言葉が出ちゃて「へ~、自然に言葉が出たんだ~」って・・・な、何だよ、はやて。不機嫌そうな声出して。」

 

誠也に対して全身から不機嫌オーラを全力で出し、不機嫌そうな声で誠也に話しかけるはやて。そんなはやてを見て「なんでだ?」と頭に?マークを浮かべて困惑する誠也。

 

はやて「べ~つに、私は不機嫌なんかじゃ無いわ!ふ~んだ!!」

 

頬を膨らませて、そっぽを向くはやて。

 

女の子「あの・・・・ケンカはやめてください。」

 

はやてが不機嫌そうな顔をしたので、ケンカをしていると勘違いした女の子が誠也とはやてを仲裁しようと声をかけて来た。

 

誠也「あ、別にケンカしているわけじゃないよ。あ、そう言えば自己紹介がまだだったね。僕は誠也。で、そっちのそっぽを向いているのがはやて。そして向こうにいるのが士さんとアミスさんだよ。」

 

誠也は女の子に自己紹介をした後、士達を紹介した。

 

士「士だ。よろしくな。」

 

アミス「アミスよ、よろしくね。あ、え~と・・・」

 

女の子はアスミが自分の名前を知らなくてなんて呼んでいいのか困っているのを悟って自分も自己紹介しようとした。

 

女の子「えっと、私はちゃんとした名前が無くて、みんなは私の事を小悪魔と・・・・・・・・」

 

誠也「ん?どうしたの?」

 

誠也は自己紹介をしようとした女の子が、途中でソレを止めたのを訝しみ、声をかけた。その直後・・・

 

バタッ!

 

誠也「え?」

 

誠也達の目の前で女の子は突然倒れてしまった。

 

士「お、おい!」

 

誠也「ちょっ!キミ!しっかり!!」

 

突如倒れた女の子に駆け寄り、誠也は抱き起こしながら声をかけた。

 

はやて「ど、どないしたんや?!突然倒れたで?!」

 

アミス「一体何が・・・・」

 

士「これは一体・・・・おい!誠也、その子は大丈夫・・・!?」

 

士が倒れた女の子を抱き起こしている誠也に、大丈夫なのか聞いてみようとした時、誠也の腕の中にいる女の子の姿が薄くなって消えかけているのを見て驚く。

 

アミス「なっ!?姿が・・・・・」

 

はやて「薄くなって、消えかけてる?!」

 

誠也「これは・・・・・一体・・・」

 

自分の腕の中の女の子の姿が消えかけているのを見て驚き、誠也は動きを止めた。

 

アミス「と、兎に角、こんな道のど真ん中にいつまでも居る訳にはいかないわ。近くに私の飛空庭が有るから、まずはそこにその子を運びましょう。

 

誠也「あ、はい!」

 

アミスに言われ、誠也達は倒れた女の子を運んで、近くに有ると言うアスミの飛空庭へと向かった。

 

 

空にプカプカと浮かぶアミスの飛空庭。

 

他の飛空庭よりも大きい飛空庭の土台の上に立っている校舎のような建物。その中にあるアミスの寝室のベットの上に女の子を寝かせた誠也達は、先ほどよりも姿が薄くなっている女の子を見て、なぜ女の子が倒れて姿が薄くなっているのかを話し合っていた。

 

アミス「・・・ドミニオンがこんな状態になるなんて聞いたこともないわ。士さんは何か知ってますか?冒険者として色々な所を旅している士さんなら私よりも色々と知ってると思うのですが・・・」

 

アミスは世界中を回る冒険者である士なら何か知っているのではと聞いてみた。しかし、士はこの世界での役割が冒険者というだけであって、本当の冒険者のようにこの世界を旅して回っている訳では無い。なので士はアミスの質問に対して首を横に振った。

 

アミス「そうですか・・・・・冒険者である士さんでもこんな現象を知らないとなると、一体これ「ただの魔力切れよ」って・・・・え?今の声は?」

 

突然響いた聞きなれない女の声に驚き、アスミは声の主を探すために部屋を見回した。しかし、部屋の中にいるのは自分の他にいるのは、士と誠也、はやての三人だけで、先ほど聞こえてきた声は、この三人とはあきらかに違う物だったため、アスミは頭に?マークを浮かべて困惑した。

 

???「どこ見てるの。こっちよ、こっち。」

 

アミス「え?」

 

また聞こえてきた声の方向を見るアミス。

だがそこには居たのは、車椅子に座っているはやてがいるだけで、アミスはそれに対してますます困惑した。

 

アミス「今の声、はやてちゃんが「こっちよ、こっち。今声を出したのは私よ、わ・た・し!」って・・・・へ?」

 

アミスが会った当初からはやてが膝の上に乗せている物、白い色の小さなコウモリの形をした玩具のような物から先ほどの声が聞こえ、アミスは思わず素っ頓狂な声を上げたしまった。

 

キバーラ『おそらくその子は、魔力が切れかかっているからそんな事になっているのよ。』

 

パタパタとはやての膝の上から浮かび上がり、ベットへと飛んでいくキバーラ。

 

アミス「え?!玩具が喋って飛んでる?!は、はやてちゃん!この玩具みたいなコウモリ、ナンナなの?!」

 

はやてと会った時から膝の上に乗せていたキバーラを、アミスははやてが持っている玩具か何かだと思って居たアスミは、突然言葉を発して動き出したキバーラを見て混乱した。

 

キバーラ『玩具だなんて失礼ね。私はあのファンガイアの高名なキバット族の一員よ!玩具なんて言われるのは心外だわ!』

 

アミス「え?あ・・・ご、ゴメンなさい。」

 

困惑しながらもキバーラに謝るアスミ。そんな二人を他所に、士は何かを知っているキバーラに声をかけた。

 

士「何か知っているのか?キバーラ。」

 

キバーラ「ええ。まず言っておくけど、この子・・・この世界に居るドミニオンとか言う種族じゃないわよ。この子はれっきとした悪魔よ。」

 

誠也・はやて「「え?!あ、悪魔?!」」

 

キバーラの言葉に驚く誠也達。

 

キバーラ『ええ、悪魔よ。本来悪魔は地獄に住んでいる物で、現世に訪れる時は、自分を呼び出した主となる人物から魔力をもらって自分の体を維持しているのよ。けど、この子はどうやら事故でこの世界に来たみたいだから同然主なんて居ない・・・だから主からの魔力が無いせいで魔力切れを起こしているの。』

 

アミス「地獄だとか悪魔だとか色々と聞きたいことは有るけど・・・取りあえずそれは置いといて、どうすれば良いの?」

 

キバーラの言った言葉に対して色々と聞いておきたい事を後にして、アミスは女の子を助けるための方法をキバーラに聞いてみた。

 

キバーラ『簡単よ。魔力が切れているのなら、魔力をあげて補充してあげれば良いのよ。』

 

誠也「魔力を補充?どうするの?」

 

キバーラ『簡単よ、仮にでも良いから(ちぎり)を結ぶのよ』

 

アミス「ち、契?!」

 

キバーラの言った言葉を聞いて、大きな声を出して驚くアスミ。

 

アミス「ち、ち、ち、契を結ぶなんて、子供達が居るのに何て事を言うんです///////」

 

契と言う言葉を聞いて顔を真っ赤にして叫ぶアミス。

 

はやて・誠也「「へ?契?契ってな~に?」」

 

キバーラの契と言う言葉の意味がわからなくて質問する誠也とはやて。

 

キバーラ「あ、契って言うのはね「真面目に答えないでください!」」

 

誠也達の質問に真面目に答えようとしているキバーラに対し、言葉を遮るようにして叫ぶアミス。

 

アミス「セイヤちゃん達にはまだ早いから、その質問に関しては二人が大人になってからね!」

 

誠也・はやて「「は、はあ・・・・」」

 

士「おい。それよりも、気絶している女の子と契を結ぶなんて、完全に犯罪じゃないか?(^_^;)」

 

キバーラ『大丈夫よ、仮契約ならソコまでしなくても良い筈よ。それに仮契約を結ぶのは士くんじゃ無くて、誠也くんよ』

 

誠也「え?僕?!」

 

突然自分の名前を言われて驚く誠也。

 

アミス「な、何言っているんですか!?セイヤくんは子供ですよ!こ、子供に、ち、契を結ばせるなんてえええええええええええええええええ!?」

 

キバーラの言葉にまたしても顔を真っ赤にしてパニクった表情で叫ぶアミス。そんなアミスを見ても、どこ吹く風だと言わんばかりにキバーラは普段通りの落ち着いた声を出して答えた。

 

キバーラ「だからの仮契約なのよ。仮契約では契を結ぶ代わりに、口移しで魔力を送るだけで良いのよ。口移しは人命救助の基本でしょ」

 

誠也「な!?く、口移「口移しやて?!反対!反対!反たぁあああああああああああああああああああああああい!!」」

 

キバーラの「口移し」と言う言葉を聞いて、誠也の言葉を遮るようにして、今度ははやてが大声を上げて叫んだ。

 

はやて「口移しって、キ、キスのことやろ!?な、なんでそれを誠也がやらなくちゃならなあかんの!?」

 

キバーラ「単純な消去方なのよ。そもそもこの子は悪魔・・・小悪魔かな?兎に角、悪魔なのは間違いないのよ。この子と仮契約とは言え、契約を結べば結構な魔力を持っていかれるのよ。そうなると、それなりの魔力を持っててないと、あっという間に魔力どころか生命力まで持って行かれて、ポックリと逝っちゃうわよ。」

 

誠也「ぽ、ポックリって(^_^;)」

 

キバーラの「ポックリ」と言う言葉を聞いて冷や汗を流す誠也。

 

キバーラ「今いるメンバーの中で、この子と仮契約をしても大丈夫なのは誠也くんだけなの。まず私は、この通りのナリだから問題外。アミス、士くんは魔力の量が通常の人と同じぐらいしか無いからこれも問題外。後ははやてちゃんと誠也くんだけって事なんだけど、はやてちゃんは誠也くんと同じ位の魔力を秘めているけど、何かと契約でもしているのか、定期的に魔力が何かにへと流れているの。仮とは言え二重契約は危険だから、はやてちゃんもダメ。だから必然的に誠也くんになったって言うわけ。」

 

誠也「な、成るほど。しかし、はやての魔力が定期的に何かに流れているって・・・・はやて、何かと契約でもしたのか?」

 

キバーラの言った「何かと契約」と言う言葉を聞き、誠也ははやてにその事で聞いてみた。

 

はやて「う~ん・・・契約・・・身に覚え無いで。死んだお父さんからは八神の家が昔は「式神を使う一族」だったって聞いたけど、それもずいぶん前の事やって聞いたし、そもそも私自身魔法とか契約とかと言う物とは士さんとの旅に出るまで無縁の生活してたもん。私はむしろ、誠也くんが高い魔力を持っているって事の方が驚いたで。」

 

はやてはキバーラが言った「誠也が高い魔力を秘めている」と言う言葉に驚いた事を口にした。

 

誠也「僕もキバーラに言われて驚いてる。でも・・・・そう言えば昔、早苗姉の所にいた神奈子さんや諏訪子さんに「大きな力を持っている」って言われてたっけ。」

 

はやて「早苗姉ってもしかして、前に会ったあの早苗さん?確か従姉妹の悠菜さんの幼馴染で、家が神社だって言ってた人の事?じゃあその神奈子さんや諏訪子さんって人はもしかして、その早苗さんの親戚の人か何か?」

 

誠也「うん、僕はそう聞いてる。ずいぶん不思議な感じの人だったけどね。」

 

誠也はそう言って、昔、従姉妹の悠菜の家にお世話になった時に一緒に遊んだ早苗達の事を思い出して懐かしそうな顔をした。

 

士「おい、思い出話に華を咲かせるのは良いが、今が緊急事態だって事を忘れるな。」

 

キバーラ「そうよ。さあ誠也くん!お姫様の眠りを覚ますのは王子様のキスよ!!ここは熱い接吻をぶちゅ~~~~っと!!!」

 

どこか興奮したような口調で誠也に言うキバーラ。そんなキバーラの横ではやてが釈然としない顔をしながら誠也と女の子を見ていた。

 

はやて「う、う~ん・・・・本当にせなアカンの?」

 

士「緊急事態なんだ。気持ちはわかるが、ここはグッと我慢だぞ、はやて。」

 

誠也「そうだよ。大体、なんで僕がキスするのにはやてが怒るの?」

 

はやて「そ、それは・・・・・・//////え、え~い!私の事なんでどうでも良いやろ!とっととキスでも何でもすればいいやろが!!(スパンッ!)」

 

顔を真っ赤にしながら、どこからか取り出したハリセンで誠也の頭をぶっ叩くはやて。

 

誠也「イタッ!もう!なんで叩くんだよ・・・・・・」

 

叩かれた所をさすりながら、はやてに叩かれた事をどこか納得できないような顔をしながら、ベットに横になっている女の子に近づいた。

 

キバーラ「あ、そうそう。仮にとは言え、一応契約なんだから、成功率を上げるために触媒があった方が良いわね。」

 

誠也「触媒?」

 

キバーラ「ええ。契約をする際の負担を少しでも減らすのにマジックアイテムや宝石等を使用して補助するの。持ってないかしら?例えば同じ宝石で出来たペアの指輪やペンダントか何か。」

 

誠也「同じ宝石で出来たペアの指輪かペンダント・・・・・あ!」

 

キバーラの言葉を聞いて、誠也は先ほど露店でお土産用に買ったエメラルド色の宝石を使った二つのペンダントの事を思い出した。

 

誠也「キバーラ、これなんかどうかな?」

 

誠也は先ほど露店で買った二つのペンダントを取り出してキバーラに見せた。

 

キバーラ「これは・・・・うん、良いわよ。これなら触媒に使えるわ。じゃあこのペンダントを一つはあなたが身につけて、もう一つはあの子の首にかけてあげて。」

 

誠也「うん、分かった。」

 

誠也はキバーラに言われて、左右に白黒の翼の飾りがついている方のペンダントを女の子の首に掛け、もう一つの方を自分の首にかけた。

 

キバーラ「さあ、後はあつ~~~いキスを!」

 

誠也「あ、う、うん/////////」

 

キバーラに言われ、女の子の顔へと顔を近づける誠也。

 

誠也(き、キスするのか・・・うわ!この子、近くで見るとすごく可愛いな。こんな子とキスするのか//////ドキドキするって・・・ハッ!)

 

女の子に顔を近づけて、ドキドキし始める誠也。無理もない、誠也もそろそろ年頃の男の子と行ってもいい年齢である。そんな男の子が、仮にも美少女と分類されるであろう女の子にキスするのである。ドキドキするのが普通である。だが、誠也は背後から感じるはやてからの物凄いプレッシャーを感じ取り、そのドキドキも命の危険を感じるドキドキへと変化した。

 

はやて「う~~~~~~~っ!(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!)」

 

士・キバーラ・アミス(((怖!)))

 

背後から誠也を視線で射殺さんとばかりなプレッシャを発するはやてを見て、恐怖を感じてドン引きする士達。

 

そんなプレッシャーを受けながら、内心生きた心地をしないまま、誠也はソっと女の子の唇に自分の唇を重ねた。

 

誠也「うん・・・・・・(あ、柔らかい・・・・女の子の唇って柔らかいんだな。アレ?そう言えばコレ・・・・どれくらいしてれば良いん「いつまでしてるんや!このエロガキ!!(スパンッ!)」)ってイタッ!」

 

女の子とのキスをいつまでもしている誠也の後頭部にはやてのハリセンが炸裂する。

 

誠也「痛いな!もう!何なんだよ、さっきから!!人の頭をスパスパとハリセンで叩いて!!なんでそんなに怒ってるの!?」

 

はやて「そ、それは・・・・・うっ・・・うおおおおおおおおお!士さ~ん!!」

 

士「あ~、憤りをぶつける先が見つからないからって、俺に男泣きしないでくれ(^_^;)」

 

自分に男泣きで泣きつくはやてを「よしよし」と頭を撫でる士。そんなはやてを見て、先程まで理不尽に叩かれていた怒りも早急に鎮火していった誠也は、ベットに横たわっている女の子に視線を向けた。

 

女の子「う、う~ん・・・・こ、ここは?」

 

誠也「気がついたの?!」

 

女の子「えっ?あ・・・・さっき私を助けてくれた男の子・・・」

 

誠也「良かった気がついて。」

 

目を覚ました女の子に気がついた誠也達は、女の子が寝ているベットへと近寄り、女の子の様子を見た。

 

女の子「私・・・どうしてこんな所に?」

 

自分が置かれている状況が把握できず、困惑した表情で誠也達に状況を聞いてみた。

 

誠也「あ、実は・・・・」

 

 

誠也「と言う事なんだ。ってどうしたの?」

 

誠也は今までの事を女の子に説明した。すると女の子は誠也の話が終わった瞬間、顔を真っ赤にしたまま、頭から布団をかぶって、顔を恥ずかしそうに隠してしまった。

 

誠也「あ、あの・・・」

 

誠也は突然の女の子の行動に困惑しながらも声をかけた。

 

女の子「う~~~~っ!仮とは言え、しちゃった・・・・契約・・・・初めての・・・・う~~///////」

 

布団の中で何かを言いながら身悶える女の子。そんな女の子にどう接したら良いか分からなく、誠也達は困惑しながら女の子を見て居た。

 

女の子「あ、あの//////」

 

誠也「うん?」

 

布団から目元だけを出して、恥ずかしそうにこちらを見て誠也に声をかける女の子。誠也はそんな恥じらっている女の子を見て「可愛いな///」と思いながら、女の子の次の言葉を待った。

 

女の子「誠也・・・さん、仮とは言え、契約をしたんですよね?」

 

誠也「え?あ・・・そ、そうだけど////」

 

女の子「じゃあ、誠也さんが私の・・・初めてのご主人様なんですね。私の・・・初めての人///////」

 

誠也「え、あ・・・うん////」

 

互いに見つめあったまま、赤くなって黙り込む誠也と女の子。そんな二人の姿をはやては面白くなさそうな顔をして見ていた。

 

はやて「う~~~~~っ!なんなん!このラブラブな雰囲気は!!うが~~~~~~~~っ!!」

 

士「嫉妬の炎が燃え上がっているな。ヤレヤレ、誠也は罪づくりなやつだな。」

 

アミス「あらあら、セイヤちゃんもスミにおけないわね♪」

 

誠也達の様子を見て、微笑ましものを見るかのような反応をするアスミとヤレヤレと言った感じで見つめる士。

そんな二人を他所に、はやてはいつまでも互いに赤い顔で見つめ合っている誠也達に声をかけた。

 

はやて「ほら!いつまでも見つめ合って無い!話が進まんやろ!!」

 

誠也「えっ?あ・・・・そうだな。所で君はどうして混成騎士団の人たちに捕まっていたの?」

 

女の子「あ、はい、実は・・・・」

 

誠也に言われて自分の事を話し始める女の子。その話の内容によると、女の子はやはり悪魔の子で、地獄にある自分の家の庭で一人で遊んでいたら、突如妙な剣が転移して現れたと言う。そして、その剣は再び転移しようとし、自分はその転移に巻き込まれてしまい、気がついたらアクロポリスのアップタウンの路地裏で倒れていたと言う。ここがどこだか分からず、アチコチをさまよっていたら、混成騎士団に不審な者だと思われてしまい、捕まっていたのだと言った。

 

誠也「ふ~ん、妙な剣ね~」

 

女の子の話しを聞いて、話の中に出て来た剣の事を考える誠也

 

士「・・・当然転移して来る謎の剣、世界の壁を楽々と飛び越えるとは、凄い力を秘めた剣だな」

 

女の子「はい、ほんのちょっとしか見てなかった私でも、その時感じた魔力・・・あの剣は物凄い力を秘めた魔剣なんだと瞬時に分かってしまうくらい凄い物でした。」

 

誠也「ふ~ん、そっか・・・・・凄い魔剣ね~。まあ、それは置いといて、それよりも肝心な事を聞いてなかったね。」

 

女の子「肝心な事?」

 

誠也「うん、名前だよ、名前。まだ聞いてなかったよね。」

 

女の子「あ、名前・・・・私の名前・・・ですよね。」

 

誠也「うん名前。うん?どうしたの?」

 

自分の名前を聞いてきた誠也に対して、言いづらそうな態度を取る女の子。

 

誠也「何か喋りづらそうに見えるけど、もしかして名前・・・教えたくないの?」

 

女の子「いいえ!そうじゃないんです。私・・・・名前が無いんです。」

 

誠也達「「「名前が無い!?」」」

 

女の子「はい。実は・・・・」

 

辛そうな顔をしながら女の子は自分に名前のない理由を話し始めた。

女の子の家は地獄・・・EU地獄と言う欧米の文化圏に属する地獄に有り、その地獄の中でも、女の子の家はかなり大きいく、有名な家柄だと言う。女の子はその家の末っ子で、強大な力を発揮する悪魔の家の子であるにもかかわらず、幼い頃からその才能が開花せず、「出来損ない」「能無し」と兄弟や親戚に言われ続けており、そんな出来損ないに名付ける名前など無いと言われて今日までずっと名無しのまま育てられたと言う。

 

はやて「ひどい!いくら力が無いからって、罵った挙句、名前も付けないやなんて!」

 

女の子の話しを聞いて、怒りだずはやて。

 

女の子「仕方がないんです。悪魔の世界は実力主義の世界、力が無い者は何されても仕方がないんです・・・・」

 

悲しそうな顔をしながらうつむく女の子。そんな女の子に対して、最初は誠也も同じような辛そうな顔をしたが、何かを思いついたと言う顔をして女の子に話しかけた。

 

誠也「ねえ、名前が無いなら、僕が君に名前を付けてあげる。」

 

女の子「えっ?私に名前を?」

 

誠也「うん。」

 

突然の誠也の提案に驚いた顔をする女の子。

 

女の子「でも、ご迷惑じゃ・・・」

 

誠也の提案に対して、迷惑などではと言って遠慮する女の子。

 

誠也「迷惑なんかじゃないよ。それに、仮とは言え、僕は君のマスターになったんだもん。これから一緒に行動するのに名前が無いのは不便だし、何より・・・・」

 

女の子「何より?」

 

誠也「名前が無いことで、君みたいな可愛い女の子が沈んでいるのは見てられないよ。やっぱり女の子には笑顔でいてもらいたいからね。」

 

女の子「えっ!か、可愛い?!//////」

 

誠也の不意の「可愛い」の言葉に顔を赤くする女の子。そんな女の子を他所に、誠也は早速名前について考え始めた。

 

誠也「う~ん、悪魔・・・・小悪魔なんだよね・・・・・・・・・小悪魔、小悪魔・・・・・そうだ!「こあ」って名前はどうだろう?」

 

女の子「こあ?」

 

誠也「うん、小悪魔だから「こあ」。」

 

はやて「なんやそれ、まるで犬猫につける名前のような発想やな(^_^;)」

 

誠也が言った名前に対して「微妙だな~」と言う反応をするはやて。

 

誠也「もしかして・・・気に入らなかった?」

 

女の子「い、いいえ!可愛くて、とても気に入りました♪」

 

誠也「そっか、良かった。じゃあ改めて、これからよろしくね!「こあ」!」

 

こあ「はい、よろしくお願いします。主人様(マスター)♪」

 

こうして誠也達は異世界「エミルクロニクル」の世界で小悪魔の少女と出会った。この後、誠也達はこの「こぁ」と共に「アルマ」と呼ばれる、人の姿をするモンスターの娘達をアミスの学校の生徒として集めたり、お伽話のキャラが実体化した「ロア」と呼ばれる存在が起こした事件を解決したりしながら、「こぁ」を元の世界に戻す方法を探すのだが・・・・それはまた、別のお話で。

 

 

 

 

おまけコーナー

 

 

 

織姫「織姫と~♪」

 

みたま「みたまの~♪」

 

二人「「おまけコーナー!!」」

 

織姫「さあ、始まりました!おまけコーナーの二回目!!今回も張り切って行きましょうね、たまちゃん♪」

 

みたま「・・・本当に張り切ってるわね(^_^;)」

 

織姫「当然!こうゆう事はテンション上げていかないと♪」

 

みたま(前回までの間、出番無かったから張り切ってる(^_^;))

 

織姫「さて、今回の話は主人公である誠也くんが異世界を旅した時のお話です。」

 

みたま「確かディケイドと旅した時、ライダーが居ない異世界も回ったんだよね。」

 

織姫「ええ。今回のお話は、そんなライダーの居ない世界でのお話なんだよ。」

 

みたま「そうそう。で、今回の話の舞台となる世界は、「エミルクロニクルオンライン」の世界!今現在絶賛稼働中の、オンラインRPGの世界なんだよ。」

 

織姫「エミルクロニクルオンラインはコンセプトとして「ハートフルオンラインRPG」と言われています。その原点は「時間のない方も、女性も、いろんな人を受け入れる幅の広い王道のゲームを作ろう」というものなの。だからオンラインRPGが初めてな人も手軽に楽しめるんだよ♪」

 

みたま「このゲームはMMORPGでは珍しく戦闘服だけじゃなく、普段着などの着せ替え要素もふんだんに盛り込まれてるんだ。アニメのような美しくかわいらしい3Dグラフィックキャラクターや、世界を形づくるものは「女性や子供が親しみやすい」「柔らかい雰囲気」「絵本のような可愛らしい世界観」を心がけて作られているだよ。」

 

織姫「操作キャラの服装を自由に変えられて、可愛い服をいっぱい着せ替えられるんだよね。ああ!たまちゃんに似合う可愛い服がいっぱい有りそう♪」

 

みたま「(うっ!あの目はあたしに可愛い服を着させて、着せ替え人形にする目だ!話しを逸らさないと着せ替え人形にされる!)そ、それにしても、どうして作者はこの世界をこの作品に取り入れたんだろうね。」

 

織姫「あ、それはね、作者さんが今現在、このオンライRPGをやってるからなんだって。もっとも最近、プライベートとこの作品の執筆で忙しくて、なかなかインできないみたいだけどね。」

 

みたま「へ~。あ、それとこのお話に出てきた小悪魔の「こぁ」の事なんだけど、あの子ってエミルクロニクルのキャラじゃないんだよね。」

 

織姫「うん、そうだよ。あの子は別のゲームに出てくる子で東方projectのキャラなんだよ。」

 

みたま「なんでそんな子がこの話に出てきたの?」

 

織姫「実は作者さんはこの子をメインヒロインとして、重要キャラとして登場させる予定なんだって。で、主人公である誠也くんと過去での接点をどうしても作っておきたかったから、今回のこのお話に登場させたんだって。」

 

みたま「へ~、そんな考えがあって登場させたんだね。あたしはてっきり、「このキャラ気にいった!登場させよう!」て、思いつきで登場させたと思ったんだけどね。」

 

織姫「あ、たまちゃんよく分かったね。一番の理由は正にそれなんだよ。」

 

みたま「へっ?」

 

織姫「何でも、ニコニコ動画にある東方の二次作の動画の中に、小悪魔がヒロインの動画があって、それを見て一発で気に入っちゃったみたいなんだって。」

 

みたま「結局思いつきだったのね(^_^;)」

 

織姫「まあまあ。さて、では今回はこの辺でおしまいにします。では皆さん・・・・」

 

二人「「まったね~♪」」

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

アミス(エミルクロニクルオンライン)

 

キバーラ(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダー・ディケイド))

 

こあ(東方project)

 

 




次回更新も遅くなると思います。
本当にすいません。




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