仮面ライダーを受け継ぐ者   作:剣 流星

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どうも、剣 流星です。
鎧武が終わり、新番組・ドライブが始まりましたね。
仮面ライダーなのに車に乗る異色のライダー・・・
あれ?そう言えば昭和にも車に乗るライダーが居たような・・・・・
まあ、とにもかくにも第29話をどうぞ


第29話 幽霊の少女と響鬼の少年⑪

 

 

隆史「はぁ~~~~~、・・・・なにやってるんだろう。あやめさんに八つ当たりするみたいにキツく言って・・・」

 

台所で、コンロに水を入れたやかんをかけながら深い溜息を吐く隆史。

 

隆史は昨夜のある出来事に巻き込まれてから、ずっと自己嫌悪に陥っていた。

昨夜、あやめの事を見てもらうために、クラスメイトの悠菜の従姉妹である乃木坂美夏の家へと行った。そこで隆史はあやめが数日のうちに消滅してしまうと言う事実を知った。隆史はそれを聞いて驚き、それと同時に「あやめを消滅させたくない!」と強く思った。幸いなことにあやめの消滅に関しては、誠也が対策を思いついたのでその事に関してはどうにかなった。

問題の解決作が有るとわかったため、隆史は乃木坂邸からの帰りは自然と足取りが軽くなっていた。そんな乃木坂邸からの帰りの途中で隆史は魔化魍の化け猫に襲われた。

魔化魍自体は同行していた誠也たちの手により退治されたが、隆史はその時魔化魍に一撃をもらってしまっていた。

受けた攻撃はそれほど重い物ではなく、隆史を壁に打ち付ける程度のものだった。事実、隆史が負った怪我も対したものではなかった。しかし、隆史自身を“恐怖で一杯”にするには十分な一撃であった。だが、それは仕方がないことなのである。誠也達と違い、ただの一般人のカテゴリーに入る隆史には魔化魍の存在自体が恐怖以外の何者ではなく、ましては一撃を入れられては頭の中を恐怖で一杯にするのは充分な物であった。

 

隆史(ここから逃げ出したい!!)

 

化け猫を前にして、恐怖に震えていた隆史が次に考えたことは、己の身を守るために逃げ出すことであった。己以外の事は何も考えずに・・・そう、自分をしたってくれている”あやめ”の存在を見捨ててしまうくらい。

一般人ならそれも仕方がない事であった。だが、幽霊とは言え、同じ一般人のカテゴリーに入るはずのあやめは違った。最初こそ、恐怖に震えて身動きできなかったが、すぐに立ち直り、自分の大切な存在・・・恋人であると思い込んでいる隆史の身を案じ、倒れている隆史の側に駆け寄ろうとしたのである。

男である隆史が恐怖で一杯になっている最中、同じよな恐怖にさらされているあやめは自分の身よりも隆史の身を案じたのである。そんなあやめを見て、隆史は自分がいかに情けない存在なのだと激しく自己嫌悪した。

幽霊とは言え、勘違いして自分をしたってくれているとは言え、女の子であるあやめは真っ先に自分の身を案じてくれたのに、自分はあやめの存在など忘れて、己の身の安全ばかりを考えていた。その事実が隆史を激しく責め立てた。そんな自己嫌悪に隆史は昨夜からなっており、まともにあやめの顔を見れないでいた。

真っ直ぐに、自分を思ってくれる視線を向けてくるあやめ。隆史はそんな視線を向けられる度に自己嫌悪に陥ってしまう。

 

隆史(自分はそんな視線を向けられるような上等な存在じゃない!)

 

視線を向けられる旅にそう思い、視線を背け続ける隆史は、それでも視線を向けてくるあやめに対していたたまれない気持ちが爆発し、先ほどつい大声を張り上げてしまったのである。

 

隆史(俺は・・・本当にどうしようもないクズだな・・・・)

 

そんな事を考えながら、隆史はコンロにかかっているやかんが、中の湯が沸いたのを知らせるために「ピィー!」と大きな音を出しているのに気づき、コンロの日を止めた後、沸いたお湯を使ってお茶をいれ始める。

 

隆史(はぁ~、自己嫌悪に浸っていても仕方がない。今はあやめさんの身を消滅から守るための方法を誠也から聞くことが先だな。)

 

そんな風に思いながら、隆史は入れた人数分のお茶をお盆に乗せて台所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隆史「・・・お待たせ。」

 

お盆にのせた人数分のお茶を持って、誠也達の待っている居間へと入る隆史。

今の中では、あやめを囲むようにして誠也や悠菜達があやめと話していた。

 

悠菜「あ、やっと来たわね。遅いわよ、アンタが居ないと話が始まらないんだからね。」

 

隆史「わ、悪い。」

 

そう言いながらお茶をその場にいる全員にお茶の入った湯呑を手渡していく隆史。湯呑を受け取った誠也達はそれぞれ「ありがとう」「すみません」などと言いながら受け取った。

やがて全員に湯呑を配り終わると、隆史はあやめを中心とした輪の外れに腰を下ろした

 

隆史「さて、じゃあ話しを聞かせてくれるか?まずは昨日のあの化物の事や、お前達の姿が変わった事について。」

 

悠菜「わかったわ。アレは・・・・・・・・・・・」

 

 

隆史「・・・・・・仮面ライダー。噂では聞いていたけど、まさかお前達がそうだったなんて・・・・」

 

あやめ「影で人々に対する驚異に立ち向かっていたと・・・・ご立派です!」

 

悠菜から聞いた誠也達のライダーの秘密を聞き、隆史とあやめはそれぞれの反応を示した。

 

隆史は「信じられない」と言う顔で、あやめは「ご立派です!」と尊敬するような顔をした。

 

隆史「と、兎に角、まだ信じられないと思う所もあるけど、お前達の事情は大体わかった。それじゃあ次は、あやめさんを消滅から救う事に関してのことだな。」

 

隆史はまだ信じられないと言う顔をしながらも、次の話題である「あやめの消滅」に対しての話を切り出した。

 

誠也「そうですね。今回ここに来たのはそっちの件がメインでしたからね。」

 

竜輝「ねえ誠也、本当にどうにかできるの?僕は昨日、乃木坂邸に行っていないから直接話は聞いてないから、圭介から又聞きで聞いた限りだと、あやめさんを消滅の危険から救う条件は結構大変な物なんだろう?」

 

なのは「あ、その条件、私もはやてちゃんから聞いたよ。確か「外から力・・・・霊力、あるいはそれに準ずる気力や魔力の様なもので補ってあげれば消滅を引き伸ばす事もできる」って事だったよね?宛はあるの?」

 

誠也「もちろん!要はあやめさんに定期的に魔力を提供すればいいだけだろう?だからこれを使って俺の魔力を定期的にあやめさんに提供すれば良いんだよ。」

 

そう言って誠也は一個のウィザードリングを取り出して見せた。

 

フェイト「ウィザードリング?でも、今まで見たことない模様のリングだね。何のリングなの?」

 

フェイトが誠也の取り出したリングが、今まで誠也が使用していたどのリングとも違う物だと思い、何のリングか誠也に聞いた。

 

はやて「アレ?このリング・・・・・もしかしてコヨミさんが付けていた「プリーズ」の指輪?」

 

はやては誠也の取り出したウィザードリングが、かつて誠也と共に異世界を旅した時に出会ったウィザードの世界の人物である笛木 暦(ふえき こよみ)が、ウィザードである操真 晴人から魔力を供給する時に使用していたプリーズウィザードリングだと気づいた。

 

誠也「そうだよ。これを使ってあやめさんに俺の魔力を提供するんだ。」

 

はやて「提供するって・・・それを使うには、あやめさんに指輪を身につけてもらわなアカンのやで。でもあやめさんは幽霊なんやから実体がないんや、どうやって身に付けさせるんや?!」

 

誠也「その点に関してはもう問題は解決してるよ。確かにあやめさんには実体は無い。けど魔力を帯びた物で触れば、実体の無い幽体であるあやめさんにも触ることができるだろう?昨日お前が実践して見せたじゃないか。」

 

霞「実践って・・・・ああ、昨日のはやてちゃんの胸揉みの事/////。」

 

昨日の実践と聞いて、昨日はやてがあやめの胸を魔力を手にコーティングして幽体であるあやめの胸を揉みまくった事を思い出し、顔を赤くする霞。

 

誠也「昨日、はやての胸揉みを思い出して思いついたんだ。魔力でコーティングすればあやめさんに触れる。ならばウィザードリングのリング部分の材質を魔力を帯びた材質の物にすればあやめさんにもウィザードリングをハメてもらうことができるんじゃないかって。だから俺は昨日帰った後、ラボでプリーズウィザードリングのリング部分を魔力を帯た材質の物に交換したんだ。さあ、あやめ。右手を。」

 

あやめ「事情がまだよくわかりませんけど、その指輪があればわたくしは助かるんですね?」

 

そう言っておずおずと右手を差し出すあやめ。

誠也は差し出された右手に手に魔力をコーティングさせながら、持っているプリーズウィザードリングを身につけさせる。

はめられた指輪は、あやめの指をすり抜けることなく、あやめの手にはめられたままの状態で維持されていた。

 

美夏「すり抜けずに身につけたままになってる・・・凄い!成功じゃない!!」

 

隆史が来るまであやめと話して、あやめに対する恐怖心がすっかりなくなった美夏が、あやめの右手に身につけたままの状態であるプリーズウィザードリングを見て驚いた。

 

誠也「成功だ。後は・・・・・」

 

そう言って魔力でコーティングした手でプリーズウィザードリングが身に着けられら右手を掴んで、自分の腰のバックルへとかざす誠也。

 

電子音声『プリーズ!』

 

部屋の中に響く電子音声と同時に、あやめの体に誠也の魔力が流れ込む。

 

あやめ「アレ?なんでしょう?何かが体に流れてきて、体の中からポカポカしてきます・・・」

 

自分の中に流れ込む誠也の魔力を感じ取るあやめ。やがて流れ込む魔力の流れが止まると、誠也はあやめのてをソっと放した。

 

誠也「これでもう大丈夫だ。一回の魔力供給で大体一週間位は持つはずだよ。それに昨日あの後、祝さんに電話でもう一度話したんだけど、あやめさんが昼間外に出られなかったのは、消滅しかかってたからで、魔力を供給すれば、昼間でも外に出られるって言ってたから、これからは日の光を気にせずに過ごせるよ。」

 

美夏「ホントなの?!なら早速外に出てみようあやめさん!」

 

あやめ「え?あ・・・・そうですね。でも、その前に・・・・竜輝さんをどうにかしませんと・・・・・」

 

誠也達「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

 

竜輝の名前を言いながら指差した方向、そこには自分の出した鼻血で出来た血の池に倒れこむ竜輝の姿があった。

 

竜輝「(ドックン!ドックン!ピューピュー♪)」

 

美夏「え?え?なんで?なんで竜輝鼻血出して死にかかってるの?!」

 

倒れている竜輝の姿を見て頭に?マークを浮かべる誠也達。

 

誠也「あ!もしかして、さっき「昨日の胸揉み」の事を言ったから、それを思い出してそれで・・・・(^_^;)」

 

はやて「へっ?あの程度の事を思い出して鼻血出して死にかかってる?!どんだけ免疫ないんや!」

 

なのは「なんか黙ってると、惨殺死体に見えるね(^_^;)」

 

悠菜「本当に死にかかるわね、コイツは(^_^;)」

 

圭介「どうするコレ?」

 

霞「取りあえず手当と後始末をしないとね(^_^;)」

 

あやめ「血って確か落ちにくいんですよね~。床に跡が残らないと良いんですけど~」

 

隆史「(あやめさん。すでにこのシチュエーションに慣れているな(^_^;))」

 

誠也「取りあえず、“コレ”の後始末をしてから、外に出よう。」

 

そう言って、誠也達は倒れた竜輝の手当と鼻血の後始末をし始めた。

ちなみに後始末は、床に出来た鼻血の池の跡がなかなか落ちず、1時間程かかったと言う。

 

 

 

 

つづく

 


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