仮面ライダーを受け継ぐ者   作:剣 流星

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どうも、剣 流星です。
一月開けてすいませんでした。
さて、今回からは新章突入です。
ではどうぞ~


まぼろし月夜編
第19話 幽霊の少女と響鬼の少年①


誠也「ふわぁああああああ・・・・眠い・・・・・」

 

朝の岩永家の食卓で、誠也は大きな口を開けて盛大な欠伸をしていた。

ドレステインの工場から薬を回収した誠也達は、ラボに戻った後、薬を6人の魔女の少女達それぞれに分配し、今後の事を後日決めると決めてその場で解散した。

そしてラボに残り、例のコールドスリープ装置の設計図と鎮死剤を乃木坂の研究機関に渡す準備をするために残るカナリヤを残し、誠也は一人でテレポートリングで岩永家に戻ったのが朝の6時少し前であった。ぶっちゃけ誠也は殆ど徹夜で、ろくに寝ていない状態である。

 

皐月「大きな欠伸ね。昨夜寝られなかったの?」

 

誠也「え、ええ、まあ・・・・」

 

本当のことも言えないため、言葉を濁して返事をする誠也。

 

銀子「なんか隣にいるさくやちゃんと同じようにフラフラしてるわね。大丈夫?」

 

昨日から引き続き岩永家に止まった銀子が心配して誠也に声をかけた。

 

誠也「え、ええ、まあ・・・・アレよりは幾分かマシですよ。」

 

そう言って、誠也は今だに目が完全に覚めずにフラフラと体を揺らしながら、朝ごはんを食べようとしているさくやを見た。

 

さくや「・・・・・・うぅ~・・・・・・・あぁ~・・・・・・・・・・」

 

翔子「さくやちゃん、大丈夫?ちゃんと目、覚ましてる?」

 

孝介「おい!さくや、ちゃんと起きろ!しっかりしろって!」

 

体をフラフラさせているさくやを心配し、声をかける翔子と孝介。

そんな感じで朝食は進んで行き、朝食が済んだ頃にはさくやはすっかり目を覚ましていた。

 

さくや「では、そろそろ行きます。」

 

そう言ってさくやは通学に使っているカバンを手に取って立ち上がった。

 

翔子「あ、じゃあ私もそろそろ行くね。さくやちゃん、途中まで一緒に行こう。」

 

さくや「ええ、一緒に行きましょう。」

 

誠也「あ、じゃあ俺も散歩がてら途中まで二人を送っていきますよ。(昨日の事を二人に話す絶好の機会だしね)」

 

孝介「あ、じゃあ俺もその散歩、付き合うよ。(ボソ)皐月さんがいる岩永家では昨日の事話しづらいだろう?散歩がてら話してもらうぜ」

 

後半の言葉を小声で誠也に言って、自分も散歩に付き合うと言う孝介。

 

銀子「じゃあ私も、食後の運動がてら、一緒に散歩しようかな~(ボソ)私も昨日の事聞きたいから付き合うよ」

 

孝介の小声での話しを聞いた銀子もまた、昨日の事が気になったのか散歩につき合うと言いだした。

 

皐月「あら、みんな出かけるの?なら行ってらっしゃい。みんな気を付けてね。」

 

そう言って、テーブルの上の食器を片付けながら皐月は誠也達を送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀子「ふ~ん、工場でそんな事があったんだ。大変だったわね。」

 

学校へと行くさくやと翔子と一緒に並んで歩いている孝介と銀子、その四人に対して歩きながら誠也は昨日の事の顛末を話していた。

 

誠也「ええ、しかも、カナリヤが探していた財団Xの幹部であるカラスも出てきたんですからね。」

 

孝介「しかし、その魔女の宮殿(ヴィンガルフ)って組織、財団Xの下部組織だったんだって?はぁ~、そんな危ない事をする危険な組織が野放しになってるなんて、何とも物騒だな。」

 

さくや「ええ、これでは怖くて迂闊に外を出歩けません。」

 

誠也の話しを聞いて少し怖がっている表情をしてさくやが言った

 

翔子「それにしても誠也くんが無事でよかった。死ぬ予知をされてたんだよね?ホント無事でよかったよ。」

 

誠也「ああ、ホント、今回はちょっとヤバかったから無事に事が済んでよかったよ。」

 

銀子「それで、この後どうするの?当面の鎮死剤が手に入ったんだよね?ならあの子達、今はどうしているの?」

 

誠也「ああ、竜輝の所にお世話になっているカズミ以外の5人は、あのままラボに泊まらせましたよ。いくらなんでも年頃の女の子を、いつまでも風呂もない廃墟に寝泊まりさせるわけには行きませんからね。」

 

銀子「確かにそうだけど、なら今後はあの子達はラボに寝泊りさせるわけ?」

 

誠也「いいえ、あの子達にはちゃんとした住居を提供しようと思ってます。」

 

翔子「ちゃんとした住居?」

 

孝介「あ、ひょっとしてお前が経営している「鳴海荘」に入居させるつもりか?」

 

誠也「ええ、そのつもりです。」

 

翔子「「鳴海荘」?なにそれ?」

 

銀子「誠也くん・・・ひょっとしてアパート経営してるの?」

 

孝介の話しから、誠也がアパートと経営している言う言葉が出たので聞いてくる銀子。

 

誠也「ええ、まあ一応・・・」

 

銀子「へ~、アパート、経営してるんだ・・・・・」

 

誠也がアパートを経営していると聞いて考え込む銀子

 

翔子「すご~い、誠也くん、アパート経営してるんだ。」

 

一方、翔子は誠也がアパート経営しているという事を聞いて、誠也を尊敬の眼差しで見始めた。

 

誠也「いや・・・・経営なんて立派なもんじゃない良いよ。去年、乃木坂のお爺ちゃんから誕生日プレゼントでアパートが送られて、それの使い道がわからなくて、たまたま知り合いが住む所に困っていたから部屋を貸してあげているだけだよ。」

 

翔子「え?アパートを・・・誕生日プレゼントに?」

 

誠也の言葉を聞き、自分の聞き間違えかと思い、聞き返す翔子

 

誠也「う、うん。」

 

銀子「それって・・・アパートの一部屋だよね?」

 

誠也「いいえ、アパート丸ごと一軒です。」

 

銀子「な、何それ?子供にアパート丸ごと一軒をプレゼントって(^^;)」

 

誠也「これでもだいぶグレートを下げてもらったんですよ。最初にプレゼントされたのが高級マンショ丸ごと一軒だったんですから(^^;)

 

翔子・銀子「「高級マンション丸ごと一軒?!」」

 

誠也の言葉を聞き驚きの声をあげる二人。

 

さくや「はぁ~どうやら相変わらずみたいですね。乃木坂のお爺さまは。」

 

孝介「ああ、相変わらずだよ。誠也達の誕生日に突拍子の無い物を送るのは。」

 

銀子「ちょ、ちょっとなに二人共サラッと流してるの?!」

 

さくや「いや、その何て言うか・・・もう慣れちゃって。」

 

孝介「これぐらいで驚いてちゃ、鳴海家のご近所はやってられませんよ。」

 

銀子「やってられないって(^^;)」

 

翔子「鳴海の家って一体普段からどんな事が起きてるの(^^;)」

 

孝介達の話しを聞いて若干呆れ顔をする銀子と翔子。

 

誠也「まあ兎に角、この後少し仮眠を取ったらまた向こうに戻って、かなで達5人を鳴海荘に案内しようと思います。」

 

そう言って誠也はポケットから取り出した、愛用の金色の懐中時計で時間を確認しながらそう言った。

 

銀子「あれ?誠也くんって懐中時計使ってるんだ。今時珍しいね。」

 

誠也「ああ、これですか。知り合いの形見で、お守り替わりに持っていたらいつの間にか懐中時計で時間を確認するのが癖になって・・・それでそのまま使い続けてるんです。」

 

銀子「へ~、見た所、結構良い物みたいだね。」

 

誠也「はい。俺の宝物の一つです。」

 

誠也はそう言って、この時計の元の持ち主を思い返しなが返事をした。

そんな風に話しながら誠也達は一緒に、さくやが乗るバスが止まるバス停まで一緒に歩き、さくやが来たバスに乗るのを見届けた後、翔子は学校へと向かい、誠也達は岩永家へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い魔女の宮殿(ヴィンガルフ)の研究施設の一室、そこに研究所の所長・九 千怜(いちじく ちさと)は椅子に座りながらカラスと共に部下の報告を聞いていた。

 

スーツ姿の男「例の鎮死剤について検索していたIPアドレスを追跡しましたが、シリヤやパキスタン等の第三国プロクシを経由しているために事実上の追跡は不可能とのことです。」

 

カラス『だろうな。相手側にあのカナリヤが付いているのだ、自分たちの居場所を突き止められるヘマなどしないよ。』

 

九「ふん、財団Xに逆らう仮面ライダーの支援者か・・・・厄介な連中と手を組んだな。おまけにこの前回収し損ねた魔女の一件のせいで、あの「乃木坂」に目を付けられ始めた・・・おかげで「高千穂(たかちほ)」に散々イヤミを言われたよ。」

 

カラス『「高千穂(たかちほ)」・・・確か財団Xに協力しているこの世界の有力者が魔女の宮殿(ヴィンガルフ)を監視するために作った組織だったな。フフフッ、管理職の辛いところだな。』

 

九「フン、余計なお世話だ。」

 

カラス『それでどうする?IPアドレスからはでは足取りを掴むことはできない。さて、次はどうするのかな?九所長?』

 

九「フン、手がかりはまだある。捕まえた魔女が一人いる。そいつから逃げた残りの魔女の居場所を尋問して聞き出す。面倒だがな。」

 

カラス『尋問ね・・・拷問の間違いでは無いか?』

 

九「どっちでも構わん。まったく、本来なら奴らと接触したお前が何らかの手がかりを掴んでいたなら、こんな面倒な方法をしなくて済むものを。」

 

カラス『仕方があるまい。ライダー二人はすでに変身していて、装着者がどんな人物かわからないし、ライダーでない人物もミッド式の認識障害の魔法をかけられていて特定できなかったのだ。大体、あのカナリヤが付いているのだ。そんなヘマはせんよ。』

 

九「・・・随分と高く買っているのだな。」

 

カラス『当然だ。曲がりなりにも、この私を一度は倒したのだからな。』

 

九「・・・なるほど優秀な自分を倒したのだから、相手もそれ相応に優秀なのだと言いたいわけか・・・フン。」

 

そう言って九は椅子から立ち上がると、部屋の出入口へと向かい始めた。

 

カラス『どこへ?』

 

九「捕まえた魔女の尋問の進行状況を見にな。それより貴様、いつまでここに居る。お前の実験はすでに済んだのだ、いい加減帰ったらどうだ?目障りで仕方がない。」

 

カラス『フフフッ、随分と嫌われたものだな。帰りたいのは山々なのだがな、さっき新しい辞令が降りてな。』

 

九「新しい辞令?」

 

カラス『ああ、こちらに既に来ている総帥の下の方のご子息の面倒を見ろとな。』

 

九「財団X総帥の下の息子?親衛隊隊長の「リュート」か。面倒な・・・この前は「スカジ」を「助ける!」と言って勝手に連れて行ったりと何かと面倒を起こす・・・邪魔以外の何者でもない。」

 

カラス『邪魔でも何でも私達の上に居る存在だ。下手な事をして、奴を信奉している奴の部下たちに殺されんよう気をつけるのだな。』

 

九「わかっている。親衛隊の連中に睨まれるようなヘマはしない。」

 

そう言い放って九は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「さて、みんなはもう集まっているかな?」

 

そう言って誠也はラボの地下一階の大テーブルのある部屋の扉に手をかけた。

翔子達を送った後、誠也は岩永の家の自分の部屋で仮眠を取った。その後、次に目覚めたのは翔子やさくやが学校から帰ってくる時間帯だった。

誠也は目を覚ました後、霞に携帯で連絡を取り、かなで達をラボに集めておいてくれと言うと、戻って来た翔子やさくや、そして孝介にラボを案内するために、向こうに用があるから付いて行くと言ってきた銀子と共にテレポートリングでラボへと来たのである。

 

銀子「確かカズミちゃん以外はここに泊まったんだよね。ならもう殆どのメンバーが集まってると思うよ?」

 

誠也の言葉に答えるようにして言う銀子。

 

翔子「私、かなでちゃん以外の魔女の子と話すの始めて・・・どんな子なんだろう?」

 

これから会う新たな魔女の子がどんな人物か思案する翔子。

 

孝介「・・・・まさか、鳴海家の地下にこんな物があったとはな。」

 

ラボを物珍しげに見ながらポツリと感想を言う孝介。

 

さくや「・・・・本当に鳴海家とその親戚の人達と付き合うと、驚きの連続なのは相変わらずみたいね。(^^;)」

 

孝介と共にラボをキョロキョロと見回しながら言うさくや。

 

それぞれがそれぞれの反応をしている中、誠也は目の前の扉に手をかけた手に力を入れて開け放った。

 

誠也「みんな、もう集まって「誠也く~ん♡(ガバッ!)」ってウワーッ!」

 

扉を開けたとたん、誠也はいきなり正面から抱きついて来たかなでに押し倒される形で真後ろに倒れてしまった。

 

誠也「痛った~~、かなで!いきなりモガモガ!」

 

抱きついて来たかなでに対して抗議の声を上げようとした誠也だったが、倒れた自分に抱きついて来たかなでの胸に顔が埋もれてしまい、うまく言葉が発せられない状態になっていた。

 

かなで「う~ん♪やっぱり生の誠也くんの抱き心地は最高~♡」

 

誠也「モガモガモガッ!(訳:くっ苦しい~!息が~~!)

 

霞「か、かなでちゃん、お兄ちゃんにいきなり抱きついたらダメだよ~。」

 

誠也にいきなり抱きついたかなでに対してダメだと言う霞。

 

カズミ「全く、しゃあないな~かなでは。」

 

小鳥「む、胸を、顔に押し当ててる・・・か、かなでさん・・・大胆です!」

 

千絵「まったく、大胆よね~かなでは。」

 

寧子「////(顔を真っ赤にしながら、かなでの大胆な行動を見ている)」

 

佳奈『寧子、顔真っ赤よ?大丈夫?』

 

良太(・・・美少女の胸に顔をうずめている・・・・ちょっと羨ましいな)

 

圭介(な、なんて羨ましい!軽く殺意が沸くな)

 

かなでに押し倒され、かなでの胸に顔を埋める誠也を見て、部屋の中のメンバーがそれぞれ反応をしめす。

 

銀子「うわ~、かなでちゃん、すごく大胆ね~♪ね、翔子ちゃん♪」

 

翔子「え?あ・・・・うん・・・(なんだろう・・・・なんだか胸がモヤモヤするし・・・ムカつく!(怒))」

 

さくや(あれ?翔子ちゃん、もしかして・・・・)

 

孝介(こりゃヤキモチ焼いてるな。罪づくりなやつだな~誠也は。)

 

一方で、扉の外にいるメンバーも抱きつかれた誠也を見て反応を示していた。

 

翔子「・・・」

 

誠也(モガモガモガッ!(訳:かなで!早く離れてくれ!息が・・・息が・・・!)

 

翔子「・・・・・」

 

かなで「あん♡・・・・そんな・・・・胸の中で・・・もぞもぞ動かないで・・・そんなに気に入ったの?私の胸♡」

 

翔子「・・・・・・・・・」

 

誠也「モガモガ――――ッ!(訳:ちが~う!息ができないんだーーーーーっ!)」

 

翔子「・・・・・・・・・・・・・・・・・(怒)」

 

かなで「そっか、そんなに味わいたいんだ。「モガー!(訳:ちがーう!)」ならもうちょっと味あわせ(ドゴンッ!)って・・・何?ヒィ!」

 

突然響いた何かを殴ったような音が響いたので、かなでは誠也から胸を話してそちらを見、他の面々も音のした方に顔を向け、そして一斉に短い悲鳴を上げた。

 

翔子「(ゴゴゴゴゴゴッ!)・・・・・かなでちゃん・・・・・誠也くん・・・・苦しがってるよ?・・・・ハナレヨウヨ?」

 

かなで達の視線の先、そこにはラボの壁にこぶしを突き立て・・・・・

 

魔王(なのは)も裸足で逃げ出すような黒い瘴気を背負いながら・・・・

 

ものすごく良い笑顔を浮かべている翔子(夜叉)が居た。

 

翔子を除く全員「「「「「「「「「「ヒィーーー!(お、鬼が居るぅーーー!!)」」」」」」」」」」

 

その場にいる全員・・・・数々の戦いを経験した誠也でさえも今の翔子を見て悲鳴を上げた。

 

翔子(鬼)「かなでちゃん・・・」

 

かなで「は、はいいいいいいっ!」

 

翔子に言われてすぐさま立ち上がり直立不動になるかなで。

 

翔子(鬼)「いきなり顔に胸を押し付けるなんて・・・・いけないよ・・・・もうちょっと・・・セツドアルコウドウヲシヨウネ。」

 

かなで「い、イセッサー!」

 

直立不動のまま、敬礼をして返事をするかなで。と言うかなんで敬礼を(^^;・・・・(by作者)

 

翔子「それから誠也くん・・・」

 

誠也「な、なんだ?」

 

翔子「女の子に抱きつかれて鼻の下を伸ばさないで。」

 

誠也「鼻の下なんて伸ばして・・・・」

 

翔子(鬼)「ナニカイッタ?」

 

誠也「い、いいえ・・・ナンデモナイデス(さ、逆らうのはよそう・・・け、消されてしまう!)」

 

翔子「そう・・・じゃあみんな、いつまでもこんな所にいても仕方がなから早く部屋に入ろう?」

 

そう言ってまるで先ほどとは正反対の菩薩のような笑顔で爽やかに言う翔子。

 

誠也「え・・・あ・・・・うん。」

 

銀子「そ、そうね。」

 

さくや「え・・・ええ、行こう、兄さん」

 

孝介「ああ。」

 

ぎこちない声を出しながら部屋へと入る銀子達。

 

カズミ「なあ・・・・あの子・・・絶対怒らせないようにせなあかんな・・・・気いつけような」

 

寧子・佳奈・小鳥・千絵「「「「う、うん・・・」」」」

 

そんな風に寧子達は返事をしながらそれぞれの席へと付いた。

 

誠也「さて、早速会議を始めようと思うんだけど・・・・・何人か居ないな・・・竜輝とカナリヤはどうしたんだ?」

 

誠也はこの場に来ていない竜輝とカナリヤの事を他のメンバーに聞いた。

 

霞「カナリヤだったら、コールドスリープ装置の設計図と薬のサンプルを持って乃木坂のお爺ちゃんの所に行ったよ。今日は例の新組織設立に合わせて渡す予定だったライダーの変身ツールを渡す予定だったから。」

 

誠也「あ!そう言えばそうだったな。確かカブトとブレイドとスカル、それと量産化に向けて再設計したG3Xだったな、渡す予定だったのは。んで竜輝が来てない理由は?」

 

カズミ「竜輝やったら、ねこんでるで。今ちょっと体調が悪かったさかい。」

 

誠也「体調が悪い?夏風邪でもひいたの?」

 

カズミ「いや、風邪やないんやけど・・・その・・・」

 

歯切れの悪いカズミの言葉を聞いて頭にハテナマークを浮かべる誠也。

 

カズミ「昨夜、竜輝がお風呂入ってた時、助けてくれたお礼も込めて背中でも流してあげようとして・・・その・・・」

 

誠也「ああ、なるほど・・・・良いよ、それ以上は・・・大体想像できる。(^^;」

 

圭介「アイツ、また鼻血出して出血多量でブッ倒れてんか・・・女に免疫無いの、今だに治らないのか・・・」

 

圭介が竜輝が風呂場に突撃してきたカズミの姿を見て、鼻血を出して倒れている所を想像して、呆れたような声を上げた。

 

誠也「ま、まあ・・・・それなら仕方がないな、会議はこのメンバーでやるかしかないか・・・・・じゃあ早速始めるよ。」

 

そう言って誠也達は会議を始めた。

 

誠也「問題だった鎮死剤奪取には成功した。当初の予定よりも多くの鎮死剤が手に入った事により、予定では二人ほどコールドスリープ装置に入ってもらうはずだったんだけど、その必要も無くなった。」

 

良太「必要だったのは1ヶ月4人分の鎮死剤だった。けどそれ以上に多くの薬・・・・6人が3ヶ月必要な数が手に入ったんだもんな。」

 

誠也「そう、そのおかげで、こちらは後コールドスリープ装置を使って後二人の魔女を保護することができる。そこで、逃げ出した他の魔女たちを探し出して保護しようと思うんだけど・・・どうだろう?」

 

寧子「・・・私は賛成。ほかの子達も手持ちの鎮死剤がそろそろ心許なくなってきていると思うから。」

 

佳奈『そうね、もともと処分場への移動の途中だったんだから、薬の数もそんなになかったもんね。』

 

千絵「でもそうなると、問題は他の子達がどこにいるのかよね。」

 

かなで「そうね、最も私達以外の子が生き残ってればの話だけどね。」

 

カズミ「そうやな、寧子の所にあった連絡用のトランシーバーはこっちから掛けられない一方通行だしな。」

 

小鳥「じゃあ連絡が来るまで今は待つしか無いってことですね。皆さん無事だと良いんですけど・・・」

 

誠也「そうだね。じゃあ取りあえずその問題は向こうからの連絡待ちって事で良いとして、次の問題はかなで達の当面の住む所だな。」

 

かなで「え?私達の住む所?」

 

誠也「ああ、そうだよ、住む所。いつまでも風呂もトイレもない山の中の廃村に女の子を住まわせておく訳にはいかないだろう?」

 

さくや「山の中の廃村の中って・・・・この子達、そんな所に住んでいたの?!」

 

孝介「そんな生活してたのか・・・・・銀子さんじゃ無いんだから、そんな生活してたらさぞ大変だったろう。」

 

銀子「孝ちゃん、今、なにげに失礼なこと言わなかった?言っておくけど、山の中に住んでいても私の住んでいるところには、一応お風呂もトイレもあるし、電気だって通ってるよ!」

 

孝介「あ、そうだったんですか?俺はてっきりマンモスの肉を食べてる某石器時代のギャグアニメみたいな生活してると思ってましたよ。」

 

銀子「私は始め人間ギャー○ルズかーっ!」

 

カズミ「おお!銀子さん意外とノリいいやないの!」

 

誠也「あの~話しが脱線してるんだけど・・・・」

 

孝介「ああ、悪い悪い。それでやっぱり来るときに話してたように、この子達をお前が経営している「鳴海荘」の部屋に住まわせるんだな。」

 

かなで「え?「鳴海荘」経営って・・・・ひょっとして誠也くん、アパートでも経営してるの?」

 

誠也「まあね、10部屋あるアパートで1部屋2LDKバス・トイレ付きで後7部屋空いてるんだ。」

 

千絵「2LDKバス・トイレ付き?!私達は6人いて、その内、竜輝くんの所にいるカズミは住む必要がないとして、佳奈の面倒を見なきゃならない寧子は必然的に同じ部屋になるから・・・・」

 

カズミ「後の4人は実質上一人一部屋になるって事やな。」

 

かなで「ウソ!?それ良い!!今までお風呂はいれなくて水浴びでやってたからホント助かる!」

 

佳奈『ちょと待ってかなで!私達魔女がひとつの所に固まってるとまずいでしょう?それに私達以外の人が既に住んでるのよ?そこに住んだらその人達も巻き込むわよ!』

 

誠也「大丈夫だよ。ほかの住居者は自分の身ぐらい余裕で守ることができる人達だよ。だって俺と同じ仮面ライダーなんだから。」

 

佳奈『え?!その人達も仮面ライダーなの?!』

 

誠也「ああ、それにアパートの管理人をしてくれている「あやめ」さんはどんな奴でも傷つけることなんてまずできないだろうしね。」

 

孝介「そう言えばその名前、前に聞いたな。確かあのアパートに住んでいる隆史の奴から。どんな人なんだ?」

 

誠也「人というか・・・なんというか・・・・と、兎に角、直接会ってもらえればわかるよ。」

 

かなで「直接会えばわかるね~。」

 

誠也「そういう訳だから、みんなにこの後、「鳴海荘」に行ってもらって、アパートを見るついでにあやめさんに会ってもらうよ。」

 

寧子「会ってもらうか・・・みんな、どうする?」

 

寧子は誠也の提案を聞いて、現在廃屋住まいをしている自分以外の5人に意見を聞いた。

 

佳奈『私はこんなんだから、寧子に付いて行くわ。』

 

かなで「他の住居者が誠也くんの知り合いの仮面ライダーなら信用できるし、心配ないと思う。」

 

千絵「私としても問題ないと思う。それに2LDKのバス・トイレ付きの部屋は魅力的だしね。」

 

小鳥「私は千絵ちゃんが良いならそれでいいよ。寧子さんは?」

 

寧子「私も良いと思う。」

 

誠也「じゃあ全員賛成ってことでいいんだね。」

 

寧子「ええ。」

 

誠也「じゃあ早速「鳴海荘」に移動しよう。」

 

そう言って誠也達は席を立って移動を開始した。

部屋を出て、ラボの入り口であるゲートへと入り、ゲートの出入り口がある鳴海家の誠也の部屋へと移動。鳴海家を出て徒歩で(佳奈はカナリヤが用意した電動の車椅子で移動)で移動し、訳5分の所に鳴海荘はあった。

 

銀子「へ~、これが「鳴海荘」。結構立派ね。」

 

鳴海荘を見た感想を銀子は素直に口にした。

 

孝介「俺はここ最近忙しかったし、くる用事もなかったから外を少し眺めるだけだったから、こんなに近くで見るのは初めてだな。」

 

さくや「私は初めてよ。私がここにいた頃には無かったから。悠菜からのメールは携帯でそれとなくは聞いてはいたけど。」

 

翔子「こ、これを丸ごと一つ誕生日プレゼントとして誠也くんは送られたんだよね・・・・すごい「~♪~♪」って・・・え?歌声?」

 

鳴海荘を眺めていた翔子の耳に突如歌声が聞こえてきたので、翔子達はそちらの方に視線を向けた。

 

かなで「鳴海荘の近くから聞こえるわね。」

 

圭介「あ、この声は・・・・あやめさんの声だな。」

 

霞「本当だ。この歌、この前私があやめさんに聞かせてあげた歌だ。気に入って歌っているみたい。」

 

誠也「だな。」

 

そう言って誠也は歌声のする方へとどうして行ったので、その後ろを翔子や霞、かなで達がついて行った。

 

あやめ「庭~さき~~掃除しなが~ら♪す~~こし~考えたの~♪」

 

誠也「ノリノリだな~あやめさん。」

 

近づくに連れ、徐々に大きくなる歌声。

 

あやめ「木の枝から~落ちてしまう~♪木の葉は寂しくはないのかな?~♪」

 

歌声を聞きながら近づいて行く誠也達。やがて誠也達の目の前には鳴海荘の前で箒で使って掃き掃除をしている、長い黒髪で着物姿の15~6歳ぐらいの少女が見えてきた。

 

誠也「あやめさん。」

 

あやめ「え?!あ・・・・・せ、誠也さま、それに圭介さまに霞さんまで・・・・き、聞いてました?///」

 

歌を歌っていた所を見られて、恥ずかしそうにするあやめと言われた少女。

 

誠也「ええ、霞に聞かせてもらった曲の歌ですよね。上手でしたよ。」

 

あやめ「あ、ありがとうございます。所で・・・・・後ろの方々は?随分大人数みたいですけど・・・」

 

あやめはそう言って誠也の後ろにいる翔子達を見た。

 

誠也「ああ、俺の友人達で、住む所にちょっと困っているみたいだったんで、ここの部屋を提供しようと思って。」

 

あやめ「まあ♪じゃあ入居希望者ですね。こんなに大勢、賑やかになりますね♪」

 

カズミ「あ、わたしと翔子、銀子さん、さくやに孝介さんは違うで。入居するのはそこにいる寧子と佳奈、小鳥と千絵とかなでの五人や。」

 

寧子達「「「「「ど、どうも」」」」」

 

カズミに紹介されてあやめにたいしてペコリと頭を下げる寧子達。

 

誠也「紹介するよ、この「鳴海荘」の管理人をしてもらっている「あやめちゃん?!」ってそうそう「朝霧あやめ」さんだよって・・・えっ?」

 

突如話している最中に割り込んできた声を聞いて、一斉に声の主の方である「銀子」へと視線を向ける誠也達。

 

銀子「な、何であなたがここに居るの?!」

 

あやめ「え?あ、銀子さん!お久しぶりです。その節はお世話になりました。」

 

そう言って銀子に向けて綺麗なお辞儀をするあやめ。

 

 

銀子「え、いえいえ、どういたしまして。ってそうじゃない!何で70年以上前に亡くなったあなたがここに居るの?!」

 

翔子「えっ?70年以上前に亡くなった?ど、どう言う事?」

 

銀子の口から出てきた言葉を聞いて、驚愕する翔子達。

 

誠也「あー、改めて紹介するね。この鳴海荘を管理してくれている「幽霊」の「朝霧あやめ」さんだよ。」

 

あやめ「朝霧あやめと申します。どうぞよろしくお願いします。」

 

そう言ってペコリと綺麗なお辞儀をして挨拶をするあやめ。

 

だが、紹介してもらった寧子達は、誠也のあやめを紹介した時に言ったある言葉を聞き、その動きを止めてしまっていた。

 

寧子達「「「「「「「「「はぁ?幽霊!?」」」」」」」」」

 

つづく

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

朝霧あやめ(まぼろし月夜)

 

 


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