仮面ライダーを受け継ぐ者   作:剣 流星

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どうも、剣 流星です。
この前、ニコ動に自分の好きな「クロスボーンガンダム」の手書きの動画が有ると聞き、見てみたのですが・・・・なにこれ?この出来でプロでは無いって・・・凄すぎるんですけど!
もし興味がある方は、一度見てみてください。
では第15話をどうぞ。


第15話 小鳥と千絵(後編)

うっそうと茂る森の中を、誠也は腕をかなでに抱きつかれながら歩いていた。

誠也は今、かなでと同じ魔女の仲間である二人の人物、小鳥と千絵が潜伏している山小屋へと向かっている最中である。

 

誠也「・・・随分と森の奥にあるんだな、例の二人がいる小屋は。」

 

かなで「ええ、身を隠すなら人があまり来ない所の方がいいからね。」

 

誠也「所で・・・あの~~いい加減離してくれない?歩きづらいんだけど・・・・・それに暑いでしょう?」

 

そう言って、ラボを出てからずっと自分の腕に抱きついているかなでに離れるように言った

 

かなで「え?別に暑くないよ。それに道が悪いからこうやって二人で支えあって歩かないと危ないでしょう?」

 

誠也「いや・・・抱きついて歩いたほうがかえって危ないんじゃ・・・・」

 

こんなふうにラボを出てから誠也はかなでと会話をしながら歩いていた。そんな二人の耳に、ふと・・・何者かの大きな声が耳に入って来た。

 

 

???「そんなのイヤだよ!私、千絵ちゃんを犠牲にしてまで生きながらえたくなんてないよ!!」

 

誠也「ん?今の声・・・・・・」

 

かなで「小鳥の声だ!」

 

声が聞こえてきた方向を見た二人は、顔を見合わせると、声のした方向へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

小鳥「そんなのイヤだよ!私、千絵ちゃんを犠牲にしてまで生きながらえたくなんてないよ!!」

 

山小屋の中、魔女の少女・鷹鳥 小鳥(たかとり ことり)は目の前にいる同じ魔女の少女・千絵に叫んだ。

 

千絵「聞いて小鳥、このまま二人で薬を使って行っても4日しか生きられない。けど私の分の薬をあなたが使えば一週間後のあなたの誕生日まで生きられる。」

 

小鳥「私の・・・誕生日?」

 

千絵「そう、そしたら小鳥は16歳になれる。16歳になったら・・・その気になれば結婚だってできるんだよ?だから・・・」

 

小鳥「それだったら、私じゃなくて千絵ちゃんでも!」

 

千絵「私の誕生日はあなたの誕生日のさらに一週間後だもん、薬が足らないよ・・・だから・・・」

 

小鳥「確かにそうかもしれない・・けど・・・・」

 

千絵「小鳥・・・私の分まで生きて、そして「そう簡単にあきらめないで!」って・・・え?」

 

突如響いた声に驚き、小鳥と千絵は反射的に声がした部屋の入口の方に振り向いた。

 

かなで「大丈夫、二人共ちゃんと生き残る方法は有るから。」

 

小鳥「かなで・・・ちゃん?」

 

千絵「かなで・・・なの?」

 

部屋の戸を開けて部屋の入口で佇むかなでを小鳥と千絵は驚きの顔で見た。

 

千絵「かなで・・・・あなた、奴らに捕まったんじゃ・・・・」

 

小鳥「そ、そうだよ。なんでここに・・・もしかして逃げてきたの?」

 

二人の魔女の少女は、かなでが自衛隊員に捕まり、車に乗せられる所を目撃していたので、かなでがすでに研究所に移送され、処分されていると思っていた。

 

かなで「逃げてきたと言うか・・・・助けられたのよ、この人に。」

 

そう言ってかなでは後ろにいる誠也を促して前に出させる。

 

誠也「鳴海誠也だ。小鳥さんと千絵さんでしたよね。君たちの事情はかなでから聞いてます。」

 

小鳥「あ、どうも。」

 

千絵「どうも・・・です・・・ってこの人に助けられた?いや、それよりもかなで、さっき二人共助かる方法があるって言ってたけど・・・」

 

かなで「ええ、有るわよ。今日来たのは、その話を二人にするために来たんだけど、バカな事をする前にこれてよかったわ。さっきの会話を聞いてたけど、どうやら千絵、あなた小鳥のために死ぬ気だったみたいね。」

 

千絵「うっ!・・・・・し、仕方がなかったのよ。そうする意外、小鳥を誕生日まで生かしてあげる方法がなかったんだもん・・・」

 

かなで「誕生日?」

 

小鳥「私の誕生日、一週間後なんです。けど、誕生日を迎えるには薬が足らなくて・・・・」

 

かなで「なるほどね、けどなんで誕生日なの?」

 

誠也「・・・聞いたことがある、人は病で死を目前にすると、誕生日を生きる目標にする時があるって。」

 

かなで「それで、誕生日が近い小鳥を代表として生き残らせようとして・・・・けど、そんな心配しなくてももう大丈夫。ちゃんと二人共生き延びることができる方法が有るの。」

 

小鳥「ホントなの?!それでその方法って?」

 

かなで「その方法は・・・・・」

 

千絵「・・・なるほど、そのコールドスリープ装置に二人入って、残りの一人は製薬工場を襲って薬を手に入れ、その薬で新しくできるコールドスリープ装置ができるのを待つ。」

 

かなで「そう、そしてそのコールドスリープ装置で複製した薬ができるまで待つというわけ。」

 

小鳥「なるほど・・・・でも、その製薬工場を襲って薬を手に入れるとして、大丈夫なんですか?研究所の追っ手がその工場で張っているかも・・・」

 

かなで「心配ないわよ。だって誠也は仮面ライダーなんだから。」

 

小鳥「カメンらいだ~?それって「~♪~♪」って・・・なに?」

 

千絵「携帯の着信音?」

 

突如響いた携帯の着信音によって会話を中断し、音の音源の出ている方向・・・誠也の方を見る小鳥と千絵。

 

誠也「俺の携帯?誰からだ?」

 

そう言って誠也は携帯の画面を見て、掛けてきた相手が誰なのかを確認した。

 

誠也「ん?竜輝からだ、なんだろう。」

 

そう言って誠也は携帯の会話ボタンを押して電話に出た。

 

誠也「もしもし?どうしたんだ、お前から携帯にかけてくるなんて珍しいな。」

 

竜輝『誠也、今いい?ちょっと込み入った話になるんだけど・・・・』

 

誠也「え・・・ああ、別にいいけど。」

 

竜輝『誠也、お前の所に今「かなで」って子が居ないか?』

 

誠也「え!?なんでお前がかなでの名前を?!」

 

竜輝『実は・・・・・・』

 

誠也「・・・なるほど、まさかお前も魔女の子をかくまってたなんてな。」

 

竜輝『それはこっちのセリフだよ。にしても・・・まさかそっちにも魔女の子が3人もいるなんてな。』

 

誠也「そっちは三人、こっちにも3人、合わせてて6人の魔女か・・・・兎に角、大体の事情は分かった。その3人の魔女の子をつれてラボに来てくれ。入口は俺の部屋の方を使ってくれ。今後の事についてはラボで話そう。」

 

竜輝『わかった。三人を連れてラボに向かうよ。じゃあ。』

 

そう言って竜輝との電話は切れた。

 

誠也「ふ~、まさかさらに増えるとはな~」

 

かなで「誰からなの?さっき私の名前が出てたみたいだけど・・・・」

 

携帯が切れるまで黙っていたかなでが、先ほどの会話で自分の名前が出てきた事について誠也に聞いてきた。

 

誠也「あ、さっきかかって来た相手は神谷竜輝って言って、俺と同じライダーになれる俺の幼馴染なんだ。」

 

かなで「え?誠也くん以外にもライダーって居たんだ。それで、その人はなんて?」

 

誠也「どうやらあいつも魔女の子をかくまってたらしい、しかも3人。」

 

かなで「三人も?それで誰なの?名前は?」

 

誠也「確か・・・・黒羽寧子って子と、佳奈とカズミって名前の子だって、知ってるのか?」

 

かなで「ええ、寧子と佳奈は知ってる。」

 

千絵「カズミの事は私が知ってるわ。あの子は私と同じ「操網」の能力を持っているから。でも、まさか3人が一緒にいたなんてね。」

 

誠也「兎に角、ラボに行こう。竜輝も魔女の子を連れてラボに向かっているはずだしな。」

 

かなで「そうね。小鳥、千絵、二人も付いて来て。詳しい話は向こうでするから。」

 

千絵「分かったわ。小鳥、行こう。」

 

小鳥「うん。」

 

そう言って誠也は三人を連れて山小屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

圭介「・・・・どうなってんだ?ラボの男女比率がいつの間にかおかしな事になってる。」

 

ラボの地下一階に有る大テーブルの席に座りながら、板橋圭介は目の前に用意されている翠屋のケーキとコーヒーを口に手をつけずに呟いた。

 

昨日、街中で喧嘩をして警察に補導された圭介は、一晩警察署の留置所に入れられ、今朝方ようやく解放された身である。圭介は幼馴染である霞の様子を見るためにライダーの基地であるラボへと来たのだが、その中の様子は自分が知っていた物とは違う空気が支配していた。

 

銀子「う~ん♪この翠屋って所のケーキは絶品だね~♪お姉さん、思わず舌鼓打っちゃいそう♪」

 

寧子「佳奈ちゃん・・・ケーキだよ!久々のケーキ・・・・・うううっ、美味しい~」

 

良太「涙を流しながら食うなよ・・・そんなに久しぶりなのか?」

 

佳奈『ちょっと寧子!私にも!私、体が動かないんだから、食べさせてよ!』

 

かなで「あ、私が食べさせてあげるよ。」

 

小鳥「ショートケーキの苺、美味し~♪」

 

カズミ「あーっ!私のショートケーキの苺!食べるなコラッ!」

 

小鳥「えっ?食べるんですか?要らないから残してたと思ってた。」

 

カズミ「最後に食べるために取っておいたの!」

 

千絵「小鳥・・・意地汚いわよ。」

 

圭介「・・・なんでこんな物の見事に女ばかりなんだ?(良太除く)」

 

ほとんどが女の空間にいるためか、妙に居心地が悪そうにする圭介。

 

霞「どうしたの圭くん?さっきからケーキ食べてないけど、もしかして嫌いだった?翠屋のケーキ・・・」

 

先程から自分の分のケーキやコーヒーに手を付けずいる圭介を不審に感じ、霞は圭介に声をかけた。

 

圭介「あ、いや・・・別に嫌いじゃないよ。翠屋のケーキはむしろ好きだよ。ただ、この雰囲気に圧倒されてな(^^;」

 

霞「ああ、賑やかだもんね。それに、圭くんはかなでちゃん達の事はさっきまで知らなかったんだからなおさらだね。」

 

圭介「まあな、けど・・・今だに信じられないな。この子達の殆どが、さっき霞が話してくれた魔女って呼ばれている存在だなんて。しかもその力はさらわれて、人体実験されて得た物なんだよな。」

 

霞「・・・うん。」

 

圭介の人体実験という言葉を聞いて暗くなる霞。

 

圭介「・・・なんとか助けてあげたいな。」

 

霞「うん、そうだね。」

 

そんな風に話をしていた二人を見つけて、圭介と同じように居心地悪そうにしていた良太が話しかけてきた。

 

良太「え~と、ここに居るって事は・・・もしかして君もライダーなのかな?」

 

圭介「え・・・ええ、そうですよ。坂橋圭介です、よろしく。」

 

そう言って圭介は良太に手を差し出し、良太はその手を取って握手した。

 

良太「よろしく。俺は「知ってますよ、村上良太先輩でしょう?」って・・・俺を知っているのか?」

 

圭介「ええ、ウチの学園で定期テストをやるたびに3位以内に入っているって言うんで有名でしたからね。」

 

良太「ウチのって・・・もしかして君も白城学園に通っているの?」

 

圭介「ええ、中等部の2年です。ちなみに隣にいる霞と誠也も白城学園の中等部です。」

 

そう言った圭介の横でペコリと霞が頭を下げた。

 

良太「なるほどね、だから俺を知ってたんだな。」

 

そんな風に言いながら納得した顔をした良太は、圭介に次の質問をしようとしたが、突如部屋に響いた声のせいでそれを中断させられた。

 

誠也「みんな、そろそろ会議を始めたいんだけど良いかな?」

 

誠也の声を聞いて、先程まで騒いでいた面々は話を止めて、席について姿勢をただした。

 

誠也「さて、ここにこうして魔女の子が6人揃ったんだけど、その6人の魔女の子達が生き延びるためには「鎮死剤」がどうしても必要だ。だけどその鎮死剤の数が今圧倒的に足りない。」

 

かなで「鎮死剤の数は、ここにいる6人全員の分をかき集めても18錠・・・全員で分けて飲んでも3日分しかない。つまり私達の寿命は後3日ということになる。」

 

誠也に続くようにしてかなでが今現在の薬の数を言った。

 

誠也「鎮死剤の複製を始めても薬ができるのは半年後。どう転んでも鎮死剤は足りない。そこで、鎮死剤ができる半年後まで、このラボに有るコールドスリープ装置を使って魔女のみんなには薬が完成する半年後まで眠ってもらう。でも、コールドスリープ装置は2つしかなく、ここに居る6人全員をコールドスリープ装置に入れられない。ここまではいいね。」

 

誠也の言葉に一斉に頷くかなで達。

 

誠也「装置は設計図も有り、開発したカナリヤと乃木坂家の協力も有るから、1ヶ月以内には全員分が入れるコールドスリープ装置が完成するが、1ヶ月でも鎮死剤は圧倒的に足りない。そこで今回、コールドスリープ装置の完成まで足りない分の薬を、ドレスデン製薬の高山工場から奪ってくる運びになった。ネットで薬の事を調べたから、もしかしたらかなで達が捕まっていた組織の連中が網を張っていて、それにひかかったかもしれない。」

 

カナリヤ『幸いIPを偽装した上に海外の匿名のプロクシを何段か経由したから割り出しはされてないけど、こちらが薬を探して工場に忍び込む事を考えていることが相手側にバレてしまっている可能性が大きいわ。』

 

カズミ「つまり、下手したら工場に組織の奴らが待ち伏せしてるかもしれないって事やな。」

 

誠也「そうだ。けど、だからと言って時間を掛けすぎると工場に有る薬を回収されてしまう可能性も有る。だから今夜12時に工場への薬の奪取を決行する!」

 

誠也の澄んだ声が響き渡り、その声を聞いた全員が気を引き締めた顔になった。

 

竜輝「工場への侵入はカズミの能力でハッキングして警備システムを停止した後に、突入する。カズミ、任せたよ。」

 

カズミ「任しときいや。あの工場の警備システムは機械での警備が殆どやから、警備システムを停止させたら入りたい放題や。」

 

千絵「なるほどね、なら侵入するだけなら簡単ね。機械仕掛けの警備を停止させるくらいカズミには簡単よね。操網の能力は私よりも上だからね。それで、潜入のメンバーは?」

 

誠也「俺と竜輝の二人で行く。」

 

誠也に名前を呼ばれ、頷く竜輝。

 

寧子「・・・私も行く。もしかしたら待ち伏せしている相手は魔女かもしれない。だとしたら相手がどんな能力を持っているいか知っている人が側に居た方が良いと思うから。」

 

誠也「それもそうだな・・・・頼めます?」

 

寧子「ええ、任せて。」

 

圭介「・・・竜輝、俺も一緒に行こうか?」

 

今まで黙って話を聞いていた圭介が手を上げて言った。

 

竜輝「いや、万が一に備えて自由に動ける人間がいないと拙いから、今回はここで待機していてくれ。」

 

圭介「あ、ああ、分かった。万が一に備えて自由に動ける人間は必要だからな・・・仕方ないか。」

 

誠也に言われ、渋々承知しる圭介。

 

誠也「よし、じゃあ今夜12時、ドレスデン製薬の高山工場への襲撃を『ま、待って!』って・・・え?」

 

突如部屋の中に響いた機械による合成音声を聞き、話を中断する誠也。話を聞いていた他のメンバーを声が聞こえた方向・・・佳奈の居る方を見た。

 

寧子「佳奈ちゃん?どうしたの?」

 

突如、電子音声で叫んだ佳奈の方を見て、どうしたのかと聞く寧子。

 

佳奈『予知が・・・・未来が見えたの。宝石のような仮面をした奴が胴体を真っ二つにされる予知・・・・・誠也って言ったわね。あんた、工場に行ったら死ぬわよ!』

 

誠也「なっ!俺が・・・・死ぬ?!」

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

鷹鳥 小鳥(たかとり ことり)(極黒のブリュンヒルデ)

 

千絵(ちえ)(極黒のブリュンヒルデ)

 


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