仮面ライダーを受け継ぐ者   作:剣 流星

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どうも、剣 流星です。
いつのまにかお気に入り件数が30件以上に・・・こんんな駄文をお気に入りに入れてもらい、ありがとうございます。
では第11話をどうぞ。


第11話 仮面ライダーの少年と魔女の少女(後編)

夜遅くの灯りが消えた街の中を、一人の少女がトボトボト歩いていた。神谷家を出て行ったカズミである。

カズミはアーシアからもらった服を着て、力なく下を向きながら当てもなくトボトボと歩いていた。

 

カズミ(・・・取りあえず人気のない所を探さなあかんな。そんでもって、その場所で人目に付かないようにヒッソリと一人で暮らそう。鎮死剤が切れて死ぬまで・・・・一人で・・・・)

 

カズミは一人知れず、鎮死剤が切れるまでヒッソリと生き、一人で死のうと思った。だが、そう思ったカズミの脳裏にあの暖かかった神谷家での生活が蘇った。

暖かい布団とご飯、優しい神谷家の人々、そして・・・アーシアに抱きしめてもらった時感じた温もり・・・・それらが脳裏に次々と蘇り、カズミの足は自然と止まってしまった。

 

カズミ(一人・・・・・一人で・・・死ぬ・・・・・・・・イヤや・・・一人はイヤや!死ぬのも!痛いのも!寒いのも!!イヤや!!イヤや!!イヤや!!!)

 

これから一人っきりでひっそりと生きて死ぬという未来をカズミは想像し、それがどれほど惨めで、寂しく、苦痛と死の恐怖に染められているかを感じ取った。

その未来は一辺の希望もなく、ただ研究所の手の者に発見されて殺される恐怖に怯えながら、鎮死剤切れで死ぬ未来しか無い事に絶望し、それが神谷家での暖かい日々とのギャップでそれが強調されて、カズミはその辛さのせいで膝を付き、その場にしゃがみこんで泣き出してした。

 

 

カズミ「イヤや・・・・イヤや!・・・・・イヤや!!一人はイヤや!・・・・痛いのも!辛いのも!!寒いのも!!死ぬのも!!!・・・・誰か・・・・助けて・・・・誰か・・・・「カズミ!!」って・・え?」

 

突如響いた声に驚き、その声がした方向を涙を貯めた目で見た。

 

竜輝「カズミ!」

 

カズミ「りゅう・・・・き?」

 

声のした方向、そこにはカズミに向かって走ってくる竜輝の姿があった。

 

竜輝「カズミ!よかった~、やっと見つけたよ。」

 

カズミ「な、なんで・・・・・ここに?」

 

竜輝「なんでって・・・カズミを探して来たんだよ。」

 

カズミ「私を探しに?」

 

竜輝「ああ。さあ、帰ろう。母さん達が待ってる。」

 

そう言って竜輝はカズミに向けて手を差し出した。

カズミは最初、差し出された手を見て一瞬驚いた顔をしたが、次の瞬間には辛そうな顔をしながら竜輝から顔を背けた。

 

カズミ「私は・・・もう戻らへん。」

 

竜輝「え?なんで?」

 

カズミの口から出た言葉を聞いて驚く竜輝。

 

カズミ「これ以上あの家にいたら、絶対に巻き込んでまう。あいつらに見つかったら・・・絶対に殺される!」

 

竜輝「え?殺される?カズミ・・・何を言って・・・・!?」

 

カズミの言葉を聞いて訳がわからないという顔をする竜輝。だが次の瞬間、周りに響き始めた音を聞いて厳しい顔つきになった。

 

リ――――――――――ン

 

ミラーモンスターが出現する際に発生する共鳴音が周りに響き、警戒をする竜輝。

 

カズミ「な、なんや?どうしたん?」

 

音が聞こえていないカズミは、周りを突如警戒し始めた竜輝にとまどった。

竜輝は、周りを警戒しながら見回していたが、次の瞬間その顔が驚愕の顔になった。

なぜならカズミの後ろに有るカーブミラーの中に巨大な蜘蛛の姿が写し出されて、それがカズミを襲おうとしているのである。

 

竜輝「カズミ!」

 

カズミ「え?な!なんや!これ!?イヤッ!」

 

突如自分の背後から現れた巨大蜘蛛のミラーモンスター・ディスパイダーが口から糸を吐き、カズミを拘束したのである。

 

竜輝「カズミ!」

 

ディスパイダーの糸に絡まれて、鏡の中に引きずり込まれようとしているカズミに手を伸ばす竜輝。

 

カズミ「竜輝ィー!」

 

カズミもディスパイダーの糸に囚われながらも、必死にもがきながら竜輝へと手を伸ばしたが、その手は届かず、カズミは鏡の中へと引きずり込まれてしまった。

 

竜輝「カズミ!クソ!!失踪事件の張本人であるミラーモンスターが現れて、カズミをさらうなんて!」

 

竜輝はそう言うと、懐から龍のマークが入ったカードデッキを取り出して、カズミが連れ去られたカーブミラーへと掲げた。

 

鏡の中に映ったカードデッキが突如ベルトへと変化すると、それが鏡から飛び出して竜輝の腰に装着された。

 

竜輝「変身!」

 

掛け声と共に、竜輝はカードデッキをベルトに装着させた。すると竜輝の体は変わり、無双龍ドラグレッダーの力を宿す仮面ライダー・龍騎になった。

 

竜輝「待ってろ、カズミ。必ず助けてやる!」

 

そう言って竜輝はカズミが連れ込まれたカーブミラーに近づくと、その鏡の中へと吸い込まれ、鏡の中の世界・ミラーワールドへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もかもが左右逆転の鏡の中の世界、ミラーワールド。

ディスパイダーの糸に絡まれて、ミラーワールドに引きずり込まれたカズミは、地面に横に転がりながらも、必死に糸を振りほどこうともがいていた。

そんなカズミを捕食しようと、ディスパイダーはゆっくりとカズミに近づいて行った。

 

カズミ「うっ・・・・これ・・・解けない!このままじゃ・・・・あいつに・・・・・」

 

自分に近づいているディスパイダーをチラチラと見ながら、糸を解くためにもがくカズミ。

だが糸はもがけばもがく程絡まり、カズミの動きを更に封じ込めた。

やがてディスパイダーは、もがいているカズミに後一歩の距離まで詰め寄ってきた。

 

ディスパイダー「――――!」

 

咆哮を上げるディスパイダー。それを聞いたカズミは自分の最後が来たのだと感じ取った。

 

カズミ「私は・・・・こんなワケのわからない所で、怪物に食べれれて終わるん?いやヤ!誰か・・・・助けて・・・・助けてえええええええ!!」

 

カズミの叫び声を聞きながら、ディスパイダーはカズミを捕食しようと襲いかかった。だが次の瞬間・・・・

 

ドガッ!

 

ディスパイダー「―――――!」

 

ディスパイダーの体に、大きなものが高速で体当たりし、ディスパイダーはその反動で吹き飛んだ。

 

カズミ「な・・・なんや?これ・・・バイク?」

 

ディスパイダーを吹き飛ばした物・・・・それは竜輝がミラーワールド内を移動するときに使う龍騎専用のバイク・ライドシューターだった。

 

竜輝「カズミ!大丈夫か?」

 

ライドシューターから降りた龍騎の姿の竜輝は、カズミへ近寄り、糸を強引に引きちぎった後、カズミの体を抱き起こした。

 

竜輝「カズミ!しっかりしろ!!大丈夫か!!」

 

ディスパイダーに襲われたショックで、呆然としていたカズミだったが、竜輝の声を聞いてハッとなった。

 

カズミ「その声・・・竜輝なん?その姿は・・・・」

 

龍騎の姿の竜輝の声を聞いて、カズミは目の前に居る仮面の人物が竜輝だと悟った。

 

竜輝「ちょっと待っててね。先にアイツを倒さないと。話しは・・・・その後で。」

 

ライドシューターの体当たりをくらい、吹っ飛んだディスパイダーはヨロヨロとしながらも立ち上がり、自分を吹き飛ばした人物である竜輝を睨みつけた。

竜輝もディスパイダーを睨みつけながら、カズミの体をそっと床に置いた後、ゆっくりと立ち上がった。

 

竜輝「さて、とっとと片付けさせてもらうか!」

 

そう言って竜輝は、腰のベルトのバックルに装着してあるデッキから一枚のカードを抜き取ると、左腕に装着されてあるドラグバイザーにセットした。

 

電子音声『ソードベント!』

 

電子音声があたりに響くと、空から一本の剣・ドラグセイバーが降ってきた。

竜輝はそれを掴み取ると自分に向かって襲いかかってくるディスパイダーに斬りかかって行った。

 

竜輝「ハッ!」

 

ガキガキンッ!

 

ディスパイダーが繰り出す前足の攻撃をギリギリで交わしながら、ドラグセイバーで一本の前足に続けざまに斬撃を食らわす竜輝。

そんな竜輝を少し離れた所から見つめるカズミは、竜輝の戦いぶりを驚きながらも見つめていた。

 

カズミ「すごい!あの怪物と互角に戦ってる。」

 

カズミが見つめる視線の先、そこで戦っている竜輝は、相手の攻撃を完全に見切っているのか、その攻撃をかすりもさせず、紙一重で避けて相手に斬撃をくらわせ続けていた。

 

カズミ「あっ!」

 

何回かの斬撃の後、竜輝の斬撃は、ディスパイダーの前足の一つを切り落とした。

 

ディスパイダー「――――――!!」

 

前足を切り落とされ、その痛みでのたうち回り、叫び声を上げるディスパイダー。

 

竜輝はその隙に、ディスパイダーから一旦距離を置くと、腰のカードデッキからまた一枚カードを引くと、それをドラクバイザーにセットする。

 

電子音声『アドベント!』

 

辺りに再び電子音声が響くと、空から龍騎の契約モンスター・ドラグレッダーが現れて、ディスパイダーを口から吐いた火球で攻撃し始めた。

 

ディスパイダー「―――――!!」

 

ドラグレッダーの攻撃を受けて、叫び声を上げるディスパイダー。竜輝はその隙に腰のデッキから更にカードを引いて、ドラグバイザーにセットした。

 

電子音声『ファイナルベント!』

 

辺りに電子音声が響いた後、竜輝の周りをドラグレッダーが旋回しだす。

 

竜輝「ハァアアアアアアアアッ!ハァッ!」

 

掛け声と共に空へと飛び上がった竜輝は、ドラグレッダーの放つ火球を背に受けながら跳び蹴りを叩き込む必殺技・ドラゴンライダーキックを発動し、ディスパイダーへと突っ込む。

 

竜輝「だぁあああああああああああっ!!」

 

掛け声と共にドラゴンライダーキックでディスパイダーに突っ込む竜輝、そして次の瞬間。

 

ドガ~~~ン!

 

ドラゴンライダーキックをくらって爆散するディスパイダー。

 

ディスパイダー「――――――――!!」

 

断末魔の叫び声を上げて消えるディスパイダー。

 

竜輝「ふ~~。」

 

ディスパイダーの断末魔の声を背で聞いた竜輝は一息つくと、ディスパイダーが完全に消滅したのかを確認し、少し離れている所で見たいたカズミに近づいて行った。

 

竜輝「カズミ、大丈夫だった?ケガは無い?」

 

カズミ「え?あ・・・・うん、無い。」

 

目の前で連続で起きた、非現実的な事のせいで思考がついていけず、一時的にフリーズしていたカズミだったが、竜輝の声で我に返り返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カスミ「・・・・・なるほどな。つまり、竜輝達は異世界から来たそのカナリヤって鳥からライダーの力をもらって、同じく異世界から来た財団Xが放った怪人達と戦っているって事やな。」

 

カズミが引き込まれたカーブミラーの近くにある電灯に寄りかかりながら、カズミは竜輝が話してくれたライダーの力についての話を竜輝から聞いていた。

ディスパイダーを倒した後、竜輝に支えられながらカズミはミラーワールドから出てきた。そして、先程まで竜輝からライダーの力に付いて話を聞いていたのである。

 

竜輝「まあ、おおよそそんな感じだよ。さて、じゃあ次はカズミの番だね。」

 

カズミ「え?」

 

竜輝の「カズミの番」と言う言葉を聞き、カズミは「え?」となった。

 

竜輝「なんで家を出て行ったの?置き手紙には「巻き込んでしまう」って書いてあったけど、どう言う事?」

 

カズミ「そ、それは・・・・・」

 

竜輝の言葉を聞いて押し黙るカズミ。

 

竜輝「ねえカズミ、僕らは今までカズミにも事情があるだろうと思って深くは聞かなかった。けど何も言わずにいきなり消えられちゃ流石に聞かない訳にはいかないよ。」

 

カズミ「・・・・・・・」

 

竜輝の言葉を聞いてなおも押し黙るカズミ。

 

竜輝「ねえカズミ、カズミは本当は助けてもらいたいんじゃないの?じゃなきゃ「誰か助けて!」なんてい言わないよ。」

 

カズミ「な!き、聞いてたん?!」

 

竜輝「うん。ねえカズミ、事情を話して。じゃなきゃこっちだって助けようがないよ。」

 

カズミ「りゅ・・・竜輝・・・・・実は・・・・・」

 

竜輝の言葉を聞いて考え込んだ後、カズミは自分の身の上を話し始めた。

カズミの話しの内容・・・それはカズミが何処かに有るとある組織の実験体だった事。カズミはその組織が所有する研究施設に幽閉され、薬物や手術で「魔法」を使えるようにされた事。自分の「魔法」の力が弱く、他の力が弱いと判断された実験体の同じぐらいの年の子達と一緒に処分所送りにされた事、そしてその移動途中で事故に合い、逃げ出した事などすべてを吐き出すように言った。

 

竜輝「薬物と手術でって・・・それって人体実験?しかも力が弱いから処分だって?ふざけるな!!」

 

竜輝はカズミの処分と言う言葉を聞いて激怒し、近くにある電柱に思いっきり殴りながら叫んだ。

 

カズミ「・・・・私達が捕まっていた組織は私達の様な人間を秘密裏に大量にさらう事ができる連中や。せやから私をかばったりしたら、アンタばかりか、その家族も消される羽目になるやで。」

 

竜輝「け、消される・・・・」

 

カズミ「そうや。何十人もの人を表沙汰にせずにさらうことが出来る組織や。数人の人を人知れずに殺すのもわけもないんや。分かったやろ、私があの家にあのまま居たら、アンタの家族がいや・・・それだけやない、下手したらアンタの周りにいるすべての人も消されてまうかも知れんのや。だから「だから、自分の事は放っておいてほしいって?」って竜輝?」

 

自分の言葉が途中で遮られて話すのを止めて竜輝の方を見るカズミ。

 

竜輝「自分を放っておけ?・・・・ふざけるな!目の前で苦しんでいる子がいるのに放っておく事なんてできるか!ユーリと同じような悲しい目をした子を僕は放って置くことなんてするもんか!カズミ、僕は君を初めて見た時、君の目を・・・・悲しみに満ちた目を見て思ったんだ「助けたい!」って・・・・その気持ちは君の話しを聞いた今でも変わらない。だから・・・」

 

カズミ「・・・だから、ウチを助けるって?守るって?そんなん無理や!アンタ強い力を持っているんは分かる。けど相手はとてつもなく大きな組織なんやで!アンタの家族にはピティちゃんの様な小さい赤ん坊もおるやないかい。家族を・・・ピティちゃんを大切に思うんやったら私の事を切り捨てるんが「切り捨てるなんてするもんか!」

 

再び叫んだ竜輝の声で話を遮られるカズミ。

 

竜輝「確かにカズミの言う通り、家族の事を思うならカズミの事を切り捨てるのが賢いやり方なんだろうけど・・・・でも、それだとカズミは助からない。僕はカズミも助けたいんだ!守りたいんだ!どっちかなんて選べない!大切なものは護るもの。そして護るものは多くても構わない。むしろ多くを護る方が大事だと、僕は・・・アイツに・・・誠也に教えてもらった。たとえ矛盾をはらんでいたとしても、僕はカズミも・・・家族も・・周りに居るみんなも・・・すべてを護りたいんだ!!」

 

竜輝の決意がこもった声が人の居ない夜空に響き、それを黙って聞くカズミ。

 

竜輝「・・・・だから・・・・僕に君を・・・護らせてほしい。ダメ・・・かな?」

 

カズミ「竜輝・・・・けど・・・・」

 

竜輝「大丈夫!父さんも母さんも結構強いし、それに僕には頼もしい仲間もいるし、何より僕には力が有る。誰かを護る力・・・それが仮面ライダーの力なんだから。だから・・・・安心して。」

 

そう言って笑顔をカズミに向ける竜輝。

 

カズミ「り・・・りゅ~きぃ~」

 

今まで我慢していたのか、カズミは堰を切ったように涙をポロポロと涙を流し始めた。

 

竜輝「え?!な、なんでいきなり泣き始めて「竜輝!(ガバッ!)」って、な?!か、カズミ?!////////」

 

突然カズミに抱きつかれれ狼狽する竜輝。

 

カズミ「グスッ・・・・わたし・・・わたし・・・・辛くて・・・辛くて・・・・本当は誰かに助けてもらいたかった。けど・・・巻き込んでしまうって思って言うことができなくて・・・だから・・・ありがとう。私の事を護ってくれるって言ってくれて。」

 

竜輝「・・・・・・・・・」

 

抱きついたカズミの言葉を無言のままで聞く竜輝。

 

カズミ「あれ?竜輝?」

 

竜輝「・・・・・・・・・」

 

自分の言葉に反応せず、喋らずに無言のまま立ち尽くしたままの竜輝を不審に思い、カズミは竜輝の胸から顔を離して竜輝の顔を見た。

 

竜輝「・・・・・・・・・・」

 

カズミ「竜輝?どうし「(ブシャアアアアアアーーーーーーッ!)」ってキャー!りゅ、竜輝?!」

 

突如大量の鼻血を噴水のごとく噴出して倒れる竜輝。

 

カズミ「え?え?も、もしかして私が抱きつたから?ちょ、ちょっと竜輝!しっかりしいや!竜輝ィーーー!!」

 

大量の鼻血でできた血の海に倒れた竜輝に必死に呼びかけるカズミ。

この後、カズミは竜輝を担いで神谷の家へと急いで戻った。

神谷の家で、竜輝の母親のアーシアに事情を話すカズミ。アーシアは「あらあら、またなの?しょうがないわね~」と言って、手馴れた手つきで竜輝の手当を施したと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズミ「いや~あん時の竜輝の鼻血にはホンマ驚いたわ~。」

 

寧子達「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

山中の中にある廃村のとある小屋の中。

 

カズミの話を聞いていた寧子達は微妙な顔をしていた。

 

カズミ「うん?どないしたんやみんな?そんな微妙な顔をして。」

 

寧子「いや・・・だって・・・ねえ、途中まではいい話だったんだけど・・・」

 

良太「そう言えば、聞いたことがある、ウチの学園に2大鼻血キャラが居るって。」

 

寧子「に、2大鼻血キャラ?」

 

良太の言葉を聞き、信じられないと言うような顔をする寧子。

 

良太「うん、そのウチの一人が確か初等部の頃から体育や身体測定、プール開きの度に鼻血を大量に出してよく保健室に担ぎ込まれてたって。」

 

佳奈『初等部の頃からって・・・・・」

 

呆れたような顔をしながら電子音声で話す佳奈。

 

良太「確か、あんまりにも鼻血で出血多量で死にかかることが多いから、いまではウチの学園の保健室には輸血用のパックが常備されるようになったとか、確かそいつの名前が・・・・」

 

カズミ「・・・・竜輝だったて事かいな・・・・あんた一体どれだけ鼻血でブッ倒れたんや?」

 

竜輝「・・・・・・・」

 

気まずそうにして、全員の視界から目をそらす竜輝。

 

佳奈『ハァ~・・・・カズミに抱きつかれて鼻血を出して倒れるなんて・・・・こんな凹凸の少ない体のどこに鼻血を出す要因が有るんだか。』

 

カズミ「なんやと佳奈!誰の体が凹凸のないペッタンコの色気のない体やて!!」

 

竜輝「・・・・カズミ、そこまで言ってないよ。それより、話しが脱線してるよ。」

 

良太「そうだな。それで、その後は?」

 

カズミ「え?ああ、竜輝の手当が済んだ後、竜輝の両親と竜輝のお父さんの同僚の木場 勇治って人にウチらの事を話したんや。そしたらウチらに協力してくれるって言ってくれたんや。」

 

竜輝「父さんの同僚の木場 勇治さんは仮面ライダー555だから、きっと力になってくれると思って父さん達と一緒にカズミの事を聞いてもらったんだ。」

 

竜輝はカズミの話しの補足をするようにして木場の事を話した。

 

佳奈『なるほど・・・カズミの話を聞く限り、あなた達仮面ライダーの力は相当なものみたいね。けど、直接的な力だけが組織の力じゃないわ。』

 

竜輝「ん?どう言う事?」

 

佳奈『確かにあなた達の力はとても強いわ。けど相手は自衛隊を自分達の駒として送り込むことができるほどの力があるのよ。つまり、組織は政府機関を操ることができるの。直接では無理だとしても、間接的に・・・例えば警察組織を動かして、あなた達を犯罪者として全国に指名手配させたりとか・・・』

 

良太「なっ!犯罪者として全国指名手配に?!可能なのか?!」

 

佳奈『ええ。それくらいは簡単でしょうね。ま、もっとも組織は私達「魔女」の存在を表沙汰にしたくないはずだから、そんな事は滅多にしないでしょうしね。』

 

キーボードを操作して合成音声で話をする佳奈。

 

カズミ「確かに組織の力は強大や。けどもし、私らが組織とタメ貼れるくらいの組織力を持つ組織の偉いさんを味方につけられるとしたらどうや?」

 

寧子「なっ!組織と同等の力を持つ組織の人物の偉いさん?!だ、誰なのソレ?」

 

カズミ「さっき話の中に出てきたやろ?竜輝のライダーの仲間の一人に誠也って人が居るって。」

 

良太「誠也?ああ、確か仮面ライダー・ウィザードだって言う。」

 

カズミ「せや。じつはな、その誠也って子のお祖父さんが、あの有名な「乃木坂グループ」の前・総帥であり、現・相談役でもある乃木坂 王季って人なんや。」

 

良太「なっ!乃木坂 王季だって?!」

 

カズミの口から意外な人物の名前が出てきたため、驚く良太。

 

寧子「?その人、そんなにすごいの?」

 

良太「すごいってもんじゃないよ!あの世界規模の影響力を誇る名家・乃木坂家の前当主で、一戦を退いた後も、「その一声があれば、3時間後にはその場でサミットが開かれる」などと言われるほどの絶大な権力をもってるって人だよ!」

 

佳奈『なっ!なにその無駄にすごい権力?!ず、随分すごい人が知り合いにいるのね。』

 

寧子「でもその人、本当に私たちの力になってくれるの?」

 

竜輝「心配ないですよ。乃木坂のお爺さんは今まで僕たちライダーに陰ながら力になってくれた人です。それに誠也は孫だから、多分聞いてもらえるはずだし、さっきのその子の予知では竜輝もこの件に関わっているみたいだから大丈夫だと思う。他人の力を宛にしてるみたいでちょっとカッコ悪いけど、大丈夫ですよ。」

 

カズミの後を継ぐようにして、部屋の入口で寄りかかっていた竜輝がそう言った。

 

寧子「・・・ねえ、佳奈ちゃん・・・・・私達、ひょっとしたら・・・・」

 

佳奈『ええ、助かるかもしれないわね。』

 

カズミ「せや、そこで今回、竜輝を連れてここに来たんわな、その王季って人が力になってくれる事になったら、逃げている他の子達にも声をかけて助けてもらおうと思ってるんやけど、どうや?」

 

寧子「それは良いと思う。けど、みんなバラバラに逃げたから、詳しい居場所はわからないわね。」

 

佳奈『そうね。時々トランシーバーでお互いの居場所を伏せて連絡をとっているからね。しかもこっちのトランシーバーは半分壊れていて、相手からの連絡を受け取るだけしかできないからね。』

 

カズミ「連絡待ちってとこか~。しゃあない、捕まらずに生き残ったんわ何人か知らないけど、もし連絡が来たら、さっきの事話しておいてや」

 

寧子「わかった。」

 

カズミ「さてと、今日はこれぐらいにして私らは帰るわ。」

 

竜輝「そうだな。少し長話をしたから、そろそろ帰らないと日が暮れるね。誠也に会うのは明日にしよう。」

 

カズミ「せやな。」

 

良太「あ、そうだ。買い物しなきゃいけないんだった。俺もそろそろお暇するよ。」

 

寧子「あ、うん。そうだね。じゃあ3人共、気を付けて帰って。」

 

良太「ああ。」

 

カズミ「ほなな。」

 

竜輝「それじゃあまた明日。」

 

そう言って三人は部屋を出て行った。

 

寧子「・・・ねえ佳奈ちゃん。」

 

竜輝達が消えた部屋の入り口を見ながら、寧子は部屋に居る佳奈に声をかけた。

 

佳奈『何、寧子。』

 

寧子「・・・希望が見えてきたね。」

 

佳奈『・・・・ええ。そうね。』

 

二人は嬉しそうな顔を見ながら互の顔を見た後、再び部屋の入り口を嬉しそうにして見た。

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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