仕事のせいで休日が日曜から水曜に変わってしまいました。
そのせいで更新の日時が今までのように日曜にできなくなるかもしれません。
もし日曜に更新できなかったら、申し訳ありません。
では第10話をどうぞ。
カズミ「良い人やから・・・だから・・・・早うここから離れなあかんな。あの人たちを・・・巻き込んでまう。」
そう言って神谷家を出ていくことを決意したカズミだったが、そこである重要なことに気づいた。
そう、カズミには外に着て行くための服がないのである。
カズミが今来ているのは寝巻きで、しかもアーシアの物を借りた状態である。
こんな格好で外に出れば目立って仕方がなく、かと言ってここに来るまで着ていた入院着を着て出て行っても、今来ている寝巻きで出て行くのと大して変わらない。
カズミはどうした物かと考え込んでいると、アーシアが部屋へと来て「カズミの着る服を自分の昔着た服の中から選ぶから、部屋に来て欲しい」と言われたのである。
そして現在・・・・
アーシア「キャ~♪可愛い~♡女の子は可愛い格好のさせがいがあるわ~♪竜輝じゃつまんないもんね。」
カズミ「あ・・・あははは・・・・」
カズミはアーシアの着せ替え人形とかしていた。
アーシア「女の子はなんでも着られるけど、男の子にスカートは犯罪だもんね~。」
カズミ「そらまあ~・・・・そうでしょうね。(^^;」
アーシア「よね~。竜輝にスカート、はかせるわけにはいかないし・・・・・・・・」
カズミ「ん?アーシアさん?」
突然黙って考え込むアーシアを見て、カズミはアーシアの顔を覗き込んで声をかけた。
アーシア「竜輝にスカート・・・・・・案外似合うかも♪」
カズミ「ア、アーシアさん?(^^;」
アーシア「冗談よ♪それよりどう?服は?丈は合ってると思うんだけど・・・」
カズミ「(じょ、冗談に聞こえんかったけどな(^^;)あ、はい。丈は合ってますね。ただ・・・・どの服も胸周りが余るんですよね・・・・アーシアさん、若い頃もスタイル良かったんですね。orz」
胸周りが余っている服を来て激しく落ち込むカズミ。
アーシア「あ、え~と・・・・・だ、大丈夫よ!成長期なんだから、これから大きくなるわよ。」
膝を付いて気の毒になるくらい激しく落ち込むカズミ。それを見て、必死にフォローをするアーシア。
アーシア「と、兎に角、服は少し手直ししなきゃならないわね。」
カズミ「そ、そうですね。・・・・・・・・・・・・・・・・」
胸の大きさで落ち込んでいたカズミだが、黙ったままでいた後、不意に真剣な顔をしてアーシアに向き直った。
カズミ「あの・・・・なんで・・・・何も聞かないんですか?」
アーシア「ん?聞かないって?」
カズミ「私の事怪しんだりしないんですか?この家に担ぎ込まれた時は病院の入院着だったり、病院に行くのを嫌がったり・・・・普通の人やったらこんな怪しい奴助けたりしないで。けど・・・この家の人達は、そんな私を助けてくれた。しかも私が何者なのかとか普通聞いてくるような事を聞かずに・・・」
カズミはそう言って最後は顔を伏せながら言った。
アーシア「あら?聞いて欲しいの?」
カズミ「あ、いや・・・・そういう訳じゃないんやけど・・・・・・」
アーシア「なら良いわよ。無理して話そうしなくて。カズミちゃんが話したくなったら話してくれればそれでいいわよ。」
カズミ「・・・・・・・・・」
カズミはアーシアの話しを聞いて、あれこれ詮索されない事は自分にはとっては都合がいいはずなのに、「聞いてこない事に納得がいかない」と言うような顔をした。
アーシア「・・・・・・ねえ、カズミちゃん。なんで自分を助けたって聞いてきたわよね。」
カズミ「え?あ・・・・はい。」
アーシア「竜輝があなたを連れてきた後、あの子・・・・あなたの事を「ユーリ」と同じ目をしていたって言ってた。」
カズミ「ユーリと同じ目?」
アーシア「ええ。自分の現状に苦しんで、助けと、そして・・・・人の温もりを必要としている目をしていたって。」
カズミ「!」
アーシアの言葉を聞いてカズミはハッとなった。
確かにカズミは今まで居た研究所の実験で辛い目に合い。やっとそこから逃げ出しても、待っていたのは行く当てもなく、街中を雨の中を歩き続けて自分の居場所を探すと言う辛いものだった。
カズミ「・・・・・・」
今までの事を思い出し、辛そうな顔をするカズミ。
そんなカズミを見て、アーシアはそっと優しくカズミを抱きしめた
カズミ「あ・・・・・・」
アーシアに抱きしめられて、久しぶりに感じた人のぬくもりに安堵を覚えるカズミ
アーシア「私も同じような目をしていた時があるの。だから、辛くて苦しい時に手を差し出された時の嬉しさを・・・私は知ってる。だから・・・・・今度は私がその手を差し出したいの。」
アーシアの優しさがこもった言葉が・・・ぬくもりが・・・今までの事で傷つき、疲弊しきったカズミの心を優しく包み込む。
アーシア「だから――――この家で――――この場所で――――癒しなさい。心を、傷を。」
カズミ「う・・・・・あ・・・・ぁあああああああああ!」
アーシアに抱き締められて、今まで溜め込んだものを吐き出すようにしてカズミは泣いた。小さな子供のように。
そんなカズミをアーシアは、優しく抱きしめながら、その涙が止まるまで抱きしめた。
*
寧子「へ~、そんな事があったんだ。それで?」
廃村にある廃屋の一室で、カズミの話しを聞いていた寧子が話しを促した。
カズミ「3日程そのまま神谷家に居て、このままここに居るのもええかな~って思い始めた時にあの子・・・ピティちゃんに会ったんや」
佳奈『ピティ?誰それ?』
カズミ「今年産まれたばかりの、竜輝の妹や。」
良太「今年産まれたばかりの赤ん坊?」
カズミ「せや。あの子を見て、「この小さな命を危険に晒す何て事になる事だけは絶対やったらあかん」と思ったんや。だから次の日、私は神谷家を出て行こうとしたんや。」
竜輝「・・・・なるほど。だからあの日、木場さんが来た日の夜、出ていこうとしたんだな。」
カズミ「せや。あの日、私は・・・・・」
思い出すような顔をしながら、カズミは寧子達に聞かせるように再び語りだした。
*
カズミが神谷家に来てから4日目の夜。
竜輝の父親・聖時が同僚の
竜輝の父・神谷 聖時《かみや せいじ》は遠羽署に勤務する刑事であり、木場 勇治は聖時の職場での後輩である。
聖時は“この世界”に身寄りが居ない木場を不憫に思い、時々このようにして自宅に呼んで夕食を共にしていた。
アーシア「相変わらず財団X関連の事件で忙しいみたいね。木場くんは。」
食卓に運んできた食事を置きながら、聖時や竜輝と共にテーブルに座っている木場にそう言った。
木場「いや、忙しいって言っても、最近は誠也くんや竜輝くん達が頑張ってくれているし、それに近々、乃木坂氏が対財産X用の組織を斎藤さんや斬鬼さん・・・
木場はそう言って自分の側に置いてあるトランクをポンと叩きながら言った。
この木場 勇治は、実はこの世界の者でなく、かつて誠也が門矢士と共に旅した異世界巡りの旅で行ったライダーの世界の一つ、「555」の世界に居た怪人・オルフェノクの一人であった。
木場 勇治はかつて「555の世界」で、オルフェノクの王との戦いで死亡したのであったが、謎の白髪の人物に助けられた後、「555ギア」を渡され、この世界を災いから救って欲しいと言われてこの世界に送り込まれた。
この世界に送り込まれた木場は最初、転移の影響で気絶していた。その木場を当時ジュエルシード集めをしていたフェイトとアルフが発見、助けたのである。
木場は、フェイトの境遇を知り、助けられた恩も有って、フェイトのジュエルシード探しを555の力を使って手伝い始めた。
その後、なのはとの幾度か対立しながらも和解し、事件の黒幕・プレシア・テスタロッサと決戦。その後、フェイトがリィンディに引き取られたのを見届けた後フェイトの元を去り、この世界で財団Xと戦うために有利な肩書きで有る警察官を目指し警察官となった。
今現在、彼は刑事として活動しながらも、警察官としての権利や情報を駆使して財団Xと戦っているのである。仮面ライダー555として。
竜輝「あ、そう言えば木場さん、最近忙しくてフェイトに会ってないって聞きましたよ。」
木場「え?ああ。ここ最近、行方不明者が続出して休む暇がなかったんだ。」
竜輝「ああ、財団が放った怪人が多く出たせいで、犠牲者が出てしまいましたからね。」
木場「そうなんだ。それに最近は、謎の集団自殺までもが頻繁に発生してさらに忙しかったからね。」
竜輝「たまにはフェイトに会って上げてください。喜ぶと思うんで。」
木場「そうだね。今度時間を作って会いにいくよ。」
アーシア「そうしてあげた方がいいわね。さて、食事も運び終わったし、夕食にしましょう。竜輝、カズミちゃんを呼んできて。」
先程から夕食を運んできたアーシアが、夕食の準備が出来たので、竜輝にカズミを呼んでくるよう促した。
竜輝「ああ、分かったよ。確か部屋で休んでるんだっけ?」
アーシア「ええ、お願いね。」
竜輝「任せて。」
そう言って竜輝は席を立ち、カズミが使用している部屋へと向かった。
コンコン♪
竜輝「カズミ、夕食の準備が出来たよ。」
「双葉」と書かれている札が下がっている部屋の扉をノックして、部屋の中にいるカズミに呼びかける竜輝。
竜輝「カズミ、夕飯だよ。・・・・・寝てるのかな?カズミ、入るよ。」
呼びかけても反応がないので、竜輝は断りを入れながら部屋の扉を開けて中に入った。
部屋の中は灯りがついておらず、薄暗くなっていた。
竜輝「あれ?・・・・カズミ?・・・・居ない。どこに・・・・」
竜輝は部屋の中を見渡したが、部屋の中にはカズミが居らず、どこに行ったのかと首をかしげた。
竜輝「ん?これは・・・・・な!」
竜輝は部屋の中に有る机の上に一枚のメモが置いてあるのを見つけてそれを手に取って見て驚愕した。
そのメモにはカズミが書いたであろう文字が数行書いて有った。
竜輝「「今までありがとうございました。これ以上皆さんに迷惑をかけられないので出ていきます。勝手に居なくなることをどうかお許し下さい。 カズミ」アイツ・・・・出て行ったのか!」
竜輝はそのメモを手に持つと、部屋を飛び出し、リビングにいる家族の元へと戻った。
竜輝「大変だ!父さん、母さん!これ見て!!」
竜輝はリビングにいる両親に手に持っているメモ紙を見せた。
アーシア「な!カズミちゃん・・・出て行ったって言うの?」
竜輝「そうなんだ。アイツ行く所なんてないだろうに・・・・」
聖時「兎に角、まだそう遠くに行ってないはずだ。手分けして探そう。木場くん、悪いが・・・」
木場「いいえ、構いません。むしろ僕も手伝います。カズミって確かこの前、聖時さんが見せてくれた写真の女の子ですよね。たしか素性を調べるから手伝って欲しいって言ってた。」
木場は、聖時がカズミの事を調べようとした時の事を思い出しながら聞いた。
聖時「ああ。」
木場「なら僕にも探せますね。例の写真の女の子の姿は覚えてますから。
聖時「すまん、助かる。アーシアは家で待っててくれ。ピティの事もあるし、何よりあの子が戻ってくるかもしれないからな。」
アーシア「わかったわ。」
聖時「よし。じゃあ行くぞ。手分けして探すぞ。」
木場「はい。」
竜輝「分かったよ。」
そう言って三人はリビングを出て玄関から外へ飛び出して、三方向に散った。
竜輝(何が「これ以上迷惑を・・・」だ!いらん心配して・・・・・カズミ、まだ近くに居てくれよ!)
竜輝は心の中で勝手に姿を消したカズミに対して怒りながらも、その姿を暗くなった街の中から探し始めた。
つづく
初登場キャラ出典作品
この作品のアーシアの姿は、ハイスクールD×Dの彼女を大人にして、落ち着いた雰囲気を纏った、慈愛に満ちた女性と言った感じを思い浮かべてください。