特異点の白夜   作:DOS

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今回は久しぶりにツナ達登場。



『好奇心が突き進む』

 

 

 

現在、ボンゴレの地下アジトにいる10年前の世界から来た人物は、ツナ、リボーン、獄寺、山本、ランボ、イーピン、京子、ハルの7人。

 

クロームと同じく、突然過去から連れてこられたこの7人は、いくらか危機を乗り越え、ミルフィオーレの敵をなんとか撃退し、10年後の雲雀達の協力も経て、ひとまず過去へ変えるためにすることの算段がついた。

 

獄寺が10年後の世界に来たとき、10年後の自分が残していった鞄を調べ、中に入っていたのは、自分にしか読めない暗号で書かれた手紙だった。

 

この10年後の獄寺の残した手紙が過去への手がかり。

 

その手紙に書かれていたことは、この時代の入江正一を消す(物理的に)ことで、全ては元に戻るという文面。

 

この文面から、過去へ変えるために、ミルフィオーレ第2ローザ隊隊長である入江正一を倒すことを目標として、その日からこの時代の戦い方を学び、力をつけ始めた。

 

リングの使い方、匣の使い方。この時代において知ることは生きることにつながる。幸いにも、ボンゴレ門外顧問組織に所属するラル・ミルチがツナたちのコーチをしてくれるとのことだったので、ツナ達は師事した。

 

途中ミルフィオーレのA級隊長である〝電光のγ〟に山本と獄寺が負傷されたが、10年後の雲雀によって撃破。それから数日、今では傷も完治し、再び修行に精を出していた。

 

そしてある日、イタリアから来た秘匿回線。

そのコードを解析し、通信を開いた瞬間、

 

『う"お"ぉおい!!』

 

ボンゴレアジト全体に響き渡る特大の音声が響いた。

 

出ていたのは一室のモニターからの音声のはずなのに、映っている人物の声が圧倒的にデカすぎるためにうるさいくらいに音が聞こえていた。

 

モニターを直接見ていたツナ、獄寺、山本の三人。リボーンとラル・ミルチ。メカニックのジャンニーニに雲雀の部下の草壁哲也。全員の耳がキィインとなったのは当然といえば当然である。

 

廊下でランボとイーピンの相手をしていた10年後のフゥ太も、洗濯をしていた京子とハル、料理をしていたビアンキも、それぞれが別々の部屋にいたにも関わらずに聞こえてきた突然の大声に一瞬硬直して何事かと思った。

 

モニターに映っていたのは、全身黒い服装を身にまとった男。

男性にしては長すぎる髪の毛に、獰猛な肉食獣のような鋭い眼光。高級そうな部屋の中に映って大声を上げながら笑っていたその顔は、ツナたちのよく知っている人物だった。

 

『首の皮は繋がってるかぁ!?クソミソカスどもぉ!!』

「スクアーロ!」

 

山本の嬉しそうな表情。

モニターに写っていたのは、ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアー所属の作戦隊長である、S(スペルピ)・スクアーロだった。

 

『いいかガキどもぉ!今はそこを動くんじゃねぇ!わかったかぁ』

『もうすぐ分っかりやすい指示があるから、それまでいい子にしてろってことな!お子様達♪』

「ナイフ野郎!」

 

ソファに座ってくつろいでモニターに映っていたスクアーロの後ろからひょっこりと顔を出したのは、少し髪が伸びていた10年後のベルフェゴールだった。相変わらず目の見えない髪型にしししと笑っている。

 

すぐにモニター内でスクアーロとベルが口喧嘩を始め、だんだんとヒートアップして本気でナイフと剣で乱闘を始め、そのうちに通信が切れたのにツナ達は呆れていた。

 

「相変わらず荒っぽい連中だぜ・・・」

「でもわかりやすい指示って・・・?」

「あの方のことでしょうね、イタリア帰りの、」

 

ジャンニーニの言葉と同時に、ツナ達は入口に気配を感じた。

 

スポーツマンらしい短髪に、鼻に貼られた絆創膏が特徴的な男性。

黒いスーツを来て肩にバッグをかけた、笹川了平が立っていた。

 

「笹川了平、推参!」

「芝生!」

「お兄さん!それに・・」

 

ひょっこりと了平の後ろから出てきたのは、特徴的な黒髪にドクロのマークの入った黒い眼帯を右目に付けた黒曜中の制服を着た少女、クローム髑髏だった。

 

「クローム!」

 

10年まえのクロームが来たことに驚いたが、それよりも見たところ怪我も見当たらず、無事に来たことにツナはほっとして喜んだ。

 

「それだけじゃないぞ、ツナ。ん?クローム、あいつはどうした」

 

了平の言葉に自分の後ろを見て少しキョロキョロとしたクロームだが最終的には首をかしげた。

 

「?さっきまでいたんだけど・・・・」

「ねぇお兄さん、あいつって・・・」

 

ツナの質問に、了平は笑って答えた。

 

「光努のことだ、ツナ」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

一方そのころ、光努はどうしているかといえば。

 

「へぇ、結構広いな」

 

いつの間にかボンゴレアジト探検にはまっていた。

 

どこに通じるかもわからない廊下を楽しげに笑いながら歩いている。

途中までは了平、クロームとともに歩いていたのだが、光努の興味をそそる構造だったのか、好奇心が勝ってしまいついつい別行動して楽しくアジト探検に勤しんでいた。

 

ボンゴレの地下アジトは未だに6割程しか完成していないが、それでも最新鋭の設備を投入し、これで半分かという程に広大な基地を地下に作ることに成功していた。未だに並盛町の地下にあるアジトにミルフィオーレが気づくことのないよう、様々なカモフラージュや仕掛けが多く設置されており、このアジト内なら黒曜ランドと同じで死ぬ気の炎を使っても外に決して漏れることのない構造になっている。

 

「なんかいろいろ部屋があるけど、さすがボンゴレってとこか」

 

次々と廊下の扉を開いて出てくる場所に楽しげに笑う光努。

なんだかそのうち敵とエンカウントでもしそうな予感。

 

「ん?人の声。ていうかこの声って・・・」

 

ゴゥンゴゥンという洗濯機の回るような音がする部屋の中から、声色からして多分女性の声が聞こえてくる。前に立つと自動で開く扉に、ハイテクだなーという感想を考えながらなかに入ると、光努の思った通りの人物が中で洗濯物の入ったかごを持っていた。

 

「よー、京子。久しぶり」

「あれ、光努君!?それも、もしかして10年前の!?」

 

心底驚いたように目を丸くして驚いていたのは、茶髪のショートヘアの少女。光努と同じクラスでツナが想いを寄せている了平の妹、笹川京子であった。しかもその姿は光努の知っている姿、つまりこの時代より10年前の時代からツナ達と同じようにタイムスリップしてきた姿であった。

 

「なんだ、こっち来てたのか。ツナ達だけかと思ったんだけどな」

「私もびっくりしたよ。光努君確か海外に言っててしばらく学校休んでたのにね」

 

灯夜に呼ばれたため、しばらく国外に出てい森の中の病院や、他にもいろいろな場所に行っていた光努。基本的にまだまだ学校は長期休みでもないのだから、その間は普通に休んでいたのである。

 

光努がいない間にツナ達10年後の世界に来たらしく、その間並中ではツナ達の行方不明騒ぎがあったのは言うまでもない。光努も行方不明という噂がたったのだが、その時光度はまだ10年前の世界にいたので行方不明でもなんでもなかったのだ。

 

「ちょっといろいろあってな。こっち来てから結構経つのか?」

「えっと、確か2週間ちょっと・・・かな?」

「結構前からだな。俺はまだこっち来て4日くらいたつかどうかってとこだ」

「そうだったんだ」

「何なんでしょう。タイムスリップの話をしてるのに会話の内容が妙に日常的なの

は・・・・」

 

どう見ても時間移動をしている者達の会話でないことに、京子と一緒にいたハルは若干呆れた表情をしていた。

 

ちなみに、京子と一緒に洗濯をしていたのは三浦ハル。ツナ達の並中とは別の緑中に通う同い年の女子で、黒い髪をポニーテールにしているのが特徴。現在はツナに片思い中の、ちょっと天然が入った少しドジな普通の少女である。

 

「えっと、京子ちゃん?その人は?」

「あ、そうだね。ハルちゃん、光努君とは初対面だったね」

 

別の中学でありながらツナ達とよく会って交流もあるハルだが、光努とは初対面だった。

 

「ツナ達のクラスメートの白神光努だ。光努とでも呼んでくれ、よろしく」

 

 

 

 

 

***

 

 

ひとまず京子とハルに、今良平とクロームが来ているという話をすると、二人は飛ぶようにして一旦光努と分かれてモニタールームに向かった。

この危険な世界において、自分の肉親戻ってきたことに喜んでいるということを、光努も感じ取っていた。

 

二人と別れた光努は、新たに廊下を歩いていた。

 

「京子にハル。それに聞いた限りだとランボにイーピンか。思ったよりもこっちに来てる人数が多いな」

 

たまたま近くにいたから良かったものの、遠くにいたとしたら一体今頃どうなっていたのやら。だが案外光努達の知らないところで10年前の人物が来ていたりするかもしれない。10年バズーカに当たったものは、あくまで10年後の人物と時代を入れ替わるだけで、場所までは同じになれないからしょうがない。

 

「ん?」

 

所構わず角材やダンボールが廊下のあちこちに置いてあったボンゴレアジト内。そんな廊下をあてもなく進んでいく光努は扉があったので開いてみると、まるで別の作りの空間が広がっていた。

 

さっきから見慣れた光景と違って、少し中華風にも見える和風建築の廊下が向こうには広がっていた。同じ基地内なのになぜに廊下の途中から扉一枚挟んでここまで違う作りなのだろうかという疑問も一瞬だけ持ったが、それよりも好奇心が光努を突き動かして廊下を進み、手近な部屋の襖を開けた。

 

「おっ」

「ん?」

 

襖を開けた先にあった部屋は、床一面に敷き詰められた畳。灯夜の家も畳だったため、懐かしい匂いを光努の鼻腔がくすぐり、中央に座っていた人物を見て思わず声を上げた。

 

黒髪に黒いスーツを着用し、鋭い目をした20代程の男性。知らない人物だが、光努の記憶が昔のその人物を探し出し、おそらくコイツだろうという予想を既に立てて確信していた。

 

「よ、恭弥」

 

故に問題なく、軽く手を上げて楽しげに笑った。

 

「・・・・・白神光努」

 

そこにいたのは、10年後の雲雀恭弥だった。

 

 

 

 

 

 




チャラリーン。
10年後の雲雀恭弥が現れた。

選択肢
①戦う
②話す
③逃げる

光努「よし!あえて③で!」
雲雀「逃げるなら咬み殺す」
光努「なら②だ!」
雲雀「話す余地なし、咬み殺す」
光努「しょうがない。ここは①だ!」
雲雀「噛み殺してあげる」
ツナ「結局全部一緒じゃん!」

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