特異点の白夜   作:DOS

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『邪魔をする奴は蹴られてしまえ』

 

 

 

ヒュルルルル。

 

「ミサイル?」

 

誰がそう言ったかはわからない。けど上空を見上げると炎と煙を出しながら確かにそこにミサイルが迫っていた。長さ1メートルはあると思われるほどの大きさのミサイルが降ってきた。

 

「二人とも!下がれ!」

 

リルとコルはすぐさまミサイル予想落下地点より離れていった。

 

「らっ!」

 

光努は足元のソフトボール大の石を掴んで飛んでくるミサイルに向かって投げつけた。真っ直ぐにミサイルに飛ぶ石は見事命中してミサイルは空中で爆発を起こした。

 

 

ドオオォォン!!

 

 

ミサイルの爆風が周りの木々を揺らし、葉を巻き上げた。

 

「おーい!白い人ー!」

 

「大丈夫ー!白い人ー!」

 

「誰が白い人だー!俺の名前は光努だ!」

 

そう叫ぼながら爆風の中から光努が出てきてリルとコルの隣に立った。

 

「で、あのミサイルに見覚えは?」

 

「んー、多分」

 

「カルカッサの人たちかもね」

 

「カルカッサ?会社か?なんで狙われてる?」

 

「会社じゃなくてマフィア。多方新しい武器の製造法とか奪いに来てるんじゃない?」

 

「そうだね。カルカッサって黒い商売してるみたいだし」

 

「へー、あれもそうか?」

 

煙の向こうから大勢の人間が現れた。顔には黒いマスクに全身に黒いプロテクターを装着して銃やナイフを持ってる軍団が現れた。総勢50名程の人物がいる。

 

「多分。ていうか敵丸出しだね」

 

「ホント。無駄に人数集めて」

 

「しょうがない。迎撃してやるかな。俺もボスになったみたいだからな。二人とも

下がってろ」

 

「へーきへーき。あの程度ならあたし達で十分」

 

「まあここは大人に任せておけ」

 

「大人じゃなくて子供じゃん」

 

「まあな」

 

「お前らー!」

 

「ん?」

 

黒装束が一人前に出て話してきた。

 

「抵抗するなら殺す。大人しくしていろ」

 

「なんだおめーら。アポはとってきたのか?じゃなきゃここら先へは行けねーぞ」

 

「そうそう。人の家に入るときはまずはインタホーンって教わらなかったのか

な?」

 

「きっと何も考えてないんだよ。使い捨ての兵隊ってこれだから」

 

三人に容赦なく言葉を浴びせられて黒装束の沸点は案外早く限界に近づいていた。その証拠に拳銃の撃鉄を親指で引いてナイフの柄に手をのばした。

 

「貴様ら。そんなに死にたいようだな。お前ら、殺れ」

 

一番手前の一人が拳銃を向けていきなり発砲してきた。

 

パンパンパンパンパン!!

 

「お前らな。この程度でこの家に攻め込んできたのか」

 

「な!」

 

光努のが握っていた手を開くと拳銃の弾がこぼれ落ちてきた。

 

「さてと。リル、コル。お前らは別にほうっておいても平気なんだな」

 

「「もっちろん」」

 

「上等!」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

灯夜side

 

現在。母屋にて俺は書類整理を行っていた。

 

一応役職としては社長代理に近いものであるから当然仕事量もそれなりにある。まあ部下たちも優秀だからそこまで大変というわけでもないがな。

 

光努がボスとして現れたのには少し驚いたがあいつがボスらしくなってくれるのならありがたい。表では社長のいない会社というのもまずいからな。誰でもいいから入って欲しいところだったがまさか子供がくるとはな。

 

今はリルとコルと戦ってるみたいだけど早めに仲良くなって欲しいな。

 

 

ドオオォォン!!

 

 

「なんだ?」

 

監視カメラのモニターを作動させて見てみると母屋の前の庭で煙が上がっていた。そこにいたのは先程まで戦っていた光努にリルとコル。そして対面して多くの黒装束の侵入者達だった。

 

「あれは、カルカッサファミリーの奴らか。随分と早く来たな。相変わらず荒っぽい」

 

カルカッサファミリーは何かとつけて家に敵対してくるからな。武器関係で。

自分の武器が売れないからって八つ当たりはやめてほしいものだ。

 

光努達は迎撃するみたいだな。せっかくだからここから見物でもさせてもらおうか。

 

「わざわざ俺がでる必要はなさそうだな。頑張れよ3人とも」

 

 

灯夜side out

 

 

 

 

***

 

 

 

 

敵side

 

今俺たちが見ているのは夢だろうか?

俺たちは泣く子も黙るカルカッサファミリー。敵対組織のイリスファミリーに攻め込んで新しい武器の奪取および壊滅を目論んだ。

 

来てみればいたのはまだ二十にもならない子供。

中学生や小学生くらいの子供が3人いるだけ。

 

俺たちは楽勝だと思い手に持った武器で攻めた。

俺たちの勝利は揺るぎない―――――――――――はずだった。

 

「「ていっ!」

 

双子と思われる小学性くらいの子供。所詮は子供だと思って甘く見ていた。

双子の振るう小太刀によって銃弾や銃身やプロテクターが簡単に切り裂かれていく

様は夢を見ているようだ。この日のために用意した装備はもはや何の役にも立たなかった。

 

そして一番恐ろしいのは、

 

「吹き飛べえぇぇー!!」

 

もう一人の白髪の子供の蹴りによって一気に何十人もの仲間が吹っ飛んでいった。強固なプロテクターなどなんの意味をなさずに砕け皆気を失った。

 

どういうことだ?あの子供の蹴りはもはやそこらの兵器より破壊力があるぞ!?

地面がえぐれ木々が切れ、数分後にはもはや立っているのは子供が3人と俺しかいなかった。仲間は全員気を失って地に付してしまった。

 

「さて、後はお前だけだな。お前がリーダーか?」

 

「くっ!」

 

「倒して灯夜に引き渡そう」

 

「そうだね。その後は拷も・・事情聴取しよう」

 

(あの子供今何を言いかけたあぁぁー!!)

 

「こうなったら奥の手だ!」

俺が取り出したのは長方形のポッキーサイズのプラスチックの箱。

これぞ我がカルカッサの技術をつぎ込んで開発した小型爆弾LLB-2000だ!

小型であるにもかかわらず半径100m以内を一気に消滅させる程の威力を持つ恐ろしい爆弾だ。ここで爆発すればこの辺りの人間は全て吹き飛ぶ。

 

「お前らもこれで終わりだ」

 

「コル!あれって!」

 

「うん!やばいよ、リル!」

 

 

「・・・・おいおい。まだ仲間がいるんだぞ」

 

「これで終わりだ!!」

 

俺は起爆スイッチを押した。

 

敵side out

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ザ―――――。

モニターの画面は真っ暗になり雑音しか流れなかった。

どうやら庭を映していた監視カメラが壊れたようだ。

 

「まさか最後は自爆とはな。バカなやつだな」

 

灯夜は書類仕事の手を止め、ため息をつく。

 

「無駄なのに」

 

 

 

 

 

 


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