気づいたらお気に入りが100突破に、感謝感激!
まさかのことに自分は吃驚。
どうも皆さまありがとうございます。
今後とも光努達をよろし!
それは、ボンゴレ史上最大最悪と呼ばれるクーデター事件。
現在から8年前、当時ヴァリアーのボスであったXANXUSは、ボンゴレ9代目に対して反乱を起し、他のヴァリアーのメンバー共々とボンゴレの本部を襲撃した。
若くとも、その当時ですでに実力は周りを遥かに凌駕していたXANXUSとヴァリアー勢によって、ボンゴレは大打撃を受けた。
だが最終的に、ヴァリアーは敗北し、XANXUSは8年間眠りに着いたとされていた。
だが、その真相には驚くべき事実が隠されていた。
XANXUSはただ眠っていたのではなく、ボンゴレ9代目の使用した、死ぬ気の炎を凍らせる初代零地点突破によって冷凍仮死状態にされていた。
ボンゴレを相手にするからに油断や満身は限りなく無かったが、穏健派と言われていたボンゴレ9代目の戦闘能力はXANXUSの想像を超え遥かに高くほぼ互角の戦いをしたが、まさかその9代目が初代の技を使うとは夢にも思わなかった。
炎を凍らされたらなすすべなどなく、XANXUSは抵抗もできぬままに全身を凍らされた。
その事を知っていたのは、XANXUSを凍らせた張本人の9代目と、戦いの傷で柱の影で動くことができず、たまたま意識が戻って話を聞いていたスクアーロだけだった。
***
「そしてその8年後、XANXUSは復活してまたボンゴレを乗っ取ろうとしたと」
「ああ。だが、あのガキが初代の技を使うとは・・・」
眼前に凍りついたXANXUSを映し出すディスプレイ。
その光景にギリっと奥歯を噛み締め、自分の体調を無視してスクアーロは立ち上がる。
「どこいくんだ、スクアーロ」
「XANXUSのところだ。嫌がるだろうが、奴を助けに行く」
左腕の手首から先は、先の爆発により壊れてなくなってしまい、代わりに右手に急ごしらえの洋剣が握られている。ここに来る前に、光努がスクアーロを抱えて移動中に襲ってきた黒服から奪い取ってきた剣。すでにボロボロであり、使えばそのうち折れてしまいそうな剣であり、スクアーロの使ってきた物程の剣でも無いのだが、それでもないよりはマシと握り締める。
「奴は昔、9代目に凍らされて8年間眠りに付いた。また同じことにはさせねぇ」
チャキリ、と握る剣を鳴らす。
「それに、妙なやつが近づいてるみたいだしな」
元々鋭い眼光をさらに鋭くさせ、周囲を警戒するように臨戦態勢に入る。
光努もスクアーロの言葉に、無言だが同意する。
この並中には、もう一人、光努も知らない奴が入り込んでいる。
しかも匠に監視カメラの間を縫って移動しているため、ディスプレイにはまだ姿が映し出していない。
そしてその目的地は、戦いの状況と傾向、それに人が通ったと思わしき痕を調べたら、おそらく校庭、ツナとXANXUSの元へと向かっている。
今の二人は派手に消耗し、XANXUSに至っては片腕しか使えない状態。このままでは二人の決着が着く前にやられてしまう。そうなっては困るので、光努もスクアーロの同様に立ち上がった。
「じゃ、最短距離で行くか」
光努がそう言うと、スクアーロを抱えてその場でしゃがみこみ、地面を強くけって宙へと飛び出した。
もはやなれたのか、スクアーロは特に文句を言わなかった。
それよりも、速く校庭へと付けるならむしろ好都合。屋上を飛び、壁をけって、光
努とスクアーロは真っ直ぐに校庭へと向かった。
***
立ち尽くすツナと、右腕を凍らされたXANXUS。
二人が対峙するが、結果はすでに見えていた。
だがそれでも、まだ諦めようとしない。
銃を構え、炎を溜め、照準を合わせる。
ボロボロの体を動かして、ツナへと攻撃を向ける。
対するツナも、両手に炎を灯し、再び動こうとした時だった。
唐突に、二人は何かが近づいてくるのを直感した。
ツナとXANXUSは、同時にその直感に従い、その場から飛び退こうとした。だが、それをできるほどに、XANXUSは万全ではなかった。
その為、後ろから来た攻撃を避けることができなかった。
ドガァ!!
「ぐぅ!!」
吹き飛ぶXANXUSだが、空中で態勢を立て直し、なんとか倒れずに距離をとることには成功した。
だが、ダメージが大きかったのか、そのまま膝をつく結果となってしまう。自分を攻撃してきたものを、鋭い眼光で睨みつけた。
襲撃者は、男。
浅黒い肌に、黒髪をバンダナで抑え、黒いタンクトップという出で立ちに、顔の右半分は木でできたお面が付けられている。反対側から見える赤い瞳が、確実にツナとXANXUSの二人を捉えていた。
その手に握られているのは木槌。だが大きさが普通ではなく、柄だけで80センチ程はあり、先端頭部の面はおよそ直径が30センチ。
通常の木槌とは全く大きさが異なり、その分一撃の威力も高く見える。
だがそんなことよりも、襲撃してきた人物に対し、ツナは戦闘態勢を取る。
XANXUSを攻撃したが、明らかにツナを助けたという雰囲気ではない。お前も標的だ。相手の目をそう言っている。
「何者だ」
すぐには襲ってこないので、まずは名前を聞く。
どこの誰ともわからないものに、邪魔をされる筋合いはない。
「俺は墓造会のウィーラ。〝棟梁〟のウィーラだ」
墓造会。
その名前に聴き覚えるのあるツナはもちろん、観戦していたリボーン達も驚いた。
墓造会は、組織の所在地も構成人数も連絡手段も全く不明の組織。
いつの間にか現れて、いつの間にか消えてしまう。手がかりとなる物はないに等しかった。
だが実際には、その墓造会の者が今までに分かるだけで3人判明していた。
一人目が〝暗殺者〟のアドルフォ。
殺し屋として活動するアドルフォは、よく見かけて目撃情報も割と多い。〝暗殺者〟なのに目撃場があるというのもどうかと思うだが、本人の性格も目立つ方だからかもしれない。
二人目が、〝道化師〟のジャンピエロ。
襲撃、破壊、やつは派手に動き、派手に破壊することが多いらしい。だがやはりいつの間にか消えている。目立つ格好だから見つけやすいのもあると思われる。
最後に、三人目となるのが、〝棟梁〟のウィーラ。
上記の二人と違って、あまり派手に動いているわけでない彼だが、その性格は割と真面目。なので相手との会話も成立させるし、今まで戦った者たちからの証言に、正々堂々と戦うのが基本らしい。
だが任務とあれば別。問答無用な冷徹な場面も見え隠れしている。
この並中に、判明している墓造会が全て揃ったことになる。いよいよ不可解となってきたプレギエーラファミリー。
どうやってこの三人を味方につけたのか。
「ウィーラ、お前たちの目的は何だ!」
「俺たちの目的は、お前らボンゴレの殲滅」
「!」
予想通りの答え。
だが、その言葉を聞いたツナは、両手の炎をさらに増幅させる。
しかし、次に聞いた言葉にストップした。
「だが、この任務もついでにすぎない」
「何!?」
「狙いは、ボンゴレリング」
「!」
ボンゴレリング。
かつてマフィアたちが、そのリングを欲するがために、血で血を洗う争いをしたと言われるボンゴレの秘宝。
「正直、プレギエーラの連中を使うまでも無かったが、それも必然ということだろう」
「使う、だと?」
「今おまえの仲間を襲っている黒服の連中は、ただ操られてるに過ぎないプレギエーラの構成員だ」
「何!?」
観戦していたリボーン達も、ウィーラの言葉で納得が言った。
9代目同様の穏健派と言われるプレギエーラファミリーが、なぜボンゴレを狙ったか。
そして、なぜ墓造会という誰も見つけられなかった組織を味方にできたのか。
すべてが逆。
プレギエーラが操っていたのではなく、墓造会にプレギエーラが操られていた。
接触してきたのも、おそらく墓造会の方からの接触。
そして戦えない構成員に対して、何らかの手段を用いて操作、下っ端の黒服に仕立て上げ、ボンゴレを襲わせた。
そして、奴らの狙いはボンゴレリングただ一つ。
「そのために、関係のないファミリーを巻き込んだのか!」
「関係ない?それは違うな」
「何!?」
「竜の逆鱗とはよく言ったもの。やつらは、我が主の逆鱗に触れた。それだけだ」
「逆鱗・・・だと?」
竜には、自分の体にある鱗の中で、たった一つだけ逆さについている鱗が存在するという。そして、その逆さの鱗に人が触れたとき、竜は激しく怒り狂う。
つまり逆鱗とは、その者の怒りを買う行為をすること。
「主の逆鱗だと!確かに奴はそう言った。ということは」
ディーノも驚いた。
そして、静かにリボーンは、だが鋭い気配を出しながら、口を開く。
「プレギエーラは、墓造会のボスに何らかの接触をしたってことだな」
見つけられない墓造会に関わることに成功した人物がいる。
だが、そのせいで奴らに操られたのなら、元も子もない話。
「おしゃべりが過ぎたな。お前らを潰しリングをもらう。それが俺達の必然。邪魔
はさせん」
再び、手に持った木槌を構え、眼前のツナに向かって強大な威圧と殺気を放つ。
尋常ではない威圧感。明らかな強者の気配。
だがそれでも、負けるわけにはいかない。
「お前たちに、ボンゴレを潰させるわけにはいかない!」
ボゥ!
両手の炎をはためかせ、鋭い気配を放つツナ。
コォ!!
距離をとっていたXANXUSも再び立ち上がり、残っている左手の銃に炎を込めた。
「邪魔する奴は、誰であろうとカッ消す!」
怒りが、XANXUSの力を増幅させる。
不甲斐ない部下に対しても、自分をコケにした年下の10代目候補に対しても、突然現れた別の敵に対しても、XANXUSは怒った。
その感情が、自分の力を上げることを知っている。
自分の炎を、何倍にも強くすることを知っている。
だから怒り、感情を燃やし、相手を見据える。
「カッ消えろ!!」
左の銃から放たれた炎、一丁しかない銃からしか出たとは思えないような巨大な炎の弾丸を形成し、あたりを炎で包み込んだ。
後は戦うのみ!
長かったヴァリアー編もようやく終わりが見えた気がしてきたよ。