特異点の白夜   作:DOS

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『ターゲットチェンジ』

 

 

 

 

 

ヴァリアー独立暗殺部隊ボス補佐・ゴーラモスカ。

煙を吹き出したりレンズの向こうには機械が見え隠れしている。

ヴァリアーの黒服を着ている為、一見したら大柄な人間に見えるが、よくよくと見れば機械の割合が多い。というかやっぱり機械にしか見えない。

 

「マーモン、あいつなんでいるのか心当たりないか?」

「あるよ。どうせ僕を始末に来たんでしょ」

「やっぱり」

 

プシュー!

口(?)から煙を吐きだしながら、ズシンズシンと人間らしからなう足音を出しながらこちらに向かってくるモスカ。

 

目的はマーモンの捕獲。弱者は消すというヴァリアーの理念の為、霧の守護者の戦いで敗北したマーモンを消すつもり。と言ってもリング戦はまだ終わっていないため、終わるまではまだ生かすつもりでいるらしいXANXUS。けど捕らえる。

 

そして今、黒道邸に、モスカ襲来。

 

「マーモン、追い払えよ」

「無理だよ。あいつに僕の幻覚は通じないし」

「通じない?」

「モスカは、ボスが手に入れたサイボーグのロボットみたいでね、まあ言ってしまえば強力な破壊兵器だよ」

「破壊兵器とか、勘弁してくれよ」

「どうしたの光努?あの人はお友達?」

「いやいや、どうみても違うビョン朝菜」

「逃げたほうが・・・いい」

「よし、クロームと犬と千種は朝菜連れてとりあえず避難してろ」

「わかった」

 

ひとまず光努の指示でクローム達は朝菜を連れて奥に下がる。

マーモンも逃げようと思ったが、光努に掴まれて逃げられなかった。

 

「あいつの狙いはマーモンなら、場所を帰るか。兵器なら家が壊れるし」

 

マーモンを餌に、光努は縁側から飛び出し、モスカを越えて塀に脚をかけ、黒道邸の外へと飛び出した。

 

それを、ぐるりと首を回して見つめるモスカは、足元からロケットのように炎を噴射して、空中へと飛び出した。さすがロボットというべきか、現段階の科学力でよくもまああれだけのものができているとはすごい、と光努は思いつつ山の中へと入った。

 

「ここまでくればいいか。しかし、あれがボス補佐とか、XANXUSの趣味?」

「誰も信用してないってことじゃないの。ロボットだし」

「ありえる・・・」

 

ゴゥ!!

 

「来た!」

 

空中から炎を出しながら、さながらミサイルのごとく迫ってきたモスカ。

銃口のある手の指を光努達に向け、問答無用で発砲してきた。

 

ガガガガガ!!

 

「危な!というか、いきなり発砲してきたぞ」

「こう、邪魔者を排除・・・みたいな感じ?」

「そうかそうか、俺が邪魔者か。いい度胸じゃねぇか」

 

プシュー!

煙を履きながら、足音を響かせ、侵略者のごとく土煙の中から現れるモスカの瞳部分は赤く光っており、明らかに狙いを定めているよう。居場所の不明なマーモンの元へ来たことからレーダーなどの機能も搭載されていると思われる。つまり逃げても無駄。

 

「逃げないけど。マーモン、報酬とか出るこれ?」

「あーもう、わかったよ。報酬くらいあげるあげる」

「よし」

 

ボシュ!

ミサイル×4。中々に強力な武器が搭載されている、というか明らかに過剰すぎる。武器というより兵器。ミサイルにガトリング砲、それに荷電粒子砲。いやいや、それって架空の兵器で現段階じゃ理論的にできても実現不可能だろ。明らかにエネルギーが足りないし、他にもいろいろと問題が・・・・・エネルギー?いや、まさか。さすがに当たるとやばそう。

 

「せい!」

 

バキィ!!

下からちょうど腕の関節あたりを蹴り上げ、右腕の肘から先を吹き飛ばした。

そして今度は反対の左腕の銃口をこちらに向けたため、ひとまず手でそらし、手刀で肩から切り裂いて左腕を引きちぎる。そしてモスカが動くより速く右足の膝を踏みつけて破壊し、しゃがみこんで足払いをするようにして、残りの左足も粉砕した。

 

「すごい!あっという間にモスカがダルマだ・・・・・」

「あとは」

 

バキィ!ブチブチ!バチバチ!ズバ!バゴォ!!

 

「これで、あらかたの兵器はなくなったな」

 

あっという間の出来事だった。

 

マーモンは唖然としていた。やはりこいつは底がしれないと。

 

大量自立破壊兵器であるモスカに搭載されていた兵器は、両手両足含め全て千切り取られ、胴体の周りに会った砲台等は全て銃口を潰されている。

 

もはや残っているのは何もできない胴体と顔、つまりマーモンの言うとおり、もはやダルマ状態だった。

 

「これで、終わり!」

 

ボゴォオ!!

 

「!」

 

胴体から拳を突っ込んだ光努が、止まった。

どうしたのかとマーモンがやってきたが、光努はそのまま手を引き抜いて、開いた風穴に両手を入れてこじ開けるようにして胴体を開いた。

 

「む!」

「これは!」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「みなさん、集まりましたね」

 

夜の並盛中学、そしてその校庭。

くらいが、野球の会場にあるようなライトがあちこちに設置されており、明るさには問題ない。そして集まったのは、ツナ側とヴァリアー側の全員、そして光努。

 

ちなみに怪我人も問答無用で収集されている。ルッスーリアはベッドに縛り付けられたまま、ランボも酸素マスクをつけたままで気を失っているがいる。他の連中も包帯やら何やらで怪我しているが、全員が集まっている。

 

いないのは、ヴァリアー側の雲の守護者のモスカだけ。

リボーンやディーノ、バジル達も見守る中、現れたチェルベッロの二人が口を開いた。

 

「それではこれより、大空のリング戦を開始します」

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「おかしいな、なんでこうなった?」

 

一人、光努は並中の中で最も高いと思われる屋上の給水タンクの屋上にあぐらをかいて座っていた。

 

あのあと、守護者は全員己が戦った場所にて待機、そしてXANXUSとツナによる戦いが始まった。

 

 

始まりは、光努の見つけた存在。

 

ゴーラモスカの中から現れたのは、現ボンゴレボスである9代目本人であった。

見間違いかと思ったが、確かに9代目本人。一度会ったことのある光努にはわかった。そして9代目が現れたのを、とりあえずXANXUSに教えた。

理由としてはモスカを壊したからというのもあるが、他にもいろいろと気になることがあったからだ。

 

9代目は知り合いの医者に任せてXANXUSの元へときたところ、XANXUSの怒りの矛先が光努へと向かった。父である9代目を、結果的にとは言え傷つけた光努に対して、敵を取ると宣戦布告した。

 

それをいつの間にか聞きつけたチェルベッロによって、その仇討ちを大空のリング戦とした。

 

 

フィールドは校舎全体。

各守護者は己の戦った場所(雨の守護者戦は行われる予定だった場所にて集合した)に集まり、戦う。勝利条件は、全てのリングを集めること。

 

改めて分けられたツナとXANXUSのハーフボンゴレリングを大空のリングにし、さらに守護者全ての6つのリング。

 

そして――――――――――イリスボスの証である、フィオーレリング。

 

戦国武将が相手の武将を倒した証として首を持ち帰るように、イリスのボスを倒して敵をとった証として、フィオーレリングも手に入れる。それが勝利条件だった。

 

「なんか、うまくすり替えられた感じだな」

 

マーモンにこっそりと聞いたのだが、元々XANXUSはツナにモスカ(9代目)を破壊させるつもりだったらしい。

 

筋書きは簡単。

雲のリング戦で暴走させ、仲間を傷つけられた為必ずツナは飛んできてロボットであるモスカを破壊すると考えた。そして、モスカとともに中の9代目も一緒に傷を付け、その敵を息子のXANXUSが撃つ。それにより、XANXUSに否定的なボンゴレの上層部達からうまく信頼を得ようとする。

 

が、その前に光努が破壊してしまった。その為、XANXUSは作戦を少々変更して、イ

リスへと宣戦布告をした。

 

「しかし、XANXUSと9代目か。何かあるな。・・・ま、考えるのはあとにして」

 

ゴゥ!

 

「逃げるか」

 

どこからか、光の柱が襲来し、光努のいた給水タンクを破壊した。

 

ドゴォン!!

 

「やめろ!XANXUS」

 

叫んだのは、空中に佇む人影。

額にはオレンジ色の炎を灯し、その瞳はまるで全てを見透かすよう。

その両手にはめられたグローブの甲には、『X』のエンブレムがオレンジ色の炎と共に燃えていた。

 

沢田綱吉ことツナ。大空のリング戦を勝ち抜くため、戦っていた。

両の手から噴射される死ぬ気の炎によって空中を自在に動くことが可能なツナ。今いるところは、さきほどまで光努のいた屋上が見渡せる上の方。

 

そして煙が晴れて姿を現したのは、もう一人の大空。

黒い服をはためかせ、射殺すような鋭い眼光。どうやって屋上まで来たのか疑問だが、さきほど撃たれた攻撃はコイツのものであるのは間違いない。

 

 

XANXUS。

 

 

ツナとXANXUS、そして光努による戦いが始まる。

それと同時に、各守護者の戦いも始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ザザザ。

 

複数の足音。だが周りに気づかれないほどに静かに走る音を出している。

 

そこにいたのは、黒い集団。黒い服に身を包み、顔を隠すようにして仮面が付けられている。肌の出ている箇所が限りなく、というより全く無い。

 

明らかに、どこからどう見ても怪しい。そんな集団が走っている。

 

屋根を塀を、道路を身を潜ませながら通るその数は、およそ100人になろうかという人間(?)がいた。

 

夜の闇に紛れるようにして潜む大軍。

 

向かう先は、全員同じ方向。

 

向かっている先にあったのは、並盛中だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ついに大空のリング戦勃発。
雨の戦いももちろんやるよ。

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