タン!
塀を蹴り、一般家庭の屋根の上に上がってあたりを見回す。
夜ということもありあたりは暗く、さらに雨が激しく降っているので視界が悪くなっているが、俺の目には特に問題なく見える。
白いレインコートを羽織ってるので雨は防げるが、多少屋根が滑るので移動の際は気を付けないと屋根から落ちてしまう。
しかしここから並盛中の屋上が見えるけど、あれが雷の守護者の試合場所だな。
巨大な避雷針が何本か、屋上から天につき出すように建って雷を集めていた。
分かりやすいステージ。
一応並中の周辺区域は見て回ったが、さすがに雨の中だと面倒なのか特に怪しい奴らは見当たらなかったな。いるのは警戒しているディーノの部下と門外顧問組織の人間だけ。さすがに連続で来ることは無かったのか。けどまた来そうな感じがしてたしな。まあ考えて闇雲に探し回ってもしょうがないから雷の守護者の戦いを見に行くか。
確かツナ側の守護者はランボという5歳の少年。ヴァリアー側は逆毛ピアスの雷親父ことレヴィ。随分とまあ危ない戦いだこと。
ランボはボヴィーノファミリーのヒットマンらしかったがリング戦に参加のためボンゴレに入ったらしい。ちなみに、その際にボヴィーノのボスは泣いて喜んだらしい(大手就職先に就職が決まった万年ニートの息子を持つ父親の心境みたいな?)。
本人はまだ子供なので至って遊び100%でリング戦に参加しているのだが、相手のレヴィにはそんなことは関係無い。リボーンによれば、レヴィは女子供だろうと一切容赦なく仕留める性格。そして仕事熱心で趣味は任務、いつも枕元には116個の目覚ましを用意しているというアホみたいな男(ここら辺は割とどうでもいい。どうやって調べたかはまた今度な☆)
力関係は天と地の差。まあいざとなれば邪魔でもすればいいかな?
とりあえず、早速行くか並盛中。
ゴロゴロと激しく雷がなっている並盛中屋上へと、足を向けた。
***
で、来たのはいいんだけど・・・・・あれ誰?
リングにいたのはレヴィと、10代半ば程の青年だった。
「あ、光努!」
「ツナか。今日は雷のリング戦でランボとレヴィが戦うって聞いたんだが」
「そうだけど」
「あれ誰?ランボとやらは?」
「え~っと・・・あれがランボなんだけど」
「ランボ?どこが?別人じゃん」
「だ・か・ら!あいつは10年バズーカでこっちにきたランボなんだよ!」
「ちょ、獄寺君!そんな急に言ってもすぐに理解できるわけ・・・」
「なるほど。その10年バズーカっていうのはきっと名前からするに弾に当たった人物が10年後の人物と入れ替わるタイムマシンのようなものだな。なるほど、あれが10年後のランボか。面白いアイテムもあるもんだな」
「ものっそい順応力!ていうか洞察力高!よくあれだけで理解できたね」
「しかし危ないフィールドだな」
エレットゥリコサーキット。
エレットゥリコはイタリア語で雷を意味する。
特殊な導体の線が屋上の床を六角形の形にいくつも敷いてあり、一番外側六角形の頂点と真ん中に巨大な避雷針が建っている。雷を計7本の避雷針に呼び寄せ、そこから雷が床の線全てに電動するため、もしも雷が降ってきた時に床から足を離さないと雷をモロに喰らうという非常に危ないフィールドである。
経緯を聞くと、ランボVSレヴィの戦いが始まり雷が降ってランボ黒焦げ。
しかしランボには雷を受け流すことの出来る特殊体質もあって絶命にならず、けど痛いものは痛いので泣きながら10年バズーカを使って10年後のランボを呼ぶに至ったわけであるということ。ちなみにレヴィはちゃんと避けたので今のところノーダメージらしい。
「おーい、ランボ。なんで餃子持ってるんだー」
「光努!他に気になるところそこ!?」
だって餃子だぜ?普通戦闘フィールドにそんなもの持ってたら気になるだろ。
あ、そうか。急に入れ替わったから別に戦闘準備中とかじゃないんだ。だったら不利じゃね?
「いや今晩餐の途中、ていうか貴方誰ですか?」
「白神光努だ」
「いや聞いたことないですよ。ていうか今そんな場合じゃないですよね」
「目の前の的に集中しろ!死ぬぞ」
「あなたが先に聞いてきたんでしょ!」
まあつまらない問答はおいておこう。敵はまだまだ目の前にいるし。
「サンダーセット」
ピシャアァ!!
頭に牛の角のようなモノを二つ取り付けたランボがそう言うと、上空の雨雲から落ちてきた落雷がランボの直撃した。しかし、平然と立ちつくすどころか、両角にはありえない程の電流が留まっていた。
あれだけの電気を留めておくのは普通は不可能なんだがな。ランボの体質のおかげといえばわかりやすいが、そもそも雷を留めておける物体って何なんだろうか?
あの角何でできてんだが興味深いな。
ヴァリアー側も、避雷針を無視して雷を呼ぶランボには少し驚いたらしい。
「喰らえ!
角に雷を纏ったまま、レヴィへと突撃をした。
確かに喰らえばスタンガンなんか目じゃないほどに高ダメージのはず。なにせ落雷一発分だから伊達じゃない。だけど、
「貴様、目立ちすぎだぞ。雷の守護者として申し分ない働きをし、ボスから絶大な信頼を勝ち得るのは・・・俺だ!!」
叫ぶと同時に、背中に備えていた8本の剣のような物が宙へ飛び出した。
8本の剣は開き、傘のような形状(というか傘にしか見えない)となって、ランボを中心に開いた状態で滞空、全てに雷が留まり、ランボに向けていた先端から電撃が飛び出した。
「ぐあぁあ!!」
「ヤベーな。ランボの体質をもってしても、あの電圧に耐えられねーぞ」
リボーンの言うとおり、8本の傘ではなくパラボラにそれぞれ貯められた雷の量は、ランボの角に貯めた電圧よりはるかに高い。そんなのを一斉に喰らえば、いくら雷ダメージを緩和出来るランボといえどやばいな。ちなみに普通の人は死ぬ程だからランボは確かにすごいのは事実だな。
ついに、ランボは倒れふしてしまった。けど意識はまだあるしそこまで重傷というわけでもなさそう。
「うっ・・が・・ま・・・うわああああ!いだいよぉ!!」
「泣くか普通。あいついくつだよ・・」
いや待てよ。ランボが5歳くらいって聞いたから10年後のランボってことはまだ中高生、子供じゃん!衝撃の事実だよ。全然大人でも戦闘員でもないだろ。
まあだからといって普通あそこまで泣かないが。
「うわああああ!」
「あ、あれはランボが置いていった10年バズーカ!」
泣きながら手探りに、落ちていた10年バズーカを自分に向けて―――――発泡した。
ドガーン!!
「ん?これって」
「なんだ・・・・?このだたならぬ威圧感は・・・」
ヴァリアー勢も感じたようだ。爆発で起きた煙の中に佇む人物が、只者でないことを・・・・。
「あれは・・・・20年後のランボ!!」