特異点の白夜   作:DOS

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光努「やっと晴れのリング戦か」
リル「じゃあ晴れの日にやるの?」
コル「いや、晴れっぽい人が戦うらしい」
リル「晴れの戦いなのに?」
コル「晴れの戦いだから晴れっぽい人が晴れの戦いをするんだよ」
リル「晴れの時に晴れの戦いをすれば晴れの人的には晴れっぽくない?」
コル「でも晴れの戦いだから晴れの日に晴れの人が晴れの戦いをするというのも」
リル「晴れだから晴れらしく晴れの日にやったほうがより晴れっぽくなるよ」
コル「いやでも晴れ」
光努「ええぃ!晴れ晴れうるさーい!!」
リル・コル「「そんなわけで晴れのリング戦開幕!」」


ヴァリアー編 Ⅱ『リング争奪戦』
『晴れの戦いと軽快な暗殺者』


 

 

 

 

「つっても、光努には驚いたよな」

 

「やることなすことめちゃくちゃな奴ですね」

 

「あはは、うん。確かに・・・」

 

次の日の朝、ツナが登校していると山本と獄寺と会い、昨日のことについて話をしていた。あれから光努のヴァリアー本部での出来事をさらっと聞くと、反応様々に呆れたり驚いたりとした反応を示した。

 

「あいつあのまま問題起こすんじゃないですかね」

 

「問題?」

 

「だってヴァリアーの方も何か恨んでるみたいですし。次に会ったら面倒なことになりますよ」

 

「だ~れが、面倒だって?」

 

山本と獄寺の肩に手を回すように間から顔を出してきたのは、さっきまでツナ達が噂をしていた少年、光努。あいも変わらず楽しそうに笑っていた。

 

「てめっ!いつの間に」

 

「隼人~。何?俺がヴァリアーと揉め事起こすって?」

 

「かもしれないってだけだが、可能性は大だろ」

 

「ま、否定はしないけどな」

 

カラカラと笑う光努。ツナ達もそんな光努を見て苦笑いを出す。

ヴァリアーと揉め事は正直ん勘弁してもらいたい。主にそのせいで矛先がこちらにも向くのを避けて欲しい。

 

「それにしてもヴァリアーとガチンコとか、9代目は何考えてるのか」

 

「光努って9代目のこと知ってるのか?」

 

「1回しかあったことないけど、あんな勅命を出すとは思えないんだけどな」

 

「リボーンもそんなこと言ってたな。9代目はこんな戦いをさせる奴じゃないって」

 

「でもよ、勅命にもこれがギリギリだって書いてあったし。9代目って人がどんな人か知らないが、なるべく大勢が争わないようにしてくれたんだろ?」

 

「確かに勅命を見るとそう見える」

 

だがよく考えて欲しい。

XANXUS側とツナ側がガチンコバトルするということ。ヴァリアーはプロのの殺し屋の集団。ということは戦うことは必然的に殺し合いになる。いくら10代目候補とその守護者とは言え、今まで中学生だった人物達と殺し屋を戦わせるようなことをするか?

 

普通はしない。

まして光努が知る9代目はとても温厚な人物。ギリギリの措置を取ってガチンコバトルとしたが、そもそも戦いをさせるのがおかしい。光努は9代目については全て知っているというわけではないが、光努の勘は違和感を告げいていた。

 

「・・・・・けどま、考えてても始まらないか」

 

「光努?」

 

「まあ俺お前らのバトルと関係ないし、楽しく見させてもらおうかな」

 

笑う光努に呆れるツナ達。確かにツナ達ボンゴレ側の問題でイリスは関係無いのだが案外冷たかったかのように聞こえたが、ツナ達から見ればそうは見えなかった。相変わらず瞳の奥では好奇の色が浮かんでいる。

 

ちっとも説得力のない「関係無い」という言葉である。

 

「・・・・邪魔だけはするんじゃねえぞ」

 

「なあ光努、スクアーロと戦うのは俺だからな?」

 

「武にまで言われるとは・・・・。いや、そんなに言わなくても横取りとかしない

し。別に自分から思い切りどうしようとかないからね」

 

獄寺はともかく、山本にまで言われて光努も少し傷ついたのか、微妙にすねたようにした顔に、ツナ達は珍しいものを見たように少し驚いていた。

 

「ま、今日は誰が戦うにしても頑張れよ」

 

「ああ」

 

「たりめーだ」

 

「うん」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

暗い暗い並盛町。

あっという間に時間がすぎて今や夜中の11時程。つまり今からヴァリアーとツナ側の戦いが始まるところ。

 

並盛中に用意されていたのはリング。普通と違うのは、巨大な檻の中にあるという点。そして夜のためなのか、檻の上部にはスポットライトが設置されて、リングを照らしていた。

 

戦うのはルッスーリア、そして笹川了平。つまり晴れの守護者同士の対決。

 

それにしてもあれが了平か。初めて見たが、さすがボクシング部主将でコロネロの弟子で晴れの守護者に選ばれるだけはあるほどに様になっているボクシングの構え。それにめちゃくちゃ元気そうだな。円陣とか皆で(ほぼ強制的に)組んでたし。

 

ディーノに前に聞いたが、ボンゴレ晴れの守護者の指名とは、『ファミリーを襲う逆境を、自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪となる』。

その指名通り、歴代晴れの守護者も肉弾戦を得意とする格闘家であったという。

 

それはヴァリアーの晴れの守護者も同じ。

さすがに料理番だけではないな。見ただけでわかるほどに鍛え抜かれた肉体。ルッスーリアが使う格闘技はムエタイ。タイの国技でもあり、現代スポーツではあまり使用しない肘や膝を使う分、殺傷力が割と高い格闘技。

 

そしてついに晴れの守護者同士の戦いが始まったが、あの光の柱は。

よくよく見ると檻の上部の角のスポットライトだけでなく、さらにその上部にいくつものライトが備わっている。明るさが通常の物とは比較にならないライトの光は、リングの中央を真っ白に、つまり普通なら目視も難しいほどに輝かせていた。

 

人間の瞳は、暗闇だと何も見えないけど、逆に明るすぎても何も見えないからな。

まあ俺は普通に見えるけど。

 

ん?なんでかって?黒曜ランドで閃光弾をくらったからね、激しい光源にはもう慣れた(普通は慣れたからといってそれで見えるものではありません)。周りにいるツナ達はリボーンの用意したサングラスをつけてる。スッゲー怪しいけどな。

 

ベルとマーモンはサングラスがついてないっぽいけど見えてるのか?それとも前髪の下につけているのだろうか?謎だ。ちなみにレヴィのつけてるサングラスは似合ってない。

 

しかし、これだと明らかに不利だな。

暗闇だろうとサングラス常備のルッスーリアと、何もつけていない了平。

外野からの手助けはルール違反で即失格なので、サングラスを渡すこともできず、了平は何も見えない状態で戦わなければならない。逆にルッスーリアはサングラスをつけているので全部見える。了平の奴、大丈夫かな。

 

 

そう思いつつ、覗いていた小さめの単眼鏡を外す。

 

 

今いるのはビルの屋上。ここから並中まではおよそ800メートル。チェルベッロの幻術士が、通常なら周りが気づくようなことも全てカモフラージュしている。なので今現在並中にそびえる光の柱も、並中の外からは見えなくなっている。俺にはあまり関係ないけど。

 

「了平には頑張ってもらうとして、俺もやることするか。なあ?お前ら」

 

光努の周りには、黒服の男たちが手に銃を持ち、構えていた。

 

「白神光努か。今回の任務、お前に用はない。邪魔するなら消すぞ」

 

「そうも言ってられない事態なんだけどな」

 

手に持った単眼鏡を弄びながらため息を付くように話す。

 

「確かにお前らとはなんの関係もない、が」

 

カアアアァァアァ!!

 

単眼鏡の側面にあるスイッチを押すと、眩しいばかりの閃光が辺りを包み込んだ。

 

閃光弾。

暗闇であった分、とっさの光に男どもは思わず腕で顔を隠した。

この閃光弾は3秒ほどしか続かないが、それだけあれば十分。

 

ドガ!バキ、ゴス、ドドド!ガッ!ドス!

 

閃光が収まった時には、足元には倒れふしている男たちしかいなかった。

 

「残念これが、関係あるんだな♪」

 

♪~~♪~~♪

 

「あー、もしもし?灯夜?」

 

『光努か。そっちはどうだ?』

 

「とりあえず10人程潰したけど、他はいたっけ」

 

『確かそっちに手練が一人いったはずだ。"暗殺者"とよばれる殺し屋だ』

 

「それって違うの?」

 

『奴の手口は誰にも気づかれずターゲットを仕留める暗殺スタイルだが、他にも目撃者を全て抹殺して犯行を全てこっそりとした暗殺にしてしまうほどに危ないやつだ』

「目撃者か、となると俺も危ないんじゃ」

 

「That's right!」

 

ザシュ!

 

光努が後ろに飛ぶと、先程まで立っていた場所に突き刺さる黒光りする物体。

 

黒いフードの付いた先がボロボロのマントを羽織っており、ところどころこ見える場所には黒いプロテクターが体のあちこちに付けられている黒ずくめの出で立ち。地面から先ほど突き立てた爪を引き抜き、レンズ部分が赤く光るゴーグルをつけた顔をこちらに向ける。

 

顔にも黒い帽子とマスクで、闇に溶け込んでいる。明らかに素人とは思えないほどの鋭い殺気を放っている。

 

「お前が噂の”暗殺者”さんか」

 

「That's right!そんなわけで、恨みはないがYouのお命Goodbye!」

 

軽快そうにしゃべり、回転しながら突撃してきた。

そのまま後ろに下がり、攻撃を回避するが"暗殺者"もさらに追撃を加え、両手についた黒光りする爪を素早く動かす。その度に後ろに避けていくと、ついにビルの端に立ち、後ろには街並みが広がっていた。

 

「これが本当の崖っぷち。Bye」

 

両手の爪を突き刺すように攻撃したが、"暗殺者"は驚いた。

光努は正面からの攻撃を避けるのに、後ろに倒れた。

 

「What!?おいBoy!」

 

そのまま見えなくなった光努を追うように、ビルの端から下を覗くと、

 

ドゴォ!

 

「グぅ!」

 

覗き込んだ"暗殺者"は目の前にきた足の裏がヒットした。

 

(ん?直前で後ろに跳んで威力を殺したか。残念)

 

メキリ。

 

片足を伸ばしつつ、逆立ちのような向きでビルの端のすぐ下の壁に指をめり込ませて張り付いていた。落ちたと見せかけて、逆さに壁に張り付き、上から覗いたところを蹴り飛ばしたということ。

考えても実際はやろうと思ってもできないほどにでたらめな戦術である。

 

カシャァン。

 

かすかに聞こえた音を、光努の耳は拾った。

逆さまの状態で正面を見ると、並中の光の柱が消えていた。

 

(了平がライトを壊したのか。光源で蒸発気化した汗(つまり塩の結晶)を拳に乗せて飛ばし、上方の檻の天井につけられたライトを破壊したと。これで視覚は互角か。普通はこれでサングラスは逆効果と言いたいが、相手はヴァリアーだしな。あとは了平しだい)

 

一度壁にめり込ませた手を外し、空中で素早く一回転して体を逆の逆、正常に戻してビルの端を手で掴み、反動をつけてビルの屋上に上がり、スタリと着地した。

 

「じゃ、こっちも第二ラウンド、始めるか」

 

「OK!バラバラにしてやるよ」

 

再び両者はぶつかりあった。

 

 

 

 

 





リル「問題です!最初の私達の会話で『晴れ』という言葉は何回出てきたでしょうか!」

コル「正解者の中から抽選で豪華な景品がもらえるかも?

光努「というわけでみんなも答えてみよう!」

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