特異点の白夜   作:DOS

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『忘れ物』

 

 

 

 

 

ボンゴレ門外顧問。

沢田家光のボンゴレでの役職であり、普段はボンゴレに属さない諜報組織だが、ボンゴレの危機の時にはボスに継ぐ権力を持つ。

そして門外顧問とは、ボンゴレの後継者選びにおいてボスと対等の決定権を持ち、二つに別れたハーフボンゴレリングの片方を、己の選んだ時期ボス候補に授ける権利を持つ。

 

今回は、ボンゴレ9代目の選んだ後継者がXANXUS、家光の選んだ後継者がツナとなり、それぞれ二人とその守護者にハーフボンゴレリングが渡された。

ツナ達とXANXUS達の前に現れた家光が持ってきたのは、9代目からの勅命。

そこにはこう記されていた。

 

『今まで自分は、後継者にふさわしいのは、

家光の息子である沢田綱吉だと考えてそのように仕向けてきた。

 

だが、最近死期が近いせいか、私の直感は冴え渡り、他によりふさわしい後継者を見つけるに至った。

 

我が息子、XANXUSである。

 

彼こそが真の10代目にふさわしい。

だがこの変更に不服な者もいるだろう。

現に、家光はXANXUSへのリングの継承を拒んだ。

 

かと言って私は、ファミリー同士の無益な抗争に突入することを望まない。

そこで、皆が納得するボンゴレ公認の決闘をここに開始する。』

 

 

つまり、

 

「同じ種類のリングを持つ者同士の、1対1のガチンコバトルだ!」

 

家光は静かに言い放った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「同じリングを持つ者同士のガチンコバトルーーー!!」

 

家光の言葉に、ツナは「ええええぇ!」というふうに声を出す。

そりゃいきなりバトれというのはないだろう。まして相手はボンゴレ最強といわれた殺し屋集団。迎え撃つために修行をしていたとは言え、一中学生には荷が重い話だ。

 

「ああ、あとは指示を待てと書いてある。」

 

「「お待たせしました」」

 

重なる女性の声が聞こえたと同時に、どこからともなく現れたのはやはり二人の女性。

 

二人とも、目元を隠すような黒いマスク。日焼けしたような肌に、服装は女性らしい私服を着用し、首からホイッスルを下げている。そしてマスクで正確にはわからないが、二人とも同じ顔をしているのがわかるほどに似ている。

 

「今回のリング争奪戦では」

 

「我々が審判をつとめます」

 

「我々は9代目直属の、チェルベッロ機関の者です」

 

「リング争奪戦においては我々の決定は9代目の決定だと思ってください」

 

「9代目は、これがファミリー全体を納得させるためのギリギリの措置だとおっしゃっています。異存はありませんか?XANXUS様」

 

「・・・・・・」

 

「ありがとうございます」

 

XANXUSの無言を肯定と受け取り話を進める。

だが、家光からは異議が申し立てられた。

 

家光ですら、チェルベッロ機関という名前を聞いたことないという。

確かに門外顧問の家光が知らないというのなら、本当に9代目しか知らない直属機関か、もしくは全く謎の機関。家光としては、大事な後継者争いに部外者のような奴らに審判を任せたくはないと異議を唱えたが、チェルベッロの女性は、異議を認めないと言い放った。

 

チェルベッロの女性が指定した戦いの舞台は、深夜の並盛町。

明晩11時に全員に集まることを言い、すぐに姿を消してしまった。

XANXUS達も、ツナを睨んでからくるりと背を向けてしまった。

 

「あ、ちょっと待って」

 

「!!」

 

帰ろうとしたXANXUS達の元へとかけられた、その場に似合わない軽い言葉。咄嗟に振り向くと、上から黒い物体が二つ程降ってきた。

すぐさまレヴィがXANXUSの前にでて、黒い物体を弾き飛ばしてからそれが何かに気づいた。

 

「!!04(クアットロ)05(チンクエ)!」

 

レヴィが弾き飛ばしたのはツナ達が倒したのとは別の自分の部下、レヴィ雷撃隊の構成員だった。レヴィに弾かれるまえから気絶してるらしく、そのまま地面に落ちてしまった。

 

「何者だ!」

 

ツナ達や家光達も、声の聞こえた方に警戒を向けた。

暗がりの向こうから一人分の足音が聞こえてきた。

近づいくるにつれて、街灯に照らされて顔が見えて来た。

 

街灯の明かりに照らされて、薄く光る柔らかそうな白い髪。

黒いパーカーを着て、白いシャツ。ジーンズを履いてスタスタと歩いてくる。その顔には、楽しそうな笑みが浮かんでいた。

 

「忘れ物。ちゃんと部下持って帰ってよね」

 

「こ、光努!」

 

今まさに、一触即発の雰囲気だったのに、まるで喧嘩を売るような行動を起こした光努を見てツナはひやひやした。

 

だが、そんな心配は色んな意味で無意味だった。

XANXUSから、ありえない程の殺気と怒りのオーラが発した。

 

「なんだ?あのすげー怒りようは」

 

「う"お"ぉい!どうしたボス!お前らも手伝え!とっとと引くぞ!!」

 

リボーンがあまりにも怒ってる様子のXANXUSに疑問を持ち、スクアーロがXANXUSを止める。他の奴らにも怒鳴るが、様子がおかしかった。

 

「おい、スクアーロ・・・・あいつだぜ」

 

「どうしたぁ!?」

 

「少し前にあったじゃない。ヴァリアー本部謎の襲撃者事件」

 

「それがどうしたぁ、マーモン!!」

 

「その犯人、あの坊やなのよ~」

 

「何ぃ!?」

 

ベル、マーモン、ルッスーリアの言葉に、スクアーロは驚いた表情をする。

 

「どうしたの!リボーン!」

 

「数ヶ月前、イタリアのヴァリアー本部に一人の侵入者が入ったそうだ。その時に、ヴァリアーの奴らと交戦した侵入者の手によって本部の一部が崩壊、結局捕まえることができずに取り逃がしたという事件があったんだ。犯人は謎のままだったんだが、あいつらの話を聞いてると・・・」

 

「その犯人が・・・光努!?」

 

「あ、それ間違い。犯人あれ」

 

と言って、光努はXANXUSを指差す。

指を刺されたXANXUSは、光努の言動にさらに怒りを増幅させた。

 

「おい待てよ。お前も壊しただろーが」

 

ベルが口を挟んだがXANXUSが破壊したということには否定しない。

なぜなら事実だからだ。

 

「だって先に攻撃してきたのそっちじゃねーか」

 

「お前は侵入者だろーが。攻撃されて当たり前だっつうの」

 

「正当防衛だ。だってこっちから何もしてねーし」

 

「そういう問題じゃねーよ。あそこに入った時点で抹殺対象だ」

 

光努の言葉にベルが反論。

二人が言い争いを始めた。

あーだこーだと責任の擦り付け合い(結果的にはどっちの言い分も正しい)に、ヴァリアー側とツナ側、そして家光側がだんだんと呆れかけてくると、XANXUSは再度後ろを向いて歩いて行った。興が覚めたのだろう。

 

「う"お"ぉい!ベル!お前も帰るぞ!」

 

「・・・わかったよ。おいお前。名前は」

 

「光努だ。またな、自称天才」

 

「自称天才って呼ぶな!次言ったらぶち殺す」

 

そう言い残してヴァリアー全員がその場から去っていった。一応部下も持って帰って。

 

「人のせいにするなんて。あの自称天才め。今度会ったら前髪長い奴と呼んでやろう」

 

「いやそれ悪口っていうのか?」

 

山本が光努のつぶやきに軽く突っ込む。

 

「光努、ヴァリアーと知り合いなのか?」

 

「いや、ヴァリアーとは知り合いじゃない」

 

「でもさっきお互い知ってるような話ししてたじゃ・・」

 

「あの中の何人かは知ってるがヴァリアーとは知らなかったよ」

 

殺し屋と知らずに知り合ったということなのか?

一体どんな状況で知り合ったのか非常に興味があったが、あえて聞かないでおこうと思った。

 

と思ったが、そういえばそのことについてさっき話してるのを思い出した。

 

「で、なんでヴァリアーなんて襲撃したんだ」

 

リボーンがみんなの疑問解消にと光努に質問をする。

 

「襲撃したんじゃないんだが、実はな――――――」

 

詳しく知りたかったら 第2話『雷親父を無視してオカマの料理を堪能する』から第4話『作戦隊長は買わずとも苦労が絶えない』までを参照。

 

そこに真実がある!

 

 

 

 

 

 


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