朝。
普通に並中に登校。
登校する生徒に混じり校門をくぐって校舎に入る。
途中、金属音とかが上からかすかに聞こえたけど、後で見に行くか。
「おはよ」
「よ、光努」
「おはよう、光努君」
「おはよう」
クラスメイトに挨拶をしつつ、席を座る。
周りを見てみるとツナ達の姿が見当たらない。
ツナと隼人と武の三人がいないな。
「あ、おはよう光努君」
「おはよ」
「よう京子、花」
声をかけてきたのは笹川京子と黒川花。
二人とも同じクラスの女子。
京子はツナが今片思い中の女子。昔と比べて今はよく話したり先日も遊びに行ったりという仲になって進展はあるらしい。花はその京子の親友。
少しウェーブのかかった黒髪をしている正確的には大人びた女子である。
「あんたって名前呼びしか呼び方ないの?」
「苗字より名前の方がわかりやすくていいじゃない」
名前に比べたら苗字は日本で同じのがたくさんあるからな。
名前は一人ひとりを示す記号みたいなものだからな。
大事だぞ、名前は。名前はな。
「まあ確かに京子も並中に兄貴いるけど」
「兄貴いたのか。3年?」
「うん。ボクシング部首相なの。今日はお休みなんだけどね」
「風邪でもひいてるのか?」
「ううん。最近家いるコロネロくんとどこかに行ってるみたいなの」
「すまん。聞き間違いかと思うが誰とどこかに言ってるって?」
「家に今泊まってる赤ん坊のコロネロくんだよ」
コロネロ。
それは、マフィア界最強の赤ん坊である青色のおしゃぶりを持つアルコバレーノの一人。元々イタリア海軍潜水奇襲部隊
いや、きっと同名の他人だな。
コロネロ何て赤ん坊は世界にたくさんいるだろうし。
「あんたん家赤ん坊何て泊めてるんだ」
「うん。いつも迷彩柄の服着てて青いおしゃぶり持ってるの」
「・・・・それどういう赤ん坊なのよ」
きっと気のせいと信じたかったが、絶対にコロネロだ。
迷彩柄の服着て青いおしゃぶりをつけた赤ん坊がコロネロの他にいるだろうか?
いやいてたまるか!
「なあ京子。最近兄貴に変わったことなかった?」
「変わったこと?う~ん、いつもどおり元気だし・・あ、そうだ!」
「?」
「最近綺麗な指輪を持ってたよ。何か誰かに貰ったみたい」
「綺麗な・・・・指輪?」
ボンゴレリング。
最近起こったことで指輪と言ったら咄嗟にボンゴレリングが連想する。
これも偶然と信じたいのだが、案外ボンゴレリングだったりして。
ボンゴレリングは全部で7つ。
その全てに違う模様がついており、それぞれ大空、嵐、雨、晴れ、雷、雲、霧の7種類の属性に分かれている。
それは大空をボスに、残りの6つはボスを守護する守護者に託されるというリング。
歴代のボンゴレボス達にもボスとそれを守護する6人の守護者の計7名がボンゴレを支えてきたという。ちなみに今の9代目にももちろん守護者が6人いるようだ。
京子に聞いた笹川兄の特徴は、とりあえず元気で一直線な正確。座右の銘は「極限」というらしい。なるほど、いわゆる熱血漢なんだな。
守護者になるとしたら晴れのリングとかかな、性格的に。今度リボーンにでも聞いて答え合わせでもするか。
「そういえば沢田達も昨日から休みなのよね」
「ツナ達?もしかして武と隼人も休みか?」
「そうだよ。よくわかったね」
「ま、なんとなく想像がついたんだ」
「三人とも風邪なんだって。ご両親から連絡があったみたい」
「風が流行ってるのかね~」
「まあ流行ってるだろうな。割と面倒な風邪がな」
きっと全員特訓中だな。後で遊びに行こっと。
***
紅の空、オレンジ色の雲、そして赤い夕日。
学校の授業も終わったしさて帰るか。
と、その前に・・・・。
階段を上がって屋上に向かう。
扉に近づくにつれて金属音破壊音が大きく聞こえてくる。
キィン!ガガ!ビシ!
ガチャリ。
「おっ邪魔~」
「らっ!」
「ふん!」
黒く、しなやかな鞭は正確に相手の顔面に迫ったが、手に持ったトンファーを匠に使って防ぎ攻撃を仕掛ける。だがその攻撃も、鞭を両手で持って引っ掛けるようにして止める。ここで二人は一度静止した状態になった。
戦っていたのは、ディーノと恭弥。
ディーノは鞭を、恭弥はトンファーを使って凄まじい攻防を繰り返していた。
お互いあちこち痣ができていたり、血が滲んでいたりしていた。
「よう光努」
「君か、何しに来たの」
「おいおい、生徒なんだし放課後なんだからいても不思議ないだろ。何してるのはこっちのセリフなんだけど・・・」
「恭弥の特訓中だ」
「この人を咬み殺す途中」
「お前ら答えが待ったく違うぞ」
全く別別の答えを出すとは。でも特訓中ってことは、ツナの守護者は恭弥か。
恭弥もまさかそんなことするとはな。あれ?確か群れるの嫌いなんじゃ・・・。
あ、だから今噛み殺し中ってことか。
「まあ多方リボーンに頼まれて恭弥を鍛えに来たけど、恭弥は師事するのとか嫌がりそうだし、多方ディーノが戦って勝ったら守護者にでもなれとかそんな感じだろ」
(光努、恐るべき洞察力!まさかさっきの俺のセリフから全部わかったというのか)
(鋭い・・・)
ディーノもだけど、雲雀も内心吃驚。まるで最初から見ていたかのようにピタリとあっていたのでさすがに雲雀もびっくりしていた。
「ま、二人とも頑張れよ」
「光努、どこ行くんだ」
「ん~、そうだな。ちょっとツナ達見てくる」
「場所知ってるか?」
「探すよ。ディーノと恭弥もまったねー」
***
「オリャア!!」
「甘い!」
死ぬ気モードのツナと、死ぬ気モードのバジルのスパーリング。
二人とも同じ死ぬ気モードだが、色々と違う。
ツナの荒々しい死ぬ気モードとは違ってバジルは本人の意識をそのままに死ぬ気をコントロールした状態でいる。全力を出し続けていればすぐに疲れるが、定期的に力を抑えたりすることで長時間の戦いが可能となる。
今のツナの特訓は、全力で死ぬ気モードのツナに死ぬ気をコントロールさせて長時間の死ぬ気モードを維持する特訓。
「オラ!」
「ふん!」
ツナの振り下ろす拳を、バジルは柔らかく否し、そのまま腕を掴んで岸壁に向かって投げつけた。ツナはそれでも一回転して岩に足をつけ、再びバジルに接近して拳を振るったが、バジルには躱されてカウンターを仕掛けたことにより吹っ飛んでしまった。
「少しは死ぬ気モードも伸びたけど、まだまだだな」
「まだ気力の暴走状態が続いている。バジルを倒すとなるともう少しかかりそうだな」
そばで会話をしていたのは、リボーンと家光。
ツナの教師リボーンと、バジルの言う親方様である沢田家光。
まだ家光はツナに自分の職業のことを話してはいない。今はツナは死ぬ気状態なので一応後になってもあるていどは覚えているが、今はバジルとの戦闘により横にいる家光のことはほぼ気がついてない。
ツナは知らぬ間に父親にも一緒に鍛えられていたのであった。
「あ!沢田殿!」
「ツナ!」
「!?待て」
バジルの攻撃の方向が崖の方に向いてしまい思わず、崖から落としてしまった。
一瞬見たツナは死ぬ気モードがちょうど消えた状態。家光は思わず一瞬焦ってしまったがリボーンが止めた。
崖から伸びてきたのは手。
その手が地面を掴み、勢いよく人影が崖の上に飛び上がってきた。
「よ、落し物だぞ」
現れたのは光努。柔らかそうな白い髪を揺らし、楽しそうに笑っている。
その肩には気絶しているツナが抱えられていた。