特異点の白夜   作:DOS

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『昨日の友は今日も友』

 

 

 

前回のあらすじ。

 

骸に頼まれてクローム、犬、千種の様子を見に来たのだけど、犬とリルとコルのおかげで黒曜ランド壊滅。その際犬には罰を与えておいた(リルとコルは犬を捧げて逃げた)。で、今はどこにいるかというのだけど。

 

「まあ上がって上がって。ほら千種と犬も」

 

「おっじゃまー」

 

「・・・・・・」

 

「えっと・・お邪魔します」

 

「たっだいまー!」

 

「ただいま」

 

犬に千種、そしてクロームを連れて黒道家に帰っていた。

 

「おかえりなさい。あら、お友達?」

 

家に入り出迎えてくれたのは朝菜。

本名黒道朝菜。灯夜の奥さんでおしとやかですごい良いひと。

たまにすごいスキルを発揮する。いろんな意味ですごい人。

いつも黒道家のご飯を作ってくれてるのだが、すごくうまい。

今は夕飯の時間帯なので居間に入ると机の上にいくつも料理が並んでいた。

 

「あれ?ルイと灯夜は?」

 

料理の用意をしていた朝菜に尋ねる。

ちなみすでに夕輝とリルとコルは机についている。けどいつもゴロっとしてるルイの姿が見えず、灯夜も部屋にいなさそう。

 

「二人なら少し前に出かけたわよ」

 

「どこいったの?」

 

「確かヨーロッパに行くって言ってたかしら?」

 

「・・・ヨーロッパねぇ。まあそこは灯夜に任せるか」

 

それにしてもルイまで行くとは。

めんどくさがりなあいつがわざわざ出向くとはな。

 

「あ、紹介遅れた。こっちが犬と千種とクローム」

 

「いらっしゃい。黒道朝菜です。よろしくね」

 

「・・よろしく」

 

「光努!これ食っていいの?」

 

「犬、意地汚い・・」

 

「ふふ、いいのよ。たくさん作ったからね」

 

「というか普通にちょうど8人分あるよな。灯夜達いないのに・・・」

 

「なんだか今日はお客さんが来るような気がしたの」

 

笑顔で言ってるがなんたる勘のよさ・・・・・。減った人数と増えた人数で最数的な人数がピタリと当たってるとは。朝菜、恐るべし。

まああるのなら都合がいい。食うか。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「それで、お前らどうするつもりだったわけ」

 

「どうって?」

 

「いや、もしかして黒曜ランドにでも住むつもりだったのかと」

 

「・・・そのつもりだけど」

 

キョトンとした表情をするクロームを見て、光努は「えー」というような表情をする。まさか本当にあの廃墟に住むとは思わなかったらしい。

だがあの廃墟は崩壊してしまった。

 

「それでどこに住むつもり?」

 

「えっと・・・」

 

「まあそこらへんに」

 

「野宿とか?」

 

「お前らな~・・・・」

 

無計画、というよりはこの三人は本当にどこにでも住めそうなところがあれば住むつもりらしい。無謀というかたくましいというか・・・・・。

 

「光努」

 

「ん?朝菜、どうした」

 

「今日はもう遅いし、泊まっていってもらったら?」

 

「・・・・・・・」

 

いや待てよ、むしろ家においたほうがいいんじゃないか?ここなら安心安全だし。

生活環境も廃墟よりはいいし。部屋もこの家広いから問題なさそうだ。

うん、いいじゃん。ナイス朝菜。

 

「よし、お前ら泊まっていけ」

 

「でも、迷惑じゃ」

 

「いや大丈夫だろ。家主の許可もとったし」

 

灯夜がいないから今の家主は朝菜だな。元々家主がどっちか知らないけど。

 

「でも・・・」

 

「だったら灯夜達が帰ってくるまでいれば?」

 

「リル、いやいやさすがにそんな話だけじゃオッケーは」

 

「それなら・・お邪魔になります」

 

「するのか・・・。じゃあ犬と千種も泊まってけよ。ちなみに異論は認めないからな」

 

「・・・・・」

 

「やっほぅ!いい寝床ゲットだびょん」

 

よし、灯夜にはしばらく帰ってくるなと伝えるか。

 

その後、クロームは朝菜の部屋に行った。クロームは一人でいいと言ったけど朝菜に押し切られたらしく一緒に寝るみたい。犬と千種は各々好きな部屋使うってよ。もちろん使えない部屋もあるけど。

 

「あれ?骸一味じゃないか。何してるんだい」

 

天井から降ってくるように落ちてきた白い影は、ハクリ。

そういえば全然出てこないから忘れてたな存在。

 

「なんらこいつ?」

 

「ははは、何か動物みたいだ」

 

「なんらと!」

 

安っ!なんて安い挑発に乗るんだ!

 

「このやろ!」

 

「はっずれー♪」

 

飛び跳ねるハクリに犬の攻撃がことごとく躱される。

 

普通は空中で身動きがとれないけど、ハクリは体の強い捻りとすかさず攻撃する犬の腕や足を軽く触れてスムーズに避けて空中を移動するからまるで宙を自在に飛んでいるようだ。

 

・・・・・・こいつのことだからもしかしたらホントに飛んでるかも。

いやさすがにそれはないよな?

 

「ほら」

 

「ぎゃふん!」

 

ピン、ヒュウゥゥウゥ・・・・・ドゴォン!!

 

犬の額にデコピンをかまして、犬は地面と平行に飛んでいった。

途中窓に当たる前にリルとコルが窓を開け外に飛んで行き、庭を越えて塀に埋まってしまった。

 

何か最近どっかでこの光景見た覚えがあるな・・・・。

千種が何か黙祷してるし、縁起でもない。

 

「たく、少しは手加減しろよ」

 

「人のこと言えないだろ」

 

「俺はちゃんと加減している」

 

「・・・・そうか」

 

そう言うとまた天井に戻った。

 

降りてきたときの天井の穴から入って天井の板がしまった、

お前忍者かとか思ったけどあえて何も言わないでおこう。というか天井で何してたんだ?もしかして住んでるの?

 

まあ調べるのは今度にして、とっとと犬を回収するか。

 

 

 

 

 





光努「実は当初は黒曜ランド破壊はやるつもりだったけどその後は考えてなかったみたいなんだよ」

リル「だったらクローム達どうするつもりだったの?」

光努「流れに任せる!」

コル「・・・・・・」

光努「お便りをくれた君!どうもありがとう!」


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