特異点の白夜   作:DOS

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『落下・再会・父親』

 

 

 

 

「「やっほおぉぉ!」」

 

「なんだぁ!」

 

「あ、あれは!」

 

「光努!!」

 

空中より飛び出してきたのは、白い髪はバタバタとなびかせ楽しそうに笑みを浮かべた少年、光努。

 

「とりあえずー、悪っぽい顔したお前ー!」

 

「あぁん?」

 

「喰ーらーえー!」

 

ギュン!ドゴオォ!!

 

空中で回転をして、かかと落としをスクアーロに叩き込んだ。

重力と回転の影響で、威力が増加された光努のかかと落としは、容易に地面を砕いた。スクアーロは咄嗟に跳びのいて光努の攻撃を躱した。光努が砕いた地面の破片が襲いかかったが、全て剣で防いだ。

 

「今度はなんなんだぁ!う"お"ぉい!!」

 

スクアーロが剣を向けた先にいるのは、土埃から抜けて出てきた光努。

背中にリルを貼り付けたまま楽しげに笑っている。

 

「光努!ていうかどこから降ってきたの!?」

 

「ツナ、それとそこの知らない少年。離れてろ、危ないぞ」

 

「う"お"ぉい!!てめぇも俺に楯突くようなら、かっさばくぞぉ!!」

 

突き進みながら光努へと剣を振り下ろす。

光努は剣を躱し蹴りを放つがスクアーロも避け、剣戟を浴びせる。

 

キィン!

 

「う"お"ぉい!貴様、どこからその刀取り出したぁ」

 

「ちょうど後ろにあってな」

 

光努が取り出した小太刀とスクアーロの剣が競り合っていた。

ちなみに、光度の取り出した小太刀はもちろん背中のリルに借りた。

 

「何してんのスクアーロ」

 

「何ぃ!?」

 

競り合っていたスクアーロは後ろに跳んで距離をとってから、肩から顔を出したリルを見た。

 

「リルだとぉ!う"お"ぉい!てめぇ、なんでこんなところにいやがる」

 

「お買い物だよー。スクアーロこんなところで何してんの?仕事?こんなに明るいのに?」

 

「てめぇには関係ねぇ。邪魔するならそこのガキもろとも消し去るぞぉ」

 

「無理ー、光努の方が強いもん」

 

「う"お"ぉい!言ってくれるじゃねぇか!」

 

「おい二人とも。俺を間に挟んで会話するな。あとリル、挑発とかするなよ」

 

「え、してないけど?」

 

「・・・・・・そうか」

 

自覚のないリルにやれやれといった表情をする光努。

険悪な雰囲気(スクアーロだけだが)となった二人の間で火花がちろうとしたその時、またしても声がかかった。

 

「相変わらずだな。S(スペルピ)・スクアーロ」

 

「!?」

 

全員で声がした方へ向くとそこにいたのは3人の男。

二人の部下を引き連れたその男は、長めの金色の髪に首から左腕にかけてのタトゥー。そして手に黒い鞭を持った青年、ディーノ。

 

「子供相手にムキになって、恥ずかしくねぇのか?」

 

「ディ、ディーノさん!」

 

「跳ね馬だと!?」

 

「その趣味の悪い遊びをやめねーっていうんなら、俺が相手になるぜ」

 

ディーノは鋭い眼光をスクアーロへと向けた。

 

(日本のこのガキ、こんなコネをもってやがるのか。跳ね馬ディーノ、こいつを相手にするとなると、一筋縄じゃいかねーか・・・・・。つーか、下手にリルに手出したら後々面倒だしな)

 

「う"お"ぉい、跳ね馬。お前をここでぶっ殺すのも悪くない。だが同盟ファミリーとやりあったとなると、上がうるせぇ。

今日のところは大人しく・・・・・・・・・・帰るわきゃねぇぞぉ!!」

 

スクアーロはそばにいたツナの頭を掴み、持ち上げた。

ちなみに位置的にツナ達と光努達がスクアーロを挟むようにいて、その横からディーノ達が来たようになっている。

 

「手を離せ!!」

 

ディーノは手の鞭を振るったが、届く前にスクアーロの剣から飛び出た爆薬が爆発し、あたりを再び煙で包んだ。

すぐにディーノはツナ達を発見し無事を確認したが横から声がきこた。

 

「貴様に免じてこいつらの命は預けといてやる。だがこいつはいただいていくぜぇ、う"お"ぉい!」

 

いつの間にか、ツナの持っていた箱が、スクアーロの手の中にあった。

 

「ああっ!ボンゴレリングが!!」

 

「ボンゴレリング・・?」

 

「じゃあな」

 

目的を達したのか、すぐにスクアーロはその場から消えてしまった。

バジルは追いかけようとしたが、あまりにもダメージが溜まりすぎていたのか立ち上がった瞬間その場に倒れてしまった。

 

「深追いは禁物だぞ」

 

「リボーン!なんで今頃出てくるんだよ!どーして助けてくれなかったんだ!」

 

「俺は奴に攻撃しちゃいけねーことになってんだ」

 

「な、何で?」

 

「奴もボンゴレファミリーだからな」

 

「え!なんだって!?俺ボンゴレの人に殺されかけたってこと!?どうゆうことだ

よ!?」

 

「あいつ、本当にボンゴレだったんだ」

 

「でしょ?私の言ったとおりだね」

 

ツナとリボーンの会話に入ってきたのは、光努とリル。

すでに背中から降りたリルは光努の横を歩いている。

 

「よう、光努、リル。珍しいところで会ったな」

 

「あれ?ディーノって光努のこと知ってるの?」

 

ディーノが光努にも声をかけたことに不思議がるが、ディーノは昔を思い出したのか、少し笑いながら答えた。

 

「少し前にな。それより、こいつを病院へ運ぶぞ。話はあとだ」

 

警察も駆けつけ始めたことにより、ツナ達はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「こいつ、大丈夫か?」

 

「よく鍛えられてる、命に別状は無いな」

 

すでに廃墟となった病院で、ディーノ達によるバジルの手当は無事終わった。

廃病院といっても必要な機材とかはすでにディーノが手配したみたいだから問題なく治療が行われた。

 

武と隼人はあのあとリボーンが家に返した。

正直こてんぱんにやられてあの二人も気が気じゃないはずだが、リボーンにも何か考えがあってのことみたいだからここはそっとしておくか。

 

とりあえず少年、バジルはこちらの味方ということらしいが、ボンゴレ側であるスクアーロに狙われたことによりツナは困惑している。

 

リボーン達の話だと、あの箱に入っていたリングの名はボンゴレリング。

正式名称をハーフボンゴレリングというボンゴレの家宝みたいだ。

リボーン曰く、長い歴史の中でそのリングのためにどれだけの血が流れたのかも分からないという程の曰くつきの代物らしい。

やっぱ家宝というだけあって、いつの時代も奪い合いとかが起こっているみたいだいな。

 

ツナはその話を聞いて怯えていたけど、スクアーロが持っていったとしってほっとした。だが、

 

「それがな、ツナ・・・・。ここにあるんだ」

 

「えええ!!」

 

「!?」

 

「それって、バジルの持っていた箱と同じものだな」

 

「中身入ってるの?」

 

ディーノが取り出したのはバジルの持っていた箱と同じもの。

その箱を見たとき、ツナはまたもや怯え、リボーンは珍しく表情には出してないが驚いたように体を一瞬硬直させた。

 

「な、なんで!だってリングは奪われたはずじゃ・・・・」

 

「こっちが本物だ。俺は今日このためにきたんだ。ある人物からこれをお前に渡すように頼まれてな」

 

バジルは囮ってことか。しかしさっきみた様子だと、バジル本人には偽物ってことは言われてなかったみたいだな。

 

「えー!また俺に!?何で!?そんな恐ろしいリング!!」

 

「そりゃー、お前がボンゴレの・・・」

 

「ス・・・ストップ!家に帰って補習の勉強しなきゃ!ガンバロ!!」

 

「な・・・」

 

「おいおいツナ・・・」

 

「じゃ、ディーノさんに光努たちもまた!!リボーン先行ってるぞ!」

 

「おい、ツナ・・?」

 

バタン。

 

ツナがそのまま帰ってしまい、全員唖然としてしまった。

 

「さっきの話から察するに、そのリングってボンゴレの継承者に渡されるものとかそういう感じか?」

 

「まあそういうことだ。ツナのやつ、逃げれると思ってるのか?」

 

やれやれというふうにディーノがため息をついてるが、まあツナの性格上争いごとには極力関わりたくないみたいだからしょうがないといえばしょうがないし、そろそろ荒事にもなれたらどうだとも思えてくる。

 

「それにしても光努、驚いたぜ。お前イリスのボスなんだってな」

 

「あれ?よく知ってるな」

 

「9代目が言ってたんだ。新しいイリスのボスになったっていう奴のこと。お前の名

前聞いたときは正直驚いたぜ」

 

「あはは、まあ俺もいきなりだしな」

 

「お前俺の家にきたとき無所属って言ってなかったか?」

 

「あの時はまだボスじゃなかったんだよ」

 

そういえばディーノの家に行った時はまだボスじゃなかったんだっけな。

あの時はアイスを貰いに行ったんだっけなー、懐かしいな~。

 

「リボーン、あの二人知り合いだったんだね」

 

「ああ、俺も初めて知ったぞ。リル達は、今日はどうして上から降ってきたんだ?」

 

「光努とあそこのデパートでお買い物してたの。そしたら下でスクアーロ達が戦ってたから下に降り立ってわけだよ」

 

「しかし、偽物渡すとは。こいつの親方ってのは何考えんだか」

 

「いや、光努。あの人のことだからこうなることは読んでた。相当きつい決断だったと思うぜ」

 

「ディーノの知り合いか?その親方様っていうのは」

 

「まあな。つーかこれ直接ツナに渡せばいいのには。あの人、オレと一緒に来たんだぜ」

 

「そーか、あいつ・・・来たのか」

 

「なあ、それでそのあいつって誰のことだ?」

 

じれったそうに言う二人にもう一度問うと、ディーノはにやりとして答えた。

 

「バジルの親方はツナの親父、沢田家光だ」

 

 

まじ?

 

 

 

 

 

 

 

 


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