特異点の白夜   作:DOS

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『よくあることですよ』

 

 

 

 

 

バラバラバラバラ。

 

日本上空で飛ぶ大きな影。

 

一台のヘリコプター。

 

それもアメリカ軍の偵察用に作られた軍御用達の機体。

全体的に丸い期待形状なことから「空飛ぶ卵(フライングエッグ)」の名で呼ばれているような機体である。

しかもこの機体、偵察用なのでステルス性能も搭載していて軍のヘリなので戦闘にも使える。本来は4人乗りだが、この機体は改造が施されているので通常よりもスペックは上がり、2人乗りになっている。

 

そんな機体が空を飛んでいた。

 

「そろそろ目的地が見えてきましたよ!」

 

機体のプロペラの音に負けないように、大きめの声でヘリの操縦士は隣の席に座る人物に話しかける。隣に座る男は閉じていた目を静かに開き、体を起こした。青みがかった黒髪に少し長めの髪。端正な顔立ちで見た目はおよそ20代と思わしき男。後ろにおいていた自分の荷物を背負った。

 

「あ、どうも。じゃあここら辺でいいですよ」

 

「気をつけてくださいね」

 

「ああ、帰りもお願いします」

 

ガラ、ビュウォオオオオ!!

 

男はヘリのドアを開けると、外の風が勢いよく室内に入ってきた。

髪がバタバタとはためく中、男は足に力を入れて――――――――へりから飛び降りた。

 

100メートル程もある高さから飛び降りた男は真っ逆さまに落ちていき森の中にそびえる大きめの木にめがけて落ちた。

 

木に差し掛かった時、両手を木の枝につけ、そのまま体操選手のように回転。落下の威力を殺し、手を離して木を踏みしめながら徐々に降りていき、軽やかに地面に降り立った。男はヘリから飛び降りたにもかかわらず、無傷で地面に到達した。自分のいる場所を懐かしむように、荷物を持って歩き出した。

 

「久しぶりですね、日本」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「暑いなー、早くアイス買って帰ろ」

 

「俺も食いてーぞ、早くしろよダメツナ」

 

「何様だよ!」

 

会話をしながら歩いているのはツナとリボーン。

最近暑いのでツナはアイスが食べたいと思い今からコンビニに行くところ。

リボーンもそれに便乗した。

ツナは暑さとは別に若干苦しそうに歩いている。

 

その原因はリボーン。

 

ツナの腰にはロープが巻かれており、後ろに伸びたロープはキャスターの突いた椅子に伸びており、ツナが歩くたびにカラカラという乾いた音がする。そしてその椅子の上に座っているのはリボーン。

 

ちなみに椅子の形状はビーチチェア型なのでリボーンはサングラスを掛けてパラソルを指してくつろいでいる。それにくらべツナは暑くて重くて苦しそうだ。

 

「ちょ・・リボーン!自分で歩けよ!」

 

「マフィアのボスたるもの、この程度の錘くらいでへこたれんじゃねー。罰として

錘追加だ」

 

そう言ってどこから取り出したのか鉄球のついた鎖をツナの足首に枷で固定した。鉄球には10kgと刻まれていた。

 

「重っ!リボーン!これめっちゃ重いぞ!!」

 

「そりゃ、こんな暑い日に外に出るんだから、足取りも重くなる」

 

「意味が違うよ!リアルに重いよ!」

 

 

「つべこべ言わず、さっさと行け」

 

「うわーん!」

 

リボーン達は、今日も絶好調(?)だった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

そして「7」と看板に書かれたコンビニ。

入口の脇に鉄球が置かれているのが妙なところ。

ツナの足に突いた錘をコンビニ前で外してもらったのである。

 

そして中のツナ達はといえば、

 

「おらぁ!おとなしくしろ!金出せやゴルァ!」

 

 

強盗に選挙されたコンビニにいた。

 

 

「ひいぃ!」

 

「ガキ!おとなしくしてろよ。店員はとっとと金を詰めろ!」

 

黒い覆面をつけた体格のいい大男は大きめのナイフと拳銃を両手に持って店員に命令をしている。

 

ツナは端で縮こまっており、リボーンはツナの横にいる。

 

(リボーン!なんとかしてくれよ!お前なら楽勝だろ!)

 

(あめーこと言うな。ボスになったらもっと大変なことになるぞ)

 

(だから俺は10代目にならないって!それよりこの状況!)

 

(だったらオメーが何とかしろ)

 

チャキ。

帽子のつばに乗っていたレオンを手に載せると、レオンは緑と黒のカラーの拳銃に変わった。

 

ガー。

 

「!」

 

リボーンはツナの額に照準を合わせたとき、コンビニの自動ドアが開いた。

 

「ああ!誰か入ってきたよ!大変だ!」

 

ツナは大慌てで入口を見るが、リボーンの方は珍しく少々驚いたような顔をしていた。

 

「リボーン?」

 

「なんであいつがこんなところにいるんだ?」

 

コンビニに入ってきたのは男性が一人。

灰色の七分丈のシャツを着て、ブラウンのズボンと黒いブーツ。

黒いバッグを肩からかけている。顔立ちに青みがかった黒髪の端正な顔立ちをしたおよそ20代程の男。

 

入ってきて目の前にいる強盗を見て、足を止めた。

 

「これはどういう状況でしょうか・・・」

 

「ちっ、入ったもんはしょうがねえ。てめえも人質だ!大人しくしてもらおうか」

 

強盗はナイフを、入ってきた男に向かっって振り下ろした。

 

「あ!危ない!リボーン!」

 

「大丈夫だ、見てろ」

 

パシ!

 

「いきなり攻撃するとは、危ないですね」

 

「て・・てめぇ・・・」

 

白羽取り。

男は振り下ろされたナイフを右手の指二本で軽々と止めていた。

 

「うそぉ・・・」

 

ツナも唖然としていた・・・・。

 

「このやろぉ!!」

 

もう片方の手に持った拳銃を男に向けた。

 

「あ!銃が!」

 

パァン!

 

「おっと」

 

男が首を傾けると横を弾丸が通過していった。

 

「この!」

 

パンパンパンパンパン。

 

「よっ、危な、い、です、よ」

 

首を軽く動かして続けざまに撃った弾丸が全てあっさりと男に躱された。

 

「あの人すごい!全部よけちゃった!」

 

「あの強盗は銃の扱いが素人みたいだな」

 

「そういう問題!?」

 

この場合扱いが素人でも至近距離から撃たれたら普通はよけられないはずなのだが

ツナはそこまで頭が回らなかった。

 

カチンカチン!

 

「しまった!弾が!」

 

「あれはアメリカ式のリヴォルバー、コルト・ドラグーン。6発しか入らないから弾切れだな」

 

リボーンの解説になるほどと思うツナ。

続けざまに撃ったからすぐに弾切れになった。

 

すっ。

 

男がナイフを掴んだ手と反対の手の平を強盗の顔の横に持っていった。

 

 

パァン!

 

 

突然そんな音がしたと思ったら、強盗はフラフラと揺れて地面に倒れふしてしまった。

 

「店員さん、この人はしばらく目を覚まさないので後は警察に連絡してくださいね」

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

声をかけられた店員はすぐに110番に通報した。

 

「今あの人何したの?」

 

「横から強盗に衝撃を加えて脳を揺らしたんだな」

 

ツナには、男何をしたのかが分からなかったが、リボーンには見えていたようだった。

 

男はこちらに気づいたようにツナの方を見ると「おやっ?」という表情をした。

 

「リボーンじゃないですか。こんなところにいるなんて珍しいですね」

 

「オメーもこんなところにいるなんて珍しいじゃねーか、槍時(そうじ)

 

「リボーンの知り合い?」

 

「まあな」

 

「君は?」

 

「あ、えっと沢田綱吉です」

 

「僕は海棠(かいどう)槍時(そうじ)。よろしく、綱吉君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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