カコーン。
流れる水が庭にあるししおどしに流れて水がたまり、耐え切れなくなった竹の器が岩に当たり、乾いた音を立てながら再び中を空にして水を貯める。
そんなことを繰り返す。
元々ししおどしとは、カラスなどの鳥類に対する威嚇する物の総称。カカシなども含まれるが最近では竹でできた装置のことを指す。
そして日本庭園に置かれ風流を楽しむように設置されるものが多くなってきた。
ここもそんな風流を楽しむために作られたものだと思う。
庭園と言うには少し微妙な場所。
少し高い塀に囲まれたその庭は、塀に並ぶように何種もの木が並び、端の方に少し小さい池にそれにくっつくようにししおどしが備わる。後は岩がいくつもあり、草原のように草が伸びて土が見えない。一応日本的な庭園と言えることもないだろうけど少し野性的する。一体どんな人物が住んでいるのか。
その庭から見える場所にはこれまた日本的な家。縁側から見える部屋の中は畳が敷かれて座布団もある。まさに和風建築の家。
縁側には人影が。
普通より幾分小さい人影。
片方は黒いスーツに黒い帽子、鍔の上にはみどいろのカメレオンが乗っていた。その胸には黄色いおしゃぶりがついており、手には三色団子の刺さった串が握られていた。
もう片方は和服を来て羽織を羽織っている。胸には白いおしゃぶり。手には薄茶色のみたらしがついている白い団子が刺さった串、つまりみたらし団子を手に持っていた。
「(もぐもぐ)この団子うめーな」
「だろ。(もぐもぐ)みたらしもうまいぞ」
座っていたのはリボーンとハクリ。
お互い、暖かい日太陽の日差しにあたりながら団子を咀嚼していた。
***
始まりはリボーンへと送られたハクリの招待状。
ハクリは少し前から光努達が住んでいる灯夜の家に住んでいた。
というわけで光努に学校に行くついでにリボーンに手紙を私てきてーと頼んだのである。
だったら自分でいけよとか、リボーンが学校にいないかもしれないのにいいのかとか、まあ色々と光努的には考えたけど特に断る理由も・・・・・・まあいくつもあったけど別にいいかと考えたのだった。
「実は別の所から来たんだよ、俺ら」
「別の所?」
「異世界みたいな♪」
「!」
ハクリはおかしそうな笑みを浮かべながら団子を持った手をプラプラとさせているが、
(この目・・・嘘を言っていない・・・)
目の奥が笑っていない。楽しそうにはしているが、確かに真実を語っている目をしていた。
「異世界・・・なんてのはあるもんだな。さすがの俺もびっくりだ」
「ま、だからといってこっちから異世界に行ったりするのは不可能。というか今の
俺にもできないしな」
「今の?」
「このおしゃぶりのせいなんだけどな」
おしゃぶりは、つけたものに枷を与える。ハクリおしゃぶりをつけたことにより使えなくなった力には異世界を渡る力もあった。
「光努も異世界人みたいなものか?」
「ふむ、異世界人、人・・・・か。まあそうだな。そんなところ。光努と二人でこ
こに来たんだしな」
「光努の力とかも異世界が関係あるのか?」
「微妙だな。関係あるといえばあるし、ないといえばないし」
(・・・・正直、俺がこんな会話してるのは違和感ありまくり・・・・というかホントにどうなってんだ・・・・)
さすがのリボーンも見た目冷静となってるがいろいろと考えている。
最強の赤ん坊であり、世界一の殺し屋とよばれるリボーンだが、さすがに容量の限界を超える情報だって存在する。
だっていきなり異世界だぜ?しかも嘘か真か見分ける程の洞察力を持っているだけに真実だとわかるから・・・・ホントに大変である。
「実は光努のことについても聞いておきたいんだ」
「光努?」
「あいつ、スペックが異常すぎるぞ」
身体能力、五感、反射神経、光努の力は異常すぎる。
これまでに戦った回数は割と少ないのだが、それでもほぼ圧勝。傷を負ったことなどほぼ皆無。体が頑丈すぎる。というか動きが化物じみてる。
「くく、まあそうだろうな。あいつはここでは特異な存在だしな」
「・・・それはオメーもだろ」
「まあな。まあ詳しいことはまた今度話すが、一つ面白いこと教えとくよ」
「?」
「光努はな、最初は普通だったんだ」
「!」
「まあ周りに比べれば確かに頑丈。身体能力もある。それでも異常とまではいかな
いほどだったんだ。あの身体能力は後で身に付いたんだ。だからといって人体実験をしたわけでもないんだけどな」
(後からあれほどの力を手に入れた?しかも、何もしないで!?)
光努にはまだ秘密がある。ハクリはそれを意図的に隠している。
隠さなければならないほどに重要な秘密なのか。
いや、ただ面白がってるだけか。
「周りがそうさせたんだよ」
「周りが・・だと?」
「いわゆる・・・・環境問題ってやつか?」
「ちょっとちげーんじゃねーか?」
「それと、光努はこれから弱くなるかもしれない」
ハクリの言葉に耳を疑った。
弱くなる。そんなことがあるのか?一度身につけた力が使えなくなるということなのか、それとも・・・。
「どいうことだ」
「ま、かもしれないってだけ。逆に、さらに強くなるかもしれない」
にやり、と笑うハクリにリボーンはぞくりとした感覚を味わった。
滅多に味わわないような、感覚を。
「いやー、楽しみだな。これからの光努♪」
(あれいじょう強くなったらどうなるんだろーな・・・・・)
「あいつ弱くなんねーかな。そうすりゃからかうのが楽になるんだがなー」
「・・・・」
「そうしたら避けるのもすごく楽なんだよな~」
(光努も苦労してんだな)
リボーンはカラカラと笑うハクリを見て光努に同情した。
「で、お前って何なんだ?」
「俺?俺か・・・俺はな――――――」
光努の設定がふわっとしすぎている。
大雑把にしかできてないからしっかりと作ろうかな。