特異点の白夜   作:DOS

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『校内は静かにしましょう』

 

 

 

 

屋上にやってきた雲雀恭弥は光努を見て足を止めた。

そして記憶を探るようにうつむいて思い立った。

少し前、光努が日本に来てすぐの頃リルとコル、そして灯夜の息子である夕輝とともに夏祭りに行った。

 

その時夕輝の財布がひったくりにスられ、光努は追いかけ神社の境内にいたのを見つけた。見つけた時にはツナと雲雀が不良に囲まれている状態。

光努も割って入って最終的には獄寺と山本も来て不良は一掃された。

その際、雲雀と光努が軽くバトったのだが・・・・。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「確か・・・夏祭りにいた君」

 

「・・・ああ、そういえば」

 

「どうしたの、光努」

 

「ほら、夏祭りの時にひったくりあっただろ」

 

「そういえば・・・ああ、光努と雲雀さんってその時会ってたね」

 

「よく考えたら俺たちも光努とそんとき会ってたな」

 

「すっかり忘れてたぜ」

 

マフィアランドで会ったツナと違って、山本や獄寺は一応会ったと言っても不良との戦いの中でチラッと見た程度なので今まですっかり忘れていたのであった。

 

だが雲雀の場合は境内で少し戦っている。

あの時は風紀委員としてひったくりの金を全て没収(もしくは強奪とも言う)しようとした雲雀と、夕輝が財布を盗られたため取り返すのと連帯責任で他のひったくりの金を全て没収(やっぱり強奪とも言う)しようとしていた光努。目的がかぶったので邪魔なやつを排除するために一時的に光努と雲雀は戦っていた。

 

戦ったと言っても共闘じゃなくてお互い邪魔だと思って潰し合っていたのである。

最終的には夕輝の財布を取り返したらもういいかなと思った光努が帰ったので戦いは割とすぐに終わったのだが・・・・・。

 

「まさか転校生だったとはね」

 

チャキ。

にやりと獰猛な笑みを浮かべながら両手にトンファーを取り出して構える。

 

「ツナ、こいつだれ?」

 

「え!」

 

(雲雀をこいつ扱いとか・・)

 

(あーあ、俺知らね。10代目、光努囮にして逃げましょう)

 

雲雀の説明をを聞き終わった光努の感想は・・・。

 

「そのトンファー、どこからだしたの?」

 

「気になるとこそこ!?」

 

「夏祭りの決着、つけようよ」

 

殺気をぶつけてくる雲雀。

光努の方もにやりと楽しそうに笑う。

屋上の中央で対峙する雲雀と光努とそばにいるツナ。獄寺と山本はいつの間にか屋上の端の方に退避して獄寺はツナに手招きしている。

 

(10代目~、こっち来ないと巻き込まれますよー)

 

(で、でも・・)

 

「行くよ」

 

「来い」

 

雲雀はトンファーを振り、光努は蹴りを繰り出した。

 

「ちょっ!二人とも!こんなところで戦うなんて」

 

「だったらオメーが止めてこい」

 

バキ!

ドガ、ドガ!

 

「ぐふっ!ぶへっ」

 

「ん?」

 

「あ」

 

雲雀の振り上げたトンファーと、光努の蹴り上げた足がツナを挟み込むよう思い切り攻撃を当てた。真ん中のツナは思い切り顔が潰れてしまった・・・。

 

「げふっ」

 

どしゃり。

そのまま地面に倒れてしまった。

 

「じゅ・・10代目ー!!」

 

「大丈夫かツナ!」

 

「まったく、情けねーな」

 

ツナを蹴り飛ばして雲雀と光努の喧嘩の真っ只中に送り込んだのはリボーン。

 

黒い帽子にスーツを来て、帽子のつばには緑色のカメレオンを載せた赤ん坊。

そして胸につけた黄色いおしゃぶり。アルコバレーノの一人であり、ツナの家庭教師のリボーン。ツナを蹴り飛ばすなどいつものことなので普通にしれっとしていた。

 

「赤ん坊」

 

「ちゃおっす雲雀。それに久しぶりだな光努」

 

「ようリボーン。お久」

 

「赤ん坊、邪魔しないでくれる」

 

「ちょっと取り込み中なんだ。つー分けで、行くぜ」

 

「来なよ」

 

ドガッ!

 

「うわっ!」

 

「ちっ、あいつら始めやがったぜ」

 

ガッ!ドガガッ!バキ!

光努は雲雀のトンファーを交わして蹴りを入れる。

雲雀は光努の蹴りをトンファーで防御してもう一方のトンファーで光努の体に攻撃を仕掛ける。光努は雲雀の攻撃を、後ろに下がることで躱して下からトンファーを持った手を蹴り上げる。

 

キン!

 

「!」

 

あまりの威力に雲雀のトンファーが宙に飛んだ。

 

パシ!

 

飛び上がって雲雀のトンファーを掴んで上から振り下ろすように雲雀に攻撃する。

 

キィン!

 

「僕のトンファー・・・・」

 

「悪いな♪」

 

トンファー同士がぶつかった。

そこからはお互いトンファーと拳と脚を使って攻撃を繰り返す。

ほぼ全ての攻撃を躱す光努と、トンファーで防御をしていた雲雀だが、トンファーを一つ取られたことにより防御力が落ちて攻撃を多少くらい始めていた。

 

「おいおい・・」

 

「まじかよ、あの雲雀が」

 

「押されてる!?」

 

「さすが、骸を終始圧倒しただけあるな」

 

キィン!

 

再びトンファー同士がせめぎ合う。

 

ガキン!

 

「!」

 

雲雀のトンファーから鉤爪が現れてせめぎ合っていた光努の持っていたトンファーを掴んだ。

 

「ふん!」

 

「うぉっと!」

 

そのまま奪われたトンファーを引っ掛けたまま振り下ろし、光努は思わず手を離して後退。雲雀は腕を振るって引っかかったトンファーをつかみ直して両手で構えなおす。

 

「そうか、光努は雲雀のトンファーの仕掛けを知らなかったな」

 

「これで振り出しに戻ったな」

 

「二人ともすごい」

 

お互いににらみ合って少しじっとしていると、

 

 

キーンコーンカーンコーン。

 

 

「ん」

 

「チャイム?毎回いいところで・・・」

 

「やべっ!休み時間終わりだ!」

 

「ええ!早く行かないと授業に遅れる!」

 

「別にいいんじゃねーすか?」

 

雲雀は授業に出ていないので普通に佇む中、ツナと山本、一応獄寺も屋上から出て教室へ行こうと入口に向かう。

 

「お先っ!」

 

「ちょっ!光努」

 

「またなー、雲雀ー!あ、リボーン。これうちの居候から」

 

リボーンに白い封筒を投げつけて走る。

走り出したかと思ったら屋上の柵を飛び越えて下に落ちた。

 

「ええ!!」

 

「光努ー!!」

 

柵から身を乗り出してツナ達が下を見ると、下の方で教室の窓から中に入る光努が見えた。

 

「「「・・・・・」」」

 

ツナ達は唖然として声が出なかった。

 

雲雀は帰り、教室に戻ったツナ達が先生に怒られる中、普通に席に座ってこちらに手を振ってる光努と、そんな光努を見ている教室の皆を見てツナ達は引きつった笑みを浮かべていた。

 

ちなみに教室の皆は窓から光努が入ってきてめちゃくちゃ驚いたそうだ・・・。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

雲雀が屋上から出て、一人屋上に残ったリボーン。

その手には一つの封筒が握られていた。

その捺印にはおしゃぶりの模様が刻まれていた。

 

「あいつからの・・・招待状か」

 

それは招待状。

白いおしゃぶりを持ったアルコバレーノ。

異世界より渡ってきた男、ハクリからの招待状だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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