特異点の白夜   作:DOS

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ツナ達がヤクザとバトっていたその頃・・・・・・。


『困ったときはお互い様』

 

 

 

 

 

 

「へぇ~。ツナの家行ってたのか」

 

「うん!面白かった」

 

「楽しかった」

 

リルとコルとルイがツナの家に行った日の夜、食卓で夕食をとっているイリス&黒道ファミリーの皆。ちなみに今日の夕食のメインデッシュはハンバーグだ!

 

ていうかリルとコルの友達がツナの知り合い、というかツナの家の居候だったとはな。世間って意外と狭いなー。ランキングが得意な少年らしいから今度俺もランキングしてもらおうかな。

 

それにしてもリルとコルはどこでも小太刀持ってるんだな。どこにしまってたんだろうか。

 

「灯夜、リルとコルっていつも小太刀持ってるのか?」

 

「ん?ああ。武器は肌身離さずと言われているからな。まあ力半分ってところでちょうどいいだろ」

 

「力半分?」

 

「ああ。リルとコルの剣刀術は本来二刀流だけど、二人ともまだ子供だから一刀しか使ってないんだ。もう一本の剣はお預けってところだ」

 

知らなかった。あれで全力じゃなかったてことか。全力だけどまだ上があるらしい。あの技は刀一本でも使用できる技だけど剣を増やしたらもっと強い技になるらしい。リルとコルはまだそこまでできない、というか2本は重くてまだ扱えないらしい。今は一刀でも扱える太刀技を教わっているらしい。

 

「そういえば話を聞く限りルイは何してたんだ」

 

「そういえばどこいってたの?」

 

「そういえばどっかいったよね」

 

「そういえばを連発するな。そうだな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

ルイがリルとコルをツナに任せて一人でツナの家をあとにしたとき、考えたことといえば。

 

(どこで休憩しようか)

 

すでに散歩とかそういったことは考えずに休憩所を探していた。

 

 

だがよく考えて欲しい。

 

 

ルイは研究所からイリスの母屋に行く道(大体300メートルくらい)の途中で力尽きて倒れた。別に虚弱とかではないのだがただ疲れやすいだけ。

つまり、

 

「疲れた・・・・」

 

ルイはいつもどおり道端で倒れていた。

 

「・・・やっぱ綱吉の家で寝てれば良かったかな・・・・」

 

とぼやいていたら、

 

「お!あんた大丈夫か?」

 

「ん・・」

 

ルイの前に人影が当たったことにより、声をかけた人物を見てみると少年が一人。黒髪の短髪で部活帰りなのかジャージを来て肩に野球バッドのケースを背負った少年。

 

ルイは少年に起こしてもらい、肩を貸してもらった。

 

「誰かは知らないが親切にどうも。俺はルイ」

 

「あはは、困ったときはお互い様。俺は山本武。よろしくな」

 

ツナ達が獄寺と会っていたころ、ルイは山本と会っていた。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「武というのか。済まないな。どうにも疲れやすくてな」

 

「はは、気にしないでくださいよ。それにしてもルイさんってここらじゃ見かけな

い顔っすね」

 

「俺は少し前にここら辺に来たんだ。それよりその格好。部活とか行くんじゃないのか?」

 

「ああ、終わって帰るところだったんで問題ないっすよ。それより疲れてるんなら家で休みますか?」

 

「そうか、悪いが頼めるか?」

 

「了解」

 

部活帰りの山本に拾われてルイはとてもラッキー。

そんなわけで休憩所は山本の家、『竹寿司』となったのであった。

 

そして山本の実家、竹寿司にて、

 

ガラッ!

 

「ただいまー」

 

「おう武!帰ったか!ん?そっちの兄ちゃんは?」

 

山本が寿司屋の正面から入ると威勢のいい声が聞こえる。

 

回転寿司ではなく、本格的な寿司屋。カウンターの中にいたのは、手ぬぐいを額に巻いた男性。山本武の父親である、山本剛だった。

 

「ああ、道端で倒れてるの見つけてな。少し休ませてやってもいいか?」

 

「そういうことならいいぜ!なんなら元気つけるために寿司食ってくか?」

 

「日本に来たら寿司は食べてみたいと思ってたんだ。頼んでいいか?」

 

「あいよ!」

 

山本(父)は寿司を握り始め、ルイはカウンター前の席に座り、山本(武)は中に入って寿司屋の格好をして出てきた。

 

「寿司はあまり詳しくないが、確かトロとかいうのがうまいと聞いた」

 

「トロね。あいよ!」

 

と言ってシャリを掴み、ネタを乗せ素早く、それでいて丁寧に握る。

 

「へい、お待ち!」

 

ルイの前にトロの握りをゲタとも言われる足のついた板の上に乗せて差し出す。

ルイは寿司を掴み、小皿に載せた醤油に少しつけて口に入れる。

 

噛めば噛むほど甘味が広がり、醤油と中に付けられたわさびがよいアクセントとなり、寿司の風味を引き立てた。ルイは初めて食べたトロを味わった。

 

「・・・うまい!初めて食べたけど、うまいぞ!」

 

「ありがとよ!次は何にする?」

 

「そうだな、次は―――」

 

ルイは初めての寿司屋を堪能するのであった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「親父ぃ!」

 

「あん?どうした武」

 

ルイが寿司を堪能しつつお茶をすすっていると、奥にいた山本武が店に入って山本父を呼んだ。山本父は何事かとおもい聞いてみると、

 

「冷蔵庫が冷えてねーんだ!」

 

「何ぃ!?」

 

「もしかしたらショーケースの方も・・」

 

「な!・・・冷えが止まってやがる!」

 

竹寿司には奥にある大きな冷蔵庫とカウンターの前にあるお客からネタの見えるショーケースに冷蔵機能がついているものとあるのだが、その両方が一度の壊れてしまった。まだまだ生物が多量に入っており、夏が終わったばかりとはいえまだ暑い今時の時期には生物を冷えていない場所に放置は大変危険。

 

食事処で食材が保存できないのは大問題であった。

 

「大変だ!すぐに業者に連絡しねぇと!」

 

山本の父はバタバタとすぐに奥に向かう。

 

「ワリーなルイさん。ちょっと待っててくれ」

 

「冷蔵庫の故障か?」

 

「ああ、ネタはまだあるんだが冷えないと」

 

「なあ武。その冷蔵庫、少し見せてくれないか?」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

カチャカチャ。

 

竹寿司のカウンターの中にて、ルイはショーケースの冷蔵機能を工具片手に弄っていた。

 

「どうだいルイくん」

 

「直るんスか?」

 

「ふむ・・・・・直った」

 

「本当かい!」

 

「すげー!」

 

ルイが直し始めてからわずか30分程で奥の冷蔵庫とショーケースの冷蔵機能は無事に直った。ついでに改造を施して瞬間冷凍機能をつけつつ燃費をよくなるようにした。まあ瞬間冷凍の機能が役に立つのかわからないのだが。

 

イリスの研究所の主任を任せられているルイにとっては、家電製品を直すことなど造作もないことなのであった。ちなみに工具類は日頃から持ち歩いている

 

「ありがとよ。助かったぜ!」

 

「ルイさんってすげーんだな!」

 

無事に直り、山本親子はお礼を言う。

 

「助けてもらったからこれくらいお安いよ」

 

そして、寿司を食べて山本に礼を言ったルイはそろそろ時間だなと思い、挨拶をしてツナの家に帰るのであった。

 

余談だが、山本のバッドに改造を施して灯台並の懐中電灯にするという無駄にすごい機能を付けて『山本のバッド・改』にしたのは本当に余談である。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「いいな~、あたしもお寿司食べたい!」

 

「まさか山本の実家に行ったとはな。俺も今度行きたいな」

 

「トロがうまかった。あとイクラとかウニとか」

 

「僕も食べたい・・・」

 

ルイの話を聞いて光努とリルとコルが寿司を食べたがった。

光努は今度行こうと再び決心するのであった。

 

「それで光努は何してたんだ?」

 

「ん?いろんな会社回ってた。ボス巡りの次はイリスの傘下の企業巡りだよ」

 

「ま、頑張れよ」

 

「そういえばルイもいくつか会社を担当してるんだよな」

 

「そうだな。自動車とか工場とか機械系をちょっと手伝ってるくらいだな」

 

イリスファミリーの研究主任兼、あちこちの会社の総合研究主任みたいな?

ちょっとどこらじゃなくてかなり重要な役職だった。

 

といってもルイの性格上、実際に会社の方には行かないで作業をしているのである。コンピューターも扱えるのでノートパソコン一台でいろいろとできるらしい。興味が出たらめちゃくちゃやるんだけど・・・・。

 

「あれ全部灯夜ひとりでやってたんだろうか」

 

「まあ会社ごとに優秀な社長がいるから企業のトップがいなくてもそれなりに回るんだよ」

 

「なるほど。そういえば灯夜って代理だったんだよな」

 

「まあ本来は必要なんだけど、そこはちゃんと仕込んでいたらしいからな。後はお

前がどうするかだな」

 

「期待してろ。イリスをもっと大きくしてやるよ」

 

ルイに対してにやりと笑う光努。

それに対してルイは、「ふっ」と笑いながら残りのハンバーグを口に入れた。

 

「うまっ」

 

今日も黒道家のイリスファミリーは平和であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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