特異点の白夜   作:DOS

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『決着―灰色の城―』

 

 

 

 

檻を破壊して外に出たら、城の中だった。

当たり全て灰色の空間。モノクロの城という不思議な空間。

所々、壁や床に"六"という文字が壁紙のように貼り付けられている異常な場所。

この壁の文字がなければ結構綺麗な城だなと思いつつ。

 

「六、か。骸の仕業だな。分かりやすい」

 

不思議とすぐに理解できた。

 

長い廊下を歩いていると、大きな扉が見えた。

 

モノクロの扉。

 

取っ手を掴んで開いた。

 

その部屋は立体の半円、つまりドーム状の形で広い部屋。

周りの壁にはたくさんの額縁に入った絵がかかり、床にはいくつもの、大きさの様々な彫刻が置いてあった。小さい手のひらサイズの物。巨大な標本のような大きさの大きいもの。

 

「この絵、それにこの彫刻」

 

大きな恐竜の彫刻。奇妙な空中庭園の絵。羽を広げたドラゴンの彫刻。洋風な町並みが描かれた絵。見覚えがある。

 

全て灰色の空間の中、中央にあったのは炎。

中央にある燭台に灯っているのは白い炎。静かに燃える透き通るような炎。

 

「この炎は、前に石の小屋で見たときの」

 

近寄り炎に触れたとき、光が部屋を包み込んだ。

 

「クッ!これは!」

 

白い光。光がやんだとき、異変が起こった。

 

「これは・・色が」

 

白い炎を中心に、周りに色が現れた。

 

絵は鮮やかに、彫刻は迫力をマシ、城の中には人がいないが活気が戻ってきたように、あるべき色が広がり全てを包み込んだ。

 

それと同時に、壁や床にある"六"の文字も消えていく。

 

「!この感覚。骸の力が消えていく」

 

中央の炎が激しく燃え盛る。

そろそろここともおさらばだな。

 

「さて、骸。人の体を乗っ取りやがって。少々覚悟してもらおうか」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

バキン!

 

「クッ!」

 

「どうした骸。お前の切り札はその程度か?」

 

光努の蹴りに、防御に使った骸の棒は真ん中から粉砕され、2本に分かれた。

一度後ろに跳んで距離をとった骸に、同様に前に跳んで接近した光努の拳が骸の腹を打ち抜いた。

 

「グッ!」

 

二人とも同じ方向へと跳んでいたことが幸いしたのか光努の拳の威力は下がり、骸は少し飛ばされたが着地して態勢を立て直した。

 

「はあぁ!」

 

2本となった棒を巧に操り、人間道で強化された修羅道以上の格闘能力で光努に襲いかかる。腕をなぎ払うように、左腕の棒を振るうが光努はしゃがんだだけですぐに躱す。だが骸は左腕で薙ぎ払う威力を加えたまま円を腕で描くように右腕の棒を突くように光努の顔に攻撃する。

 

ガッ!

 

「光努!」

 

「大丈夫だ。見てみろ」

 

 

ギリギリ。

 

「君は本当になんなんですか?実はサイボークとか言いませんよね?」

 

安心しろ、それはない(あんひんひろ、ほれははい)。」

 

骸の棒(鉄製+人間道強化+遠心力を利用して威力増大)を歯で受け止める光努。

今のは威力的にも申し分ないが、光努に受け止められてしまった。

 

「・・・・リボーン、光努は人間だよな?」

 

「・・・そうだな。俺も若干疑わしくなっちまったな」

 

ガッ!バキ!

 

そのまま噛み砕く。

 

「クッ!君はワニか何かですか?」

 

「はっ!言うにことかいて鰐かよ!ひでーな」

 

ガッ!ドス!ヒュヒュッ!ドッ!

 

一方的。

骸の格闘能力は明らかに一般人を超えた修羅道の上を行く人間道によりかなり強化されている。骸の能力はいくつもの危機を乗り越え、何人も倒してきた為実践で証明されている。が、それ以上の存在がいた。

 

憑依弾を無効化され、幻覚も効かず、格闘能力も効かない。

骸には、勝てる要素がなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ」

 

骸は地面に膝をついて荒く息を吐く。

光努は骸の前方に立って笑っている。

お互いに対した怪我はないが肉弾戦で戦い続けたことにより、疲弊していた。

骸は疲れている様子だが、光努は全然余裕そうだから全員「やっぱり機械か何かじゃないのか?」と思い始めているのは置いておこう。

 

「クフフ、参りましたね。これでは僕の理想が遠ざかってしまいます」

 

「お前の理想?」

 

「そこのボンゴレ10代目を乗っ取ってファミリーに殴り込み、マフィア間の抗争を起こすことですよ」

 

「「!」」

 

「マフィア間の抗争がお前の目的か」

 

「クフフ、まさか。それだけではありませんよ。僕はこれから世界中の要人を乗っ取っとり、この醜い世界を美しい血の海に変える。世界大戦・・・何てベタですかね」

 

「・・・・・」

 

「だが手始めはマフィア。マフィアの殲滅からです」

 

「明らかに私情混じってるな」

 

「クフフ、そういえば白神光努。君はマフィアらしいのですがどこのマフィアに属

しているのですか?」

 

「イリスファミリーだ。知ってるか?」

 

「ほう!大企業のイリスファミリーですか。これは面白い名前を聞きましたね。もしかして君は沢田綱吉のようにそこのボスとでも言うのですか?」

 

「よくわかったな」

 

「・・・・・・・・・」

 

骸が固まってしまった。が、すぐに気を取り直してにやりと笑う。

 

「クフフ、ハハハ!まさか、君がイリスのボスとはね!そこのボンゴレもですが、強大なマフィアのボスがまさかまだ中学生とは!これは傑作ですね!」

 

「ハハハ!俺もそう思うよ、骸!ハハハ!」

 

笑い合う骸と光努にツナとリボーンは若干呆れ気味。

二人してひとしきり笑いあったら「ふぅ」と息をついて止める。

 

「行くぞ、骸。御終いにしてやる」

 

「やれるものならやってみてください、よ!」

 

骸から現れたのは黒い骸。これは骸の幻覚。

骸からまるで幽霊のように出てきた真っ黒な幻覚は光努に一直線に向かっていった。

 

ぐしゃり!

 

「気づきましたか」

 

「骸、お前幻術の精度落ちてねーか?なんか霞んでるぞ」

 

「「「!」」」

 

骸は幻覚の中に石を潜ませていた。幻覚は見破っても壁として、後ろにある礫に気づかせないようにしたもの。幻覚ならと素通りさせたところで本物の攻撃が当たるという仕組みだったが、光努は手を伸ばし、飛んできた石を掴んで握りつぶした。

そして光努の言葉に三人とも耳を疑った。

 

(今の骸の幻覚の威力は、地獄道よりも向上している。俺には威力が落ちてるようにみえねーが・・・)

 

「幻覚が落ちているとは、言ってくれますね」

 

光努に接近して骸は蹴りを放つが光努はその蹴りを片手で受け止めた。

 

「ぐっ!」

 

「おらぁ!」

 

片手で受けた足を両手で掴み、骸を上空へと投げつけた。

上空へと投げられた骸は態勢を立て直したが、すぐ目の前には光努が接近していた。

「歯ぁ食いしばれよ、骸!」

 

骸の腕を掴んで、一本背負いをするように地面へと投げつけた。

 

ドォン!!

 

地面にクレーターを作り、土埃を上げながら骸が激突した。

 

「ぐふ・・。クフフフ・・・これは勝てそうにないですね・・・殺せ、君達マフィアに捕まるくらいなら死を選ぶ」

 

「骸、潔いいな。だがお前の目はそうは言ってないぞ」

 

骸の瞳に諦めの色はなく、隙を見せれば襲いかかるような獣の目。

光努はそれを感じ取った。

 

「!・・・・クフフ、お見通しですか・・・・ならば、やはりお前たちを潰すしかないようですね!」

 

起き上がり、最後の力をだし、光努に攻撃を仕掛ける。

 

ドゴオ!

 

「がはっ!」

 

下から顎を蹴り、骸は上空へと打ち上げられた。

 

「ツナ、お前の炎の出番だ」

 

「ああ、任せろ」

 

ツナが両手を下にして構えると、グローブにまとっていた炎が勢いよく吹き出しツナはジェット機のように上空へと飛んだ。そして上空にいる骸の上まで飛んでいった。

 

「な、炎を噴射だと!」

 

「そうだぞ、骸。光努に憑依した時にツナがお前の背後に回ったのは、死ぬ気の炎の推進力を使った高速移動だぞ」

 

ツナの炎を纏った手が、骸の右目を塞ぐように顔を掴み、もう片方の手の炎を噴射した。

 

「うわあああ!!!ああ・・・・あ・・・」

 

ツナの炎に触れた骸のオーラが消えていく。

 

「死ぬ気の炎が骸のどす黒いオーラを浄化したな」

 

「すごいな、あの炎」

 

ドゴオ!

 

そのままツナは骸を舞台横へと叩きつけた。

そこにいたのは、静かに目を閉じて倒れる骸と、そばに佇むツナだけだった。

 

ピキピキ、パキィン!

 

壁に突き刺さっていた骸の三叉槍の先が自ら崩壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 





ようやく骸を倒したー!

後少しで骸編も終わりだな。

ヴァリアー編の前に色々と書いておかないと!

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