特異点の白夜   作:DOS

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『切り裂き王子と赤ん坊はダーツの的に少年を選ぶ』

 

 

 

 

ベルside

 

「おいおい・・なんなんだよこいつは」

 

「刺さったナイフの全身を壁に押し込んで無理やり自分のナイフを的の中央に当てるなんて・・・・・随分と乱暴な力技だね」

 

マーモンの言うとおりだぜ。

俺のナイフを壁に押し込むなんてこのガキ、一体どんな力してんだよ。

つーか普通ありえねー。

 

「次はそっちの番だ。投げていいよ」

 

「・・・・・・」

 

どーすっかな・・・・さすがに俺でも壁にナイフを全身埋めるのは難しいぞ。たださえこのアジトは敵に奇襲されても大丈夫なようにある程度は頑丈に作られてるのに。

 

ベルの頬を一筋の汗が流れる。どうするか考えてると。

 

「休憩中失礼します!!ベルフェゴール様、マーモン様、侵入者が現れました!!」

 

部屋の中に隊員が一人入って来た。あれはレヴィの雷撃隊のやつだったな。侵入者ってもしかして・・・。

 

「侵入者って、もしかしてこいつ」

 

俺と勝負中のガキを指して聞くと。

 

「はっ!おそらく!レヴィ隊長は白髪の子供と言ってました!!」

 

「ふーん。つーことは殺っちゃっていいのか」

 

ナイフを取り出して狙いを定める。

 

「侵入者とは人聞きの悪い。開いてたから入っただけだよ」

 

「それを侵入者って言うんだよっと!!」

 

俺の投げた複数のナイフが侵入者であるガキに向かって飛んでいった。

 

 

ベルside out

 

 

 

光努side

 

 

やっぱり侵入者扱いされちゃったよ。ただ開いていた窓から入っただけなのに(注・それを侵入といいます)

 

向こうはナイフを投げてきた。全部で10本程もあるけど大した量じゃないな。

 

戦利品の傘を使ってひとまず全部叩き落とした。

 

「ん?あれってレヴィのパラボラじゃね?」

 

「そうだね。レヴィはやられたのかもね」

 

「ししし♪だっせ。俺が仕留めといてやるよ」

 

「大丈夫なのかい。あいつ、力は大したものだよ」

 

「全然余裕♪」

 

そう言って今度はナイフを持って接近してきた。

何度か攻撃してきてわかったけど、所々急所を狙ってくるあたりやっぱりこいつらは殺し屋とかかな。

そう考えてるあいだにも何度も攻撃を避け続ける。

 

「そういえばお前らって何者?」

 

「しし、それはこっちのセリフだよ。お前何者?」

 

「白神光努。以後よろしく」

 

「ま、誰だろうと関係ないけどな」

 

再びナイフを使って攻撃を仕掛けてきたけど途中で止まった。

 

「マーモン!!手出すなよ!」

 

「まどろっこしいからね。ボクがやってあげるよ」

 

 

光努side out

 

 

 

 

ベルは立ち止まった。目の前に多くの数百本に及ぶナイフが中に現れたから。マーモンによる幻覚。

 

ここでうかつに動くのもまずいかもしれないと思い一旦立ち止まるが納得ができない。

 

「俺の獲物だ。よこせ」

 

「攻撃が当たらないじゃしょうがないよ。ボクが早く仕留めてあげるよ。もちろん金は取るけどね」

 

「お前ら殺し屋?仕留められる筋合いはないと思うけど」

 

「ししし、ここに入った時点でゲームオーバーだ」

 

「この幻覚の中じゃ打つ手がないよ。じゃあね」

 

マーモンがそう言うと周りに会った数百本のナイフが全て光努に向かっていった。

 

「俺もいるんだぜ!」

 

ベルも自分のナイフを投げつける。全てのナイフが光努に向かって飛んでいき光努は、

 

パシ!

 

「ぬ!!」

 

「あれ?」

 

光努はベルの投げたナイフを掴んで止めた。それよりも驚いたのはマーモンの幻覚などまるでなかったかのように本物のナイフだけを掴んだことだ。

 

マーモンが幻覚で作り出したナイフは全てベルのオリジナルナイフと同じものであり、一見して見分けるのは難しいはずなのに。

 

「ボクの幻覚が効いてない?そこそこやるみたいだね」

 

「ししし、役に立たねーじゃんかよ。俺にまかしとけよ」

 

ナイフを何本も投げつける。しかし光努に当たらず、壁や天井に刺さる。

 

「ベル、あれやる気だね」

 

「ししし、容赦しねーからな」

 

「当たってないけどね」

 

「ししし♪」

 

「ん!?」

 

光努の服の袖に切れ目が入った。ベルのナイフは全部的外れの方向に飛んでいったのに勝手に切れたのに、光努は驚いた。

 

「これって・・・・糸?」

 

「当ったり~。意外と早く見破ったけど、もう遅いぜ。お前、逃げられないよ」

 

光努の周りにはナイフの柄に取り付けられた極細のワイヤーがあたりに張り巡らされて囲っていた。触れれば切れるワイヤーの罠。これで躱したらワイヤーに切り刻まれるということだ。

 

「つーわけで、ばいばい」

 

何本ものナイフを周りから一斉に投げる。今度は幻覚ではないのでよけなくてはならない。しかし避けては糸に当たる。光努は、

 

「横もダメ、上にも糸。ならば」

 

 

ドゴオオオォン!!!

 

 

耳をつんざくような激しい音が部屋に響いた。そして部屋には激しい土埃が充満した。

 

「ぐっ!何が起こった!!」

 

「ぬぬ!ベル!下だよ!」

 

ベルが下を見てみると床には大穴が開いていた。かろうじて見えた光努の動作は、大理石の床を素手でぶち抜いた。よけられないなら床に穴を開けるという随分と激しい荒業にでた。

 

「とんでもねーことしてくれるな。つーか・・・この下って確か・・・」

 

「・・・・・・ボスの部屋・・・・だね」

 

「・・・逃げよ」

 

「・・・ボクも」

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

瓦礫の落ちた先にある部屋にて。瓦礫がおちたせいで土埃が大量にここでも舞って、視界が何も見えなかった。そんな中で瓦礫からでてきた光努。

 

「いや~、一階だけしか突き破らなくてよかった。それにしてもここは一体なんの部屋?」

 

周りを見渡して見ると、豪華な部屋。さっきの部屋や廊下なども十分豪華な作りになっていたがこの部屋はさらに調度品や壁やその他家具までいろいろと豪華となっているが今や瓦礫と泥とほこりによってボロボロとなっているが。

 

「高級そうな部屋だから社長室かなにか?・・・・・人の気配、しかもこれは・・・・怒ってるっぽいな・・・!!」

 

殺気を感じて光努はその場から飛び退くとさっきまで光努のいた場所の瓦礫が消し炭と化した。

 

 

 

「うるせぇぞ、ドカスが」

 

 

 

 

 

 

 

 


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