そして帰ってきた日本。日本とイタリアの距離をブラックバード飛ぶと少しゆっくり飛んで5時間くらい。中々楽しいところだったな、ジッリョネロファミリーと仲間たち。マーレリングとおしゃぶりについてはかなり興味があったけど、まあそこはおいおいってことで。
「やっほぅ!光努お帰りー!」
「ごはぁ!」
帰ってきて玄関のドアを開けるなりミサイルのごとく飛んできたリルが腹に思い切り当たった。地面を蹴って後ろに飛んでリルを受け止めて空中で一回転して無事に着地!
「よう、リル。元気だったかー」
「うん!遊ぼ!」
「コルはどうした?」
「朝菜と夕君と一緒にお買い物に行ったよ」
「そうか。ルイは?」
「寝てるー!」
「まあここは予想通りだな。さて、何する?」
***
今日は日曜だしのんびりするかねー。
そういえば結局黒曜中はいろいろとあれだから別の中学に転校することになったんだよな。まあ確かにあの学校閉鎖状態はなかなかにいただけなかったからな。骸達は面白かったけど俺も学校生活を送りたいからね。
明日になったら骸たちに転校するよって挨拶しに行くか。
「そういえば光努」
「ん?何?」
「お前なんで黒曜ランドなんて行ってたんだ?あそこ今は廃墟になってるそうじゃないか」
「ああ、不良が溜まってたからリーダーってのに会いに行ってた。中々面白かったよ」
「いいなー、私も行きたいなー」
「やめといたら~」
灯夜の問に答えるとリルが目を輝かせてコルがなだめる。そしてそばの畳の上でルイがぐで~ってしているのは日本の黒道家に来てからよく見かける光景。その光景を楽しそうに見る朝菜に、そして今はそばでお昼寝中の夕輝。なかなかに平和な家庭が続いてるのであった。話してる内容は結構ちょっとアレだけど。
「ちょっと戦闘になったけど面白かったよ。一番は骸ってやつだな」
「ムクロ?そいつって、六道骸のことか?」
「そうだけど、よく知ってたな」
「そいつ、結構凶悪な脱獄囚だぞ」
「脱獄囚?」
六道骸。
灯夜に聞いた話では、少し前に凶悪なマフィアばかり収監されていた監獄で、その場にいた人間を皆殺しにして脱獄。その後、部下二人ととも日本に渡ったという。リーダーの少年の名前は、ムクロ。
「確かどっかの中学に3人の帰国子女が転入したらしく、そのうちの一人が六道骸というらしいが。そうか、黒曜中にいたんだっけな」
「ホントに脱獄囚か?中々丁寧なやつだったぞ、口調は」
あ、そういえば犬と千種は丁寧といえば微妙だ。千種はまだマシだけど犬は丁寧とは正直言い難いな。ま、明日になったら挨拶ついでに聞いてくるか。
骸ー、お前って脱獄囚なのー?ってね(笑)
***
そんなこんなで休み明け。
さてと、この黒曜の制服もこれで着おさめだな。
今日は黒曜生生活最後らしく過ごすか。学校はまだ閉まってるけどな。
そんなこんなでやってきたのは並盛り商店街。
なんでこんなところに来たかって?何か爆発音がしたから。花火にしてはそれらしい影は見えないからちょっと気になってな。
そして見てみると・・・・・千種?
そこにいたのは間違いなく骸の部下の柿本千種。
ニット帽にメガネに猫背でオカッパでヨーヨーを持ってる千種だ。
誰かと喧嘩(そんなレベルじゃない)中だな。相手は、別の中学の生徒か。
銀髪で真ん中分けの少年。
少し不良っぽい感じで手にはダイナマイト・・・・・・・ダイナマイト!?
最近の中学生は物騒だな。
ヨーヨー対ダイナマイト。文字だけ見るなら普通にダイナマイトが圧勝だけど、そこはさすが千種。ヨーヨーから針を飛ばしたりヨーヨーを投げて導火線を切ったりと相手を追い詰める。
が、そこへ遠近法のトリック。銀髪の投げた二種類のダイナマイト。
片方は普通の大きさのダイナマイト。もう片方は手のひらで覆える程小さいダイナマイト。
普通の大きさのダイナマイトを千種から少し遠く、小さいダイナマイトを千種とすれ違いざまに千種の近くに投げる。すると人の目線は近くにあるものを大きく、遠くにあるものを小さくみえるようなっているため、銀髪の計算通りに小さいダイナマイトは普通の大きさのダイナマイトと同じの大きさに見えるようになり、千種からみて投げられたダイナマイトは全て同じ大きさ。
これにより同じように遠くの導火線を切ろうとして、近くにある小さいダイナマイトの消火に失敗。至近距離で爆発を食らってしまった。
そして爆発を食らって遠くのダイナマイトの消火に失敗したことにより、必然的に全てのダイナマイトを食らってしまった。
ありゃ痛そ~。いくら千種でも無事じゃすまないな。
「ん?何だてめーは」
あ、こっち見た。
「黒曜の制服。てめーもメガネも仲間か!」
「ああ、いや。俺は」
「果てろ!」
どこからか取り出した大量のダイナマイトを一気に俺に向かって放る。
ダイナマイトか。これは危ない。まあ安全地帯に逃げますか。
ドオォン!!
「ふ、ボンゴレナメんじゃねーぜ」
「残像だ(笑)」
「なっ!」
バシ!
ガクン!
足カックン。懐かしいな、これ。
「てめっ!いつの間に後ろに!何しやがった!」
「何と言われても」
ダイナマイト落ちてくるの時間が(2,3秒くらい)あったし、普通に動いて火の元が飛んでこない銀髪自身の後ろに来てついでにカックンしただけだけど。
「普通に移動しただけだけど。だってダイナマイト落ちてくるのに時間あるし」
「うっ!(グサッ!)」
ちょっとダメージ受けたみたいだ。どうやら少し気にしてたみたい。
「獄寺君!!」
「なっ!10代目!どうしてここに!」
どうやら銀髪爆弾野郎の名前は獄寺というらしい。
というかあれツナだな。なぜこんなところに?
説明を聞くと黒曜生がこの獄寺を狙っているらしくてツナが心配で探しにきたそうだ。今ってツナの通ってる並盛中の奴らが次々襲われてる危ない時らしい。
一体誰がそんな辻斬りみたいなことしてるんだろうな。
あ、ツナこっち気づいた。
「て、光努!なんでここに!?ていうか、それ黒曜の制服!もしかして並中生襲ってるのって光努の事!」
「いや違うけど。そこの獄寺と今戦ってたのはそこで燃えてる千種だ」
と言って指差すと地面に焦げ跡があったけど千種がいない。
どこに行ったのかと思ったけどすぐそこにいた。めちゃくちゃボロボロで重症だけど。
「ひいぃ!」
ツナビビリすぎ。まあ確かに燃えて爆発してボロボロのゾンビみたいなのが来たらホラーだけどな。
「大丈夫か、千種」
「おまえは・・白神光努・・・・骸様が探してた・・・」
「そうか、まあ後で行くつもりだし。喧嘩も程々にしておけよ」
(光努!これ喧嘩ってレベルじゃないでしょ!ていうか知り合い!?)
ヒュッ!
ツナを狙った千種のヨーヨーから飛び出た針が、ツナをかばって獄寺につきささり、出血多量で倒れ、気を失った。
「10代目・・・逃げてください・・・・」
「獄寺君!大丈夫!!」
「光努とボンゴレ・・・壊して・・連れて帰る」
俺も対象に入ってるのか。
ヒュッ!
俺より先にツナを狙って針を飛ばすがそれは当たらなかった。
ビビって動けなかったツナだが、横から滑り込んで来た人物がツナを掴んで針を無理やり避けさした。
「フー、滑り込みセーフってところだな」
「山本!」
現れたのは、黒髪に短髪、ツナ達と同じ制服を着てカバンに野球バッドのケースを背負った少年。山本と言うらしい少年は人懐っこい笑顔でツナを助け出した。
が、すぐそばに倒れている獄寺を見て笑顔を潜め、怒りをあらわに千種を睨む。
「邪魔だ」
シャッ!!
キン!!
今起こったことをありのまま話す。千種が投げたヨーヨーを山本がケースから出したバッドで真っ二つにしたらバッドはなく山本は刀を握っていた。
何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった・・・催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ・・・・・。
まあ見たまま言えば千種が投げたヨーヨーを山本が真っ二つにしたのはそのまま。山本がバッドを取り出して振り切るとき、変形して刀が中から出現、振り切った時には立派な刀が出来上がっていた。どうやらあのバッドは素早く降ると刀に変形する機能を持っているらしい。
あ、超スピードが原因とかで説明できたよ。まあいいか。
しかしヨーヨーが切られたらさすがの千種もなすすべないな。
どうするのかと思ったら自分の獲物じゃないとか言って帰っていった。
犬の獲物とか言ってたな。まあ詳しいことはここにいるツナたちに聞いてみるか。
あとこっそりと手紙を書いて千種の帽子の中に入れておいたので帰ったら誰か気づくだろうな。
さてと、獄寺をみんなで運ばないと。応急処置しておくか。