特異点の白夜   作:DOS

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ちょっとした番外編。

次からはまた骸編続きます。


『共鳴する海と花』

 

 

 

 

「たっだいまー。灯夜ー、帰ったぞ」

 

「光努か、出かけるぞ」

 

家に帰ったと思ったらすぐに出かけると言う。

少しはゆっくりしたっていいじゃないか!つーか骸達おいてきちまったよ。

 

「それで、どこ行くんだ?」

 

「ん?ジッリョネロファミリー」

 

ああ、またどっかのボス巡りか。

イリスに入ってから定期的にあるボス巡り。

今までボンゴレ以外にはいくつか回ったよ。世界中に。

 

「ていうかそれ日本じゃねーよな。どうやっていくんだ?」

 

「あれを使う」

 

と言って用意されていたのは一台の機体。

真っ黒に塗装され、白いラインが何本か引かれた飛行機、というより戦闘機。

 

この異常な形状、それに黒い色。こいつはアメリカによって開発された超音速・高高度戦略偵察機、SR-71。愛称は、ブラックバード!

 

マッハ3級の超音速で移動することでミサイル回避をしつつ敵の情報収集を行うことを目的とされ生産された機体だが、他の偵察技術の向上、それに飛行に高度な技術が必要なことと敵地を飛行するリスク、さらに機体を作るのには膨大な費用が必要なことにより退役を余儀なくされた。

 

しかし偵察衛星だけでは情報集が足りず、数年後再び復活を果たし新SR-71部隊が編成された。が、さらに翌年、当時アメリカ大統領の拒否権により再び退役され整備の施された機体は実用されないまま再び使用されることはもうなかった。

 

「それなのになんでこんなところにあるんだ」

 

「いや、軍の方から使われなくなったのは買い取って改造を施したんだ。というか詳しいな」

 

昔戦闘機と関わる機会があったからな。

なるほど。言われてみると細部が若干異なるような。ていうかこれ乗るの?

運転は誰がするの?つーかよく改造なんて出来たな。

 

「もちろん俺が運転する」

 

「・・・・あ、そう。じゃ、よろしく(大丈夫か?)」

 

そして光努と灯夜は飛んだ。音速を超えて・・・・・。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「おお、綺麗なところ」

 

やってきたのは森の中。柔らかな木々に太陽の光、そして森の中にそびえるお屋敷。かなりリラックスできそうなところ。

 

玄関前に来たら大きな屋敷。最近はどこもかしこもマフィアだらけだな。

灯夜が呼び鈴を鳴らすと少しして玄関の戸が開いて人が出てきた。

 

「早かった、灯夜」

 

「よう、γ(ガンマ)。お前らのボスは?」

 

「ボスなら中でお待ちだ。んで、そいつか」

 

金髪の多分20代くらいの男がこちらを見た。その手には緑色の石に羽が生えた形をしたリングをしている。

 

「光努だ、よろしく。γだっけ?」

 

「ああ、ジッリョネロファミリーのγ(ガンマ)だ」

 

お前にΔ(デルタ)って名前の兄貴いる?とか一瞬言いそうになったけどあえて口に出さないでおこう。

 

灯夜の説明によればジッリョネロファミリーはボンゴレと同等の歴史を持つマフィアみたいだ。

 

今更だけどイリスの交友が謎すぎる。こんなにいろんなマフィアと仲良くしていていいのだろうか。中には敵同士のマフィア両方に支援物資を送っていたことがあったとかないとか・・・・。ま、仲がいいのは良いことだけどね。

 

そして屋敷の中を案内広めのリビングを通り過ぎて中庭の方に出ると一人の女性がたいっていた。

 

黒髪をし、左目の下に五弁花のマークがある大人の女性。

その瞳には不思議に感覚がした。けどそんなこともお構いなしに気になったのは、首から下げられて胸元に位置するオレンジ色のおしゃぶり。

 

「オレンジ色のおしゃぶり、アルコバレーノ?」

 

「あら、いらっしゃい灯夜。それと・・・白神光努君、だったかしら?」

 

「えっと、白神光努だけど、どちら様?」

 

「あらごめんなさい。私はアリア。ジッリョネロのボスよ」

 

ジッリョネロのボス。妙な感覚だな。

それにあのおしゃぶり。

 

「そのおしゃぶり。アリアってアルコバレーノなの?」

 

「おい、ガキ!ボスになんて口を!」

 

「構わないわγ。そうね、まあ一応アルコバレーノってところかしら」

 

「ふーん。アルコバレーノ全員におしゃぶりの輝きってあったの?」

 

「「!」」

 

このアリアとγの反応。やっぱりリボーンと同じでおしゃぶりに反応ありか。

まあこの反応は予想通り。後は適当にごまかしとこうかねー。

 

「ああ、別に何か知ってるってわけじゃないんだ。他のアルコバレーノに聞いたからちょっと確認しただけ」

 

「そうか」

 

「・・・・・」

 

 

アリアside

 

イリスのボス、白神光努君。柔らかそうな白い髪をした中学生くらいの男の子。

おしゃぶりの反応は他のアルコバレーノに聞いたって言っていたけど、それだけじゃないような気がするわ。

 

この子は何か知っている。

 

それにあのおしゃぶりが輝いたとき、何か、この世界が歪んだような妙な感覚を感じたけど・・・・。

それに・・・・この子の未来が見えない。

 

不思議ね、先の見えない感覚って。まるで未来が無いみたい。

何者かはわからないけど、それでもこの子は危険じゃない。

とても柔らかい雰囲気。とってもフレンドリーな感じを放っている。

γから見たらちょっと生意気かもしれないけど、面白い子ね。

 

「なあなあ、γ。それ何?」

 

「あ?ああ、これか?」

 

そう言ってγが手を上げて見せたのはマーレリング。

 

「こいつはマーレリングっていうんだ。ジッリョネロに伝わる守護者のリングだ」

 

「へー。面白い指輪だね。ちょっと触っていい?」

 

「少しだけだぞ」

 

「サンキュー」

 

こうして見てみるとまだ無邪気な子供って感じね。

マーレリングに興味を示すなんて。

光努君がγのつけてるマーレリングに触れたとき。

 

コオォ。

 

「「!」」

 

マーレリングに光が!すぐに光努君が手を話すと光もすぐに収まっていった。

今、光努君の胸元がわずかに光っていた。首元にチェーンが見えるから首から何か下げてるわね。それに共鳴していた?

 

「光努君。首から下げてるものを見せてくれないかしら?」

 

「これか。いいよ、けど今のは一体」

 

光努君が取り出したのはチェーンにかけられた指輪。透き通るような真っ白な石が埋め込まれ、装飾の施された一つの指輪。もしかしてこれが、イリスファミリーボスの証、フィオーレリング!

 

「ボス!こいつは一体!」

 

「フィオーレリングとマーレリングが共鳴したというの?」

 

これは一体?この二つが何故共鳴を。

 

「これは、ちょっと調べてみるか」

 

光努君?あなたは本当に何者なの。

 

初代イリスのボスがいたのは今よりはるか昔の話。以来ボスのいないイリスに突如として現れた少年。フィオーレリングに選ばれたと言っていたけど、そもそもフィオーレリングというもの事態どういったものなのか誰も知らない。なぜなら、ずっと封印が施されていたから。

 

まだまだ謎の多いリング。

それを持つ少年。

 

少し、調べてみようかしら。

トゥリニセッテの一角、マーレリングに共鳴するフィオーレリングについて。

 

それに白神光努君。

 

灯夜の話だと空から降ってきたって言っていたけど、それ以外の話はあまり聞いてないしね。正直空から降ってきたって聞いたときは「え?」って思っちゃったしね。

 

いろいろ気になることはあるけど・・・。

まあでもせっかく来てくれたのだし、今は楽しく過ごそうかしら。

 

 

アリアside out

 

 

 

 

 

 


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