5話合わせても10000に届かない時期とか。いくつか合わせてしまうか、いっそ最初から改造して作り直すか、はて。
170近い話だけど、その辺り綺麗に整頓したら半分くらいになるかなー、とか思ったりしている今日この頃です。
なんだか前にも似たような事を思った気がします。
「う"お"ぉい!!ようやく集まったかぁ、てめぇら!!」
騒々しい程の叫び声は、彼らの部下達なら思わず竦み上がる程に威圧感満載だった。しかし幹部達にとって、その叫び声は実に日常的な光景。故に、この場の誰もが特に怯える事無く、目の前の夕食に舌鼓を打っていた。
ここは、ボンゴレの独立暗殺部隊ヴァリアーアジト。
そして先程の叫び声は、その作戦隊長である長い銀髪が特徴的なボンゴレ最強格の剣士、
「ししし。スクアーロ、いきなり緊急会議なんてどうしたんだよ。旅行の支度はまだだぜ」
「あら、それとは別件らしいわよ。なんでも、最近調べ事してその結果が届いたとかなんとかってね」
金髪の前髪で目元を隠し、楽し気に歯を出して笑う少年は、ベルフェゴール。某国の王子の証の王冠を頭に乗せ、若干16歳ながら卓越した殺しの才を持った少年幹部。自前のオリジナルナイフ術が主な戦闘手段。
そして隣で
「てめぇーらを今回集めたのは他でもねぇ。
「幹部候補生?」
「そうだぁ。人選は既に済んでいる。お前達も未来でのミルフィオーレとの戦いの記憶を持っているはずだぁ」
「む、あの夢か」
スクアーロの言葉に反応したのは、レヴィ・ア・タン。
任務に命を懸け、ボスからよくやったと言われたいが為に頑張るボス崇拝の少々おかしな男。幹部内で最も鈍重とも言われ、必殺技は
それはそれとして、スクアーロの言う幹部候補生と未来の記憶は関係する。
何せ、その未来の記憶を元に現在の幹部を探したというのだから。
「1人目は、あの10年後の未来で新米幹部だった、フランって術士だ」
フラン。
10年後の未来において、ヴァリアーの霧の幹部を務めていた少年。六道骸の弟子でもあり、個々の我の強いヴァリアーの中でも終始マイペースな性格だが、その実力は本物。マフィア界の掟の番人でもある
しかし、問題はやはりその性格だからか、フランの名前を聞いただけでベル、ルッスーリア、レヴィの3人は思わず食べていた料理を吹き出してしまう。
「フランって、10年後の未来で俺の事を〝堕王子〟とか〝王子(仮)〟とか言いやがったあのクソガエル………?」
「そうだぁ」
「10年後の私に〝変態クジャクオカマ〟って言い放った子かしら」
「そうだぁ」
「レヴィの事をキモイエロイヒゲハナゲ死ねって言ってたあのカエルかよ」
「そこまで言っとらん!」
まあ今のレヴィの悪口はベルの捏造だが、それに近い別の言葉で随分と貶していたのは事実。実際には〝情けない〟〝見掛け倒し〟〝変態雷親父〟とか言っていた。ボンゴレ最強の殺し屋集団であるヴァリアー幹部全員にそんな態度だった為、相当マイペースと言える。
ちなみに、この間終始「?」を浮かべていたマーモン。
藍色のおしゃぶりを持つ
とはいえ、スクアーロが言いたいのは、10年後の未来の戦いの記録を、記憶と経験としてスクアーロ達同様に、フランも持っているという事。
「つまり、今の奴を入隊させても即戦力となる。むしろ
「隊長心広いなー。あのカエルが〝アホのロン毛隊長〟って言ってたの許すんだ」
「嘘をつけぇ!それはてめぇーらの思ってる事だろぉ!!」
「うむ、言ってたぞ」
「私も聞いた事あるわよ♪」
「るせぇ!」
そんな些細な口喧嘩から、拳と刃を取り出す喧嘩に発展する。ヴァリアーの中では、実によくある光景だった。そしてだいたいその中で最も鈍重なレヴィが大けがをしたりするのが常である。
しかし、その中でも未来のフランを唯一知らないマーモンはその光景に冷静に辟易していたが、スクアーロの言葉に1つだけ引っかかりを覚えたので口を出す事にした。
「スクアーロ、その幹部候補生さっき〝1人目〟って言った?」
マーモンの言葉に、荒れ狂っていたヴァリアー幹部がピタリと停止した。
「1人目?………つー事は、もしかして2人目って―――」
嫌な予感がする、そういわんばかりの苦笑いを浮かべるベルの言葉。しかしそれもしょうがないだろう。彼は、フランとはまた別ベクトルで色々と厄介であったから。
「そうだぁ。幹部候補は2人。1人はフランでもう1人は、同じく新米幹部だった狙撃手、蔵実考魔だぁ」
「げっ、マジかよ………」
スクアーロの言葉に、今度はベルが苦言を漏らす。
蔵実考魔とは、10年後の未来において雲の幹部を務める狙撃手であり
流石にフランと比べればそこまでめちゃくちゃではないが、唯一ベルとはそれなりに険悪な関係だ。
主に同じ年という事と、銃とナイフという相いれない武器を使用しているからなのか。
その為、この中でベルのみが唯一苦い表情をする。
「考ちゃんねぇ、私は別にいいと思うわよ。あの子一番まともな気がするしね」
「好きにするといい」
「レヴィも心広いな。普通にフランと一緒に暴言吐いてたぜ。特に捨て石頑張れって感じでさ」
「嘘つけぇ!」
「あー、確かにそんな感じの事言ってたわねぇ。あの子言う時は普通に辛辣だしねぇ」
10年後の未来の記憶を思い出しながら、ルッスーリアもやや肩を竦めるのだった。
「それで、あいつら今どこにいんの?すぐにスカウト行くわけ?」
「あいにくフランは今調査中だが、考魔については調べがついている。というより、向こうから居場所知らせてきやがったんだぁ」
「どういう事?」
未来の記憶を経てから、スクアーロはすぐにフランと考魔の2人の居場所を探し元々スカウトするつもりだった。しかしながら、まだ未来から戻って数日の為、流石にそう簡単には見つからない。
しかし、向こうからコンタクトがあったなら話は別だ。
「考魔本人じゃねぇが、奴の関係者から
「………それで、一体あいつどこにいんの?」
なんとなくだが、スクアーロの表情が微妙に疲れた感じが伝わる気がする。連絡があった者が問題なのか、これから行く場所が問題なのか。
そしてスクアーロから紡がれた言葉に、その場の者は一様に驚きを隠せなかった。
「奴の居場所は、イリスファミリー本拠地だぁ」
***
コロン。
机の上に転がされたのは、3つの匣。
シンプルなデザインでどれも模様にバラツキがあるが、特徴的なのは2つの匣に刻まれたイリスの紋章と1つの匣に刻まれたミルフィオーレの紋章。この時代に存在しないミルフィオーレの紋章だが、それは制作者が記憶だよりに区別の為に作った物。
本来この時代に匣兵器は存在しない。
性格に言えば、既にこの時代から匣の試作品は存在した為、同じ様な形の物は確かに存在する。しかし、目の前に存在するこの3つの匣は、匣兵器ではない。
3つの匣には、それぞれ鎖を巻き付け封印が施してある。無暗に開かない様に、誰でも開かない様に。その為に、わざわざこの形で作り出した。
「これが記憶の匣か。注文通りとはいえ、よくできたな」
「ま、未来の技術と知識、後は色々とサポートがあったから、そう難しくは無かったよ。あとはいつ開くか、もしくは開かずに永久封印するかだな。ああ、疲れた。もうしばらく休んでもいいか?」
「………まあここ最近はいつも以上に働いたから、俺としては別に構わない。例のアニマルリング関連でも引っ張りまわされてたらしいからな」
「ヴェルデが以外と人使い荒いんだ。まぁ、楽しかったらいいけどな」
ソファで寝そべってだらけきった姿をする男の名はルイ。
イリスファミリーの技術主任であり、若干18歳という年齢でありながらその技術力化学力はトップクラスを誇る。未来世界において、3人の匣開発の天才の手伝いをしていた事もあり、その技術力は現在でも相当高かったが、未来の知識を経てさらに磨きがかかった。
問題は、技術力と正反対な体力の無さだろうか。しかし未来の知識と経験を経てから多少トレーニングをしてマシになったらしい。まあそれでも、1キロ完走する事もままならないだろうけど。
後ろで一つにまとめた長い金髪を垂らしながら、一仕事終えたばかりのルイは全力でだらけきっていた。そしてその事に、苦言を呈す者はいない。
「まぁしばらく休め。最低でも光努が返ってくるまではしばし休暇と思え」
そう言ってルイを労わる男は、黒道灯夜。
自他共に認める、イリスファミリーボス代理のナンバー2.
イリスファミリーのボスがいない間には、ボス代理として全権指揮する男であり、仕事が有能なのもそうだが、未来においてイリスファミリーにせめて来たミルフィオーレのA級兵士軍団総勢500名以上を戦闘部隊『アヤメ』と一緒に壊滅させた実績を持つ程に、腕もたつ男。
「ん?珍しい物ありますねー灯夜さん、それって匣?この世界に?」
「ああ、ラッシュか。この匣は少し特別でな」
ひょいと部屋に入ってきた明るい声。
金髪を押し込んだ帽子、全身の服装は迷彩柄に染められており、腰に差した2刀の奇怪な大ぶりのナイフが特徴的な、端的に言えば軍人の様な男、年齢で言えばまだ10代半ば、少年と言える程だった。
彼の名前は、ラッシュ・ギナ。
後の未来において、イリスファミリー第二戦闘部隊『シャガ』に属する男であり、現在は傭兵稼業を行っている。
一時期六道骸に雇われて、黒曜ランドで光努と戦った事があり、敗北している。
未来の記憶を受け取り、その後自身の師に捕まって引きずられ、現在イリスファミリーに仮入隊の状態となっている立場である。半分乗り気だが、半分は不本意でもある。それは、彼の師匠に関係する事だが。
それはそれとして、机の上に転がされた匣に興味を持つラッシュに、灯夜が説明してくれる。
「実はクルドと光努の希望でな。この匣の中には10年後の未来の記憶、リルとコルとロルフ・ミーガンの記憶が詰まっている」
「記憶が!?ロルフって、確かチョイスで戦って光努と一緒に
「ああ。既に素性は調べ、使いを送ったからあの少年が今後マフィアと関わる事は無いだろう。それを見越して、未来で光努は過去のロルフの記憶を封じて欲しいと言ってきたんだ」
今の時点では、まだ年端もいかない子供。
両親と幸せに過ごす子供に、先の未来の絶望を伝える必要など無い。そう考えての処置を捧日アランを送り、シャマルに依頼し、成功した。今後、ロルフ・ミーガンという少年に絶望的な不幸は訪れる事は無いだろう。
「はぁ、やりますねー。それで、光努の方は分かりましたけど、残りのリルとコルの分っていうのは?クルドさんって『アヤメ』のリーダーであの子達の父親ですよね?なんでまた」
「父親であり、剣の師でもあるから、だ。未来の記憶という事は、この先あの子達に教えるはずだった技術や技も含んでいる。あいつとしては、段階的に教えていきたい事もあるのだろう」
10年後の未来において、第二戦闘部隊『シャガ』に属するリルとコルは、それだけ父であり師であるクルドより剣の皆伝を貰っている事だろう。しかしそれは、10年前の今の時点で全て知っていい物でもない。
山本武が父より習った時雨蒼燕流が技を伝えるのは1度だけ、2度目は無い。そういった決まり事や剣の奥義、秘奥などあるのはどこの流派も同じだ。
それ故のクルドの判断なのだろう。
もう1つは、まだ小さなリルとコルが凄惨な未来を見て、悪い変化があるのではという父としての不安。まだまだ無邪気な子供達を見ていたいという親心であり我儘もあるかもしれない。
その為に、未来の記憶を受け取るに足ると判断したその時は、目の前の記憶の匣を開匣して、全てを伝える事になるだろう。果たしてそれは、何年後かはまだわからないが。
「そういえば、来る途中リルとコル見かけましたけど、なんだか意気消沈してましたねー。どうしたんです?」
「ああ、あいつらの両親は今日本にいるからな。入れ違いになってがっかりしてるんだ。まあここに来たいと言ったのはあいつらだから、自業自得とも言えるがな」
「あー、それは確かにあちらを取ればこちらが、て奴ですね………」
ここはイリスファミリー本拠地、日本ではない。
そもそもこの場所に灯夜、ルイ、リル、コルといった、日本にいたイリスファミリーの者達が来た理由は1つ。光努がこの場所に帰ってくるからだ。
元々イリスファミリー本拠地母屋でルイの部屋から10年バズーカの弾を使って未来に跳んだ光努。そして戻ってくる時も、ほぼ同じ場所、イリスファミリー本拠地に戻ってくるというのを未来でユニに聞いている。
その為、事前にこの場所に戻り待っている。
リルとコルも、未来の記憶は無いが単純に光努に会いたかったので、当初の予定では灯夜とルイのみ戻ってくるはずが便乗してついてきた。結果として、そのせいで両親と入れ違いに日本を出国してしまったので、まあ自業自得と言っても過言ではない。
この場合は本人達が、というよりただタイミングが悪かったとしか言い様が無いが。
「そういえばラッシュ。何か用か?
「………ああ!忘れてた!いや、ちょっと師匠から言伝ありまして」
「言伝?籠が?なんと言ってた」
「ええ。なんでも「ちょっと
灯夜は自身の額を指とトントンと叩きつつ、ラッシュの言葉を脳内で反芻しながら、肩を落として溜息を吐くのだった。
すごーく久しぶりに書きすぎて、前に書いた話との整合性が取れて無かったらすみません。その場合はコメントしてもらえたら修正します。