ボンゴレファミリー
大空『1』・晴れ『0』・霧『0』・雲『0』・雨『1』・雷『0』・嵐『1』・□『2』
ミルフィオーレファミリー『パフィオペデュラム』(
大空『0』・晴れ『1』・霧『2』・雲『1』・雨『0』・雷『0』・嵐『0』・□『0』
イリスファミリー
大空『0』・晴れ『0』・霧『0』・雲『0』・雨『0』・雷『2』・嵐『0』・□『0』
ミルフィオーレファミリー『ガロファーノ』(他部下によるチーム》
大空『0』・晴れ『0』・霧『0』・雲『1』・雨『0』・雷『1』・嵐『1』・□『0』
これがジャイロルーレットによってたたき出された、チョイスにおけるそれぞれの属性を持つものの参加人数。
「ふぅん。ボンゴレは大空1名に嵐と雨も1名。いい引きしてるじゃない」
表示されたルーレットの結果に満足しているのか、ただただ面白がっているだけなのか、白蘭は考えの読めない笑みを浮かべながら感想を漏らす。
「属性によっての人数も、合計も違うんだな」
「うん、それがチョイスの醍醐味だよ♪けど光努君は、あんまり引きが良くなかったみたいだね」
イリスファミリー参加人数は、雷属性が2人。
ボンゴレが5人チームと、ミルフィオーレが4人チームと3人チーム。
イリスファミリーが一番少ない。なにげに5、4、3、2と数字が揃っているのが癪である。
「ところであの一番下の『□』は何属性だ?無属性とでもいいたいのか」
「よくわかったね光努君。一番下は無属性ってことで、リングを持たぬ者を示してるんだ。だからボンゴレ側は2名、選出してね♪」
リングを持たぬものは、いわば非戦闘員。普通に戦うこともできるが、リングがないと匣も使用できないので、この時代ではほぼ非戦闘員扱い。その為に守護者以外の人物たちを白蘭は呼んだのだろう。京子やハル、ビアンキやフゥ太達の中から2名も戦場へと送らなくてはならない。
が、この組み合わせの参加者は、意外とすぐに決まった。
入江発案による参加者は、計5人。
大空のプレイヤーが、ボンゴレファミリー10代目ボス候補、ツナ。
嵐のプレイヤーが、ツナの右腕、獄寺。
雨のプレイヤーが、時雨蒼燕流の剣士、山本。
無属性プレイヤーが、元ミルフィオーレA級指揮官、入江。
そして同じく元ミルフィオーレメカニック、スパナ。
晴れのマーレリングのレプリカが壊れたことで、リングを持たなくなった入江は特別に白蘭がオッケーを出して無属性としての参加を許可された。
基地の中には、作成したメカニックにしかわからないコンピューター制御や、様々な仕掛けなど多々ある。その為無属性として入江とスパナが参加できるということは、確かにツナはなかなかについている。これでもしも無属性がいなかったら、使い方が分からずに基地機能は麻痺して本当に使い物にならなかったかもしれない。そうなれば使用できる機械も限られているが、それでも戦う術は一通り想定して訓練しているので、一応は問題ないのであった。
余談だが、同じメカニックなのにスパナが選ばれてジャンニーニが選ばれなかったのは、フゥ太はいいの?というふうに聞いたが、とうのジャンニーニ本人は、戦いに参加しなくてよくなってなのか、とてもいい笑顔でオッケーを出したのであった。
さて、問題は光努率いるイリスファミリーなのだが。
「じゃあ私だね」
「いや僕だね」
「お姉ちゃんに譲ってよー」
「弟に譲ったらどう?」
「はぁ……。リル、コル、一先ずストップだ」
「じゃあ決着つけよっか」
「そうだね」
カシャリ。
リルとコルの二人は、互いに抜刀するかのように日本刀を片手でもち、もう片方の手で柄を握って刃をわずかに抜く。リルは笑ってコルは無表情。だけど二人から流れ出ている剣気は剣士としての実力の高さが伺える。そして、いざ激突、と思ったらストップがかかった。
ゴス!
「「~~~!!」」
「俺の話を聞け」
灯夜の拳骨が二人の頭に落ちた。思わずしゃがんで悶絶する二人を見て灯夜はため息をつき、光努は隣でその様子をみてマイペースだな~と、やはり人のことは言えない感想なのだった。しかし剣を持っているリルとコルの二人に拳骨を落とすとは、灯夜もなかなかにやるようである。
「じゃあじゃんけんで決めよっか」
「よし。せ~のっ」
「「じゃんけんぽん!」」
結果、リルはチョキでコルはチョキ。
ちなみにイタリアのジャンケンはグーが石、チョキが鋏、パーが紙と考え掛け声は「サッソ、カルタ、フォルビーチェ」というらしい。最も、だからなんだというわけではないのだが。二人はあいこだったので、そのまま二度目のじゃんけん。そんな二人を尻目に光努は隣にいた灯夜に話しかける。
「なあ灯夜」
「ん?なんだ光努」
「今更だけどなんでうちのファミリーこんなに少ないんだ」
本当に今更、光努以外はリルとコルと灯夜とハクリしかいないという。
「ふむ。いくらチョイスとはいえ、イリス本拠地を留守にするわけにも行かないから
な。籠は残ってもらってラッシュは別の任務。しょうがないだろ」
「世界の命運を欠けた戦いだというのに悠長だね」
「正直俺は世界よりもイリスの方が心配だ。いろいろな意味でな」
「すごいな灯夜は」
なかなかにブッ飛んだ考え方。だが案外、光努のまだ知らないことが、イリスファミリーにあるのかもしれない。心当たりが無いわけでも無いのだから。未だにジャンケンを継続しているリルとコル。
しかし本当に属性が合わなかったらどうしていたのだろうか。基本的にチョイスは参加人数が揃わなかったその時点で不戦敗というルールなのだが、そう考えると参加できる者がいる属性に当たったのはラッキーと言える。しかしメンバーが決まるのはもう少し時間がかかりそうだ。光努の反対隣にいたハクリが面倒になってきたのか、欠伸をし始めた。
「光努君。イリスファミリーの参加メンバーは決まったかい」
そうすると、ボンゴレの方はもう決まり、ミルフィオーレも最初から決まってるかのようだったので、白蘭は光努達の方へと話しかけてきた。
「ん?あ~、少し待ってくれ。もうちょっと」
「早くしてよね!このちびっ子~~」
白蘭の服の裾にしがみついて後ろからこちらを見ていたのは、長い水色の髪をした少女、ブルーベル。真6弔花の中では最も小さく唯一の女性だが侮るなかれ、これでも雨のマーレリングを持つ守護者なのだから人智を超えた能力を有している。だがだからといっても、性格は年相応。光努を敵を見るような目で睨んで子供らしく「い~」っとしている。ああ、そういえば光努は元々敵だったな。
「俺よりでかくなってから出直してくるんだな。ちびっ子」
にやり、という擬音がつきそうな笑みを浮かべてブルーベルに笑いかける光努は、なかなかいい性格をしている。言われたブルーベルはめちゃくちゃ睨んできた。
「なによ!そっちだってブルーベルよちちっさいのいるじゃないのー!ねぇびゃくらん!」
そう言ったブルーベルの視線の先には、確かに身長的にはブルーベルより小さい小学生サイズのハクリがいた。年齢的にはどうかわからないが。
白蘭は、ブルーベルの視線の先のハクリを見ると、どこか冷徹な視線が一瞬だけ見えたが、それと同時にいっそう楽しそうに笑った。
「ふぅん。君が白いおしゃぶりのアルコバレーノ、ハクリ君かぁ♪はじめましてだね」
語りかける白蘭とそれに応えるように白蘭を見るハクリ。
その金色の瞳は不思議な色を秘め、その瞳を覗き込んだ白蘭の後ろにいたブルーベルは、自分でもなぜかわからないが、一瞬びくりとした。白蘭は大丈夫とでも言うようにブルーベルの頭にポンと手をおいて、ハクリに笑かける。
「一体、どうなってるんだろうね。本当に……」
「白蘭……お前の目的は、これだろ?」
そう言って首から下げて服に入れていたチェーンを取り出し手見せたのは、透き通るような真っ白いおしゃぶり。それを見た瞬間、白蘭の瞳をすこし見開いて口角を上げる。その雰囲気は、まるで獲物を見つけた猛獣のようだった。
「ちゃんと持ってたみたいだね。安心したよ♪」
さっと猛獣のような雰囲気を霧散させて、いつもの気さくな笑顔を浮かべた白蘭だった。そうこうしてると、さっきまで続いていたリルとコルのじゃんけん勝負が終わったようで光努の元へと二人共やってきた。
「あ、光努。決まったよー」
「おぅ、結局どっちが出るんだ?」
「うん、私だよ」
にこやかに笑っているリルと、隣ですこし残念そうにしているコル。
そんなコルに少し光努はくすりとしながら、笑みを浮かべて白蘭の方へと向き直った。
「よし、白蘭。こっちは決まったぜ」
イリスファミリー参加プレイヤーは、計2人。
雷のプレイヤーは、イリスファミリー2代目ボス、光努。
二人目の雷のプレイヤーは、イリス第2戦闘部隊『シャガ』リーダー、リル。
この二人が、イリスから参加するチョイス参加者。
「んん?光努君って雷のプレイヤーとして参加できるのかい?」
予想外だったのか、白蘭が光努の示した参加者に疑問の声を上げる。その疑問はツナ達も同じだったのだろうが、リボーンはなんとなく予想はしていたのか、少し笑っていた。
「ああ。言ったよな、守護者の概念のないイリスは、属性の炎を出せれば参加オッケー、ってな♪」
そう言った瞬間、光努が左手に嵌めた緑色の石のはめ込まれたリングから、ほとばしる閃光のごとく、緑色の雷の炎が放出した。リングの周りで燃えるように炎を小さくしているが、その純度は高く、空気を裂くような鋭さが目に見て取れた。その炎に、白蘭は楽しくなってきたといわんばからに、楽しそうに笑った。
「これは僕も予想外だったけど、まあ言ったものはしょうがないしね。うん、オッケーだね。リルちゃんはもちろん、雷のプレイヤーとして参加は大丈夫だよ」
光努のことはともかく、リルのことは知っていたらしく、笑っているけど少し警戒するようなリル。だがそれと同時に、少し安心したような表情。参加できる事に対する安堵ではない。白蘭にさえ
はたしてそれが、この戦いのキーとなるか。
「じゃあ、こっちの参加者も発表しようかな」
ミルフィオーレファミリーチーム『パフィオペデュラム』の参加プレイヤーは4人。
雲のプレイヤーは、最も頼りになる、真6弔花の優しいリーダー、桔梗。
晴のプレイヤーは、殺したいほど生きる屍、デイジー。
霧のプレイヤーは、真実を語る幻影の巨人、トリカブト。
そして二人目の霧のプレイヤーは、どこからともなく現れた、忍び装束にお面という怪
しげな雰囲気を持つ術士、通称猿。
「おい白蘭。もう一つのミルフィオーレチームはどうした!」
目ざとく獄寺がつっかかってくるが、確かにその通り。あたりが見渡せるビルの屋上。にもかかわらず、一体用意したと思われるもう一つのチームはどこにいるのやら。
「じゃあそろそろ紹介しようか。ミルフィオーレチーム『ガロファーノ』」
ヒュウウゥウ!!ドゴオォン!!
白蘭が言葉を出した瞬間、その隣に何かが降ってきてビルの屋上へと衝突した。特に壊れたところは見当たらないが、降ってきのは高さ1辺3メートルはある立方体のコンテナ。頑丈に作られているらしくひしゃげた様子もない。ただ普通と違うところがあるとすれば、コンテナだがそこには人がでは入りできるような、ノブのついた普通のドアが設置されていることだった。
(ビルもコンテナも無事……か。丈夫なビルだな)
降ってきたコンテナに対してそんなことを考える光努。そしていきなり降ってきたコンテナに何事かと思ったミルフィオーレ側以外だが、コンテナのドアノブ回り、開いた内側から誰かが出てきた。
扉をくぐり抜けて出てきたのは、身長2メートルはあろう大男。
「彼は龍ね♪」
龍と呼ばれた男はその場で仁王立ちしたまま腕を組み、どっしりと構えたのだった。
「白蘭は自分の部下の姿を隠す趣味でもあるのか?」
「え、あれじゃない?楽しみはあとでとっておこう、みたいな」
「何が楽しみなんだ。あれか、仮面をとったあとの敵が驚く顔が楽しみとか」
「白蘭悪趣味~」
「光努君にリルちゃ~ん。僕の思想を捏造しないで欲しいなぁ」
さすがに聞き捨てならなかったのか、それでも面白がっているのか、苦笑しながら一応否定しているのだった。
スッ……
「!!」
唐突に、いつの間にいたのか、ツナ達は気づけなかったが、龍と呼ばれた人物の隣には、頭から黒いシーツのような物を足元までかぶり、顔の部分には髑髏のアップリケが刺繍されていた人物が、はじめからそこにいたかのように現れた。
「なんだこいつ!いつの間に!」
「ひぃ、髑髏!?」
「ハハン。彼は私の部下。『死神』………とでも呼んであげてください」
思わず怯えたツナだが、桔梗が簡単にいきなり現れた人物の説明をする。気配を完全に絶って現れた為、そして最初の龍のデカさと威圧感でインパクトがあったこともあり、思わず驚いてしまう。特に何かしゃべる風でもなく、ただただ立っているだけ。しかしそれは隣の龍も同じであり、もしかしたらあらかじめ登場シーンでは無言でよろしく、とでも白蘭に言われているのかもしれない。さもありえない話でないし。
「じゃあ最後にこの子で終わりだね。この子は、そうだねぇ………。『緑鬼』とでも呼んでね」
そう言って白蘭の隣に、最初に降ってきたコンテナから出てきたのは、およそ中高生位に見える少し小柄な少年だった。銀色の髪に、黒い上着とジーンズという私服。顔には緑色の鬼のお面、しかも節分の時期に豆をスーパーで買ったらおまけで付いてきそうな紙製のお面をつけて頭にバンドで固定していた。絶対に白蘭が適当に持ってきたもんだ、とその場のほぼ全員が同じ意見をだしたのだった。あとせめてちゃんとしたお面あげてやれよ、と。
しかしこれでようやくプレイヤーが出揃った。
ミルフィオーレ『ガロファーノ隊』の参加プレイヤーは3人。
嵐のプレイヤーは、面を被った漢服を纏う巨漢の男、龍。
雲のプレイヤーは、刺繍の施されたシーツをかぶる異様な出で立ち、死神。
雷のプレイヤーは、紙製の面をしたおそらく少年、緑鬼。
明らかに本名でなく、パフィオペデュラムの猿と同じ通称、もしくはコードネーム。
ただのあだ名かもしれない。適当な記号かもしれない。とにかく面と見た目からとっただけで、実際の中身とはおそらく関係ないものだと思う。
そして登場人物からだんだんと顔を隠すクオリティが低くなっていくことから、絶対白蘭が用意したけどだんだん飽きてきたな、というような感想をほぼ全員が思ったのであった。
なんにしても、ようやくボンゴレ、イリス、ミルフィオーレの役者が揃った。
「さーて、いよいよ一番大事な勝敗のルールだけど、数あるチョイスのルールの中から最もシンプルかつ手っ取り早い、ターゲットルールでいくよ」
ターゲットルール。
それぞれの陣営、チームで一人、敵の
「本来と違って今回は4チーム、だけど実質2対2だから、先に相手それぞれの陣営の
つまり、ボンゴレとイリス、ミルフィオーレの2チームで1チーム1人
「ああ、そうそう。
「そうなの?」
「うん。ルーレットボードを見てごらん。炎が灯っているところがあるでしょ。それがターゲット」
見てみると、空間に投影されているルーレットの結果表。ボンゴレは無属性、ミルフィオーレパフィオペデュラムは晴、イリスは雷、そしてミルフィオーレガロファーノは雷のところに炎が灯っていた。その瞬間、白蘭の手の中にあるジャイロルーレットから光の筋が4本現れてそれぞれお飛び出した。白蘭曰く、
そして光の筋が飛び出され、ぶつかった人物は4人。
ボンゴレの入江正一、真6弔花のデイジー、ガロファーノ隊の緑鬼、そして、イリスの白神光努の4人だった。
それぞれ胸に、光のラインででできた十字と円の組み合わせの
「うわぁ!なんだこれはぁ!!」
他のプレイヤーと見分けがつくように設置された炎。それに加え、死ぬ気の炎はその人物の持つ生命エネルギー。その為この炎が灯っているということは、生きているということの証。つまりこの炎が消えたとき、敗者となる。突然自分の胸から炎が現れた事に、入江は思わず膝をついて驚く。それに比べてミルフィオーレ側のデイジーと緑鬼は全くどうじた様子の無い直立不動状態。これはどっちを見習うべきか。人間をやめたいなら後者を見習うことをおすすめする。さて、では光努は一体どっちなのだろうか?
「………」
無表情だった。
「そっちは光努君が
全然残念そうでなくむしろ楽しんでいる白蘭。リルは特に反応を示さない光努に疑問符を浮かべた。
「どうしたの光努?大丈夫?」
「いや………なんか、こう……すっげー違和感のようなものが、さ。わかるかな~」
意外とターゲットマーカーから漏れ出る炎がお気に召せなかったらしい。それでもなんら支障を来さないのだが。
「待て白蘭。生命エネルギーである死ぬ気の炎をこんなただ流しにしちまったら、あっという間に体力を消耗してブッ倒れちまうぞ」
リボーンの言うことも最も。しかしそれこそが、このチョイスという戦いのタイムリミット。この
「ま、炎消費しただけで倒れそうなのは、今のところ正チャンだけ見たいだけどね♪ね、光努君」
(………やばい、否定できない)
人智を超えたと謳う真6弔花のデイジー、それに無尽蔵に体力のある光努。緑鬼も通常よりも遥かに死ぬ気の炎が強いらしく、確かに見た限り体力的には入江が一番低い。
元々技術者であるのは言わずもがな、ミルフィオーレの元6弔花といっても立場役職は指揮官。逆にこれで肉弾戦等お手の物だったらちょっと怖い。まあだからといってすぐに倒れるほどやわというわけでもないのだけれど。
「どんな理由があっても、この
少し目を鋭くさせ、念を押すように言う白蘭。そこには冷徹に、有無を言わさない迫力が秘められていた。何があっても、炎が消えれば、その時点で敗北だと。
「さぁて、この盛大なチョイスの報酬は、全てのマーレリングと、全てのボンゴレリング、すべてのアルコバレーノのおしゃぶり。それに加えた、フィオーレリングと白いおしゃぶり。新世界を創造し、光と闇の狭間を見せる奇跡の至宝、
白蘭の言葉と共に上がった花火が、空一面に光のリングとおしゃぶりの姿を映し出し、これから起こる戦いの狼煙となって、全員の瞳に映し出したのだった。
***
ミルフィオーレパフィオペデュラム基地
「デイジーは我々が守るべき〝キング〟なのですから、そこでのんびり待っていてください」
「………うん」
胸に
「通信機器が全員チーム内のみですから、適度にガロファーノ達と合流しつつ殲滅しますよ」
ハハン、と優雅に微笑み殲滅宣言する桔梗。
猿の報告により、他の
***
ボンゴレ基地。
「ボンゴレ、ファイ!」
こういった戦いでは恒例化しつつある、円陣が組まれていた。
ツナは頑張る、という表情をしながら。山本は楽しそうに。獄寺は若干引いてる。スパナは無表情で、入江は驚いていた。なかなか全員バラバラな表情で円陣を組んでいる。
しかしそれでも心情は同じ、絶対に勝つと信じている。
一先ずツナの許可が出たことで、チョイスを知り尽くし指揮官経験のある入江と、スパナがボンゴレ基地でレーダーや地図を見て戦略を立てて指示をし、ツナと山本が基本
「よっしゃ、行くぜ」
「うん!」
全員配置につき、ボンゴレ基地の扉が開いた。
***
ミルフィオーレガロファーノ基地
「さてと、敵の場所もわかったことだし、それでは行くとするか」
どこかのビルの壁面に取り付けられたパフィオペデュラム隊と同型の基地ユニット。その中で外を見据える龍の面をかぶった巨漢の人物、通称龍は威厳たっぷりに外を見据えて、顔だけ振り向いて後ろの二人に声をかける。
「さっさと終わらせますか。
「……わかった」
黒いシーツの髑髏、通称死神の言葉に、紙製緑の鬼の面を被った通称緑鬼は、静かに返事をするのだった。
***
イリスファミリー基地。
どこかのビルの屋上に建っている、見た目は木でできた少し大きめのおしゃれなログハウス。明らかに周りの風景に浮いている基地の前で、光努とリルは風吹く中で辺りを見渡していた。
「じゃ、早速行くか」
「あれ、光努も行くの?」
「当然。せっかくの戦いに、不参加なんてなしだ。位置も把握したし、さてどっちから行こうか」
レーダーに映る合計3つの光。互いに
はたして、この戦いの勝者、いったい誰になるのか。