特異点の白夜   作:DOS

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『当然100点満点の採点で』

 

 

 

 

 

光努とツナ、二人で作戦室の中には入ると、すでに集まっているらしく、雲雀の家庭教師をしていたディーノ、それにリボーン、獄寺、山本、了平、ジャンニーニ、フゥ太、コルと男共が揃っていた。

 

「おうツナと、光努も一緒か。調子はどうだ?」

 

近況報告を入ってきた二人に尋ねるディーノ。

ツナは一先ず京子にヒントをもらい、自分が一度暴れさせたボンゴレ匣はもう大丈夫と言うと、流石と皆いって獄寺は当然のごとく褒め称える。

これまで匣が正しく開匣できるまで一人で修行のツナだが、正しく開匣できれば修行の幅が広がる。というより、開いてからが本格的な修行の始まり。当然チョイスをするにあたって他にもいろいろとやることがあるのだが、もちろん同時並行である。

 

「光努は何してるんだ?」

「俺か?ツナ達の修行を手伝っているのさ☆」

「なあツナ。なんだかすごくいい笑顔で言ってると嘘っぽく見えるんだが、俺だけじゃないよな?」

「つーか、絶対わざとわざとらしく言ってんだろ。まあ間違ってはいないが」

 

ディーノの言葉に代わりに獄寺が答える。

とりあえず光努がツナ達の修行中に、何をしていたかといえば、獄寺と戦うのとどこかへ出かけること。あれ?そう考えるとあんまりツナ達の修行手伝ってないな。

 

「ま、こっちはこっちでやることもあったし」

「そういえば光努どっか行ってたね。どこいってたの?」

「ツナ、覚えておけ・・・・・・チョコーレトの栄養価はすげー高いぞ」

「ねぇ、その話をなんでしたの!?光努一体どこいってたの」

 

その時、ツナの肩を後ろから叩いたコルが、おもむろに口を開いた。

 

「ツナ、世の中には知らない方がいいこともあるんだよ」

「コル、どうしちゃったの!?なんか光努みたいなんだけど!」

「まあまあツナ。そういえばコル、ルイはどうした?」

「一足先に向こうに行ったよ。僕らもあとで合流予定」

 

コルの言う向こうとは、イリスファミリー本拠地。正確にはこの時代は跡地であるが、先にそこに向かったルイ。だがルイだけでなく、獄燈籠も灯夜も今はそこにいる。チョイスに向けて動いているのは、ツナ達だけではなかったということ。

 

「そうか」

 

コルの言葉にふっと笑うディーノ。一先ず修行の様子は上々。チョイス戦間期もそろそろ半分になってきた。あとはこっからスパートをかけるだけ!

 

 

『ラン♪』

 

 

そんな時、部屋に設置されたモニターから音が流れた。

 

 

『ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪』

 

 

鳴り響く、テレビの子供向け番組の用な音に何かと思ったが、ジャンニーニの様子からこれがテレビ放送などではないことがわかった。

 

「何者かに、回線をジャックされてます!!」

 

作戦室の壁のモニターには、パ○クマンの用なキャラクタがふよふよと漂い、だんだんと数を増やして画面中央へと集まっていく。

 

 

『ランランランラ~ン、ビャクラン♪』

 

 

その掛け声と共に画面中央に現れた花から現れたのは、ディフォルメされたキャラクターとなっているが、間違いない。白蘭!

映像がひびを入れて割れて、普通のモニター画面の映像に切り替わり、そこに写っていたのは、美味しそうなパフェを食べている白蘭の姿だった。

 

『ハハハ、どう?面白かったかい?』

 

メローネ基地でホログラムとして登場したそのまんまの姿。スプーンを加えてパフェを美味しそうに食べている姿は、なかなかに彼らしい。

 

「30点かな。パ○クマンの動きとかなんか微妙。背景も動かないし、音が悪い。特にキャラがすごく微妙かな」

「光努が結構ダメだししたぁ!ていうかキャラって白蘭本人だよね!?」

『ハハハ、厳しいな光努君は♪結構自信作だったんだけどな』

 

割りと辛辣な光努の意見に、特に気にしないというふうに楽しげに笑うモニターの中の白蘭。

 

「てめぇ、一体何の用だ!」

『ハハ、そうとっつかないでよ。チョイスに関しての業務連絡さ』

 

獄寺の言葉に白蘭が返した言葉は、チョイスの業務連絡。

光努も思っていたが、10日後としか言ってないのに場所や時間等もっと細かい部分を全く聞いていない。しかもチョイスのルールも入江が想像しているだけでそれが正確なのかどうかも全然わからないという、連絡放棄もいいところである。

 

『というわけで、日程は6日後のお昼の12時。場所は並盛神社に集合ね』

 

どんなことをいうかと思えば、並盛神社と並盛町内の場所を指定してきた。

日時はともかく、まさか場所が近場を指定するとは思わず、ツナの顔に同様が走った。

 

「まさか、並盛で戦うの!!」

『んー、どうだろうね。とりあえず必要な準備して仲間は全員連れてきてね。少なくとも、過去から来たお友達は全員だよ』

「!!」

 

その言葉に、ツナ達は反応する。

過去から来た仲間。ということはつまり、ツナ達だけでなく、京子やハル、非戦闘員である彼女らもチョイスの場に呼ばなくてはならないということ。

 

そしてそれは、マフィアのことを全て知られてしまうということ。

 

(といってもすでにツナから話を聞いて全部わかっているのだが、隼人達はまだそのことは知らないんだっけな)

 

といろいろと何げに知っている光努は慌てふためくツナや獄寺達を見て若干傍観気味。ツナは普通に戦いの場に呼ぶのに驚いている。

 

戦いの場に呼ぶのは光努も気は進まない方だが、それと同時に特に問題ないと思っているのは、選択したプレイヤーのみが参加するゲームであるチョイスなら、おそらく参加しない限りは危険な目には合わないだろうと思ってのこと。

 

『みんなで来ないと、君たちは失格だからね』

「そんな!」

 

白蘭の無情な宣告に、ツナは愕然となる。

 

『光努君も、イリス側もちゃんと来てね。ちゃんと君以外の、過去からきたお友達と一緒にね』

「・・・・・・・・・」

 

その言葉に、コルは少し眉をひそめる。

 

(過去からきたお友達?光努意外にも、イリ側の誰かが来ているということ?)

「あ、そうだ。光努も並盛神社に集合なの!?」

 

ツナからの最もな質問に、ああそういえばと他のみんなも光努以外は思い出す。

まあボンゴレイリスで基地ユニットは一つで合同とかいうのは、ありえない話でないが、今更そんなことをいうのか?という感じで答えを待ってると、予想外の言葉がモニターから流れた。

 

『光努君らイリスファミリーは同じ時間のイリス本拠地集合だよ。ていうか、光努君には説明してあったと思うけど』

「「「「「「え!?」」」」」」

 

全員一斉に光努の方へと向いた。

見られた当の本には俺?というふうにしていたが、その顔に真剣味を帯び、白蘭の映るモニターのまえに立つ。いきなり光努にしては珍しい表情に作戦室の中にいたツナ達は、白蘭の言葉に光努を見ていたことも忘れ、二人の始まる会話に片付をのみ、そして光努は口を開いた。

 

「おい、日本時間で12時ってことは向こうだとちょうど日が昇るくらいだろ。もっと遅くならないのか?」

 

ドドドド!!

ツナ達は盛大にズッコケた。

 

「てめぇ、今はそんなことはどうでもいいだろうが!!」

「いや、今言うのはどうかと思うが一応間違ったことは行ってないぞ・・・今は別に聞きたいことがあるけど」

 

癇癪起こした獄寺だが、さすが10年後のディーノ。大人な対応で獄寺の肩に手をおいて一先ずなだめる。当然、納得はしていないのだが。

 

『綱吉君たちの方が君らイリスと比べて平均年齢が低いんだから、時間くらい合わせてあげたら?』

「えー」

『ていうか僕も同じような時間だしいいでしょ』

「それもそうか」

「結構あっさり納得した!」

 

割りとすぐに納得にツナ驚愕。条件がイーブンなら、まあ納得せざるを得ないか。

というか自分の時間を知らせずにツナ達にお昼の12時という中々いい時間帯を指定するとは、案外白蘭もいいところがあるのか。いや、案外前日はアジア圏内に泊まるとかして時差をごまかすかもとも光努は思った。

 

『じゃ、あとは当日に。修行頑張ってねぇ~』

「あ、ちょっと待っ」

 

プツン!

 

ツナの静止も聞かず、白蘭は笑顔で手を振りながら一方的に通信を切った。後に残ったモニターには、最初に開いていたジャンニーニの作業が画面が後に残り。ツナ達は唖然とするのだった。

 

「で、光努はいつ白蘭と話したの?」

 

無言の空気の中で最初に言葉を発したのは、コル。

ジト目で光努を睨み、珍しく少しご立腹の様子。若干漏れ出ている威圧感に、思わずツナがびくりとしてしまった。

 

「正一に直通電話番号(ホットライン)聞いて昨日の夜電話してたんだ」

 

そう言われてコルが思い出すのは、昨日の夜に風呂上りで雲雀のアジトで見た光景。光努がくつろいで誰かと携帯で電話していた光景。

 

(あれか・・・・)

 

誰と話しているかと思えば、まさか白蘭と話していたとは。

それにリルが今日京子とハルの二人にツナが話すかもって話をしたとき、光努はちょうどいいタイミングと言っていた。

 

(なるほど、白蘭が業務連絡するってことも知ってたのか)

 

後に残ったのは、ジャンニーニがキーボードを打つカタカタカタという音のみだった。

 

「チョイスの日程に関してイリス側はどこに基地とか作ればいいかわからなかったし、白蘭に聞いてみたら今日業務連絡するって言ってたんだ」

 

まさか不明点があったとはいえ、敵のボスに直接電話するとは。光努の命知らずというか、度胸があるというか、こういうのを馬鹿か大物というのか。別に裏で白蘭と手を組んでいたというわけではないらしいので、若干1名の疑いの眼差しが解かれた。他は信じていたか理解してないかのどちらかである。

 

「それにしても、どうやって回線に侵入したんでしょうか」

 

ジャンニーニが呟く。

かなり高度な技術の詰め込まれたボンゴレ地下基地だが、システム構築を担当しているジャンニーニに気づかれずにまさか堂々とハッキングしてくるとは。相手の力量はなかなかに計り知れない。この時代最大のマフィアとしては当然といえば当然の標準装備なのだけれど。

 

さて、結局なぜ高度なボンゴレセキュリティをくぐり抜けることができたのか?

答えは至極簡単。

 

「セキュリティがザルなんだぁ。アマチュアどもが」

 

ツナでもない。獄寺でもない。山本でもない。

作戦室の扉が開き、そこから聞こえた声に全員がそちらを向いた。

どこかで聞いたような声に、あるものは警戒を、懐かしさを与えられ、その声を発した人物は容赦のない瞳で部屋の中を睨む。

 

毛皮の突いた全身黒い服装に、腰まで届くかというストレートの銀色の髪。鮫のような獰猛な瞳に、上着の肩に縫い付けられた紋章は、ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーの紋章。。鈍く光る両刃の剣を左に固定したその姿は、紛れもない人物。

 

嘗てボンゴレ10代目後継者争いボンゴレリング争奪戦、通称リング戦で雨の守護者として戦った男、S(スペルピ)・スクアーロ。

 

この時代においてはヴァリアーに所属したまま、100人の剣豪を破り2代目剣帝の座を不動にしたという、ボンゴレ2代剣豪の一角。

 

現れたスクアーロは、いつものように若干不機嫌そうに現れて、相変わらず悪態をつく。山本はスクアーロの姿に、懐かしさが込み上げてきた。

 

 

・・・・・・・・なぜか右手で体長1メートルを超えるマグロを持っていたが。

 

 

「土産だ」

 

そう言ってディーノに右手のマグロを差し出し、ディーノはそれを受け取った。

ディーノですらわからない、なぜにマグロ?という疑問を持ったが、スクアーロに余計なこと言って切りかかられるのも面倒なので、黙ったままでいるのだった。

スクアーロはそのまま一直線に山本のそばに向かい、その問答無用で拳を叩き込んだ。

 

「ぐはぁ!!」

 

拳拳拳、蹴り拳蹴り蹴り蹴り拳!そのまま連打!

一瞬で何発も喰らい、血反吐を履き、ついには気絶してしまった。

そのまま倒れ込むのをスクアーロは肩で担ぎ、そのまま作戦室を出ようとする。

息はあるようだし死んではいないことはわかるが、それでも多少重傷なのは変わりない。

 

「このカスは預かってくぞ」

 

そう言ってディーノを睨み、ディーノはそれを無言で肯定した。

ツナ達はいきなりのスクアーロの行動に目を見開き唖然とし、スクアーロに食ってかかろうとしていたが、ディーノにストップをかけられる。

 

剣士として、山本のことを最もわかっているのは、スクアーロだと。コルやリルも同じ剣士だけど、死闘を繰り広げた者だからこそ通ずる何かがあるのだろう。荒っぽい行動はスクアーロらしいが、それでも鍛える価値があると考えての行動。

そのままさっささとどこかへと連れて行こうとした。

 

「随分と荒っぽいねスクアーロ。ところでうちのパパ見てない?」

 

微妙に素知らぬ顔をしていたコルが、去ろうとするスクアーロに言葉を投げる。

 

「・・・コルかぁ。あいにくあの野郎は見てねーが、お前はこいつに余計な事してねぇだろうなぁ」

 

ギロリ、という擬音がつきそうな眼光でコルを睨みつけるのに、ツナは自分が見られてないがびくりとする。が、とうのコル本人は素知らぬ顔をしている。

 

「何もしてないけど、やっぱり見てないか、残念」

 

スクアーロのNOという言葉にはぁとため息をつくコル。

 

「お前の父親ってどこにいるかわからないのか?」

「そりゃ携帯持ってないし」

「へぇ・・・・」

(そういえば昔聞いたが、『アヤメ』に所属しているやつらは全員携帯を持っていない

から連絡取りたい時に取れなくてかなり困ると。あれって今も続いてたのか・・・)

 

そんなことを考えて呆れる光努。

獄燈籠は元々ナイスタイミングでこっちに来たらしいし。あとは伝書鳩でも飛ばすくらいかなぁ・・・・。

 

「白神光努ぉ。6日後、せいぜい白蘭に潰されないことだなぁ」

「俺よりツナはいいのかよ」

「はっ!知ったことかぁ!」

「ひどっ!」

「ま、無様な姿はさらさないことだな」

 

無愛想ながら激励を送りながら、スクアーロは作戦室から出ていくのだった。

後に残ったツナ達、しばし呆然としていたが、さてと、というふうに光努も作戦室から出ようとする。が、ディーノが呼びかける。

 

「光努、どこいくんだ?」

「いやなに、白蘭の業務連絡も終わったし、そろそろ向こうに帰ろうかと思ってさ」

「向こうっていうと、イリスにか」

「日本でやることも終わったしな。あとは、修行でも頑張るかなぁ」

 

こきり、と首を鳴らして軽く伸びをする光努。

ここからはボンゴレはボンゴレで、イリスはイリスでそれぞれやることがある。

目的は同じだが、メンバーが違うとまたやり方も違ってくる。修行が必要か必要でないか、ということなのだが。

 

今回は一体別れだが、次に会うのはおそらくチョイスの日。

 

 

「ツナ、修行頑張れよ」

「うん、光努もね」

 

 

二人で激励を送り、光努はコルと共に、作戦室から出ていくのだった。

 

 

 

 

 






光努「ところで俺が白蘭と手をくんでんじゃねって疑ってたのは誰だ?」
ジャンニーニ(ぎくっ!)
ツナ「どうしたのジャンニーニ。なんだか冷や汗かいてるよ?」
ジャ「なななな、なんでもないですよ10代目!!さ、さ~てセキュリティ強化の続きをしなくてはな~」
コル(わざとらしー)
光努「そうかお前か~。確かジャンニーニとかいったな」
ジャ「ぎくうぅ!!いえいえいえいえ、決してイリスの2代目に対してそのようなことはぁ!!」
光努「(まあ別にどうでもいいけど面白そうだから)この俺に対して、いい度胸だな」

ゴゴゴゴゴゴ!

ジャ「ひぃ!お助けー!!」

ドビシ!

ジャ「ノー!!」
ディーノ「俺はてっきり隼人が疑ってのかと思ったけどな。どういう風の吹き回しだ?

獄寺「別に、ただあいつならやってもおかしくねぇと思っただけだ」
ディーノ「ハハハ、それもそうか」
光努「必殺、独楽廻(コママワシ)!」
ジャ「ぬおぉ!!」
コル「じゃ、そゆことで。次回は光努が・・・・翔ぶ!」

「「「「え?」」」」


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