光努がルイにもらった5つの匣のうちの4つ目披露。
5つ目が出る機会があるかどうかはわからないけど、よくわからない匣を考えるのは結構楽しいと思います。
ボンゴレ地下基地の誇る訓練室の一室。
やってきた光努、獄寺、山本、ランボ、リボーン。
なかなかに広々としている訓練室に、入ったランボは楽しそうに騒いで走り回っているのをみて獄寺は苦い表情をしていたが、一先ず意識から外して了平と光努の方を向く。
そして光努が懐から取り出したのは、右手に握られた短い3本の木の棒。
「この中に一つだけハズレがある。ほら二人共、引いた引いた」
そう言って獄寺と了平は光努の手から一本ずつ引く。
その際了平は当然のごとく雄叫びを上げながら引いて、獄寺は隣の了平の声を遮るように耳元をお塞いだのはよくある日常。そして結果、二人の引いた物とは・・・・・、
「うぉおおお!!極限にハズレだぁあ!!」
「よっしゃ!ざまぁ芝生」
「なんだとタコヘッド!」
「ほらほら、お前らが戦うなよ。了平はハズレだから壁際で見学だ」
「うぬぅ、極限に残念だ」
組み合わせは、光努VS獄寺。
いざ、開幕!
***
ちゃおっす、俺の名はリボーン。
ダメツナの
チョイスに向けてツナ達は修行を始めたけど、ボイコットのことも会って微妙に浮かない感じがしてたな。ツナが京子達に全部話すまで、俺の読みだともう少しだけど、その間の仲介に光努とリルとコルが入ってくれたから、ボンゴレ基地内の全体的な空気が少し軽くなってありがてーな。
イリスの奴らもチョイスに参加だけど、光努達のパワーはほとんど完成されている、というか元から高過ぎる程に高い。見たことねーけど光努が
ま、今は二人の戦いでも見てみるかな。
「さて、じゃあどうやって戦うかだけど、隼人どうする?」
「考えてねぇのか、普通に模擬戦じゃダメなのか?」
「よし、俺に任せろ」
「リボーンさん!何かいいアイディアがあるんですね」
「もちろんだ。ルールは簡単だぞ」
ピッ。
手に持ったリモコンのボタンの一つを押すと、訓練室の両端の床が開き、下からせり上がって出てきたのは、人形。
ディフォルメされたツナ人形と光努人形が一つずつ、中学の体育館並に広い訓練室の端と端、対面するように置かれた座った人形。
もちろんこんな時の為に用意しといたミニツナ人形とミニコウド人形の2体。ちなみに他にもいろんな種類があるけど、時間もねーし今回はパスだ。
今回は二人のガチンコバトルじゃなくて、チョイスの軽い模擬戦のようなもの。ルールは簡単に、互いに獄寺はミニツナ人形、光努ならミニコウド人形をそれぞれ守り、相手の人形を手に入れれば勝利だ。
「へっ、分かりやすくていーじゃねぇか」
「俺も異論は無い。はじめるか」
互いに離れ、人形のそばに立つ。
光努は自然体に構え、獄寺はボンゴレリングに嵐の炎を灯した。
「あと、こいつもだ」
ピッ!
別にリモコンのスイッチを押すと、訓練所の床や天井、壁からブロックが大量にせり上がり、あっというまに訓練室は障害物だらけのステージになった。
この訓練室には様々なギミックが仕掛けてるからな、障害物の他にも罠とかもいろいろあるけど、今回は障害物ブロックだけでいいな。
そして鍔に載せていたレオンを銃に変形させて持ち、天井へと向けた。
「じゃ、スタートだ」
パァン!!
銃声が鳴り響くと同時に、獄寺は自分の匣兵器、
獄寺は嵐、雨、雷、雲、晴れの5つの波動を使用できる。腰に付けられた匣には、それぞれの炎の特性を備えた炎の弾丸、そして盾の役割を施す、歪な環の形状をした、複数の炎によるシールド。
もともとのダイナマイトのスタイルのように、中遠距離に特化した獄寺の匣兵器。
「果てろ!」
ガガガガガガガガ!!
連続で発射されたのは、嵐の炎+晴れの炎の弾丸。活性により、不規則に炎の速度を変え、障害物の裏側に、光努のいるであろう場所へと正確に弾丸が打ち込まれた。
正直に言っちまうと、このステージとルールは獄寺に有利なように設定されてる。
今の獄寺なら、障害物の隙間を縫うように相手に打ち込むことも可能。
獄寺の学習能力はもともとたけーし、流石この
メローネ基地での電光のγとの死闘を経て、技が洗練されてやがる。
今回は
爆発がおき、爆風があたりを占める。
(手応えがねぇな。どこだ?)
獄寺の両目にはコンタクトディスプレイが装着されている。
戦いは、いかに相手を先に見つけるか。獄寺の匣兵器はその性質状、大きな爆発による煙や音が辺りに充満する。その為、相手を見つけるため、コンタクトディスプレイには相手を探知し、見つける機能も付いてる。獄寺の表情を見るに、まだ光努を倒せてねぇみてーだな。
ボフン!!
予想通り、爆煙の中から出てきた光努。障害物の上に大胆にも立ち、その手には自分が守るべきミニコウド人形が握られていた。
「あれが、隼人の匣か。じゃ、俺も少し迎撃するか」
ボゥ!!
光努が懐から青い石のはまったリングを取り出して右手にはめると、青い雨の炎が放出された。
メローネ基地の情報では、光努は晴れの炎、嵐の炎、雲の炎を出したと聞いたが、雨の炎もか。獄寺と同じ、もしくはそれ以上に複数の波動が流れてるのかもしれねーな。見たところ、炎の純度と放出量はかなりたけーな。
光努は雨の炎を放出したまま、懐から取り出したのは、匣。
泡の用な模様が付けられた、青い匣。
見たことないタイプだけど、おそらくイリスファミリーが独自に作り出した試作型の匣兵器だな。確かメローネ基地では光努は5つ匣を持っていたらしーが、あれもその内の一つかもな。
炎を注入し匣が開いて中から飛び出してきて空中に停止したのは、直径1.5メートルはある球体。
青い光を纏ながら煌々とあたりを照らすその姿は、まるで夜空に登る月みたいであり、なかなかにキレーだった。もう一つ匣から出てきた物は光努の腕にくるりと巻きついた。見てみると、そこには青い腕輪が巻き付けられていた。
「さて行くか、イリスの試作型匣兵器その4、『
まるで指揮をするかのように、青い腕輪の嵌った腕を振るう光努。そうすると、月のような青い球体に、ピシリと亀裂のような光の筋が入った。
***
カァン!!カァン!!
木と木がぶつかり合う音が聞こえる。
ボンゴレ地下基地の一つ、和風で板張りの道場。
ここでは二人の男が戦っていた。
(時雨蒼燕流特式十一の型、
山本がメローネ基地での戦いの前の訓練の時、スクアーロから自分が100人の剣士と戦い力を証明する、『剣帝への道』というDVDが送られてき、山本はそのDVDを全て見た。剣士と剣士との戦いは、剣士と戦う機会の少ない山本にはピッタリであり、そこからいくつか新たな剣を編み出した。
その一つが、スクアーロの
獲物が真剣だろうと時雨金時だろうと木刀だろうと、山本は山本。木刀とは思えない剣戟を、コルに向かって浴びせていた。
コルは両手の剣を巧みに動かして受け、後ろに下がることで回避するが、
山本は追撃するように剣戟を保ったまま、コルに向かう。剣を振る手を止めずに突き進むとは、さすが山本といったところか。
鋭い突きがコルへと迫った。
対するコルは、左手に持った木刀を、右肩の後ろの方まで腕を縮め、振り払うように振るった。
「
カアアァン!!
「なっ!」
コルが左手で振り払うように振るった木刀は、山本が突き出した木刀の切っ先に、
自分の技が一瞬で止められた事に山本は一瞬止まってしまったが、その一瞬が命取り。コルにはもう一つ、木刀が握られている。
そのまま右手に持った木刀を振り、山本の左脇にぶつけた。
「ぐ!」
咄嗟に木刀を止まった体を動かして、脇に持っていくことに成功したが、防御するには遅く踏ん張れず、そのまま持ち上げられ壁際へ吹き飛ばされた。だが運動能力の高い山本。そう簡単に飛ばされたままにならず、吹き飛ばされた先の壁を蹴って、うまく床へと着地した。だがダメージが残っているのか、片膝を突く。
「はは・・・・すっげ!」
自らの剣の柄頭を、相手の刃先に当てて止める防御技。
柄と刃が一直線になるように、丁度真芯で捉え、なおかつ相手が突き出して力の乗る前の絶妙なタイミングで打つことで、相手の攻撃を止めるだけでなく一瞬の硬直を生み出す。
相手の剣の動きを冷静に見極める観察眼と、柄頭に正確に当てる技術が必要とされる技。
それに加え、本来一刀用のこの技は、二刀を扱い一刀の相手に対して行えば、空いたもう片方の剣で硬直した相手にダメージを与えられる。
まさか突きに特化した技を、同じ木刀とはいえ木刀の柄で止められるとは思わなかったのか、山本は驚いたようだったが、すぐに楽しそうに笑い、視線を鋭くコルを見つめる。
(あそこから間に合うとは。まだ中学生とは思えないほどに運動能力と反射神経が抜群に高い。さすがこの時代のボンゴレの二大剣豪)
流石ヴァリアーのスクアーロとの戦いを勝ち抜いただけのことはある。
が、コルもそうそうやられてやるつもりもない。
今度は、こちらから仕掛けてみよう。
「
***
光努が腕輪の嵌った腕を、指揮をするかのように振るうと、宙を漂う青い球体が動き、同じように光努は地面を蹴って障害物の上へと出てきた。
(わざわざ標的になるように出てくるとはな。罠かもしれねぇが、やってみるか)
獄寺は視線を鋭くし、通常弾頭の嵐の弾丸を飛ばす。
晴れ+嵐程の大きな加速はないが、その分嵐本来の分解を生かした威力が高めの弾丸。一直線に、障害物の上に躍り出た光努に向かっていった。
「が、甘いぞ隼人」
バッ!
光努が腕輪の嵌る腕を振るうと、直径1.5メートルはあろうかという青い球体が動き、光努の前に現れた。
「
光努の声と共に、青い球体が高速回転をし、正面から獄寺の嵐の弾丸を正面から受け止
めた。回転された球体にぶつけられた炎の固まりは、辺りに散らされ威力を殺し、最終的に全ての炎が分散させられて防がれた。
「
さらに光努から発せられた言葉とともに、青い球体に光の筋がピシリといくつも走った。青い光を放ち、なかなかに幻想的な光景の中、青い月はバラバラに、まるでパズルのピースのように分離した。
「おお!なんだすごいが、極限によくわからん。あれも匣兵器なのか?」
「そうらしいな。けど、俺もあんな変わった奴は始めてみるぞ。あれがうわさの、試作型イリス製匣ってやつか」
光努がルイからもらった試作品は全部で5つ。
晴れ属性の深い森を呼ぶ、フィールド匣『迷いの森《フォレスタ・パーソ》』
フィールド匣専用の雲属性『アップデート匣』
嵐属性の広範囲殲滅型匣兵器の『
そして今回使用したのが、雨属性の防御用変形盾型匣兵器、『
「この匣兵器の特徴は、相手の攻撃を〝受け流す〟ということ」
球体がバラバラとパズルのピースのように分割される。
中は空洞となっており、バラバラになった球体は、光努の周りを取り囲みくるくると廻る。
(なるほど。球の表面に当てることで攻撃を逸らす事に特化した匣兵器。あの球体自体は15のパーツに分かれて動かせるってことは、獄寺には相性悪そーだな)
15に分かれたパーツは全て〝逸らす盾〟の役割を持ち、基本飛び道具を使う獄寺とは相性が良い匣とも言える。だがこれはあくまで試作型、しかも他に類を見ないタイプなだけに、使い手の技量しだいでは良くも悪くもなる。
ダン!
障害物の上から足に力を込め、光努は飛び上がった。周りに
「果てろ、晴れ+嵐!」
ガガガガガガガガガガ!!!
連なった弾丸をセットし、連続で晴れと嵐の炎を纏った弾丸を放つ獄寺。
晴れの〝活性〟により不規則に加速する弾丸は、吸い込まれるように動いている光努に向かっていく。だが、
キイイィン!!
「なに!」
「甘い、グラブ・ジャムーンより甘いぞ隼人!」
獄寺の連続で打ち込んだ晴れ+嵐の弾丸は、光努の周りを取り囲む
光努の周りの
「おお!情けないぞぉタコヘッド!「うるせぇ芝生頭!!」ところで〝くらぶジャブ〟とやらはなんなのだ?ジャブの一種か?」
「クラブジャブーンだぞ了平。インドの甘いお菓子のことだ。それよりも」
(獄寺の攻撃をこうも受け流すとはな。かなり使いにくそーな匣だが、さすが光努だな。使い方が絶妙すぎるな)
利点としては、受け流すことで勢いが削がれず、そのまま突っ込めること。事実光努は獄寺から攻撃を受け続けているが、匣展開前の最初の攻撃と違って立ち止まらず、速度を落とさずに障害物の上を渡り歩いて、目的のミニツナ人形まで迫ってくる。最も、獄寺の不規則な速度の晴れ+嵐の弾丸を完璧に受け流すことは、光努の非常識な程に高い動体視力があってのことだが。
バシュ!
獄寺が、匣から別の弾丸を取り出し、
(別の
構わず突っ込む!
光努は床を蹴り、構える獄寺に向かっていく。
構えた獄寺は、静かに光努をみる。瞳のコンタクトディスプレイは、光努をロックオンしていた。
(ここだ!嵐+雷、
獄寺の弾丸で、最も攻撃力の高い炎の弾丸。〝分解〟の嵐と〝硬化〟の雷。雷を纏った炎は、光努が空中にいるわずかな時を見逃さず打ち込まれ、空中なので回避することもできず、吸い込まれるように迫った。
「さすが、いやな所攻めて来たな隼人。だが、
カシャカシャカシャン!!
そしてそのまま半球でもって、獄寺の
(やっぱり光努の反応ははえーな。流石と言いてーけど、獄寺のあの弾丸を、雨の炎を纏ってるとはいえ、正面から全部受け止めきれるとは考えにくい。けど、一瞬でも止めることができたんなら)
そう、一瞬でも止められたら、後はよければいい。
半球の回転と薄く纏われた雨の炎の〝鎮静〟により、獄寺の弾丸の中で最も攻撃力の高い
避けた後は
(さすがに
獄寺の目が光ったような気がした。
獲物を誘い込むことに成功した、狩人のように。
(!何か来そうだ)
逆に、野生的な獣のように、何かが来ると光努は直感した。
そしてついに二人の距離は、およそ数メートルにまで縮まった。
光努の周りには展開された
新たな弾丸を装填して、光努へと向かって打ち込んだ。
一筋の光の入った、
(この炎、まさか!)
光努の予想通り、獄寺の打ち込んだ弾丸は、雲+嵐の弾丸。
特性は、〝増殖〟と〝分解〟!
光努へと向かった弾丸は、途中で無数に増殖して枝分かれを繰り返し、一瞬で広範囲を線のような弾丸で埋め尽くした。
点として動いた弾丸と比べ、一点から枝分かれし続ける雲属性の〝増殖〟を備えた獄寺の攻撃。受け流すということは、ほぼ不可能に近い妙手の弾丸だった。
(手応えはあったはず。けど、あいつがこれくらいでくたばるとは思えないな・・)
獄寺は容赦なく見つめる。ブッ飛んだ性格と戦闘能力を誇る光努のため、その警戒も正しい。しかし手応えはあった。あとはどの程度のダメージを与えられたのか。数メートルとはいえ、結構な近距離。光努が地を蹴り飛び出した瞬間を狙ったのだ、空中から横へと跳んで逃げるのはほぼ不可能のはず。
カラン、カラン。
爆煙と共に獄寺の足元に転がってきたのは、光努の周りに展開されていた青い
それを横目に、獄寺はまっすぐに雲の弾丸を飛ばした先の爆煙を見つめる。
「!!」
だが、獄寺が驚いたのは、確かによけれないタイミングで攻撃をしたにもかかわらず、光努がそこにはいなかった。
(いない!光努の奴は!?・・・・・・・上!)
獄寺が上方を向くと、天井に足をつけ、こちらを見る光努の姿があった。
「てめぇ、いつの間に!」
(使い方がうまいな、光努)
リボーンは横から二人の戦いを見ていたため、光努が何をしたのかわかった。
(光努の奴、球をわざと自分にぶつけて上に逃れたな)
咄嗟に、半球をつなげて自分にぶつけ、しかもそのまま勢いよく飛び上がり、一瞬で獄寺の雲の弾丸の範囲から逃げ出した。
「地がなく宙で動けないなら、足を置くための地を用意すればいいだろ」
にかっと笑う光努に、獄寺はも若干苦笑いする。なかなかにでたらめなことをしてくれる。
けど、そうそう何度もうまくいくはずない。
「その足を置くための地は、今は使い物になってないみたいだぜ。果てろ!」
上空にいる光努に向かって、
だがその様子を見た光努は楽しそうに笑って言葉を紡いだ。
「
コォ!!
「しまっ!」
獄寺が驚いたのも無理はない。足元に散らばっていた
既に炎が切れたと思い、全く警戒をしてなかった。
シールドをはる暇もなく、一瞬で炎を灯した破片達は獄寺を取り囲み、先程まで獄寺の立っていた場所には、一つの青い球体が残ったのだった。
獄寺は一人、暗闇の中に包まれた。
(くそ、まだ炎が残っていやがったのか。盾としてはこの匣兵器は強度が低いみたいだし、
ガシャン!
髑髏の口に弾丸を装填し、腕を上げて上を見据える。
赤い光と緑の光、嵐と雷の炎が纏われた。
「果てろ!!」
ドゴオォン!!
受け流さなければ、意外と強度の低いこの球。それに加え、破壊力抜群の嵐+雷のため、容易に内側から青い球は爆ぜた。
ようやく炎が切れたのか、あたりに破片を飛び散らせ地面に落とす。
爆煙の中、獄寺は光努の居場所を探った。既に上にはいなく、気配を探ると、驚く程近くから気配がした。
が、時すでに遅かった。
獄寺の振り向いた後ろには、守るべきミニツナ人形をもった光努がいた。獄寺がこちらを向いたのを無言で確認すると、親指と人差し指を立ててミニツナ人形の頭部に当て、銃を打つような仕草をして、楽しそうに笑った。
「BANG!」
「そこまでだぞ」
軽やかな二人の間に降りてきたリボーン。
旗へと変身させたレオンを持って、光努の方に向かってバッとあげた。
「この勝負、光努の勝ちだ」
***
「だからさ、近距離の戦いもなんか考えた方がいいだろ。最後のあれ、失敗すれば自分も爆発してたぞ」
「つってもなぁ。俺の
「瓜?ああ、あの仔猫か。そういえばあれって進化系があるんだってな。猫の次が豹になるとか。なんでライオンじゃないんだろうな」
「ライオンはすでに使われてるみたいだからだろ」
「それよりシールドってあれ近接戦でも使えるのか?強度とか」
「嵐と別の炎を複合してるからそこらの盾、少なくともさっき光努が使った球体よりかは強度は遥かに高いはずだ」
「でも抜けられたらどうするんだ?隼人丸腰、いや実際には武装してるけど、全部遠距離攻撃で爆発物だから自分も巻き添え喰らわないか?」
「・・・・・・そう言われとそうだな。まあそうそう近づかれることなんてないからな。嵐の守護者の使命は鳴り止まない怒涛の責めだからな」
「俺は近づいたぞ」
「てめぇはもはや人じゃねぇ。サイボークか何かだ」
「隼人ひでぇ」
「それに今回は瓜も出してないし、機動力のホバーも対して使ってなかったしな」
「まあある程度機動力があるなら相手から離れるのも難しくないか。そんで離れて攻撃を飛ばすと」
「全員お前みたいに機械仕掛けの足じゃねぇんだよ」
「誰が機械仕掛けだ。どこを見てもバネなんてついてないぞ」
「そうは見えねぇけどな」
「やっぱひでぇ・・・」
わいわいと食堂の机の一つに座って談笑(?)している光努と獄寺の二人。
別の机で食事をしている了平とランボと一緒にいるリボーンは、そんな様子をみて楽しそうに笑っているのだった。
「お疲れー。あれ?リボーン、光努と獄寺君何してるの?」
「戻ったかツナ。修行の後の反省会だな」
「珍しい組み合わせだね」
基本的に獄寺がツナ以外にはほとんど喧嘩腰の為、割りと仲良く(?)話している光景はなかなかにツナから見て珍しい。現にツナが入ってきたことにも気づいてないくらいに、夢中に話している。
「ま、こういうものたまにはいっか」
いつもと違って光努とよく話す獄寺に、ツナは微笑ましいような表情をし、自分も夕食の席に着くのだった。
了平との戦いも書こうかと思ったけど、話数が伸びそうなのであえてカット。
別のところで戦うかもしれないので、機会はその時で。