俺の名前は
ボンゴレの独立暗殺部隊ヴァリアーに所属するとりあえず幹部。
死ぬ気の炎の属性は雲。精製度A級の雲のヴァリアーリングを所持している。
主武器は2丁のリヴォルバー。
白いリヴォルバーと黒いリヴォルバー、それぞれ銀色のラインのあしらった拳銃。
その他には狙撃銃と爆薬・・・・いろいろと使用する。
別に自己紹介がしたいわけではないが、前に登場したときは本当に少しだったから軽く紹介しておく。ラッシュの方が前線で光努と戦っていて、後方支援をしていた俺はほとんど姿を見せなかったしな。
どういう経緯でヴァリアーに入ったかはあえて省略するが、ヴァリアーに入ってからはよく後方支援型前線担当をしている。
支援が前線かどっちかって?
後方から敵をガンガン倒すという、狙撃手にあるまじき後方支援度外視の役割であり。いや、狙撃手ならこれが正しいのか?
ヴァリアーの占拠した古城の高い場所、塔の一つの屋上で狙撃銃『黒い塔』を構えて狙いを定める。通常の狙撃銃のように実弾を込めて撃つことももちろん可能だが、それに加えて死ぬ気の炎をチャージしてそのまま炎の弾丸を発射することができる。
が、基本的には改造弾丸を使って相手を殲滅する。狙撃銃しか使わないといろいろと攻撃に制限がつくが、それでも多分問題ない。
一応弾丸にチャージされた死ぬ気の炎のエネルギーを使って着弾点から大爆発を起こす〝
ミルフィオーレの兵隊は基本的に隠れて移動もするが、移動手段はFシューズで死ぬ気の炎を普通に放出して飛行しているので極めて見つけやすい。
死ぬ気の炎の探知装置を付けた
上方から見てみると、現在周りで戦闘中なのは、スクアーロ作戦隊長。
結構なキレ具合なため、既に凶暴な
東はスクアーロが守り、南側にはベルとフランの二人。
と説明していたけど、南側を
キリキリと倍率ダイヤルを回し、小さく見える青い塊に視線を近づけると、その全容が見えてくる。長い鼻、大きく広がる両耳。太く大きい手足と巨体に、白く長めの牙。
うん、どこからどう見ても象。エレファント。
さしずめ、
そばの木に立っているのは、ベルとフラン。ベルの方は嵐属性の匣兵器、
相対しているのは、タキシードを来た壮齢の褐色の肌とスキンヘッドに髭という、見た目は執事風の男。そのとなりにいるのが、高級そうな椅子に座っている・・・・ベル?
ベルによく似ている人物。目元を隠すような髪型のせいで顔の全容はわからないが、ベルも同じなので双子じゃないかと思うくらい似ている。せいぜい髪が跳ねてるかストレートかの違いくらいしか見当たらない。頭にかぶっている王冠も同じ。
確かベルには双子の兄がいたと聞いたことはあるが、昔ベルが抹殺したとも聞いている。だとしたら、あの人物は。
『スクアーロ隊長。6弔花南に来ましたー』
その時、フランからの通信が入った。
6弔花。ミルフィオーレの誇る6人のマーレリングの保持者。
おそらく、あのベルもどきが6弔花。
『それが驚いちゃいましたよ。バカなセンパイの、死んだはずの兄貴でしたー』
『何言ってやがる!!』
『どーも生きてたらしいんですよ。ごっつい執事つきで』
ふむ、いまのフランとスクアーロの会話でなんとなくわかったよ。
確かにあそこにいるのが、ベルの殺したはずの兄貴であり、ミルフィオーレの6弔花の一人。そのそばの男は執事。そして象は執事の匣兵器であり、ベル兄の周りを取り囲むように飛んでいるのは、ベル兄の匣兵器。
嵐属性の炎を纏った、複数のコウモリの姿。
さしずめ、
さて、どうするか。
『考ちゃーん、ちょっといい?」
「ん?ルッスーリア。どうした?」
階下にいるルッスーリアから通信が入った。
『北に来た敵さんにはレヴィが向かったけど、西の方からも大量に攻めてきたの。迎撃に行ってくれないかしら。私、けが人がたくさん来て動けなくって』
そういえばさっき爆発が聞こえたな。
北側の見張りを行っていたヴァリアー隊員がやられた為、城に残っていたレヴィが向かった。
レヴィの匣兵器である、
他はサーフィンのごとく華麗にのれるあたり、やはりレヴィは鈍重なのかもしれないな
城にいたもう一人、ルッスーリアの匣兵器である、
そうなると、南、東、北へとヴァリアー幹部が向かったが、西には誰も向かってい
ないため、のこる城に残っている俺が行くということになる。
ここから狙撃するという手もあるが、何分敵の数が本当にキリがないほどに大量の為、もしかしたら取りこぼしが出来て城に攻められるかもしれないから、直接出向くしかない。まあ、一掃する方法も割とあるが、今は用意がないからしょうがない。
「わかった。西は俺が迎撃してくる」
『お願いね~』
構えていた『黒い塔』を手早く解体してケースにしまい、バッグに入れて肩に背負う。
そしてそのまま塔の屋上の床を蹴り、壁を伝ようにして下へと降りる。
所どころで壁を蹴って威力を殺し、そのまま下の方まで来ると、壁を蹴って近場の木の枝を踏み、枝から枝へと跳ぶ。城から少し離れたところで一旦立ち止まり、背中に背負ったバッグを木の下へと置く。
さすがに自分が直に戦うとなると、あのバッグは邪魔になるから置いておくしかない。万が一城に攻められたら見つかってしまうから、城から少し離れた森の中に隠しておくことにした。
一応バッグには防犯機能がついているため、他の人間には触れず、あとで回収しやすいからあれで問題ない。さっさと西のミルフィオーレを迎撃して、ベルとフランのフォローに回りたい所だが、ミルフィオーレは何分人数が多い。スクアーロですら湧くように出てくる敵に面倒だと思ってるらしいからな。
枝から枝へと跳びだし、森の中を突き進むと、光が見えた。
Fシューズから死ぬ気の炎を放出して森の中を飛行移動する、ミルフィオーレの兵隊達。
炎を出していると、暗がりの闇でも見えやすい。元々ヴァリアーの人間は夜目がきくから、出してなくても問題はないがな。
眼前に敵を見据えた俺は、両腿にベルトで固定されたホルスターから、銀色のラインのあしらわれた黒と白、2丁のリヴォルバー銃を両手に持つ。
敵を前に、冷静に思考して分析をする。敵の数を、敵の武器を、敵の移動手段を、敵の位置を、敵の情報を。頭を働かせながら、全てを殲滅するべく、両手のリヴォルバーの引き金に指をかける。
多対一だが、関係はない。
「さてと、軽く撃ち合うか」
俺は、眼前の敵の大群へと飛び出した。
***
マーレリングの保持者でありベルの兄であるジルの匣兵器は、
コウモリは超音波を発し、物体に反響定位させることでその物体の位置を特定する。コウモリのそれはかなり精度の高く、種の中には水面の微細な振動を感知して、水中の魚を取る種も存在するという。
だが、嵐コウモリは超音波を発するのではなく、
嵐の属性の炎の特徴は〝分解〟の為、嵐の炎が吸収して蓄積された物体は、その物体強度の限界を超えた時、破壊される。
ジルは匣を開匣した瞬間から、この炎を放射しており、目に見えない炎を喰らい、会話の最中にだんだんと炎が蓄積され、ベルとフランの二人は内側から組織が破壊され、だらりと崩れるように木の下へと落ちていった。
地面に血しぶきを残す無残なベルとフラン、二人の光景を見たジルは笑い、
***
「げほっ」
「ふー」
二人の人間の声が、静かな森に響き渡る。
疲れた、というような声と共に、地面の下から出てきたのは、ベルとフランの二人。
先程
「霧の幻覚か?」
「当たりでーす。ミー達、相当スプラッタな死に様だと思いますよ」
「てんめっ」
ベルの言葉にイエスで返答するフラン。だがベルに蹴り飛ばされる。
先程倒されて木の上から落とされたのは、途中からはフランによって作り出された幻覚。
本物のふたりはこっそりと地面に潜り、ジルとオルゲルトの二人が先へ行くのを待っていたようである。
ジルのテンションは高く、自分が圧倒的に勝ったという優越感もあったが、6弔花を騙す程の幻覚を作り出すフランは流石と言える。
顔や服に付いた土を払い、口から少し吐きだしながら、やれやれというフランに対し、ベルも服を叩きながら若干お怒りである。
ベル、フラン、ジル、オルゲルトの4人で同時に匣を開匣したが、フランのみ匣を開匣しなかった。その理由をフランに尋ねたところ、頭のかぶりものが邪魔でポーズが決められないから開匣できなかった、というものである。無表情で淡々と語る為、嘘か本当か判別がつかなかったが、結果的にこの時の長い会話中に嵐コウモリの炎を喰らっていたのである。しかしこのあとフランの幻覚に助けられたのだが、チャラとなるかは微妙である。
けどフランがわざわざ隠れて城へと二人を向かうように仕向けたのは、個人的な興
味があったからである。
「怒りんぼのうちのボスですよ。ヴァリアー内暴力凄まじいし、いつも威張ってるけど、本当に強いのかなーって思うんですよー」
「弱かったら俺がとっくに寝首かいてるっつの」
こんなことを真面目に言うあたりがさすがヴァリアーである。
「でも先輩のアホ兄貴とどっちが強いか見てみたいじゃないですかー」
「ん・・・・う~ん」
フランの言葉に、考えるベル。
確かに見てみたい。
自分が殺し損ねて生きていると思ったら結構な地位についている兄と、自分の所属する化物ぞろいの暗殺部隊のボス。どちらも一癖も二癖もあるし、このイタリア戦線において互の陣営の大将となる人物。是非とも戦ってるところが見てみたい。
「しし、同感♪」
ベルは、土の少し入った口に歯を出して笑い、楽しもうとするような愉快そうな笑顔を浮かべていたのだった。
話の所々で進む原作のストーリー。