インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~   作:さすらいの旅人

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まず最初に言わせて頂きます。

ゴメンなさい。まだ決着は付きませんでした。

黒閃の登場によってギャグっぽくなっています。


第82話

「え、あ……お、織斑先生……。か、神代君の打鉄が……」

 

「やれやれ、全く……。神代は一体どこまで私を驚かせれば気が済むんだ……? こんなイレギュラー、私は初めてだぞ」

 

 作戦室で一夏達が福音との戦闘をモニターで見守ってる最中、箒と一緒にいた和哉の打鉄がセカンドシフトした事に呆然としてる真耶と、手を頭の上に置きながら苦笑する千冬。そして開いた口が塞がらない状態になっている他の教師達。

 

 ただでさえ和哉は、性能差があり過ぎる福音相手に訓練機の打鉄で応戦し、更には掃射した大量のエネルギー弾を刀一本で全て弾き飛ばしていた事を真耶達は驚いていた。だが、今度は打鉄の進化によるセカンドシフトにより、もう驚きすぎて頭の中がパンク状態だ。

 

 因みに元世界最強のブリュンヒルデである千冬すら、モニターで映ってる非常識極まりない現実を見て辛うじて正常な状態を保っているが、もうこれ以上止めて欲しいと心底願った。もしまた信じられない事が起きたら、もう完全にパンクしてしまう程に。

 

 だが、そんな千冬の願いを踏み躙るかのように、

 

マスター()第二形態移行(セカンド・シフト)は完了しました。指示をお願いします』

 

『『………は?』」

 

『ここですマスター。貴方が纏っている私、打鉄です。と言っても、今の私はもう打鉄ではありませんが』

 

 オープンチャンネルによって入って来た通信による、自らを打鉄と称する女性の声と素っ頓狂な声を出す和哉と箒の声を聞いた事によって、作戦室全体がピシッと何かが罅が入ったかのような音がした。

 

「…………山田先生、これは私の空耳か? 神代の打鉄から――」

 

「い、いや、止めて、止めて下さい織斑先生……。そこから先は言わないで下さい……。も、もう、もう私これ以上は……」

 

 もう何も聞きたくないと言わんばかりに両耳を塞ぐ真耶だったが、

 

『そうかい。じゃあ最後に……お前が打鉄じゃないなら、これから何て呼べば良いんだ?』

 

『名前、ですか。そうですね。私はもう打鉄では無くなりましたので……では、マスターが名付けて下さい。私はマスターが名付けるのであれば何でも構いません』

 

『なら、『(こく)(せん)』……って言う名で良いか?』

 

『黒閃………ではそのように登録します。以後私の事は黒閃とお呼び下さい』

 

「ダメですよ神代くん!! 打鉄に新しい名前を付けちゃダメですよ!! それに打鉄も勝手に登録しないで下さい!!」

 

 ガタンッと立ち上がって和哉と打鉄改め黒閃の会話を聞いて思わず声を荒げながらツッコミを入れていた。言うまでもないが、真耶達からの通信を切ってる和哉達には聞こえていない。

 

 そして和哉は真耶の思いを無視するかのように、箒を置いて再び福音に挑みに向かった。

 

 それを見た真耶は涙を流しながら千冬に縋ってきた。

 

「先輩! 私たちは一体どうすれば良いんですか!? もうこれは私たちじゃ手に負えませんよ!? と言うか、神代くんは打鉄に一体何をしたんですか!?」

 

「…………知るか。そんなの私が真っ先に知りたい位だ」

 

 千冬を先輩を呼んでしまうほど真耶の心理状態はかなり追い込まれている状態だった。本来呼び方を咎める千冬でさえも、それはせずにそっと真耶の肩に手を置く。

 

「真耶、もう私たちはこう結論するしかない。“素直に現実を受け入れろ”、とな」

 

「こんな非現実的な事をそう簡単に受け入れるのは無理ですよ~~~~!!!!」

 

 非情とも言える千冬のアドバイスに、力いっぱい叫ぶ真耶であった。

 

 

 

 

 

 

『マスター。織斑一夏の白式のシールドエネルギーが――』

 

「んなもん言われなくても分かってる!」

 

 一夏達が福音と高速戦闘しながら移動しているのを追い掛けている最中、黒閃が白式の状態を教えようとするが、分かっていたのですぐに斬って捨てる。

 

 どうやら一夏の白式の装甲が変わっても、零落白夜の燃費の悪さは相変わらずみたいだな。と言うか、新たに追加された装備によって余計にエネルギーの消費が激しくなったような気がするんだが。

 

「ってかアイツ、あんな兵器をバカスカ使ってたら、エネルギーがすぐに無くなるのを分かってると思うんだが……?」

 

『だからと言って、あの暴走機相手に出し惜しみは出来ません。しかし、織斑一夏はもう少し後先考えて戦った方がよろしいかと。あれではすぐにやられてしまいます』

 

「………お前、一夏をフォローしてるのか? 貶してるのか?」

 

『両方です』

 

 さいですか。手厳しい事で。

 

 っと、もう近付いたな。一夏達や福音はまだ気付いてないから、不意打ちを仕掛けるか。

 

 そして福音が一夏に近距離からエネルギー弾を掃射するところを俺は急降下して、

 

「だらっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

『!!!』

 

 側面から流星蹴りを食らわせて、腹に直撃した福音は吹っ飛んで海に激突した。

 

「よっ、一夏。さっきと立場が逆転したな」

 

「か、和哉、お前……その姿は一体……?」

 

 いきなりの俺の登場に一夏は困惑気味になっていた。ってか、本当にさっきと同じ場面だな。

 

 一夏の困惑にさっきまで福音と応戦していた、セシリア達が俺に通信を入れてきた。

 

「こ、これは一体どういうことですの和哉さん!? あ、貴方の打鉄が……!」

 

「ちょ、ちょっと和哉! アンタ打鉄どうしたのよ!? というか何そのISは!?」

 

「か、和哉、君に一体何が起きたの!?」

 

「どういう事だ師匠!? 説明を要求する!」

 

 あ~~やっぱこうなるか。分かってたとは言え、一斉に問い質されると耳が痛くなる。

 

 一先ず後で説明すると言いたいが、今のコイツ等にはそう簡単には納得出来るとは思えないので、短く纏めて言おうとするが黒閃が説明を始めようとする。

 

『簡単な話です。私はマスターである神代和哉の専用機となり、セカンドシフトをして姿が変わったのです。あと私はもう打鉄ではなく、マスターから新たに(こく)(せん)と名付けられましたので、以降は黒閃とお呼び下さい』

 

「「「「「…………は?」」」」」

 

 黒閃が簡単に説明した途端に目が点になって素っ頓狂な声を出す一夏達。

 

「お、おい和哉……い、今の声は……?」

 

 代表して一夏が俺に尋ねると、

 

「あ~~、俺もよく分からないんだが……。この黒閃ってIS、何故か人間みたいに喋れて会話出来るんだよ」

 

「「「「「……………はぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!????」」」」」

 

 俺も簡単に説明した途端、今度は一斉に驚愕の声を出す一夏達だった。

 

 うん。まぁ、誰でも絶対驚くよな、これ。だって俺や箒も驚いたし。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待て! い、い、今お前とんでもないこと言ったよな!?」

 

「い、い、いいい今すぐに詳しく説明なさい和哉さん!!」

 

「あ、あ、あ、ああアンタねぇ~! アンタが規格外なのは知ってるけど、今度は一体何やらかしたのよ!?」

 

「訓練機がセカンドシフト!? ISが喋れる!? 今の僕には全然理解が出来ないよ和哉!! もっと詳しく説明して!!」

 

「し、師匠……。こ、こればかりは納得のいく説明を……」

 

 もう福音との戦闘がどうでもいいような感じで一夏達は俺に詰め寄ってきて、説明を要求してくる。

 

「だぁ~~~! 一斉に俺に詰め寄ってくんな!! 今戦闘中なんだから福音に集中しろ!!」

 

「「「「「出来るか(ませんわ・るわけないでしょ・ないよ)!!」」」」」

 

『全く。マスターの言うとおり戦闘中だと言うのに、何を呑気な事を』

 

「いや黒閃、お前が余計な事を言ったせいで一夏達を困惑させたんだろうが。少しは自重しろ」

 

『……そうですね。申し訳ありませんでした』

 

 ………何か調子狂うな、コイツ。妙に俺に忠実と言うか素直と言うか……まぁ今そんな事どうでもいいや。 

 

 一夏達と黒閃に呆れていると、ザッパ~ンッ! と海に沈んでいた福音が上昇して水飛沫を上げながらコッチに向かってきた。

 

「お前等! 後でちゃんと説明するから、今は奴を倒す事に集中しろ! 散開だ!!」

 

「「「「「! りょ、了解!!」」」」」

 

 俺の指示で一夏達はさっきまでの困惑した顔とは一変して、すぐ真面目な顔に切り替えて散開した。

 

 そして俺は向かって来る福音を見て構える。

 

「黒閃、奴の戦い方はもう知ってるな?」

 

『勿論です。あのエネルギーの翼が主武装なのは既に確認済です』

 

「じゃあ俺と奴との相性が最悪なのも分かってる筈だ」

 

『問題ありません。それを補う為に私がいます。ですので、マスターは気にする事無く思う存分に戦って下さい』

 

 全面的に俺をサポートするってか? 嬉しい事を言ってくれる。

 

 俺の専用機なのが勿体無い位だ。

 

『マスター、来ます!』

 

「ああ! これが三度目の正直だ! 決着を付けるぞ福音!!」

 

 そして俺は向かって来る福音目掛けて構えながら突進していった。




完全にシリアスブレイカーになった上に、ギャグチックになってしまいました。

本当に申し訳ありません。

次回で本当に本当に福音との決着が付きますので。

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