黒絹の皇妃   作:朱緒

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第225話

 ロイエンタールたちは武器を確保すると、残りは破壊してその場を立ち去った。

 隠し通路は通路内や出口に敵が潜んでいる可能性 ―― 敵がロイエンタールたちを敵と認識して撃ってくるならばまだしも、最初から新無憂宮に放った者たちを口封じのために殺害しようと考えていた場合、出口付近に爆薬が仕掛けられ通過したと同時に通路を爆破するとも考えられる。

 まして外がどのような状況になっているのかも分からない現状では、この通路を使用することはできない。

 精々できる事と言えば、軍用車で入り口を塞ぐことくらい。

 敵の増援を少しでも足止めすべく、隠し通路前に横付けに停め直し、雪を蹴散らして足跡を隠してから立ち去った。

 

「救援が遅すぎるな」

 

 シュトライトとのやり取り、そして通信の途絶。あれほど不自然な通信遮断を目の当たりにしていれば、すぐにも救援を送るよう申し出たはず。

 新無憂宮内の状況確認に少し手間取るだろうが、そろそろ救援が送られてきて然るべき頃合い。

 

「近衛に内通者がいるということでしょうか? 閣下」

 

 フェルデベルトがロイエンタールの疑念に対し、内通者の存在を挙げる。

 

「まあ、そう考えるのが最も筋が通っているが……とにかく、俺たちは皇帝の安全だけを考えて行動しようではないか」

 

 ロイエンタールも近衛に内通者がいるのは確実だとは思っているが、軍用車に積まれていた対空砲が気になっていた。

 

―― 新無憂宮は上空から援軍を送ることはできん。建国法だとかいう馬鹿馬鹿し法律のせいで。だがメルカッツは厳守するであろう。あれは、そういう軍人だ。近衛の離反者らも、空から制圧部隊が送られてくるとは考えはせん。だが……エッシェンバッハはどうだ? それとも、そう思わせるためにか?

 

**********

 

 ”皇帝が籠もっている寝室”の近くで待機しているカタリナは、テーブルに置かれた繋がらない通信機の画面を見下ろしていた。

 これらの通信端末が使えないとなると、あとは歩行で連絡を取り合わなくてはならない。

 カタリナは貴婦人らしからぬ、傲然とした態度で腕を組み、皇帝がいる部屋へ通じる唯一のドア、それを守っているバリケードを凝視する。

 

”皇帝の命が危ない。理由を説明している時間はないが、今の帝国では皇帝の身柄を抑えたところで、なにも出来ぬし、意味もない。正当な要求であればジークリンデは通すからな”

 

 ロイエンタールはカタリナにそう告げた。

 彼女は尚書の座に就いてからも、門閥貴族を蔑ろにせず、時にラインハルトやロイエンタールの要求をはね除ける ―― 門閥貴族を納得させるための演技や駆け引きが多いのだが、ある程度彼らの要求を飲む形にはおさめている。

 それは実績となり、なんら権限のない皇帝に頼るよりは、彼女に申し出たほうが確実だと。先代皇帝の頃から、皇帝の権威は下落の一途を辿っていたこともあり、門閥貴族たちは、今の皇帝も同じように軽んじていた。

 そんなカザリンが皇帝として立っていられるのは、彼女の力が大きく、彼女だけがカザリンを皇帝として遇していた。

 

”カザリンに危害を加えるような行動を取った奴を、ジークリンデは許さん。ジークリンデが許さないとなれば、帝国には居られん。だが行動に出た。おそらく……続きは再会後にでも”

 

 「あんたなんかに、再会なんてしたくないわ」と、カタリナはロイエンタールたちを見送った。

 そうしていると、新無憂宮では見慣れた、通常とは色彩が逆の軍服 ―― 白地に黒みがかった灰色の刺繍が施された、近衛の軍服を着用している、カタリナにも見覚えのある二名の近衛が、小銃を手にやってきた。

 シュレースヴィヒとグリュックシュタット ―― 二人の姓である。どちらも侯爵家の出で、前者が三男坊、後者は四男坊。

 年齢はカタリナと同い年。

 その二人は陛下を、安全な場所へお連れすると言い出した。彼らが本日の警備担当であったかどうか? 残念ながらカタリナは知らない。

 警備の配置など興味がなければ確認などはしないし、する必要などカタリナにはない。

 二名は侍従たちを説得と言えば聞こえはいいが、威圧して ―― 侍従よりも家柄もよければ、体格も良く、力で押し切られたような形であった。

 カタリナは二名から少し離れた位置で、行動を見ていた。

 バリケードを撤去させた二名は、銃を構えてドアを開けさせ、

 

「何をしている!」

「陛下から離れろ」

 

 そう叫び、室内に向けて発砲した。

 

―― あいつの予想通りというのがむかつくわ

 

 いきなりの発砲に侍女は顔色を失い、侍従も同じ。荒事に慣れていない彼らは、このような状態に遭遇し、思考がほぼ停止する。

 これは彼らが悪いわけではない。勤務地が前線基地ならばまだしも、ここは攻撃されれば国の命数が尽きるような場所。そこで銃撃戦など、まず起こるはずがない。だが実際に起こってしまった。

 

 近衛二名は室内に押し入り、膨らみがあったベッド ―― 彼らが撃った痕跡のあるシーツを剥がす。

 そこにはクッションが置かれているだけ。

 他には驚きの表情を浮かべる余裕もなく撃ち殺され、目を見開いたままの乳母二名の死体が転がっている。

 

―― 陛下から離れろって、陛下はその部屋には居なかったわよ……もろとも殺すつもりだったと。最悪の場合はこうなるってマールバッハは言っていたけれど、まさか本当に……

 

 室内に向けて容赦なく発砲した彼らは、皇帝の死体がないことに焦りだした。

 本来であれば、皇帝の死体がないことに安堵するべきところなのだが。

 

「知るわけないじゃないの、シュレースヴィヒに、グリュックシュタット。本当に室内にいらっしゃらないの? どこかに隠れられているのでは?」

 

 室内の状況も確かめず発砲した二人を敵とは見なしているが、身を守る術のないカタリナは、ここでは何も知らない態度を取るしかない。

 カタリナに言われた二名は、一人が寝室に入り、室内を念入りに調べ、片方は他の者がおかしな行動を取らぬよう見張りつつ ―― カタリナの質問に答えていた。

 カタリナは「何時救助が来るのか?」「何が起こっているのか?」など、当たり障りのないことを、いつも通り上から命じるよう尋ねた。

 ここで下手に出ては、彼らの正体に気付いていることになり逆に危険。なにも気付いていないと思い込ませなくてはならない。

 

 室内を調べていたグリュックシュタットが、やはり居ないと寝室から出てきた。

 カタリナは彼らの側に立つかのように、誰かか知らないかと侍女や侍従たちに尋ねる。もちろん、彼らは知らない。この場で本当のことを知っているのはカタリナだけ。

 

「私たちを安全な場所まで連れていってくれるのよね」

 

 皇帝を殺害しそびれた近衛二名。

 カタリナにとっては敵だが、現時点で彼ら側が新無憂宮で優位に立っているのは明らか。

 よって彼らと共に、仮初めではあるが安全な場所へと移動することに決めた。

 

「あ、行く前にあの二人にシーツで目隠ししてちょうだい」

 

 乳母の死体にシーツを掛けたあと、近衛の二名はカタリナと、虚脱状態から回復した者たちを連れて、この場を去った。

 

―― 陛下を始末できなかった以上、次に交渉材料になりそうなのは私ですものね。いわば人質? 初めての経験だわ。どうなるかなんて分からないけれど、ボスに会えるかしら。だったら、後々……そう甘くはないか

シュレースヴィヒとグリュックシュタットの目的は、間違いなく陛下の殺害。ということは、ジークリンデを即位させようとしている訳ね。

まあ私はジークリンデと仲がよくて、即位にはなんの関係もないから、殺される可能性は低いと。

ジークリンデの即位はこのゴールデンバウム王朝にとってはなんら問題はないけれど、皇配エッシェンバッハは門閥貴族たちにとってはあり得ないわよね。ということは、あのお綺麗なお顔の夫君も狙われているのかしら。ま、あの永遠の少年は、アンネローゼを狙えばそっちにかかり切りになるのは、私でも分かっていることだけど。その策が上手くいくかどうかは別として。

そう言えば赤毛の腹心、まだ帰還してなかったわね。あら? ジークリンデもいない。ということは、アンネローゼの弟は、一人で自分の身を守りつつ姉の身の安全を確保しながら、皇帝の奪取をしなくてはならないの? ……大変ねえ。好きで買った苦労なんだから、しっかりなさい、ラインハルト坊や

 

 ラインハルトが新無憂宮に何らかの手を打つのは、姉の身の安全を確保してからだろうから、遅くなるに違いない、長丁場になるかも知れないと、カタリナは覚悟を決めたのだが、新無憂宮を出たあと、すぐにシュトライトに保護される。

 そのまま身の安全を確実なものにするためにと、ローエングラム邸へと連れて行かれ、カザリンが見つかるまで、毎日新無憂宮を見つめて過ごす。

 

 事件が起きてから四日目の朝、カタリナは新無憂宮を観ながら、大笑いをして噎せたあと”アレはなんだったのか?”と、隣で観ていてフェルナーに尋ね、その正体を聞き、誰が命じたのかはっきりと分かった。

 それはカタリナだけではなく、隣で見ていたフェルナーも、すぐにわかった。

 

「ゴールデンバウムの本気ってやつね」

「そのようです……止めてくださいよ、ファーレンハイト……」

 

 ただ、カタリナとは違い、フェルナーの顔色は非常に悪く、足下を見て髪をかきむしる。

 

「あなたみたいな、神経図太い男でも、顔色失うってことがあるのね」

「カタリナさま、あれは……」

「まあ、下手したら、あなたが考えているくらいの罰は受けるでしょうねえ。そんな顔しないのフェルナー。あなた程度の平民が幾ら考えて動いても、できる事なんてないんだから」

 

**********

 

 ロイエンタールたちは、観る者がいるわけではないが、惰性で飼い続けられている色鮮やかな魚たちが泳いでいる水槽が置かれている部屋へとやってきて、奪った食料を少量づつ水槽へ。毒味が済んでから彼らは高カロリーなレーションを口へと運んだ。

 

「幼児には味が濃いものを食べさせてはいけないそうです」

 

 目を覚ましたカザリンも、当然ながら食べたがる。

 長丁場になるし、腹を空かせた幼児の前でこれ見よがしに食べる趣味などないので、食べやすそうな大きさにビスケットを割り、手渡そうとしたロイエンタールだったが、リュッケに止められる。

 

「そうなのか?」

「はい。実際、偶に陛下が下さるお菓子は、塩気も甘みも非常に薄く、刺激も皆無です」

 

 成人三人の中で唯一、カザリンが食べているものと同じものを食べたことのあるリュッケが、通常よりも味が濃いビスケットを持ち悩ましげな表情を浮かべる。

 

「大人と同じものを食べると、体に害が及ぶと?」

「そう……らしいです。普通の料理ならまだしも、軍用のレーションでは」

「…………」

 

 ただの幼児なら、緊急事態で済ませられるが、リュッケが持つビスケットを寄こせと手を伸ばしている幼児は、この帝国の最高権力者であり、ここに居る三名は、子育て経験は皆無である。男同士で話をしたところで、子供の話や、まして世話についてなど話題にでるはずもなく、同僚は独身者ばかり ―― 子供用の食事があるのは理解しているが、その中身はほとんど知らない。

 むしろリュッケが”陛下が食べているのは薄味”だと知っていたのが奇跡というレベル。

 

「よろしいでしょうか?」

 

 そんなとき、小銃を手に持ち、辺りを警戒しているフェルデベルトが、ある提案をしてきた。

 それは、新無憂宮内のオラニエンブルク邸には、緊急事態に備え、カザリン用の衣糧品が整っているというもの。

 

「ジークリンデは、今日のような事態を予測して備蓄を命じていたのか?」

「新無憂宮の襲撃は予想されてはいなかったようですが、オーディンがバイオテロに晒された際のことを考えられた結果、ご自身の邸にオーディン全体の安全が確保できるまで、陛下とおつきの者が滞在できるくらいの用意を」

「あ、そうか。陛下はまだ、全ての危険ウィルスのワクチンを接種できないんだ」

 

 バイオテロに対し、全てのワクチンを接種させれば良いのだが、まだ一歳のカザリンは接種できないものや、次の接種まで間をおかなくてはならないものや、数年間をあけて追加接種が必要なものなど ―― カザリンはバイオテロに対して弱かった。

 

 この時彼女が、このような対策を取ったのには訳があった。

 自身の領地がバイオテロに遭った経験を無駄にすまいと、オーディンでバイオテロが発生した場合、どうなるかを軍の衛生将校たちに被害を算出させ ―― 被害が拡大した場合、外から衣糧品を運び込むのは危険だと判断し、被害が収まる最短期間の一ヶ月分を邸に常備させることにした。

 最長期間の備蓄をしなかったのは、皇帝の身の安全の確保は帝国において最優先で行われるのだから、最短期間内で終わらせなくてはならない事項なのだ。

 

「その間に陛下を上空から救出する法と、首都をオーディンから移す法を作るともおっしゃっていました」

 

 これが成人している皇帝ならば、新無憂宮に残って臣民と苦難を共にしても良いが、カザリンにはまだ自分の意思はないので、それはただの押しつけでしかない。

 

 なぜそのことを、フェルデベルトが知っているのかと言えば、ジークリンデはこの緊急事態の籠城作戦を、カタリナにしか明かしていなかったためである。

 新無憂宮で働いている者たち全員分の衣糧品は、彼女の邸には備蓄できないので(用意することは可能)カザリンとその世話要員の女性二名と、警備の男性五名分と、カタリナ用の門閥貴族の女性の品位を損なわないための備蓄品を整えた。

 もちろん、彼女はカタリナにだけ伝えているのだが、側には護衛やら秘書やらが控えている。

 その一人がフェルデベルトであった。

 ただフェルデベルトは知っているだけで、

 

「卿は暗証番号を知っている……よな?」

 

 その備蓄品を手に入れるためには、リュッケの力が必要になる。

 

「大丈夫です。邸のロック解除も、重要な品を収めている地下金庫の暗証コードもしっかりと覚えております」

 

 オラニエンブルク邸は、網膜承認システムや、暗証番号を用いた電子ロックなど、新無憂宮の邸にはあるまじき警備システムが敷かれていた。

 邸の警備のに割ける人員が少ないこと、その担当している者たちには、他にも仕事があるので、これに関しては彼女が許可を出していた。

 

「承認コードを知っているのは、侍従武官全員か?」

「はい」

 

 外からの救援が来るまでは、持ちこたえる必要があり、そのためには幼児皇帝のための備蓄品がある彼女の邸へと向かわなくてはならないのだが ―― 安全であるかどうか? それを第一に考えなくてはならない。

 

「モルトのコードが盗まれていたらどうする?」

 

 そのため、ロイエンタールが注意深くなるのは仕方の無いこと。

 リュッケもそれは当然だと思う。

 

「モルト殿のコードが使用されていたら、もっと早くにご遺体が発見されていたはずです」

 

 リュッケは死体の映像を観ていないが、死後数時間は経過しているのが、画面越しにもすぐに分かる程だったと二人から聞かされ、ならばそれはないと請け負う。

 

「あの邸に使われている警備システムは、当然ながら単独のもので、どことも連動はしておりません。また解錠されますと、五名に通知が届く仕組みになっています」

 

 オラニエンブルク邸の鍵を解除できるのは、侍従武官たちとフェルナー、ファーレンハイト、そしてキスリング。

 解除されたことが通知されるのは、シュトライト、フェルナー、ファーレンハイト、キスリング、そしてオーベルシュタイン。

 

「シュトライト、フェルナーの両名のところに、通知が届いていないということは、解錠された恐れはないということか?」

「はい。警備システムその物も、帝国独自のもので、フェザーン製品は一切使用されておりません。ジークリンデさまがお持ちの工廠で作製されたものですので、ソーシャルハッキングの恐れも低いかと」

 

 警備システムそのものは小さく ―― 場所が場所なので大がかりな工事はできないため、シューマッハとフェルナーが工兵の真似事をして邸に警備用の機器を取り付けた。

 

「なるほど。備蓄品の搬入も、お前たちが担当したのか?」

 

 幼児や子供向けの備蓄品は、帝国の軍事工場では生産していない。無論、彼女が発注すれば作りはするが、ノウハウがないので必死に作っても至らぬところがある ―― それよりならば、専門に作っているフェザーン業者を使ったほうが良い。

 これに関しては、長年の弱者に対する施しに関し、多大な実績のある彼女故、製品を大量購入し、領地に配布するのだと言ったところ、業者はもとより、ルビンスキーですら怪しまなかった(購入した品数が多かったため、自治領主の所まで話題がのぼった)

 その大量の備蓄品を、キャゼルヌに上手に誤魔化させ、ここへと運び込んだのだ。

 

「はい。小官とモルト中将、フェルナー中将閣下の三名で。こちらの品はフェザーン製品もありますが、中身はしっかりと確認いたしました」

「邸を解錠すれば、フェルナー中将にも異常は届くのだな」

「はい。……もう、届いている筈ですが」

「エッシェンバッハもそうだが、あの男も異変に対して、迅速な行動を取れる頭脳と、実権を持っているのにも関わらず随分と……」

「エッシェンバッハ公は姉君、フェルナー中将はジークリンデさまの身の安全の確認を最優先になさっているのでは? あのお二方にとって皇帝陛下は一番でありませんので」

 

 リュッケのひと言に、フェルデベルトとロイエンタールは「そうだな」と反射的に口にしたのだが ―― 思い浮かんだ言葉は別であった。

 

”辺りに人がいなくて良かったな”

 

 不敬罪ど真ん中の言葉を、皇帝を抱っこしながら言い切った彼はある意味勇者とも言えよう。

 

「なにより、お邸の警備システムが機械化されていることは、ほとんどの方は知りません。司法尚書たる閣下がご存じないことが何よりも証拠になるかと」

 

 思い悩んでいる風のロイエンタールに、警備システムは秘密理に整えたものであると、安心させるべくカザリンを抱きかかえているリュッケが言葉を重ねる。

 それは言外に「閣下、ジークリンデさまの側近に信用皆無です」と言っているのと同じなのだが ―― とにかく彼らは空腹で泣き出しそうな皇帝の機嫌を取るべく、彼女の邸へと急いだ。途中、ついに我慢できなくなったカザリンが泣き出し、賊に気付かれるという危機的状況があったものの、ロイエンタールがほぼ倒しきった。

 

「持って行くか」

 

 殺害した敵の手から落ちたトマホークを拾い上げ、彼らは彼女の邸へ。

 無事到着した彼らは、そこで三日ほど過ごし、救助が来ぬまま四日目の朝を迎えることになる ――

 


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