閻魔大王だって休みたい   作:Cr.M=かにかま

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今回は少し短いです


Fifth Judge

 

地獄...

鬼達の共同住まい、麒麟亭...

閻魔大王によって雇われた鬼達が住む巨大な寮にて

 

「ちょっと、聞いてよ麻稚!」

 

「あら、そうなの、良かったじゃない」

 

「あたい、まだ何も言ってないんだけど!?」

 

聞いたら聞いたで何やら面倒なことになりそうなので鮮やかな回避を決める麻稚

自称ドSというが最近疑わしくなってきた赤鬼、亜逗子は頭を抱える

 

「ていうか、なんか最近閻魔様といいあたいの扱い酷くない!?」

 

「日頃の行いよ、諦めなさい」

 

「それはあんただけには言われたくない!」

 

実のところ性格で判断されがちたが、仕事に取り組む真面目さは亜逗子の方が取り組めている

だから同僚であっても、亜逗子の方が地位が高い

麻稚も真面目と言えば真面目なのだが、亜逗子に比べて効率が悪い

メガネに騙されがちだが、麻稚は整理整頓が苦手だ

「それはともかく!」と亜逗子は仕切り直すように机に両手を叩きつけ、

 

「あたいは閻魔様に一発ギャフンと言わせてやりたいんだ!」

 

「...そう、それは立派ね」

 

「お願い、お願いだからその冷ややかな視線だけはやめて...」

 

亜逗子は割とガチで最近、弱ってきてる涙腺を崩壊させる

麻稚は亜逗子に興味を無くしたのか本に視線を落とす

 

「相変わらず、よく字ばっかの本なんて読めるよな」

 

「そう、亜逗子は字が読めないのね」

 

「どこをどうしたら、そんな発想に!?」

 

もはや麻稚の思考回路が別の意味で複雑すぎて、既に理解が追いつかない

とりあえず簡単な話題に戻してみる

 

「ていうか、何読んでるの?」

 

「二人の夜は永遠に...(BL)」

 

「意外な趣味だな、オイ!」

 

 

 

ペンガディラン図書館...

天地の裁判所の地下にある、あらゆる分野の書物を保管している歴史のある図書館

歴史書、神話、文学書、日誌、参考書、写真集、週刊誌、小説、漫画、ライトノベル

エトセトラエトセトラ...

 

「おや、閻魔様、いらっしゃい」

 

「資料室に行きたいんだが...」

 

受付の鬼は一瞬黙り、

 

「では、失礼ですが、閻魔帳を」

 

そう言われるとヤマシロは何処からか一冊の本を取り出す

閻魔帳を受付に手渡す

 

「.....それではこちらにどうぞ」

 

受付の鬼を先頭にヤマシロはあとに続く

今回、ヤマシロの利用する資料室は閻魔大王しか入れない特別な部屋になっている

過去の裁判の履歴、閻魔大王の活動記録、過去に起こった歴史に残る裁判などの資料が厳重に保管されている場所となっている

そのため、受付では閻魔帳を確認する程のセキュリティを期している

更に地下に続く階段を下りながら、受付の鬼が話し掛ける

 

「一応お聞きしますが、本日のご用件は?」

 

「3代目の記録に少しね...」

 

「あの荒れた時代の閻魔様の?」

 

「色々あったんだよ」

 

「...際ですか」

 

それ以上、会話はなかった

話からするに3代目の時代はよっぽど酷かったらしい

 

「こちらです」

 

鬼が足を止める

 

「私めがご同行するのはここまでです、どうぞごゆっくり...」

 

ペコりっと頭を下げ、鬼は急ぎ足で戻る

 

そして、ヤマシロは閻魔帳を取り出し、厳重な扉を開いた

 

 

 

ヤマシロが資料室に足を運んだ理由は三つある

 

一つは、天国で出会った織田信長と石川五右衛門関連...

五右衛門のような人物が他にも居るかもしれないということ

話によると、五右衛門は始め、地獄行きが決定していたらしい

それが裁判になり、天国行きが決まり、周りの鬼や当時の3代目の父、つまり2代目からも、かなりの批判を受けていたらしい

これが一度ならいいが、鬼や信長の話だと他にもありそうなので少し気になったのが一つ

 

二つは、餓鬼の異常な増加...

実はこの時代にも似たようなことが何度かあったらしい

しかし、何度かあったのにも関わらず、4代目からはそんな話はなかった

つまり、先代にはなく一時的には回復していたが再び発生した

もしかしたら、解決の方法があるかもしれないという僅かな希望を持ったのが二つ

 

最後の理由は単純に時間があったから

三途の川の仕事を終え、裁判を何度か行い、久しぶりに空き時間ができたため、その時間を利用している

少しでもできる時にできることをしておかないと、次いつ時間が取れるかわからない

 

「とりあえず...頑張るか」

 

ヤマシロは3代目の資料を探しに、広い資料室を歩き始めた

 

 




次回もよろしくお願いします

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