「へぇ〜あれから便利屋をね」
「俺はもう泥棒業よりも瓶山みたいに困ってる奴らを助けたいんだ、そこに瓶山も同意してくれて俺達二人で頑張らせていただいてんだ」
「もしかしたら天国にはまだ夏紀みたいに親が見つからない子もいるかもしれない、俺はそういう子達を助けたい思いもある」
...何というか頑張ってるみたいだ
ヤマシロはあの時途中離脱して神の国に行ってしまったのでどういう経緯があって彼らが意気投合しているかはわからなかったがそこは今重要なところではなさそうだ
石川五右衛門も瓶山一も二人とも目的は少しだけズレているが、人を助けたいという気持ちは共通していた
それに便利屋というのだから、あらゆる仕事を引き受けている様子だ
.....というかこの二人だから頼まれた仕事は断らない、もとい断れない精神を持っている様子なので一度引き受けた仕事は真正面から正直に解決しようと奔走していることだろう
それよりヤマシロが気になったのは...
「...これってバイク?車?」
五右衛門と瓶山の搭乗してきた乗り物に興味津々であった
下手したら信長のスポーツカーよりも高値のモノな気がする
「これはバイク型四輪車、馬力はスポーツカーでスピードを出すように特化した作りで天国一の乗用車開発者の最高傑作さ!」
「ちなみに最高秒速150km!」
「モンスターマシンのレベル越えてんじゃん!」
「あ、情報提供は私ね」
「もう突っ込まねーよ!」
ヤマシロはヤケクソ気味に叫ぶ
なんというか、彼の周りにはまともな人物は本当にいないのかもしれない
「で、姉さん本日の用件は?」
どうやら須川は彼らを友人としてではなく、便利屋として呼んだようだ
「私達を慰霊碑に連れて行って」
※
地獄、某所...
「全く、この地獄もクレーターだらけになっちまったな」
「全くだ、先代の閻魔様が暴れた結果がこれだもんな...」
「...どんだけ滅茶苦茶なんだよな、閻魔って種族は」
二人の若い鬼は、はぁ〜とため息をつきクレーターの復旧作業を続ける
いくら無法地帯で罪人ばかり集まる地獄といえど一応天地の裁判所の管轄下にあるため整備は必要となる
それでも行き届いてない場所も存在しており、そここそが本当の地獄とも言える場所であるだろう
「今日は仕事が早く終わったからゆっくりしたかったんだけどな〜」
「仕方ないさ、亜逗子の姐さんの指示だ」
その本人は現在二日酔いのせいで自室にて一人休んでいることを彼らが知る術はない
彼らもなんやかんやあってヤマシロのことや亜逗子のことを信頼し、信用している
そのため給料だけのためではなく、この死後の世界の安定化を図るためにせっせと毎日働く
「よし、もう一丁頑張るか!」
「そうだな!」
えい、えい、おー!と気合いを入れ直して再び作業に取り掛かる
しかし、その二人に忍び寄る小さな小さな影の存在にまだ気がつくことはなかった
「見〜つけた☆」
数秒後、そこには赤いドロドロとした水溜りとグチャグチャになったナニかが無残にも残されることとなった
「あはは、ははは、早く会いたいよ、兄さん」
その異変に気がつくまでは地獄の惨劇は続く、そのことを予言するかのように小さな影は地獄のあちこちで目撃されることとなるのは、そう遠くない未来の話...
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