麒麟亭...
「ゐ、つつつ....」
亜逗子と煉獄によって数分前行われた激闘のせいで麒麟亭は半壊状態になっていた
中でも最も酷いのが戦いの中心の大広間であり、見るに耐えないほど無惨なことになってしまっている
その中心部で気絶していた煉獄 京は目を覚ます
「たく、亜逗子ちゃんも突っ込みくらゐもっと手を抜ゐてくれてもゐゐのに...」
その一撃のせいで冗談抜きに鼻の骨が粉々に粉砕しかけたことはおいておこう
煉獄は立ち上がり、一先ずこの場所から離れることを考える
何故なら騒ぎを聞きつけて鬼達がやって来ても面倒だからだ
あくまでも彼は立場上は侵入者、拘束され尋問されてもおかしくない立場に陥っている(まぁ、拘束されても逃げることは可能だが)
煉獄は帽子を被り直し、脚に力を入れる
すると、まるで空中を蹴っているように煉獄の体が上昇していく
「冨嶽さんも百目鬼さんも上手くゐってるかな?」
煉獄は一先ず、作戦通りに天地の裁判所へ向かった
※
「何!?もうしばらくしたら百人以上の鬼が此処に攻めてくる?」
「あぁ、煉獄の言ってることがどこまで信用できるかわからないけどな」
天地の裁判所、ヤマシロは先程合流した亜逗子と麻稚から今回の事件のことを教えてもらっていた
ヤマシロが得た情報よりも二人の得た情報の方が多く、有力であった
.....戦闘の概要も大雑把に聞いたあとに、あまり面識はないが煉獄にご冥福をお祈りしたのは別の話である
「閻魔様、本当に聞き覚えはないんですか?」
それはともかく、先程から麻稚が同じことを何度も聞いてくる
全ては我らの秩序のために...
「いや、聞き覚えがないわけじゃないがどうも思い出せなくて...」
「全く、この言葉こそが今回の事件の全貌だと言うのに...」
「.....なんで溜息吐かれたうえにそんな冷ややかな視線で見られなきゃいけないの?」
どうやらとても重要なことらしい
.....何やら亜逗子までヤマシロに対して冷ややかな視線を送っているのは気のせいだろうか?
「いいですか閻魔様、その台詞は...」
麻稚が言おうとした途端だった
僅か、本当に僅かだが地響きが聞こえた気する
しかもそれは音だけに留まらず、天地の裁判所全体が震動しているようにも思える
「これは...?」
「まさか、もう!?」
ヤマシロはこんなこと一度もなかったなー程度で済ませたが、亜逗子と麻稚は驚いた表情と共に準備運動を始める
「.....何してんの?」
「大仕事の前の準備運動」
「多大な軍勢を相手にするのです、最低限体は慣らしておくべきかと」
「.....納得」
ヤマシロも準備運動を始める
一通り終えたところでまた震動が激しくなる
「結構近くまで来たな...!」
「急ぎましょう、閻魔様」
「よし、行こう!」
ヤマシロ、亜逗子、麻稚が天地の裁判所から地獄へ向かおうとすると、
「行かせるかぁぁぁぁぁぁ!!」
人の形をしたナニカが地獄から飛んで来た
しかも何やら見覚えのあるシルエットである
亜逗子が驚き叫ぶ
「煉獄!?」
「これ以上隗潼さんの邪魔はさせねゑよ!」
思わぬ敵の登場にヤマシロ達は思わず怯んでしまう
亜逗子はヤレヤレといった感じでもうやる気がないことを示し、麻稚は何やら放心状態(?)でいる
「仕方ない、一瞬でケリを着けるぞ!」
「ヤレるもんならな!」
ヤマシロは鬼丸国綱を構え、煉獄は何やら器用に即席で作った張りぼてのトンファーを構える
二人が動く前に、ヤマシロはあることに気がつく
「.....あれは?」
ヤマシロの目線は煉獄の丁度頭上部分、そう何かが凄い勢いで落下してきている...
「ゑ?」
煉獄も頭上を見上げるが、それこそが不運だった
ドガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!と煉獄は頭から床に身を沈めることになった
「ういー、マジ退屈だったわー」
見て見るとそこには、凄い勢いで髪を盛り金髪に染め上げた挙句、髪で目元が隠れてしまっている少女、
「査逆...?」
「はろー閻魔様、こいつはウチが抑えとくんでマジ急いで先に行っちゃってください」
ペンガディラン図書館館長、なんちゃってギャルの月見里 査逆が舞い降りた
キャラクター紹介
瓶山 夏紀(かめやまなつき)
種族:元人間
年齢:10歳(生前)
趣味:読書、料理
イメージボイス:今井麻美
詳細:瓶山夫妻の一人娘だったが、生まれつき体が弱く心臓病まで患ってしまい幼いながらも命を失い三途の川で四年近く積み石を壊されては作っていた
ヤマシロと会うまでは先述のこともあり暗い印象が見られたが、父と再会し再び笑顔を取り戻した
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