閻魔大王だって休みたい   作:Cr.M=かにかま

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しばらくギャグないかもしれないです


Twentiefirst Judge

一方、天地の裁判所では...

 

「...まさか、厳爺と百目鬼さんが来るなんてな...」

 

「観念せい若僧よ...お前に勝ち目はなかろうて...」

 

「久しぶりだの、ヤマシロの坊主よ」

 

冨嶽 厳暫と百目鬼 雲山が殺気まる出しの戦闘体制でヤマシロの下を訪れていた

ヤマシロも鬼丸国綱を取り出し応戦する

しかし冨嶽、百目鬼共にヤマシロが生まれる遥か前から殺し合いを経験してきた猛者、ヤマシロもそのことを本能的に理解してか、緊張感と殺気に押し潰されそうになる

 

「行くぞ小僧、済まぬが全力で行かせてもらおう!」

 

先に百目鬼が動く!

両目を失い、引退したというがそんな素振りは一切見せず、逆にその話に信憑性が無くなるほどの動きでヤマシロに接近する

百目鬼は杖を槍の様にして、ヤマシロの心臓を狙うが、ヤマシロはそれを鬼丸国綱で防ぐ

 

「あんた、絶対見えてるだろ?」

 

「いんや、何も見えんよ」

 

「嘘つけぇぇぇぇ!」

 

ヤマシロは杖を弾き、百目鬼に斬りかかるが百目鬼はそれを軽々とかわす

まるで本当に目が見えないという話が嘘のような滑らかな動きで

その一連の動作はしばらくの間継続されるが、ヤマシロの攻撃は当たらない

だが、百目鬼の攻撃は確実にヤマシロの急所を狙ってきている

 

「クソ、何で当たらないんだ!?」

 

「二人いることを忘れてはいかんじゃろうて」

 

「......ッ!?」

 

背後から冨嶽の声が聞こえたと思った矢先、背中に強烈な衝撃がヤマシロを襲う

冨嶽の鉄の様に硬い拳がヤマシロの背骨に痛みを走らせる

更に追い打ちとばかりに勢いよく放たれた百目鬼の杖がヤマシロの

腹部に直撃する

 

「ガ...ハァ....!!?」

 

ヤマシロは耐えきれずにそのまま膝を付く

口の中では鉄の味が広がる

 

「やはりまだ閻魔の器ではなかったの、若僧よ」

 

「儂らの力はまだまだ衰えんぞ」

 

二人が一方的に話しかけてくるがヤマシロには返事をする余裕がない

圧倒的実力差を前に戦意を失いかけていた...

 

「あ、あんたらの目的は何、だ?」

 

ヤマシロはその僅かな気力を使い疑問をぶつける

何故急に天地の裁判所を襲撃し、ヤマシロに攻撃を仕掛けたのか...

何故とうの昔に引退した筈の二人が再びここに現れたのか...

 

疑問は次々と浮上するがそれらの理由をひっくるめた質問を投げかける

 

「.....全ては我らの秩序のために」

 

少し黙ってから冨嶽が静かに応える

だが、その単語からは一切意味を読み取ることができなかった

しかし初めて聞くフレーズでもなかったのも事実である

 

「わからんか?もしそうだとしたら中々薄情な奴じゃて」

 

「儂らの目的はその先にある」

 

次々とマシンガンの様に一方的に話す二人を余所にヤマシロはゆっくりと立ち上がる

 

「....たく、あんたら本気で頭おかしくなってきたんじゃねぇの?」

 

「何...?」

 

ヤマシロの反論に冨嶽が即座に反応する

元々冨嶽は挑発に乗りやすいタイプで沸点も驚くほど低い

 

「意味不明な理由で戻って来やがってよ、もっとマシな理由なかったんかよ?」

 

「若僧、お前自分が何を言っておるのか本当に理解しておるのか?」

 

「あんたらよりは理解しているつもりだけどな」

 

ヤマシロの一言に冨嶽は額に青筋を浮かべる

額どころではない、全身から血管が浮き出て来ている

 

「俺が今代の閻魔大王だ、先代からのお墨付きだ!あんたらみたいな古い世代が出しゃばったトコでその事実は変わんねーよ!」

 

このヤマシロの台詞が冨嶽の堪忍袋の尾を切らせる

幻聴かもしれないが冨嶽からブチブチという音も響いてる気もする

 

「調子に乗るんじゃねぇぇぇぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!この若僧がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

冨嶽の怒りが爆発する

凄まじい力を従えてその狂気の拳がヤマシロを狙う

 

 

 

麒麟亭、大広間にて...

 

「お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

拳とトンファーによる凄まじい攻防戦が繰り広げられていた

亜逗子の拳と煉獄のトンファーがぶつかり合うたび、巨大な衝撃波が辺りを巻き込む

一見、拳とトンファーでは鉱石を加工したトンファーの方が有利に思えるが、互角の打ち合いが行われている

しかし、若干亜逗子の方が押しているようにも見える

 

「つぁッ!!」

 

「ゐ....ツッ!!?」

 

亜逗子は煉獄のトンファーを片方はたき落とす

僅かにできた隙を亜逗子は逃したりはしない

煉獄もはたき落とされることは流石に予想外だったようで一瞬だが動きが止まる

そこを亜逗子は狙う!

 

亜逗子の蹴りがトンファーを弾いた側の体を狙う

トンファー主体の戦闘を行ってきた煉獄にとってそれを失うということは防御の手段も攻撃の手段も失うことに等しい

亜逗子の蹴りが少しずつ煉獄の横腹に迫る

いくら速度を上げても避けようのない一撃だ

 

 

「何!?」

 

亜逗子が驚愕の声と表情を露わにする

蹴りの手応えが全くなかった、それもそうだろう...

 

煉獄 京はその場にいないのだから

 

まるで霧に触れたかのように、フッ...と姿を亜逗子の目の前で消してしまったのだから

そして、後頭部に激痛が走る

 

「惜しかったなぁ、亜逗子ちゃ〜ん」

 

そこには何食わぬ顔で亜逗子の後頭部を攻撃した煉獄が立っていた

もちろん横腹に蹴られた跡もないし、攻撃が当たった様子もない

更に、はたき落としたはずのトンファーも再び握られていた

 

「い、今の...まさか...」

 

「潜影術☆」

 

片手をピースサインで自慢気に発表する

 

潜影術...

死神の使う暗殺術の一つでもあり、基本技術

自身の体を影、もしくは暗闇と同化させることで攻撃をかわしたり、影から影に移動することができる

しかし、それは本来死神にしかできない技術であり、鬼である煉獄に使うことは彼が死神でない限り絶対に不可能である

 

「なんで...お前が死神の力を.....!?」

 

「ん?亜逗子ちゃんには言ってなかったっけ?」

 

煉獄は驚く、というよりも戯けた表情をしてからドッキリが成功した仕掛け人のように楽しそうに笑い、

 

「俺ってさ、鬼と死神のハーフなんだよね〜これがさ」

 

あっさりと種を明かした

 

 

 

 

 




キャラクター紹介

須川時雨(すがわしぐれ)
種族:元人間
年齢:不明
趣味:情報収集、煙管
イメージボイス:小清水亜美
詳細:ゴクヤマの時代に問題を起こし、裁判にかけられた数少ない人物
胸のサイズにコンプレックスを抱いており、そのことでからかってくる信長を敵視している
信長といつ知り合ったかは不明だが、生前は坂本龍馬と知り合いだった


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