閻魔大王だって休みたい   作:Cr.M=かにかま

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中々執筆が進まない...


Seventeenth Judge

「いやー、あんたがまさか夏紀ちゃんの父上殿で五右衛門と知り合いだったなんてな」

 

「いや、五右衛門とはさっき偶然会っただけっすよ、まさか五右衛門の言ってた人があの織田信長だったのは驚きですがね」

 

スポーツカー前頭部

信長が運転席に座り、瓶山が助手席に座って夏紀の居場所をカーナビに登録作業をするためこのようになった

四人は集めた情報を確認し合い、すぐさま瓶山を連れて夏紀のいる場所に急行することになり、現在最高速度で向かっている

 

「瓶さん、あんたの娘さん一回こいつにナンパされてんだぜ」

 

「コロス!」

 

「待て待て!儂、運転中、運転中だから!」

 

「ブチコロス!」

 

「五右衛門ー!テメェ何とかしやがれー!」

 

「アハハー!行けー、容赦は無用よ!」

 

「黙ってろ、ゴリラ!」

 

スポーツカー後頭部では五右衛門と須川が座っている

五右衛門は後ろから瓶山を刺激し、須川はそれを見ながら純水に楽しんでいる

流石に須川も運転中には手を出しはしなかった

そこらへんの常識はあるようだ

 

「信長ー、本当にそこでいいの?私も何回か行ったことあるけど何もない場所だったよ」

 

「うむ、それはわからん」

 

信長一行が向かっている場所は、天国でも最も地獄に近いと言われている場所、彼岸花の花畑

そこに夏紀が今居るらしい

 

だが、本当にそこは地獄に近く、ただ延々と彼岸花が咲き誇っている、それだけの場所である

もちろん、人も居なければ街もないし、それ以前に誰も立ち寄ろうとすらしない

 

「夏紀は何だってそんな場所に」

 

「わからんが、スピードを上げるぞ!」

 

「ちょ、信長!これ以上スピード上げたら危険よ!」

 

「安心しろ!ちょっとだけいじってある!」

 

須川の忠告も虚しく、信長は更に速度を上昇させる

 

「とりあえず、何で夏紀にナンパしたんだ、信長?」

 

「今聞くことか、それ!?」

 

 

 

私は今綺麗な赤い花畑にいる

見渡す限り、赤、紅、朱、緋...

何でここに来たかはよくわからないけど、この花が呼んでいる気がした

風に揺られる花は本当に綺麗だ

 

それにしてもあの話本当かな?

お父さんが天国に来たって話...

 

風の噂で聞いただけ、でも何となくそんな気もするけどあまり嬉しいとは思わなかった

気が遠くなるほど同じことを繰り返しておかしくなっちゃったのかな?

あの時にヤマシロが来てくれなかったら本当に私は壊れちゃってたかもしれない

 

でも、私は壊れても良かったのかな?

 

お父さんとも会えないし、友達もいない...

この間は久しぶりにヤマシロと会うことは出来たけど、お仕事が忙しいのか忙しそうにしていたからゆっくり話せなかった

何であの時死んじゃったのかな?

お父さんとお母さんを悲しませないために頑張ったのに何でダメだったのかな?

信じてるだけじゃダメなのかな?

自分から行動を起こさないとダメなのかな?

 

ヤマシロみたいに強くないとダメなのかな?

 

.....会いたい

........会いたいよ

 

お父さん、お母さん、ヤマシロ...

 

 

 

「夏紀ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」

 

信じてるだけじゃダメ?

 

そんなことはなかった....

 

 

 

「夏紀ィィィィィィィィィィィィィィ!!!」

 

彼岸花の花畑に着いてすぐに夏紀の姿を発見することができたので瓶山は誰よりも早く、瞬時に走っていた

無意識に、ただ娘との再開を喜ぶように

 

「お、お父...さん?」

 

夏紀もこちらに気が付き反応する

瓶山はその言葉に涙を溜める

 

「お父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

「夏紀ィィィィィィィィィィィィィィ、あぁ、あぁ!」

 

瓶山と夏紀が互いに距離を縮める

距離が徐々に近くなる

涙の量も更に増える、歓喜の表情が互いに涙でクシャクシャになる

 

そして、距離がゼロになる

 

「夏、紀ぃ...良かった、本当..に...」

 

「お、父さん...」

 

互いに抱き合い、喜びを改めて体感する

まさか、またこんな日がやってくるなんて

また、娘の暖かさに触れることができるなんて

また、父の大きな体に身を預けることができるなんて

 

本当、閻魔様には感謝してもしきれない...

 

「ありがとうございます、閻魔様」

 

「ありがとね、ヤマシロ」

 

二人はここにはいない人物に感謝の言葉を口にする

二人だけの時間はまだまだ続いた

 

 

 

 

「感動的だな」

 

「親子っていいもんだな...」

 

「うっ、うぅぅ...」

 

ここまで瓶山を運んで来た遠くから離れて見守る御三方も忘れてはいけない

 

 

 

「5代目のガキが今度は神の国に入ったらしいぞ」

 

「忌々しい、知らず知らずに偉そうになりおって」

 

「先代もそろそろお帰りになる頃だろうな」

 

「狙うならばその時であろう」

 

「まぁ、問題はなかろうな」

 

「準備は?」

 

「既に整っておるわ、我らを甘くみるでないぞ」

 

「そうだったな、ではいつでも?」

 

「当然」

 

「ならよい、とりあえずは乾杯だ」

 

「我らの仕事の早さに...乾杯!」

 

「それは違うわ!」

 

そして、ヤマシロの知らないところで準備は着々と進められていた

全ては我らの秩序のために...

 

 

 

 

 

 




キャラクター紹介

織田信長(おだのぶなが)
種族:元人間
年齢:不明
趣味:二十世紀の技術の研究
イメージボイス:小西克幸
詳細:本能寺の変やキリスト教を積極的に取り入れたことで有名な偉人
生前から外国の文化に興味があり、天国に来てからは自分から進んで文化に触れる
髪は金髪に染めたが、髷はまだ黒で残している


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