閻魔大王だって休みたい   作:Cr.M=かにかま

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最近マンネリになってきてる気が...


Fifteenth Judge

「で、この人は誰だ?信長」

 

「で、このナイスガイは誰?信長」

 

信長がやはり、痛みに耐えきれずに倒れてしまいゴロゴロ転がるがその状況が一段落し、情報屋の住処でとりあえずくつろがせてもらっている

 

「ヤマシロ、この女は化け物だ」

 

「誰が化け物だ!誰が!」

 

再び信長に鉄拳が襲う

しかも互いに慣れた動作のように無駄な動きがないことが何故だかわからないがとても悲しく感じる

 

「信長、真面目にしてくれよ俺だってこの後仕事残ってんだしさ」

 

そう、皆様お忘れかもしれないがヤマシロが天国に来たのは神の国に行き、イエス・キリストと会うためであり、決して観光とか遊びに来たわけではない

ただ時間があるから、信長と一緒に瓶山親子を探している

...信長がいるのは完全についでだが

 

「だから、この女は情報屋の…」

 

「そうそう、そうやってちゃんと紹介してくれれば文句は」

 

「ゴリラだ」

 

「死ね!ボケカス!」

 

今度はこれまでにないほど綺麗な回し蹴りが信長の首を襲った

…天国の治安が悪い理由がもう一つわかった気がする

 

「と、とりあえず俺はヤマシロだ一応閻魔大王やってる」

 

「ご丁寧にどうも閻魔様、あの馬鹿とはやはり大違いですね〜」

 

話が一向に進まないと判断したヤマシロは恐る恐るだが、話し掛けてみたがその心配がなくなるほどフレンドリーな態度で返してくる

その笑顔に似合う癖の少ない白銀の髪に、雪のように白い肌が彼女の美しさを更に引き立てている気がした

 

「私は須川時雨、この天国での情報屋と言ったら私のことだよ」

 

「フン、ない胸で何を偉そうに...」

 

「しつこい!」

 

......信長が復活するが須川によってまた沈められる

この姿だけを見ていると本当にあの有名な戦国武将、織田信長なのかと疑わしくなる

まぁ、見た目からして既に信憑性はないのだが...

 

「ていうか、あんた閻魔様なのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「今更かよ!?」

 

若干...というより恐ろしい程テンポがズレている情報屋に思わず突っ込みをいれてしまう閻魔大王

 

「えぇ、ていうか閻魔大王ってゴクヤマじゃなかったけ!?」

 

「!あんた、親父のこと知ってんのか!?」

 

「えぇ、知ってるわよ」

 

ヤマシロは少し驚く

実はヤマシロの父親、ゴクヤマの代では裁判が最も少ない世代としても知られていた

そのゴクヤマのことを知っているということは須川は数少ない裁判を受けた一人とも言える

 

「ホント、あの短気で怒りん坊で面倒くさがりで馬鹿なゴクヤマに息子がいたなんてねぇ〜」

 

「.......全くもってその通りでございます」

 

父親の悪口を言われたが全て事実なので反論できない

というよりも反論する意味すらなかった

 

「というわけで時雨、ヤマシロも仕事があるから早いとこ情報を提供してもらっても構わないかな?」

 

「いいけどさ、ヤマシロさん閻魔大王しか入れないって資料室に今度連れてってよ」

 

「断る!てか何であんたそんなこと知ってんだよ!」

 

「企業秘密で!」

 

ドヤ顔とテヘぺろを同時に行うという、須川の器用な部分を知ることができたが、恐らく情報源はゴクヤマだと一瞬で判断する

 

「そういやさ、」

 

須川がヤマシロの顔を真剣に見つめて、

 

「あんたがあのゴクヤマの息子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「今頃かい!」

 

 

 

「ハックション!」

 

「どうかなさいましたか、先代?」

 

「いや、何でもない」

 

 

 

石川五右衛門...

 

「どうした、瓶さん?」

 

「いや、何でもない」

 

こいつがあの大泥棒、石川五右衛門?

 

「まさか、俺のことをあの石川五右衛門かって疑ってる?」

 

図星であった

何とか誤魔化そうと必死に台詞を並べようと努力する

 

「いや、そんなことは」

 

「いいさ別に、色んな伝説があるみたいだけど、所詮は伝説だ」

 

五右衛門は歩きながら、いつの間に買ったかわからない焼き鳥を食べながら話す

 

「俺は単なる泥棒だ、そしてそれ以前に石川五右衛門って一人の死人だ」

 

「.....疑問だったんだが何で泥棒が天国にいるんだ?」

 

「それは聞かないでほしい、何か色んな意味で...」

 

バツが悪そうな表情で暗い雰囲気が五右衛門を纏う

なにやら開いてはいけない扉を開いてしまったようだ

瓶山は必死になって、

 

「わ、悪いそんなつもりじゃなかったんだ」

 

「いいよ、ちょっとしたトラウマがあるだけだから」

 

「全然良くないし!クソ、人のトラウマ呼び起こしちまった!」

 

互いになだめ合い、互いに謝るという奇妙な光景が天国の一角に完成する

ちなみに二人はとりあえず情報を得ようと天国の住民を管理している、いわゆる市役所のような場所へ向かっている

 

「なぁ、瓶さんその娘そんなに大事な存在なのか?」

 

「あぁ、命の次くらいに大切だ!」

 

「まぁ、俺らもう死んでるけどな」

 

「それもそうだ、訂正するよ、金の次に大切だ」

 

「ここだから言えることだよなぁ、それ!」

 

「違いないな!」

 

アハハハハハ、と二人は気があったのか互いに肩を回す

この短時間で小さな友情が生まれたようだ

 

「じゃあ、さっさと案内してくれよ!」

 

「モノ頼む時の態度じゃないよな、それ!」

 

二人は笑うだけ笑うと目的地に向かって足を進めた

 

 

 

 




キャラクター紹介

蒼 麻稚(あおいまち)
種族:鬼(青鬼)
年齢:不明
趣味:BL
イメージボイス:日笠陽子
詳細:亜逗子と同期で亜逗子の補佐
常にポーカーフェースを保ち、メガネも掛けクールな一面が見られる
かなりの毒舌で亜逗子とは違い、本物のドS
ベンガディラン図書館にあるBL本の半分が彼女の直筆であるが知る者は少ない


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