閻魔大王だって休みたい   作:Cr.M=かにかま

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コラボ企画第二弾です!
今回はアカシックレコードさんの「顔巣学園の平凡な超常」とコラボさせてもらいました。
あちらにヤマシロ達がゲスト登場する前日譚となってます(^^)


コラボ編 〜顔巣学園の平凡な超常〜

 

ある日の天地の裁判所、ヤマシロが雑務室の掃除をしていたら使い古した携帯電話が出てきた。

果たしていつ買ったものだろうか、記憶にすら残らない骨董品だったが奇跡的に電気は生きており起動した、長生きなものだな。

そこでアドレス帳を確認したところ、登録件数3件に対して泣きそうになったのは内緒である。とりあえず旧知の知り合いである現在現世に左遷中のルシフェルに掛けてみることにした。

生きているかの確認と携帯電話の電波はどこまで届くのかというどうでもいい実験も兼ねて。

普段脳波による脳話で遠距離会話を済ませてしまう彼らに携帯は不要なため文化は廃れてしまい、天国と神の国でしか使われないガラパゴス製品となっていた。

コール音が六回、プルルルル、と鳴り向こうが電話を取ったようだ。

 

「よ、ルシフェル」

 

『あぁ、久しぶりだなヤマシロ』

 

電話の向こうから聞こえてきた声はどこか渋みのある男性の声。これでゴクヤマ以上歳を重ねてる人物だからこそ侮れない。

 

「そっちはどうよ?うまい事やってっか?」

 

『うむ、まぁまぁと言った所だろうな。お前はどうだ?」

 

「こっちは毎日が大変だよ。前なんか現世と来世の境界が曖昧になって世界滅びかけた大事件に関わったしよ。とりあえず今は落ち着いたってところだな」

 

『なるほどな、あれにはあんたが関わってたのか』

 

「関わってたというか渦の中心だったというか」

 

苦笑いを浮かべながらヤマシロは頬をポリポリと掻く。電話の向こうのルシフェルはフッと笑みを浮かべて『閻魔大王に休みはないというわけ、だな』とか言ってる。

まさに正論でぐぅの音も出ない。

 

「そうだな。いい加減長い休暇が欲しいよ」

 

『......そう言えばゼスト君と麻稚君はバンドや音楽関連に興味があったな』

 

「なんだよ突然、まぁ、最近ハマってるみたいだけど」

 

最近では二人でいることもよく見かける。ただ本の受け渡しをしている以上によく見かける。

もしかして二人だけで演奏をしていたのかもしれないな。ヤマシロが上の空になっているとルシフェルが突然思い出したかのようにそうだ、と声を出す。

 

『お前、今から暇か?』

 

「ん?今は雑務も掃除も落ち着いてある程度時間はあるけど」

 

『なら、ウチの顔巣学園の夏祭に来ないか?』

 

顔巣学園、ルシフェルが校長をしている超ぶっ飛んだ学園らしい。

何でも自由がモットーの学園で基本的に何をしても許されるとか何とか。ある意味無法地帯のトンデモナイ所である。

 

「ちょっと待てルシフェル。たしかに今は時間はある、だがそっちに行く暇はないぞ?」

 

『大丈夫だ、問題ない』

 

(コイツ!他人事だと思いやがって!)

 

仕事量を知らないからそんなこと平気で言えるんだ、とヤマシロは手に持った携帯が壊れるのではないかと思うくらいに力を込める。決して八つ当たりとかではない、仕方ないことだ。必然的な衝動なのだ。

ヤマシロは決して悪くない。

 

『よしわかった、とりあえず来い』

 

「何にもわかってないだろ!」

 

『大丈夫だ、一日くらい仕事サボっても何も言われないって。それじゃ、待ってるぞ』

 

「オイコラ、ちょっと待て!」

 

ヤマシロの静止の声も聞かずにルシフェルは強引に通話を切ってしまった。

雑務室にツー、ツー、ツー、と虚しい音が響きわたる。

グシャ、と携帯を握りしめて破壊してしまったヤマシロは決して悪くない。悪いのはあの左遷中という身であるにも関わらず自由奔放にしているあの堕天使クソ野郎が悪いのだ。

−−−しかも、悪い運がどうやら重なってしまったようで、ヤマシロは嫌な予感を感じながら壁にもたれかかる。

 

「話は聞いたぜ兄弟!是非行こう、場所はわかる!」

 

「だろうと思ったよ、コンチクショー!」

 

というわけで。準備万端の義兄弟、死神ゼストと共に現世へと向かうことになった。

 

(全く、どうしてこうなったんだか)

 

ヤマクロのことを心配するが、今は査逆と一緒にいるから大丈夫だろうと勝手に安心する。

もし彼女が暴走すれば煉獄というストッパーが何とかしてくれるはず。ヤマシロは半ばゼストに拉致られる形で彼の影の中に収納された。

 

 

 

「話は勝手に聞かせてもらった」

 

「話は聞かせていただきました」

 

その頃、雑務室の入り口に佇む二人。赤鬼の紅亜逗子と青鬼の蒼麻稚がニヤリと笑みを浮かべていた。

 

「全く、閻魔様が一人で何か馬鹿みたいに雑務室で大騒ぎしてると思ったら面白いことになってるみたいじゃん。あたいらも付いて行くっきゃないでしょ」

 

「ですが亜逗子、どうやって現世へ?現在死神はゼストさん以外に生き残りはいません、なので行く手段は存在しないのでは?」

 

「心配すんな」

 

ニッ、と亜逗子は今までで一番頼りになる表情で麻稚の両目をジッと見つめる。何故こんな局面でこんなに頼もしい表情ができるのかはわからないが、自信満々に確信めいて亜逗子は麻稚に告げる。

 

「−−−ハーフならいるだろ?あたいらの知り合いに、しかもここで働いてる」

 

というわけで。

ベンガディラン図書館へ向かった二人はダラダラダラけている館長さんに鬼と死神のハーフである煉獄京をしばらく借りるというとあっさり許可してくれたので煉獄を連れて麒麟亭にある亜逗子の部屋へと連れて行く。

 

「−−−そういうわけだ、煉獄。あたいらに力を貸してくれ」

 

「ど、どうゐうわけ?」

 

「うーん、簡単に言うとだな。あたいら現世に行きたい、ゼストは閻魔様と現世に行っちゃったからここにいない、あんたしか頼れるヒトがいない、アンダースタン?」

 

「ま、まぁ何となく理解はできたけど、たしかに現世に行くことには行けるけど」

 

「じゃ行こう!」

 

「ちょっと待て!マジで脈絡なさすぎで混乱してんだけど!?」

 

煉獄に構うことなく二人は準備をせっせと進める。ちなみに煉獄は何度か現世行きを成功させている。

初めはゼストの師事を受けながら、そのあとは自分でゆっくりとコツを掴みながら度々と。ベンガディラン図書館で昔の死神が書き記した書物を読み漁ったり、現世と来世の違いを頭に叩き込んだりと色々と頑張ってきた。

全ては、好きなヒトの為に。

 

「煉獄、今は私たちの言うことを聞くべきです。死にたくなければ」

 

「重ゐ!?」

 

「レッツゴー現世ー!」

 

「だぁー!もう、わかったよ!連れて行けばゐゐんだろ!?どこに行けばいいの!?」

 

「えっと、カオスガクエンってところだったっけ麻稚?」

 

「そこです。よろしくお願いしますね」

 

「どこだよ、それ!?」

 

こうして、前途多難だったが煉獄達も現世に向かうことになった。

続きはアカシックレコードのみぞ知る世界!




https://novel.syosetu.org/7021/
続きはこちらでお楽しみください(^^)

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