騎士と魔女と御伽之話   作:十握剣

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第二章「オオカミさんとおつう先輩の恩返し」
第15話「再・騎士とメイド」


 

 

それはなんの変哲もない放課後のこと。

御伽学園学生相互扶助協会て書かれたボロい看板のついた、これまたボロい建物の前でメイドさんが箒とダンスを踊っていた。

 

るんるんとかの擬音──間違ってもレレレではない──を周囲にちりばめたくなりそうなほどご機嫌なメイドさんが、くるくると箒と一緒に回っている。ボリュームのあるメイド服のスカートがふわりと広がる。翼のように二つに縛られた黒髪が風に舞う。

 

「るんるんる~ん♪」

 

とうとう鶴ヶ谷は口でるんるん言い出した。似合っているから大いに良いのだが、ボロい建物──もとい誰も正式名称を知らないというか長いので正式名称を憶えようとしない御伽学園学生相互扶助協会、通称御伽銀行の地上支店の前にはメイドな鶴ヶ谷おつうさんがお掃除をしていた。

メイデスキーなカメラ小僧たちと、メイドフィールド(一般人は近づけない素敵空間)に阻まれ、近づけないおおかみさんご一行。

 

「おつう先輩ごきげんですのね。ご奉仕の喜びに恍惚としてますの」

 

「だな。おかげで近づきツラい事この上ねー。いつものことだけどよ」

 

いつも通りコンパクトで可愛らしい赤井林檎の言葉に、いつも通り男らしい大神涼子がため息をつく。大神たちが立ち止まっているのは、鶴ヶ谷が本当に嬉しそうにお掃除しているので、その邪魔をしたくないから。・・・・というのは表向きの理由で、本音の理由はまた別となっている。

 

「まあ、良い人なんだけどな。あれはあれでありがたいし」

 

「そうっスよねー、料理も上手いっスし」

 

腰巾着、金魚のフンの名を欲しいままにしている森野亮士が続いた。

実際、御伽銀行所属メンバーで鶴ヶ谷のお世話になっていない人はいないのだ。御伽銀行の地上地下の施設がいつも綺麗で清潔なのは、炊事洗濯掃除など家事大好きな鶴ヶ谷のおかげなのだ。恩返しという行為に目がなくて時たま奉仕の喜びにトリップするのさえ無視すれば、鶴ヶ谷は完璧なメイドさんなのだ。

 

そういう訳で毎週火曜と木曜にここで見れる鶴ヶ谷のお掃除は名物となり、かなり本物っぽいメイドが見れる素敵スポットとして、メイド目当てのカメラ小僧が集まってくるのだ。

 

そして地上支店からガラガラと扉を開いて現れたのは。長身で黒一色でまとめ上げられた制服を着た『騎士としての風格』を持った少年、黒軋ガウェインが出て来た。

 

メイドスキーな人たちはメイドさんメインでここに居るのだが、騎士とメイドという絶妙なコラボレーションがマッチしていて、お似合いである二人を見に来ている人たちも居るのだ。

 

「騎士先輩ですの」

 

「今日は当番だったな」

 

当番制で決まっている二年生組は、鶴ヶ谷と同じクラスであり同じ二年生でもあるガウェインは小屋の中に居たみたいだった。

 

「まあ、いつまでもこんな所でこうしている訳にもいきませんので、行きましょうですの」

 

「おう」

 

大神たちは今日は当番で無いが、何もないときにも地下本店に入り浸っている。茶も出てくることだし、おやつもあるし、テレビもあるしと至れり尽くせりであまりにも居心地がよいのだ。

 

そういう訳でくるくると回り続けていた鶴ヶ谷は出てきたガウェインと何か話をして、また再び小屋の中に戻ったガウェイン。そして大神たちは鶴ヶ谷に向かって歩いていくと。大神のつり上がり気味できつめの瞳が視界の隅にいつも通りでない飛行物体を捉えた。

 

「あれは・・・・?」

 

その小さく丸い何かは鶴ヶ谷の方へと・・・・・・

 

「あっ、あぶねえっ!!」

 

叫び走り出す大神。

大神の目には謎の飛行物体が今の軌道だと鶴ヶ谷に直撃することに気がついたのだ。

 

「え?」

 

鶴ヶ谷はその大神の様子に?マークを浮かべつつ、大神の視線の方向に何事かと目線をやり、目前まで迫った丸い飛行物体を目撃した。しかし突然の出来事に反応できない。

 

「きゃっ」

 

反射的に目をつむり、身をすくませる鶴ヶ谷。そしと今にもその飛行物体が鶴ヶ谷に当たろうとしたとき・・・・・

 

 

ゴガッ

 

と何かが当たる音を立て、謎の飛行物体───野球のボールが地面へと重力に従って落ちた。羽根のように柔らかな髪を摩る感覚が鶴ヶ谷に感じさせる。

 

なんだ? と大神が今起きた出来事に反応出来ずに居た。

 

鶴ヶ谷を覆うように盾となった黒軋ガウェインが撫でるように手を置いていた。

 

 

ガウェインは小屋に戻り、再び鶴ヶ谷に話を振ろうとした時には野球のボールが鶴ヶ谷に向かっているのを目にし、理解する前に行動、長身の身でありながら人間技とは思えない飛躍的速度で鶴ヶ谷の前に“駆けた”のだ。

ボールは鶴ヶ谷に当たる寸前にボールの回転を逆にするように手刀の平面で撫でるように止め。最後に掌(てのひら)でボールを覆うように鷲掴みした。

 

その速技(はやわざ)と妙技(みょうぎ)にりんごと大神、亮士は声を上げて感激した。

 

「もはや人技(じんぎ)を通り超した瞬間でしたの!」

 

「流石だぜ騎士先輩っ!」

 

「凄過ぎっス!」

 

ガウェインは鶴ヶ谷に怪我が無いか(ここぞとの場面でずっと触りたかった鶴ヶ谷の髪を思い存分に)確認していた。

 

「ビデオカメラがあれば今のをテレビ局に送る事ができましたの」

 

「その考えに行き着くお前にも驚きだが、いやマジで凄かった騎士先輩」

 

「か、かっこ良すぎっス!!」

 

後輩が先輩の凄さを目の辺りにしている中、未だ心配そうに(恍惚に)して焦燥な面持ちで(無表情のまま)優しく鶴ヶ谷の怪我をしていなかの最終確認する。

 

何が起こったのか分からずしばらくきょとんとしていた鶴ヶ谷だが、ガウェインが目の前で、しかも顔と顔の距離が数センチの間で髪を撫でられている事に気付くと同じタイミングで自分の身に何が起きたのか理解した。

 

若干赤面になり恥ずかしながらもガウェインと一歩距離を起き、頭を下げる鶴ヶ谷。

 

「あっ、ありがとうございました」

 

鶴ヶ谷のまっすぐな視線がガウェインに向かう。キラキラ輝く感謝の視線。

もし亮士(りょうし)がこの視線を浴びていれば哀れに身を縮み込ませていたかもしれないな、とガウェインが思いながら至極名残惜しそうに撫でていた鶴ヶ谷の綺麗で柔らかかった髪から手を放した。

 

「騎士以前に、男として女性を守るのは当たり前だ。・・・・そして何より」

 

そう言ってガウェインはまっすぐな視線を向けている鶴ヶ谷に返すように視線を合わせ。

 

「姫(プリンセス)を護るのが騎士の務めだ」

 

この場面でにこやかに微笑んで見せれば女を落とすスカしたイケメン野郎にでも変身できたのだが、落とす気を微塵に思っていなかったガウェインは真剣な顔でそう言った。

 

「わわ、わたくしはメイドで、決して姫などとは」

 

そして当然、真剣な眼差しでこう打ち返されてしまって鶴ヶ谷も反応に困っていた。だがそんなモノ騎士は問答無用に踏み潰し、

 

「女性は皆、お姫様だ(そう祖父に教えられたしな)」

 

そんな事を思いながら言っている事は本人のみぞ知る事で、鶴ヶ谷は耳まで赤くしていた。

 

そんな鶴ヶ谷おつうと黒軋ガウェインの周りに桃色なオーラが滲み出そうになった瞬間。

 

 

「どこぞのギャルゲーかッ!!」

 

ツッコミが入ってきた。

 

「あっ、トリスタン先輩ですの」

 

りんごが空気を見事に打ち壊した人物の名を呼んだ。

 

ガウェインと同じ『円卓の騎士』の一人である取須弾(トリス・タン)は金髪を揺らしながら見入っていたメイドスキーの人達から湧いて出た。

 

「オイオイ君は鶴ヶ谷おつうちゃんを取って食べようとする獣にでもなるつもりかい、ガウェインくん?」

 

「(何か口調おかしくないっスか?)」

 

「だいたい『女性は皆、お姫様だ』? こォんなこっ恥ずかしい台詞を言うなんてどんな神経してるんだよ、フフフ、笑っちゃうね!!」

 

「(そんな言い方ダメですのよ森野君、ああやって個性を出さないと出番が減っちゃうんですの)」

 

「だ、ダメダメ、全くなってないよガウェインくん・・・・ここは一つ、この俺トリスタンがッ!」

 

「(個性っつーか、ありゃ完全に主人公の親友的位置じゃねえか?)」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「(う~ん、その位置でもしっくりこないですの)」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「(じゃ、アレだアレ。う~んなんだったっけなぁ?)」

 

「主人公に突っかかるモブキャラ的位置じゃないですの?」

 

「それだッ!」

 

「『それだッ!』じゃねええええええええええええええええええええッッ!!!」

 

うんどりゃあぁあ、とトリスタンは人差し指を大神、亮士、りんごに向けてズビュンッ! と力強く指した。

 

「なんか途中からヒソヒソ話じゃ無くなってるし、俺の最大の悩みを的確且つ明確に抉り出そうとするなこの、この、この、あァ~と兎にも角にもォ!」

 

二人に対して悪口が思い付かなかったトリスタンはガウェインに向き合う。

 

「そんな桃色フィールドを展開させられていると、ここにいるチェリーボォイズ達には毒だッ! チェリーの耐性の薄さ舐めんなよ!?」

 

「知るか」

 

「そうだよ知るか! なんで俺こんなチェリーなボォイズ共の為に熱弁してるのか分からんわ! それもこれもお前が俺を構ってくれないからだバカヤロォォオオおお俺を構ってぇぇェェ~~!!」

 

ヒュンッと尋常じゃない飛び付きでガウェインの懐に入ったトリスタン。そして目をキランとさせながら抱き着こうとしたトリスタンに黒い衝撃が腹部を襲う。

 

「グヴァあ!?」

 

 

自分でも引くような呻き声を上げて転がる。転がっていった場所に群がっていた男子陣は『面倒事が始まりそうな予感、いやトリスタン絡みだから始まるな』と感じ取り早々に散らばった。

 

「悪い、お前の腹部に服が覆ってあったから蹴ってしまった」

 

「ゲフッ、ゴホッ! ハァハァ・・・・衣服着用してるから当たり前ではッ!?」

 

「抱き着こうとするのが悪い」

 

まぁ妥当だよなぁ、と大神たちは大きく頷く。

 

それに、とガウェインは続いて言葉を吐く。

 

「今日学校に来てからやけに俺にキメ顔やドヤ顔を向けてきてどういう了見だ? 不快だ」

 

確かにやっていました、と鶴ヶ谷はまだ赤くなりながら頷く。

 

「だがまだそれは良かった範囲だったかもしれないな・・・・」

 

「良かった範囲って、まだ酷いことがあったんスか!?」

 

ああ、とガウェインは言いながら疲れた顔で、

 

「帰ろうとした瞬間」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『じゃあまた明日な、黒軋~』

 

『ああ、また明日』

 

『またねー』

 

『また明日・・・・・・・・・・ふぅ、早く俺も部室に・・・』

 

ガラガラー

 

『おお、おお、まだ居たかガウェインちゃん!』

 

『なんだお前は』

 

『いやトリスタンだけど、いい加減よそよそしいのやめにしようぜ!』

 

『分かった』

 

『それでよ、ガウェイン』

 

『なんだお前は』

 

『えっ、よそよそしいの治ってねぇけど!?』

 

『これがお前に対する友情表現だ』

 

『ぉおう、ま、マジかよ、嬉しいじゃねぇかー//////』

 

『(コイツ馬鹿だ)』

 

『それでよガウェイン、見てくれよコレ、俺が書いたサインなんだ。うひょおマジで恥ずかしい、でも初めて見せるのはガウェインにって決めてたん、だぜ///////』

 

『(コイツ馬鹿だ)』

 

『これ上げるから』

 

『・・・・・・・・・・』

 

『いやよぉ、俺もなかなかな顔立ちだからモテちゃんだよねぇ。だから付き合う変わりにサインあげて「それ俺だと思って何でも好きなようにしてくれ(キメ顔)」ってやるんだぁ』

 

『・・・・・・・・・・』

 

『いやハッハッハ、モテるのはツラいねガウェインちゃん(ドヤ顔)♪ それではアドュ~~♪』

 

『・・・・・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

「不快に愉を付けて不愉快だ」

 

それは痛々しい話だ、と後輩達は可哀想な目でトリスタンを見た。

 

「どう反応すれば良いのか分からなかったから“仕方無く”トリスタンのサインを鞄に入れるしか無いという屈辱的な経験をした」

 

「優しいんですのね、騎士先輩は~。私だったら破ってゴミ箱にポイですの」

 

ものすごい笑顔でものすごい事を言うりんご。可愛らしい姿をしていて中身はドスく・・・ドス黒いです。

 

 

「何で言い直したのにまた言ってるんですのー!!」

 

「うおっ、どうしたりんご? 空に向かって」

 

「い、いえ。何でもありませんの、オオカミさんでお馴染みですの」

 

「それ言っちゃ駄目っス!」

 

「あらら、ストップが入っちゃうですの?」

 

「見事に入ったっス」

 

 

後輩のやり取りを横目にガウェインはトリスタンに声を掛ける。

 

「それで言い寄ってくる女性は居たのか?」

 

それを聞いたトリスタンはクワッとガウェインに顔を向けると、確かに整った顔立ちのトリスタンの顔が歪みに歪んだ泣き顔になっていた。

 

「イケメンなのに、こんな残念な顔になるんですのね・・・・」

 

「うわ、ホントひでぇ」

 

酷いのは先輩の泣き顔見て感想言ってるアンタらじゃ、と他の人達は思ったであろう。

 

「結果は聞くまでもないか」

 

「聞いて構って罵ってえええぇぇぇ!!」

 

「ト、トリスタン先輩はマゾだったみたいですの・・・・この情報を上手く利用して借りを作ることが出来るかもしれ──ブツブツ──ブツブツ」

 

「りんごが利用価値があるかを判定仕始めやがった」

 

 

 

その後、数分によるトリスタンの絡みに時間を割くことになるとは思いもしなかっただろう。

 

 

そして同時に鶴ヶ谷の様子もおかしいことにも気付いていなかった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

日が沈みかけ、辺りを赤く染めた夕方。おかし荘に帰ってきた黒軋ガウェイン。相変わらず騎士甲冑姿のライダースーツに注目されながらの帰宅だ。愛用のバイクである黒色に染まった大型自動二輪車『GALL-10』の後部から買い物袋を取り出した。荷物などを入れるスペースがGALL-10の後部にあるのだ。他にも科学の力で超進化させたバイクの性能もあるらしいが、今は関係ない。

 

ガウェインは宿主である村野夫婦の夫である村野若人(むらの・わかと)が大きくて邪魔になるにも関わらず駐車出来る場所を提供してくださったらしい。ガウェインも深い礼を何度もした記憶がまだ残っている。

 

そうやってガウェインはバイクを駐車し、買い物袋を掴んでおかし荘の横に建てられてある庭付きの比較的大きな家の玄関に向かう。

 

すると足下に寄り添う気配を感じ、長身の目線から見下げると、可愛らしく甘えてくる亮士の猟犬であるフランソラとエリザベスが居た。絶対に重そうな程に詰め込まれた買い物袋を片手で両方掴み、空いた片方の手でエリザベスとフランソラを撫でるガウェイン。

 

ハッハッハッともっと求めるようにゴロンとお腹を見せて『もっと撫でて♪』アピールを仕始めた。

 

ガウェインは小さく微笑みながら再度エリザベスとフランソラを撫でまくる。

愛でまくったガウェインは一人満足してポンポンと二匹の頭に軽く叩いてあげ、終了の合図を送る。

すると少し名残惜しそうな目をするも聞き分け良く引き下がった。

そして、いざ中へ、と玄関の前に立つと、ガラガラーと扉が開いた。

 

「あっ、ガウェインさんじゃないっスか。今買い出しの終わりっスか?」

 

出て来たのは村野夫婦の親戚であり、同じおかし荘に住んでいる亮士だった。

 

「ああ、亮士はこれから犬の散歩か?」

 

「そうっス、そう言えば若人さんが調味料欲しがってたっスよ?」

 

「分かった」

 

それでは行ってきまっス! と口調こそヘタレのままだがオドオドとした感じではない学校とは違う落ち着いた亮士がリードを持って外に出て行った。

 

ガウェインは買い物袋を持って邸内の奥にへと向かうと台所で主夫パワーフルスロットルの村野若人の姿があった。最初見た時から『こんな優しそうな表情をもった男性』は見た事が無かったガウェインは本当に色々としてもらっている。

 

「若人さん、すみません。遅れてしまいました」

 

「あぁ、ガウェインくん、全然大丈夫だよ、寧ろ逆で早かったよ?」

 

「いえ、そんなことは・・・・」

 

「ふふふ、僕は別に気にしてないから大丈夫! それより雪女がガウェインくんに話あるって言っていたよ。そっちに行ってあげて」

 

本当に仏様でも見ているかのように優しい若人にガウェインは感涙(もちろん無表情)しながら荷を若人に預け、ダイニングにいる雪女の所に向かう。

 

ダイニングで氷を沢山入れたサイダーをがぶ飲みするこのおかし荘の宿主にして若人の妻である村野雪女が座っていた。大きなテーブルの上には何やら資料に関する本が二、三冊置かれてある。

 

「ぷっはぁー! やっぱ冷たいサイダーは良い! 喉を潤わせてくれるわ」

 

豪快な飲みっぷりを見せた見事な男気溢れるこの女性(ひと)を見て、やっぱり元気な人だ、と思いながら雪女の近くにあるイスに腰かけた。

 

「・・・?・・小説読んでいたのですか?」

 

「あぁ、私以外の奴らがどんな文章で気持の流れや思いで小説を生かしてんのか研究中だ」

 

と美しく整った大人の笑顔で返事を返してくれた雪女にガウェインは『なるほど・・・・奥深い』と頷いて見せた。

そこで何やらずっとニヤニヤしながらガウェインを見ている雪女の視線に気付く。

 

「いやなーに、お前は意外にモテるんだなって思ってよ」

 

「・・・・?」

 

「いや買い物に出して悪かったな、部屋に戻って休んで良いぞ♪」

 

(いつも問答無用に買い出しをさせていた“あの雪女さん”が俺に気遣いの言葉だとッ?)

 

「・・・・んん~? 今なんか失礼なこと思わなかったか?」

 

「すみません、いつ見ても綺麗な女性だな、と思ってしまいした。そうですね、結婚なされた女性をそんなふしだらな考えを向けるなんて失礼以外何もありません。すみません」

 

「綺麗な女性か、ふふふ、口達者になったじゃないか」

 

「ありがとうございます」

 

違う考えだな、と鋭い洞察でそう思った雪女だったが、このおかし荘に入った時から随分と喋るようになったガウェインの成長に少し嬉しかったようで、まぁ良いや、と深く突っ込まなかった。

 

 

その後は雪女と軽い雑談をしてガウェインは自室にへと向かった。

 

「ふぅ・・・・・」

 

溜め息とは、そんなに疲れたのか今日は? と一日のやり取りを思い出し、トリスタンのせいだな、と疲労の原因を思い出していた。

辺りも暗くなったし、部屋で勉強やらをやらなければと自室の扉を開けると・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませご主人様♪」

 

 

 

 

黒と白とちょっとの赤で構成された男を惑わせる魅惑の存在。

 

 

 

 

扉の向こうにはメイドが居た。




如何でしたかな?
次回は騎士とメイドのLOVEい展開にッ?



ガウェイン………本物であるガウェインはどんな人物で、どんな性格だったのか、wikiでしか知らない自分ですが、やっぱりガウェインは一番大好きな『騎士』だと自分は思いますね(^_^)

きっと外面だけしか知らない若造の妄想話ですが、やはりカッコイイ(^_^)

トリスタンやランスロット、皆騎士として生きていたのに作者は国が違えど、『かっこいい』と素直に思いました。

何故こんなに暑く喋っているのか、分からない! すみませんでした( ̄▽ ̄;)


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