拙い文面かもしれませんが、どうか気長に生暖かい目線で読んでいってください!
第1話「出逢い」
むか〜しむかし、ある所に父から過激なまでに暴力をふるわえ何度も死にかけた少年が居ったそうな。
その少年は何度も父から逃げることを試みたが、次々と失敗してしまった。
少年は暴力を振るっている父を母に告白する、だが、その母もまったく聞き耳を立ててくれず、逆に父から受ける暴力が一層酷くなった。
あぁ、どうして自分は産まれて来たのだろう。
少年は毎日のようにそう思っていた。
それもそのハズ、父から肉体的苦痛を与えられ、母から精神的苦痛を受けているのだから。
そして少年はある日決心しました、この地獄のような日々を終わらせる為に。
自殺だ。
自殺をすれば良いんだ、と。
少年は決意し、どうせ死ぬなら外で死にたい。
死んで
少年は意を決して、親が寝静まった夜中にこっそりと家から出て、どこで死のうかとぶらりぶらりと歩いて行く。
少年は思った。
普通死に行く者は怖がるのだと、死にたくないと叫びながら足掻くのだと、だが少年にはそんな気持にならなかった。普段から受けている苦痛のせいで少年にはどこか壊れてしまった所があるらしい、『生』に対する執着心が無さ過ぎるのだ。
暗い夜道を歩く少年。
ひたすら足を歩かせる。
足掻こうとせず、『死』へと歩を進める。
だが、その少年の前に突然、
「もぉー、ヨナカになればなにかみつかるとおもったのにーなにもみつからなかった」
少年の同い年、より少し下のような女の子が虫取アミを片手に走っていた。
少年はまさかこんな夜中に人と会うとは思わず、その場で足を止めてしまった。
「あ、ソコのひとー、ソコで呆けてるひとー」
そして女の子は止まってしまった少年の元へと駆け寄って来た。少年には普段同世代の友達や、ましてや女の子とは話したことが無かったのだ。
「こんなよなかに一人でであるくのはあぶないよー?」
女の子は少年の近くまで近寄りそう言って来た。
少年は驚く、その近寄って来た女の子は完全に外国の人だったのだ、日本人にはあり得ない
だが少年は表情には出さなかった、少年にとっていちいち表情にするのは“無駄”だと知っているからだ。
「むぅ〜、きいてるの?」
その金髪の女の子は片手に持っている長い虫取アミをトントンと音を鳴らしながら少年に聞いた、ちゃんと答えていなかったからだ。
「…………………」
だが少年は気付いた、この自分より小さな女の子は糸も簡単に日本語をペラペラと喋っていることに、少年は英語を知らない、勉強を受ける環境では無かったから。だから少年は女の子になんて話しかければ良いか分からなかったのだ。
「……ねぇ、なんでキミはそんな目をしているの?」
少年が困っていると金髪の女の子はそんな質問をしてきた。
「なんだか、何もみてない、かなしい目をしてる」
何故か女の子も少し悲しそうな目で少年を見てきた。
少年はただ無表情にそれを聞く。
「なにか……あったの?」
女の子は聞いて来る、だが少年も見知らぬ赤の他人に自分の今の置かれている状況や気持を話す訳も無い。少年は再び歩を進めた。
そうだ、早く死なないと。
少年は女の子の横を通ろとした、だが次の瞬間、
ガバッ!
「……!?……」
少年は女の子に押し倒させられたのだ。自分より小さな女の子がこんな力が強いとは思わなかったらしい、簡単に倒れた。
「はなしをきけー!」
女の子は少年の胸に顔を埋めさせて大声で言う、父から受けた暴力で骨を折ったことで少し痛めていた右足を我慢する少年、静かに少年は女の子の肩を掴み、剥がそうとする。
所詮はやはり男と女、少年が少し力を入れて剥がそうとすると簡単に放せる事が出来た、少年は無表情のまま女の子の顔を見た。
「……泣いてるのか?」
女の子の緋い瞳から涙が雫となって少年の衣服に落ちる。
「……何で泣いている」
少年は無表情のまま、だが少し困ったような顔をしてまだ少年の上に乗ってる女の子に聞いた。
「かなしいからだよ、キミからとってもかなしいかんじがするの!」
女の子は大量にでは無いが少しずつ涙を流す。
どうして泣く?
自分には関係無いのに。
少年はそう思いながら起き上がろうとするが女の子は少年に抱き着く。
「……どいて」
「いや」
「・・・・・どい」
「いや!」
「・・・・・ど」
「いや!!」
女の子は断固として少年から離れようとしなかった。
少年は仕方無くそのまま立ち上がる。
なんとも苦にもせずに簡単に立ち上がる少年、女の子も驚いて少年に抱き着いたまま浮かぶ。
だがこのままでは自殺出来ない。
少年はそう思い近くにあった公園に入り、そこにあった木製の椅子に座る。
「……」
少年は未だに離れない女の子を見ながら考えた。
何も関係の無い、何も得も無い自分を助けてなんになる?。理解出来ない、解らない。
「しゃべってよ、私にはテンサイ的なズガイがあるんだから何かかいけつするかもしれないよ」
「……頭蓋じゃなくて頭脳?」
女の子は自分が間違えた事に赤面して、少年から離れる、だが手を握られていた。
とても、とても柔らかい。
「……どうしたの? なんで急に泣きそうなかおをするの?」
女の子は少年の顔を見てそう言ってきた。
少年はハッとする。
手を握られたことで何かが崩れ掛けた。
少年は女の子から手を払おうとするが、強く握り締められる。
「…………や、めろ。離せ」
少年は少し怒気の含んだ声で女の子に言う。
もうすぐ、もうすぐ何かがきてしまう。
少年は早く女の子から手を離そうとする。だが、女の子はまた断固として離そうとせずに逆に強く握り返して来る。
「やめろ、離せよ!」
そして少年は女の子に怒りを露にして叫んだ。
普通ならば泣くか逃げるだろう今の場面に金髪の女の子は真剣な眼差しになり、そしてもう片方の手を少年の頬にペタと着けた。
「いや……だってキミ、泣いてるんだもん」
女の子に言われ、少年はハッとする。頬に伝わるこの冷たい何か、それは涙だった。
少年は自分の手で涙に触れる。
あぁ本当だ、泣いてる。
壊れたであろう感情の一部分が一時的に溢れ返してきた。少年は女の子の温かく、そして柔らかい手を強く握り返していた。
こんなにも、こんなにも柔らかいものなのか、人間はこんな温かくて安心出来るものなのか。
親からバットやら皿、花瓶、酒瓶で殴られ続かれ、こんな温かく柔らかい感触なんて産まれて初めて感じたかもしれなかった。
少年は女の子が頬に付けている手に自分の手を据えた。
「温かい、こん……なにも温かいんだ。それに、柔らかいかい……だなっ……ウグッ、ヒグッ」
少年は女の子の手を握る、ただそれだけでどんどんと涙が溢れ出てきた。
こんなに優しく温かい、そして冷たく固くない。
「うぐぅ、ガァっ、グガァ、アガァ!」
少年は声に出さずにと必死に声を消して泣いている、すると女の子は。
「泣いて、いいんだよ。ここにはだれもいないから」
女の子は少年の顔を引き寄せて、胸に抱き寄せた。
そして少年は、硬く氷らせていた感情を溶かし、爆発させた。
「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・ヒグッ、うぐぁぁああああああああ!」
少年は女の子をギュッと抱き着き大声で泣いた、苦しかった、誰かに助けてもらいたかった。救われたかった。
少年は心の中でそう叫びながら泣いていた。
「……泣き疲れたのかな、ねむっちゃった」
少年はあの後、プスッと泣き止み、今までの精神の疲れが本の少し晴れたことで睡魔に襲われたのだ。
そして今は女の子の膝を枕に寝ていた。
女の子は少年の髪を弄りながら身体を触り、診察していた。
「……身体の至る所が紫色にパンパン腫れてる、普通の部分の方が少ないってどういう、……!……酷い」
先程とは打って変わり、幼さが残る女の子の表情では無く、多才溢れるような少女の顔つきになり、少年の髪を弄りながら痛々しい生傷を見つけた、頭に何かに強打されて裂けていたのだ、血で髪が固まっていた。
そしてその後に骨にひび割れしている部分が七つ、折れている所を二つ見つけた。
「……酷すぎる。きっと、この男の人は、死にに行こうとしたんだわ、死んだような目をしていたもの」
女の子は手を少年の頬にピタッとつけると、少年はパチッと目を覚ました。
「……俺は、寝てしまったのか」
「と言っても数分だよ」
女の子の声が真剣になっているのに少年は気づくと、起き上がった。
「……済まない、見知らぬ人の膝を借りるとは」
「知らなくないよ」
「……なに?」
「私は君を知ってるの」
「……それは、何でだ?」
女の子は真剣な面持ちで少年の向き合った。
「私は貴方を迎えに来たの、『
少年はいきなり自分のフルネームを言われて驚いた、無表情だが。
「私の名前はマジョーリカ、君のお祖父さんに名前をつけて貰ったのよ」
「……俺の祖父ちゃんが?」
コクリと金髪の女の子、マジョーリカは頷いた。
「ふふふ、君のお祖父さんは《アーサー王伝説》が大好きだからその中に登場する者から名前を取って、付けたらしいのよ。だから君の名前は円卓の騎士の一人である『ガウェイン』から取ったのよ」
マジョーリカは可愛いらしい笑みを浮かばせて少年、ガウェインに言った。
「名前なんて、どうでも良い、そのせいで親に何度も、何度も……」
ガウェインはまた死んだような目でそう呟く、するとマジョーリカはまた手を握ってくれていた。
「大丈夫だよ、もう、あの家に帰らなくても良いの」
「……なに」
ガウェインは不思議そうにマジョーリカの顔を見る、マジョーリカは笑みを浮かばせていた。
「私の親は今頃、君の親の所に行ってる。君を引き取りに来たの」
「引き取り? どうして?」
「どうしてって、居たいの? 暴力を振るう親の所に」
マジョーリカの言葉にガウェインはピクッと反応した。
「……なんで暴力が振るわれているのが分かった」
「君の……至る所に傷が残ってる」
マジョーリカの指摘にガウェインは黙る。
「えっとね、私の両親、というより父親は君のお祖父さんと知り合いで、お祖父さんは君の境遇を知り、私の父親に頼んで里親になって貰いたいって言ってきたの。本当は君を引き取りたいと言ったのお祖父さんなんだけど、訳あって無理みたいなの、それで私の父親に頼んできた、という訳」
分かった? とマジョーリカは首を傾げてガウェインに言う。
「……それで、どうして俺がこんな時間に出て来るって分かったんだ?」
ガウェインはマジョーリカにそう聞くと、まるで困ったような顔になり渋々答える。
「私もその、両親と一緒に行こうとしたんだけど、途中ではぐれちゃって、携帯で連絡して待ち合わせをしていたんだけと、私が探していた研究材料の薬草とか幼虫とか動物とか見つけて、それで追いかけて来たら……」
「つまりブラブラしている所で俺と会った、という訳か?」
マジョーリカはゆっくり、渋々頷く。
「……
ガウェインはもうすぐ暗い夜空が段々と青くなるのを見上げていた。
「ジィー」
マジョーリカはガウェインの顔を覗いてきた。
「なに」
「私が思うに、君はその恵まれない環境で何か欠けているんだと、私は判断した」
「なにをいきなり」
「だから私がその欠けている所を埋まらせてあげる!」
マジョーリカはそれだけ言うと、ガウェインの頬にキスした。
「なにしてんの?」
だがガウェインは何の反応もせず、その行為を聞いてきた。
マジョーリカはため息を吐いて言う。
「君には“愛情”が注がれていないんだよ。だから私は君に空となった“愛情”の器を充たしてあげるよ」
マジョーリカはまた満面は笑顔でガウェインに言った。
それが騎士と魔女が
初めて出逢った日だった。
全然……続き書いてない。
2016/07/02 文字修正