ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載 作:アゲハチョウ
アーシアさんが転生悪魔として生活をはじめてはや数週間の時が過ぎた。今はいち兄の家でホームステイとして居候させてもらっていた。
『やあ!マスター、久しぶり』
『久しぶりって昨日の夜にあってるじゃないか』
『えへへ、そうでしたね』
悪びれもしない笑顔浮かべるギル。そしてその隣にはジャックと……。
『
『いいよー。ところでギル、その隣にいる男性は誰なの?』
『ああ、そうだった。今日はね、新しい仲間を紹介しようとして呼んだんだよ』
仲間と言う単語に僕は胸を踊らせていた。今度はどんな英雄が現れたのか。気になってしかないのだ。
『初めまして、マスター。セイバー、真名はジークフリート。よろしく頼む』
『ジークフリートって北欧に起源がある英雄だよね?確かニーベルンゲンの歌に出てくるファヴニールを倒した龍殺しだよね』
『ああ、それであっている。マスターは博識なのだな』
『え、そうかな?えへへ、それほどでもないかな』
誉められるのはやっぱり照れ臭いよね。
『それで、ジークフリートもやっぱり能力とかあるの?』
『ああ、俺はセイバーのクラスだからな。高い剣術と並外れたステイタスは所持している』
『まあ、セイバーは七騎のクラスのなかで優良とされたクラスですからね』
なるほど、セイバーのクラスってそう言われてんだ。
『それと俺は常時発動型の宝具を所持している』
『常時発動型の宝具?』
『まあ、常に発動状態ってことですよ。まあ、名前とかは言わなくてもそのまま発動されますから』
ほへぇ、そんな宝具も存在するんだ。宝具って不思議な武器だね。
『その常時発動型の宝具って何か由来とかあるの?』
『ああ、俺はファブニールの血を浴びたことによって背中以外は変質し、不死身の体となってしまった。その逸話が宝具として昇華したものだ』
そう言えば、ジーク・フリートって背中から矢で刺されたことによって死んだんだよね。しかもその理由と言うのは、妻とその友人とのつまらない張り合いのせいだったような気がしたな。
『俺が主に使っている宝具は
『バルムンク?』
『ああ、俺が邪龍ファブニールを倒した剣が宝具になったものだ。聖剣としての、魔剣としての性質を持っている。これは龍殺しの概念が含まれている』
龍殺しの概念、か。かっこいいなー。
『という訳でこれからよろしくね。ジーク・フリート』
『ああ、こちらからもよろしく頼む』
と言うところで僕の意識は覚醒した。
「ふわぁ~。よく寝た~」
時計を見ると七時半を指していた。
「新しい仲間、か。まさか彼の龍殺しの英雄とはね」
龍殺し。悪龍、邪龍といった龍を、幻想種の中で最強の種族を倒した英雄の事を総じて呼ぶ。
その中でもジークフリートは有名である。
「さて、そろそろ行かないと。今日は用事もあるみたいだしね」
僕は部活をするために制服に着替えて朝食を食べ、歯を磨き、家を出た。
「おはようございます」
「おう、アスカ。お前が最後だぞ」
「うるさいなぁ、いつも遅刻ギリギリの人そんなこと言われたくないよ」
僕の言葉に反論の余地がなかったようでいち兄は黙り混んでしまった。
「おはよう、アスカくん」
「おはようございます、木場先輩」
「おはようございますわ、アスカくん」
「おはようございます、姫島副部長」
「…おはようございます、アスカくん」
「おはよう、塔城さん」
僕が来たことに気づいてくれた人たちから挨拶をしてくれる。
「あら、おはよう。アスカ」
「おはようございます、リアス部長」
最後にリアス部長に挨拶した。
「さて、今日はイッセーとアスカ、アーシアは使い魔と契約しにいくわよ」
「「「使い魔?」」」
使い魔、か。僕の神器も日本語訳だと使い魔って言葉が使われているんだよね。
「使い魔ですか?」
「ええ、そうよ。イッセーは一度あったことがあるはずよ」
「ええ、そうなの。いち兄」
「え、いや。俺は身に覚えがないんだが」
「うふふ、これが私の使い魔よ」
リアス部長が手をかざすと可愛らしい蝙蝠が現れた。
「う~ん、やっぱり見覚えは」
「ふふ、ならこれならどうかしら」
すると、蝙蝠が突然人形になった。しかも女性である。
「ああ!あのときの…!」
どうやら思い出したみたいだけどあの姿じゃ……。
「まあ、さっきまでの姿じゃわからないよね」
「でも、きれいな人でいいのでしょうか?」
「アルジェント先輩、きれいな蝙蝠ではないでしょうか」
部長は蝙蝠なのか。塔城さんたちも使い魔とか持ってるのかな?
「姫島副部長たちとかも使い魔を持ってるんですか?」
「ええ、持っていますわよ。私はこの子ですわ」
現れたのは小さな鬼だった。なんか物語に出てくる鬼とは少し違うね。
「僕はこの子だよ」
「お前のはいい」
「いち兄、ダメだよそんなこと言っちゃ。すいません、木場先輩。先輩の使い魔はカッコいいですね」
「ありがとう、アスカくん」
木場先輩はとりなのか。なんか見事に王子さまって感じがする。
「私のはこの子です」
「うわー、とても可愛らしいですね。小猫ちゃん」
「うんうん、小猫ちゃんにぴったりだよ」
どうやら、いち兄とアルジェント先輩は塔城さんの使い魔の事を気に入ったみたいだ。それに、しても猫か。
「?…どうかしましたか?アスカくん」
「うん、なんか塔城さんには猫が似合うなぁって。たまに見せるしぐさとか猫ぽいし」
「…そうでしょうか?」
うーん、自分では気づいていないのかな?
「ほら、たまに陽だまりで丸くなって寝てるし、小さいし、好奇心多いしさ」
「あら、小猫ったらそんなことしてるのね」
「うふふ、可愛らしいですわね」
「しかし、アスカくんもよく知ってるね」
「だって、よく家で遊びに来ては寝てますから」
「「「「!?」」」」
あれ、なんか皆驚いてる?
「あの、どうかしましたか?」
「アスカ、それは本当なの?」
「ええ」
「毎日ですの?」
「あ、いえ。祝日と土日とか遊びに来ますね。たまあに悪魔家業がない平日にもふらっと現れては居なくなってますね」
毎度不思議に思うんだけどどうして家の場所が分かったのかな?
「まあ、詳しい話はまた今度ききましょう聞きましょう。そろそろ来る頃だろうし」
「誰が来るんですか?部長」
いち兄が質問すると扉を誰かがノックした。
「ちょうど来たみたいね。入って大丈夫よ、ソーナ」
「リアス、あまり学校のなかでその名前を呼ばないでちょうだい」
「え?生徒会長?」
「あら、アスカくん。お久しぶりですね」
まさか、生徒会長も……。
「あら、二人は知り合いなのね。紹介するわ、私の幼馴染みであり、同じ72柱の悪魔である支取蒼那こと、ソーナ・シトリーよ」
「初めまして、ソーナ・シトリーです。そしてこっちは私の眷属の」
「初めまして、ソーナ・シトリー様の
匙元志郎先輩って最近生徒会に入った男子だったような。
「初めまして、リアス・グレモリー様の
「リアス・グレモリー様の
「同じくリアス・グレモリー様の
いやー、同じ
「よろしくね、アーシアさん。同じ転生悪魔としてこれからは仲良くしていこう!」
「「……」」
なんだろう、僕といち兄を無視してアルジェント先輩ばかり握手をしていていっこうに手を離そうとしない。
「…あの僕たちとは?」
「ああ、よろしくな」
カッチン…。今のは僕でも頭に来たよ。
「おい、テメェなに人の彼女の手をいつまで触ってんだ!」
「「ええぇぇぇぇ!」」
いち兄…い、いつのま……。
「いつのまにアーシアさんを脅迫したんだよ!」
「ちょっと待て!なんで俺が脅迫したって事になるんだよ!」
「あら、アスカは知らなかったの?」
「え、リアス部長は知ってたんですか!」
「うふふ、イッセーくんとアーシアちゃんはラブラブのカップルとして有名ですわよ」
な、な…んだと……。
「木場先輩と塔城さんも知っていたんですか?」
「うん、なんでもイッセーくんはアーシアさんと付き合ってから変わったってね」
「はい、変態な行動をとらなくなったみたいです」
まさか、いち兄が彼女を作るなんて…。おじさんとおばさんもさぞ喜んだだろうな。
「はぁ、それより匙先輩をボッコボコにして良いですか。さっきの態度はカチンときました」
「ダメよ、確かに彼の態度は流石にどうかと思ったけど」
「すいません、後で匙にはお仕置きをしておきますから」
お仕置き、か。なにされるんだろう。
「それより行きましょう。時間がなくなってしまうわよ」
「そうね、朱乃。魔法陣の準備はできてるわね」
やっと行けるんだ。使い魔ってどんなのがいるんだろう。楽しみだな。
「ゲットだぜ!」
「うおっ!なんですか、このパチもんは!」
「彼はザトゥージさんよ。使い魔マスターを目指しているのよ」
本当にパチもんだよ。よく作者とか関連会社の人が怒らなかったなぁ。
「ほうほう、リアス嬢とソーナ嬢が言っていた眷属か。まあ、ここは俺に任せておけよ。ところでどんな使い魔がいいんだ?毒持ちか、強いやつか、または可愛い系か」
可愛い系とかあるんだね。
「それじゃあ、これを渡しておくぜ」
「これって使い魔リスト?」
「おお、そこから選んでもらっても構わないぜ」
「いや、それよりなんか明らかに使い魔ってレベルを越えてるやつが載ってるんだけど」
そこに載ってたのは、ティアマットと書かれているドラゴンだった。
「ああ、今はドラゴンの時期だからな。もしかしたら出会うかもしれないぞ」
「ティアマットは五大龍王の中でも最強のドラゴンとして有名ね。イッセー、ティアマットを使い魔にしなさい。伝説の赤い龍と最強のドラゴン。いいじゃない!」
「部長!俺には無理です!」
「匙、貴方なら出来ますね」
「無理です、会長!」
うん、まあ普通に考えたら無理だよね。
「まあ、出会わないことを祈っておくことだな」
二人は一生懸命祈ってるけどフラグだよね。
「ねえ、木場先輩。あれってフラグじゃあ」
「あはは、まあでも祈って損はないんじゃないかな」
「…憐れですね」
おお、塔城さんが辛辣ですね。今までの恨みでしょうか。誰のとは言わないけど。
「それより五大龍王ってなんですか?」
「うふふ、説明しますわね。五大龍王とはドラゴンの中でも異質な力を持った5体のドラゴンの総称ですわ」
「ほうほう、そんなものを使い魔にしろというリアス部長は鬼ですね」
いくらなんでも無茶じゃないんですかね。
こうして僕たちは使い魔の森を歩き始めた。
「お、あそこにウィンディーネがいるぞ」
「「何処だ!?」」
匙先輩っていち兄と同類なんじゃ。まあ、僕も気にはなるんですけど。
「…あれがウィンディーネ?」
そこにいたのは歴戦の勇者すら臆するだろう筋肉を持ち、凄まじい肉体美を持つウィンディーネがいた。
「いやいや、あれはウィンディーネじゃないだろ!」
「何か性別と言う壁を越えた存在だよ!」
「まあ、アイツらも住みかを求めて争っていたからな。まあ、でもああいうのもいいだろ」
よくない!と僕たち三人は声を揃えて否定した。そのあともなんとか探すけどなかなか見つからずにいた。
「あれ、あそこにいるのはなんだ?」
「ああ、あれは
ん?なんかこっちに近づいてきているような……。
「え?」
「うふふ、どうやらアーシアを気に入ったようね」
「あらあら、これは決まりですわね」
うん、どうやらアルジェント先輩の使い魔は決まりのようだ。
「しかしこいつ可愛くない目付きだな」
「お、あまり迂闊に触らない方がいいぞ」
「ぎゃあああああ!!」
「そいつはオスでな。他種族のオスを嫌う習性があるんだよ」
なるほど、これは護身用としても丁度良い使い魔かもしれないね。
「はぁ、結局使い魔はゲットできなかったか」
「仕方ないよ。今度に期待しようよ」
「そうだな」
あれから数十分探すも見つからず僕といち兄、匙先輩は完全に諦めモードでした。
「仕方ないわね。今日は帰りましょうか」
こうして帰ることになったのだが。
「あれ?なんか一気に暗くなりました?」
「強い魔力が近づいてくるわね」
「ええ、魔王さまクラスの魔力よ」
魔王さまクラスの魔力の持ち主。しかもこの森でってことは……。
「懐かしい気配がしたからここに来てみたが、まさかドライグの宿主がいるとはな」
「上!!」
そこには言葉にできないほど美しいドラゴンがいた。
「私こそ
龍王最強が来ちゃいました!