ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載   作:アゲハチョウ

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7話

いち兄の案内のもと廃れた教会前へとたどり着いた。

 

「ここにアーシアが!」

「廃れた教会、ね。確かに堕ちた天使たちが集いそうな場所だよ」

「恐らく祭壇の下に地下通路があるはずだよ」

「そこから行きましょう」

 

塔城さんが扉の前へと立つと拳を握りしめて、扉を殴り飛ばした。

 

「小猫ちゃん、もうちょっと慎重に」

「彼方もこちらに気づいていたみたいですよ」

「キャハハハ、くそ悪魔四名ご案内~」

 

そこには神父服を着たいかにも狂ってるような男がいた。

 

「フリード!アーシアは何処だ!」

「あぁ~、あの憐れな聖女ちゃんならここの地下で堕天使様から神器を抜く儀式にかけれているぜ。キャハハハ」

 

やっぱり、神器を抜くための儀式だったんだ。

 

「ここは僕に任せてもらっていいですか」

「藤丸くん、なら僕も残るよ」

「いえ、先輩と塔城さんはいち兄と一緒にアーシアさんのもとへ」

「…一人で相手できる相手でもないですよ」

「あくまで足止めです。それにここで全員残るよりは一人を殿にして残りは救出に向かった方が早いです」

 

そう、これはあくまでアーシアさんの救出が目的で相手を殺す事が目的じゃない。勿論、相手がこっちを殺すつもりなら話しは別だ。

 

「早く、手遅れになる前に」

「…行こう。二人とも」

「良いのかい?」

「ああ。それに一度決めたことは誰に言われてもアスカは曲げないからな」

「よくわかってることで」

「お前と何年の付き合いがあると思うんだよ」

 

それもそうだね。ほんと長い付き合いだよ。

 

使い魔との絆(ボーンズ・サーヴァント)modeアサシン」

「おやおや、珍しい神器ですなぁ。総督が喜びそうで。ギヒヒヒ」

「悪いけど、相手になってもらうよ」

 

いち兄たちが行ったのを確認して僕はナイフを構え、間合いを図る。

 

「ぎひゃひゃひゃ。先手必勝」

「!?」

 

銃?部長がいっていた光を放つ銃か!

 

「くっ!!」

「おお!お見事、でも次は当てるぜ」

「そうは簡単にいくかな」

 

僕は気配遮断を使い、神父から場所をつかめないようにする。

 

「チッ、気配を消しやがった」

 

銃を下ろしたのを確認して、僕は銃の死角になる場所に移動した。

 

「ここだ!!」

「ちょっ! 」

 

僕は一気ナイフで銃を弾き飛ばして、畳み掛ける。

 

「そう簡単に殺られるかよ!」

「剣!!」

 

今度は刀身が光で出来た剣を使い始めた。

 

「くっ!」

「あらよっと」

「もう一つ!?」

 

僕が弾いた銃とはまた違う銃を取り出され、至近距離で撃たれる前に気配遮断を使った。

 

「チッ、また気配が」

「危なかった。気配遮断が無かったら撃たれてたよな」

 

距離をとり、身を秘めることにした。

 

「どうする。相手は銃に剣どっちも持っている。あんなのまともに当たったら死ぬとかですまないよね」

『マスター、苦戦してるね』

『ギル…。まあね。近距離と遠距離の武器を両方持たれているからやりづらいよ』

 

神器ごしに語りかけてくるギルにそう答える。

 

マスター(おかあさん)、宝具使おうよ』

『宝具、か。でも、どれをだい?』

 

解体聖母(マリア・ザ・リッパー)はただの人間に使うには荷が重い。

 

暗黒霧都(ザ・ミスト)だよ。あれはね、認識を阻害してくれるのと同時に人間には有害なんだよ』

『ああ、なるほどね』

 

ジャックが言いたいことが何となくわかった。

 

「ふう、宝具 暗黒霧都(ザ・ミスト)

 

僕を中心に霧が部屋の中を包み込んだ。

 

「な、なんだ。なんで霧が発生しちゃってるんですかぁ!」

 

慌て出す神父。まあ、普通に驚くよね。部屋の中で突然霧が出たら。

 

「それになんだか、気が遠く」

「ふぅ、それじゃあ方をつけるか」

 

僕は気配遮断を使ったまま相手の背後に回り込みそして…。

 

「がはぁ!」

「ふぅ、終わりだね」

 

宝具を解除する。

 

『なるほど、暗黒霧都(ザ・ミスト)は硫酸を含んだ霧が産んだ災害を逸話とした宝具だからね。ただの人間には毒ってことだね』

『そういうこと。魔術師とか魔法使い相手だとこう簡単にはいかないよ』

 

気絶したことを確認したあとに武器を探り当ててそれをとりあえず使えないように破壊した。

 

「さて、急がないと」

 

僕は塔城さんが破壊したであろう祭壇があった場所にある階段を降りていった。

 

「アーシア!!」

「この声はいち兄?」

 

急いで降りていくと、いち兄の叫び声が聞こえてきた。

 

「もっと早くいかないとでもどうすれば」

 

考えながら尚且つ早く下へと降りていくとあることを思い出した。

 

「そうだ!プロモーションだ。あれを使えば」

 

リアス部長が言っていた兵士(ポーン)の特性。ここで使ってみよう。

 

「速く降りるなら、やっぱり…」

 

深呼吸を数回する。そして意を決して唱える。

 

「プロモーション 騎士(ナイト)!」

 

すると僕の中にある駒が変わったような気がした。

 

「行くよ」

 

僕は素早く走る。と言うか想像以上のスピードに少し怖じけついた。

 

「は、速すぎる」

 

でも、とりあえず扉が見えてきた。

僕は勢いに任せてそのまま扉を開ける。

 

「はぁはぁはぁ、いち兄!」

「「藤丸くん!」」

「アスカ!」

 

そこには大量のはぐれ神父とあの堕天使の姿があった。

 

「儀式は終わったわ。早く消えなさい!」

「くっ」

「いち兄、このままじゃダメだ!一旦上に!」

「分かった!」

 

僕は指示を出しながら、ナイフで敵を倒していく。

 

「数が多すぎます」

「これはじり貧かな?」

「木場先輩と塔城さん。お願いがあります」

 

僕はふたりにお願いをする。

 

「あの神父たちを一纏めに出来ますか?」

「…私は出来ます」

「僕も一応できるよ。何かするつもりなのかい」

「僕の神器を使って纏まったところを攻撃します」

 

そういたってシンプルな一網打尽の作戦だ。

 

「わかった。最後は頼むよ」

「…期待してます」

「はい!」

 

という事で。

 

『ジャック、次はギルに代わってくれないか』

『ええー、まだ解体し足りないよ。マスター(おかあさん)

『また今度ね?お願い』

 

ジャックは渋々了承してくれた。今度はのびのび使ってあげよう。

 

『ギル、天の鎖以外でも攻撃はできるんだよね?』

『はい、でも射出量はそこまで多くないですからね?』

『わかってる。今、二人がひとつの場所に神父たちを集めてる。それなら少ない量での射出でも間に合うでしょ』

 

ギルは素直に頷いてくれた。よしなら。

 

「changeアーチャー」

 

ギルの能力に写った僕は早速宝物庫と空間を繋げる。

 

「今だよ、藤丸くん!」

「今です」

「離れてください!」

 

僕の合図にしたがって二人が離れる。それと同時に射出をする。

 

「ぐぁぁぁぁぁ」

「目がああぁぁぁぁ」

「ぎゃああぁぁぁぁ」

 

ゲートから出た宝具たちは神父たちを襲い、倒していく。

 

「ちっ、使えないわね」

「あとはお前だけだ。レイナーレ」

「ふっ、高々下級悪魔風情が調子に載るな!」

 

光の槍が飛んでくる。それを僕たちはうまく避けていく。

 

「ちっ、それよりアイツを追わないとね」

「な、いち兄をまた殺す気か」

「ええ、だってこのままだと私の任務が失敗したことになっちゃうもの」

「行かせるか!」

 

僕は天の鎖で拘束しようとするけど、間に合わなかった。

 

「クソ!」

「落ち着いて、それにイッセーくんなら大丈夫だよ」

「?あれ、木場先輩っていち兄をそんな風に呼んでましたっけ?」

「ああ、ここに来る途中ね、イッセーくんにこういう風に呼べって言われたんだよ」

 

なるほど、まあいち兄も仲間ってことで呼ばせてるんだろうね。

 

「じゃあ、僕も名前で呼んで大丈夫だよ。仲間ですしね」

「そうかい?なら、アスカくんと呼ばせてもらうよ」

「私も木場先輩と同じように呼ばせてもらいます」

 

おお、塔城さんも呼んでくれるんだ。あまり、流れに流されないと思ってたよ。

 

「あら、終わってたみたいね」

「あらあら、早いですわね」

「リアス部長に姫島副部長!?いつからそこに」

「つい先程よ。それにそろそろイッセーの方も決着が着くみたいよ」

 

すごいな。お見通しって訳かな?

 

「さあ、行きましょう。幸いワープで飛んでいけるから大丈夫よ」

 

なるほど、飛ぶんだ。

 

「いち兄!」

「アスカ?」

 

おお、なんというか満身創痍ですなぁ。

 

「大丈夫かい、イッセーくん」

「遅いぜ、イケメン王子」

 

まったく、軽口は叩けるみたいだね。

 

「あれ?いち兄の神器ってそんな形だったけ?」

 

よく見るとなんか形が変わってるような。

 

「そう、そう言うことなのね」

「リアス部長?」

 

なんか一人で納得なさってますね。

 

「部長、連れてきました」

「ありがとう、小猫。朱乃」

「はい」

 

うわー、塔城さんが引きずってきたレイナーレに朱乃さんが容赦なく水をかける。

 

「お目覚めみたいね。堕ちた天使さん」

「その紅い髪。グレモリーの一族か」

「貴方がイッセーに負けた要因は一つよ。この子神器を間違えたこと」

「神器をですって」

 

神器を間違えた?どういうことだろう。

 

「イッセーに宿っている神器は神滅具(ロンギヌス)の内の赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)。一時的に神すら殺す力を得るという神器よ」

「な、神をも殺す力を得るという神滅具(ロンギヌス)がこんなガキに!」

 

そんなものが存在するんだ。じゃあ、僕の神器はそれ以下かな?

 

「さぁ、言い残すことはないかしら」

「イッセーくん!」

 

この堕天使……!

 

「くっ!部長、お願いします」

「私の下僕に近寄るな!」

 

リアス部長の滅びの魔力で堕天使レイナーレは跡形もなく消え去った。

あとに残ったのはアーシアさんのと思われる神器だけしか残らなかった。

 

「アーシア」

「いち兄、諦めるのは早いと思うよ」

「え?」

「リアス部長、この子アーシアさんを悪魔の駒(イービル・ピース)で悪魔としての生を与えることは可能ですか」

 

リアス部長は少し考え込むとおもむろに僧侶(ビショップ)の駒をとって、神器と一緒に置く。

 

「異例だけど、やってみる価値はあるわね」

 

そしてアーシアさんの胸元で輝く駒が入っていく。

 

「あれ、…わたし?」

「アーシア!」

「成功みたいね」

 

よかったね、いち兄。

いち兄が涙流しながら喜ぶ姿をみてそう思った。


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