ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載   作:アゲハチョウ

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24話

コカビエルの野望を止めることに成功した僕達オカルト研究部は新しい仲間であるゼノヴィアさんを迎えて再び平穏な日常へと戻っていった。

 

「やあやあ、悪魔君。今日も召喚(喚び出し)に応じてくれてありがとうな」

「いえいえ、こちらとしても悪魔家業が繁盛して大助かりですから」

「そうか?なら今日はこのゲームで遊ぼうぜ」

「これはまた古いゲームですね」

 

再び始まった悪魔家業も最近はとても繁盛している。契約の方もそれなりの数と交わす事が出来た。

 

『マスター、気付いていると思うけど彼が人間じゃないことに』

『まぁね。少し魔力を探れば分かるよね』

『では、何故なにもしない。幼き我も警戒している』

『今は、下手にこっちから手を出すのは危険なんです。只でさえコカビエルのせいで天使と堕天使、悪魔と堕天使は一触即発の緊張状態。このオジサンがもし天使側の人物だったらさらに危険な状態に、最悪戦争何て事も有り得るんですよ!?』

『確かにここでマスターが手を出せば良くない方向に事が進んでしまうかも可能性が出てくる』

『正しい判断かもしれないね』

マスター(おかあさん)、解体しないの?』

『もう少し様子を見てみようよ。ジャック、そう言うわけだから今回は解体は見送りね』

 

子ギル達はどうやらこのオジサンの事を酷く警戒しているようだった。確かに持っている魔力の量も普通の人が持っている量を遥かに越えている。警戒していても損はない筈だ。

 

「お話はおわったかな?英霊使い君」

「えぇ、今しが・・・え?」

 

この人今なんて言った?

 

『マスター、すぐに距離をとれ!!』

 

王様、言う通り一気にオジサンとの距離を開けた。そして神器を展開する。

 

「おお、いい反応だ。ヴァーリが興味を持つ訳だ」

「やっぱりオジサン、人間じゃなっかったんだね」

「あー気付いてやがったか。あぁ、俺は人間じゃねえ」

 

そう言うとオジサンは立ち上がる。そして背中には6枚二対で鴉のような漆黒の羽が現れていた。

 

「6枚二対の羽・・・もしかしてアザゼルッ。神の子を見張る者(グリゴリ)の総督」

「ほう、俺の事は知ってるみたいだな」

「堕天使がなんでここにいる」

「ん、なにこの街で三竦みの会談が行われるからな。だから、ここにいるわけだ。争いに来た訳じゃねえんだから警戒するなよ」

「三竦みの会談?もしかしてリアス部長が話していた会議のことか」

「なんだ知っているみてぇじゃねか。ま、それを口実に仕事をサボっているだけなんだけどな」

 

こんなのがトップで大丈夫なのか。さすが、多種族とのハーレム作ったが故に堕天した男だ。

 

「目的は理解した。じゃあ、なんで僕に接触してきた」

「なに、俺は戦争とかよりも趣味である神器研究に熱が入っていてな。お前さんの神器にも興味が湧いたのさ」

 

飄々としていて怪しいが嘘を言っているようには見えなかった。

 

「冗談じゃないわ」

 

アザゼルの元から帰ってきた僕はリアス部長に接触されたこと話した。

 

「アスカくん、なにもされませんでしたか」

「塔城さん、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ、本人はどうやら会談口実にサボりに来ていただけみたいだから」

「だからと言って無断で私が任されている領地に侵入したあげく、私の可愛いアスカに近づくなんて!」

「ぶ、部長。落ち着いてください」

「イッセーさんの言う通りです。紅茶を飲んで落ち着きましょう」

 

怒るリアス部長を宥めるいち兄とアーシアさん。

 

「どうやら僕の神器に興味があったみたいですけど・・・」

「アザゼルは神器に造詣に深いと言う話を聞いたことがあるよ。有能な神器所有者を集めていると言う噂も聞くよ」

「有能な神器所有者-いち兄?・・・もしかしたらアーシアさんや木場先輩も狙われる可能性があるってことですか」

「おい、なんで俺の名前のあとに疑問符をつけたんだ」

「そうね。アーシアは希少な回復系神器。祐斗の聖魔剣。アスカの使い魔との絆(ボーンズ・サーヴァント)。そしてイッセーの赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)。誰が狙われても不思議ではないわね」

 

リアス部長の言う通りだ。今回は僕が接触されたけど、次は誰が狙われるかは分からない以上気を付けないと。

 

「あちらの動きが分からない以上、こちらも下手に動けないわ。しかも相手は堕天使の総督。不用意に接することが出来ないわね」

 

部長は考え込む。これ以上関係が崩れるのは両者にとって損にしかならないし勝手なことをする訳にはいかないのだ。

部長はその辺りに厳しいのはアーシアさん救出前を見ていれば分かることだ。

 

「アザゼルは昔から、ああいう男だよ。リアス」

 

すると、聞こえることのない男の人の声がした。僕は聞こえてきた声には聞き覚えがあった。声が発せられた方向へと目を向ける。

 

「お、お、お、お兄様!」

 

リアス部長はあまりの驚きに勢いよく立ち上がった。

そこにいたのはリアス部長のお兄様であり四大魔王の一角にしてルシファーの称号を持つ『サーゼクス・ルシファー』様だった。

 

「先日コカビエルのようなことはしないよ、アザゼルは。今回みたいな悪戯はするだろうけどね。しかし、総督殿は予定より早い来日だな」

 

どうやら口調から察するとサーザクス様とアザゼルはそれなりに良好な関係のようだ。勿論、それは個人的なものなのだろうけど。

そして後ろには銀色の髪にメイド服に身を包んでいる女性はグレイフィアさん。魔王様の女王(クイーン)を務めている方でもある。

 

「寛いでくれたまえ。今日はプライデートで来ているんだ」

 

僕達に楽にするように言ってくれた。

 

「やあ、我が妹よ。しかし、この部屋は殺風景だ。年頃の娘達が集まるのに魔法陣だらけというのはどうだろうか」

「お兄様、ど、どうしてここへ」

「何を言ってるんだ。近日授業参観が行われるのだろ。わたしも参加しようとおもってね。ぜひとも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

 

あー、そう言えばそろそろ授業参観が行われるはずうだったなぁ。サーゼクス様って意外と妹思いの人なんだな。

 

「グ、グレイフィアね。お兄様に伝えたのは」

 

本人はどうやらその事を隠していたようだ。

 

「はい。学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュールを任されている私の元に届きます。サーゼクス様の女王でもありますから主へも報告いたします」

「報告を受けた私は魔王職が激務であろうと休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。安心しんしなさい。父上もお越しになられる」

 

へぇ、お父さんも来るんだ。リアス部長はそうとう愛されているようだ。でも、リアス部長はあまり嬉しそうではないようだ。

 

「そ、そうではありません!お兄様は魔王なのですよ?それなのに仕事をほっぽり出すなんて!魔王がいち悪魔を特別視されてはいけません!」

 

どうやらリアス部長はいくら肉親とはいえ魔王様であるサーゼクス様が自分を特別視することをよしとしないようだ。

あれ、でも・・・・・・。

 

「一つ質問してもいいですか?魔王様」

「なにかな、アスカ君」

「授業参観に参加することと他にも目的があるんじゃないんですか?例えば三竦みの会談をこの学園で行うから下見を兼ねているとか」

「これは驚いた。アスカ君、気づいていたのかな」

「いいえ。でも、可能性としてはあり得ることだと思いました。現場となったのはこの学園です。いくら元通りになっているとはいえ、堕天使側にコカビエルが仕掛けていた魔法の痕跡が残っているこの場所なら証拠としても成り立ちますから」

 

サーゼクス様やリアス部長たちは終始驚愕したような表情をしていた。

 

「リアス、とても優秀な眷属を迎えることが出来たようだね」

「はい、私も嬉しく思います」

「それでどうなんでしょうか?」

「ああ。アスカ君の言う通り今回の会談はこの学園で行われることが決まってね。下見も兼ねているんだ」

 

予想は当たっていたようだ。これならいくら魔王様の部下のヒトの中に反対していたヒトがいても納得する理由が生まれるからね。

 

「さてこれ以上難しい話はここでしても仕方ない。うーむ、しかし、人間界に来たとはいえ夜中だ。こんな時間まで空いている宿泊施設はあるのだろうか」

 

確かにこんな時間に空いている宿泊施設はそうそうない。あったとしてもそれはラブホテルくらいの筈だ。

 

「なら、僕に家に来ますか?」

「おや、いいのかな。ご両親に迷惑をかけてしまうのではないかな」

「大丈夫ですよ。両親は海外に行っていて家には僕とティアとリアス部長だけですから」

「そうか、ではここはアスカ君のご厚意に甘えることにしよう」

「アスカ、大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ。部屋も余っていますし、迷惑とかじゃないですから」

 

心配そうな申し訳ないような表情で僕に問いかけてくるリアス部長。

 

「ティアにも説明しておきますから。それにサーゼクス様とは一度雑談をしてみたいと思っていましたから」

「そう・・・、アスカがいいなら良いのだけど」

「では、案内しますね」

「ああ、よろしく頼む」

「一晩だけですが主共々お世話になります」

 

こうして僕の家に魔王サーゼクス様とグレイフィアさんをまねくことになった。


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