ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載   作:アゲハチョウ

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21話

「エクスカリバー、統合が完了した…」

 

あれがエクスカリバー?形がなんだか歪だ。未完成だからなのか?

 

『やはりな。マスター、あれは約束された勝利の剣(エクスカリバー)などではない』

『え?』

『元々、約束された勝利の剣(エクスカリバー)はアーサー王が部下に命令して泉の貴婦人に返還したはずだ』

『そうだね。僕もそれが不思議でしかたなかった。どうやって天使がアヴァロンに入ってエクスカリバーを手にいれたのか』

 

あれは正当な担い手ではない人物には扱えないし、貴婦人が渡すとは思えない。

 

『なら、答えは一つです。マスター、あれは約束された勝利の剣(エクスカリバー)の偽物』

 

偽物か。なら、納得いく。そもそもエクスカリバーが折れて七つに分割してそれぞれに能力を与えるとか無理だもんね。

 

「なら、最初の通り。あれは破壊しないとね」

「その役目、僕に譲ってもらえないかな?」

 

木場先輩が僕の肩に手を置きながら前へと出た。

 

「バルパー・ガリレイ。僕は聖剣計画の生き残り、嫌、死んで悪魔になった身だ。お前に聞きたいことがある。どうして僕たちが殺されなくちゃならなかった!」

「ほう、あの計画の実験台(モルモット)の生き残りが悪魔になったのか。なに、私は昔から聖剣が好きだった。好きで、好きでたまらず研究ばかりしていた。その時、聖剣を扱うには因子が必要だと分かったが、私にはそれがなかった」

 

因子?そんなものが必要なのか?

 

『ジーク、君のグラムは因子が必要なの?』

『いいや、そんなものは必要ないはずだ。そもそも、聖剣は元々存在していて認められるか後付けからなったものの二つに分かれる。俺のその後者だ』

 

だよね。

 

『それに私たち英霊は時空なんて定まってない。あらゆる可能性の世界から誕生した』

『つまり、この世界では因子がなければ聖剣が扱えないってこと』

 

なるほど、ジャックとエルキドゥの説明で何となくは分かったと言うか、皆は僕たちがいる世界から生まれた英雄じゃないんだね。

 

『当たり前だ。英霊を管理する座に時間軸など存在しなければ世界すら定まっていない。いかなる世界や時代にも呼ばれるのだ』

 

驚きだね。皆がそれぞれ違う世界に存在した英雄たちだなんて。まあ、そんなことより目の前のことだよね。

 

「そしてそんな中因子が取り出せることが分かった。だから、貴様らから因子を抜き取った。用済みの貴様らなど価値がない。じゃから、殺したんだよ」

 

身勝手な。そんなことで木場先輩たちは殺されなくちゃならなかったのか!

 

「許せない。許せないぞ、バルパーっ!」

「おっと、くそ悪魔の相手は俺っちだぜっ!」

「ぐっ!」

 

木場先輩はバルパーに斬りかかるがフリードに阻まれてしまう。

 

「changeセイバー」

 

『ジーク、木場先輩を助けるよ』

『了解した、マスター』

 

鎧とマントに身を包み、木場先の援護へと回る。

 

「なんだい、くそちび悪魔も相手してくれるんですか?ギヒヒヒヒ、いいねいいね!」

「良くないよっ!」

 

今回は速さだけじゃない。なら、ここは慎重攻撃を仕掛けないと。

 

「藤丸、君はコカビエルの相手を頼む。あの騎士(ナイト)への援護は私がしよう」

「…わかりました。お願いします」

 

僕はそこをゼノヴィアさんに任せて僕はコカビエルのもとへと向かった。

 

木場side

 

「はあ!」

「残念、それも幻でちゅよ!」

「クソ!」

 

僕はエクスカリバーを持ったフリードに挑むも統合されたエクスカリバー能力の前では歯が立たなかった。

 

「ほらほら、早く俺っチを見つけないと死んじゃうぜ」

「ぐっ」

 

こういうときにアスカくんの神器が羨ましく思う。戦況に合わせて攻撃方法が変えられる彼ならこの状況を打破できるかもしれない。

 

「なら、速さで勝てれば」

「オイオイ、忘れちまったのか?速さでもお前は俺っちには勝てないんですよ!くそ悪魔!」

 

騎士(ナイト)の能力を使っても勝てないなんて。

 

「くふふ、無様だな。まあ、所詮はあの計画の生き残り。でき損ないの貴様にはお似合いか」

「ぐっ、バルパー…!」

「そうだ。冥土の土産に良いものを見せてやろう」

 

バルパーが出したのはひし形の結晶のようなものだった。

 

「これは貴様らの計画で抜き取った因子の結晶だ。だか、これよりも上質な結晶を取り出せる今となっては不要なものだ。ほら、貴様にくれてやろう」

 

投げられた結晶を僕は手に取った。

 

「…ごめん。ごめんよ。僕では君たちの仇を、エクスカリバーを壊せない。僕が弱いから」

 

涙が結晶に落ちる。すると、その結晶が光だした。

 

「な、なんだ……!?」

 

バルパーも慌てている。すると、放たれた光は何人かの人の形を成してきた。

 

『泣かないで、貴方は弱くなんかないわ』

『そうだよ。君は今までずっと僕たちの事を思っていてくれたじゃないか』

 

それはかつて僕を逃がすために命を落とした同胞たちだった。

 

「どうして、あの時…僕だけを助けて」

『俺たちはお前に希望を見たからな』

「希望?」

『ええ、貴方はどんなときでも明るかった』

『君が勇気づけてくれた。そして僕たちにとってそれは希望だった』

 

いくつもの人影が生まれてゆく。

 

「でも…」

『それに君は片時もなくあたしたちの事を思って泣いてくれていた』

『強くなろうとしてくれた』

「違う、僕は弱い。強くなんかない」

 

首を降りながらも否定する。

 

『ううん、強くなった。だって、君には頼れる仲間たちと過ごして強くなっていったじゃないか』

『特にあの全ての英霊を従えるあの子と共に』

 

僕は後輩であるアスカくんを思い出した。

 

「そうだ、僕は…アスカくんと、いや、グレモリー眷属の仲間と共に強くなっていたんだ」

『うふふ、やっと分かったね。それにこれからは私たちも一緒に戦うわ』

『だから、剣をとって』

 

ああ、そうだ。僕は一人で戦っている訳じゃなかった。

 

『例え、神がいなくとも』

『君ならきっと成し遂げられる』

 

だから、共に……。

 

「だから、共に強くなる。そしてこれが僕の新たな力だッ!」

 

解る。皆が力を貸してくれる。

 

禁手(バランスブレイカー)双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)

 

これが僕の新たなる剣。仲間との想いの剣だ!!

 

「オイオイ、ここに来てそんなチート設定は要らないんだよぉ!」

「はあ!」

「君は…」

「何、手助けに来た。君一人では厳しいだろ?」

「あはは、そうだね。それじゃあ、一夜限りの奇跡の共闘と行こうか!」

「ふふ、悪魔の癖に粋なことを。では、私も本気で行こう」

 

彼女はそう言ってこことは別の空間にある剣を取り出した。

 

「行くぞ、デュランダル!」

「な、デュランダル…だと!?あれはまだ実用には至れてないはず」

「なに、私は天然でね。元々はデュランダルの使い手でエクスカリバーも兼用していたのだよ」

 

あはは、何とも頼もしいね。

 

「だから…今さらそんなチート設定は要らないんだよぉ!」

「ふん!」

 

彼女の一振りでエクスカリバーにヒビが入ってしまった。

 

「ほう、壊すつもりだったが流石に伝説の聖剣とあって中々頑丈だな」

「だけど、それもここまでだ」

 

僕の聖魔剣で今度こそ完璧に壊した。

 

「な、ちょっとちょっと伝説の聖剣がこんな簡単にしかもポットでのクソ剣なんかに負けるのかよ!?」

「終わりだ!」

「ガハッ、こんなの…ありか、よ」

 

フリードを斬り、そのまま僕は空を見上げた。

 

「皆、やったよ。僕たちはエクスカリバーに勝てたんだ」

 

木場sideend


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