ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載   作:アゲハチョウ

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20話

一旦、僕の家に集まった僕と塔城さんといち兄はリアス部長と姫島副部長に今日までに到る経緯を話した。

 

「そう、聖剣計画の首謀者が黒幕に」

「はい、木場先輩はそのままバルパーを追って」

「一応、木場の奴には連絡しろと言っといたんですが…」

「ええ、あの子は今は復讐で頭が一杯でしょうね」

 

リアス部長の言う通りだ。木場先輩の頭は今は復讐のことでいっぱいいっぱいだ。

 

「それにしてもコカビエルはこの町で一体何をしようとしているのかしら」

「なに、前の大戦の続きだよ」

 

僕達は窓の方へと近より空へと目を向けるとそこには堕天使が居た。

 

「貴方はコカビエル!」

「ふっ、はじめましてだな。魔王サーゼクスの妹よ。その赤髪をみると忌々しいあいつを思い出させられるがな」

 

あれがコカビエル。聖書にも名前を残した堕天使の一人。

 

「それとこれは手土産だ!」

「うおっ!イリナ!」

「イリナちゃん!アルジェント先輩、治癒を!」

「は、はい。分かりました!」

 

酷い怪我だ。それにイリナちゃんが持っていたはずの擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)も無くなっている。

 

「貴方はさっき前の大戦の続きと言ったわね。また、あれほどまでの大きな戦争を起こそうというの!」

「ふっ、ああそうだ。あの戦いはあのまま戦っていれば我々の勝利は目前だったというのにアザゼルの奴は戦争はしないと言いやがった」

「そんな理由で…」

 

戦争に固執しすぎている。ううん、違う。この場合は勝利への執着に近いのかもしれない。

 

「それにそろそろ俺様の計画も完遂する。そうすればまた大戦が始まる」

「そうはさせないわ!私の領土で好きにできると思わないでちょうだい!」

「ふ、ならば止めてみるがいい」

 

そのままコカビエルは何処かへと転移した。

 

「アルジェント先輩、手伝います」

「え、でもアスカさんの神器に治癒の力は」

 

治癒の力は無いけど、それに似た物を持っている人なら知っている。

 

『王さま、治癒の力を持つ神器を貸して下さい』

『確かに我の財宝の中には癒しや治癒といった概念を持つ宝具はある。しかし、あれ位の傷なら治癒の概念を持つ魔具を作った方が利口だ』

『ギルの持つ宝具は力が強いものが多いからね』

 

確かにギルのでさえ力が結構強いのに大人である王さまの宝具はその倍は強力なのかな。

 

使い魔との絆(ボーンズ・サーヴァント)modeキャスター」

 

僕はゲートを開いて作った魔具でイリナちゃんの傷を癒した。

 

「あら、さすが魔術師の英雄の力ね」

「あはは、王さまは、ギルガメッシュは純粋な魔術師ではないですけどね」

 

傷を癒しているとイリナちゃんは気がついたようだ。

 

「…ここ、は……?」

「気がついたんだね、イリナちゃん」

「アスカくん、私は……」

「コカビエルにやられたんだよ。今は僕とアルジェント先輩の神器で傷を癒した所だよ」

 

簡単に説明するとイリナちゃんはそのまま窓がある方向へと目を向ける。

 

「そう、なんだ。私、エクスカリバー奪われちゃったんだ…」

「ねぇ、イリナちゃん。木場先輩やゼノヴィアさんはどうしたの?」

「私が殿を申し出て、二人を逃がしたの」

 

やっぱり、ショックだよね。

 

「アスカ、今から私達は学園に向かうけど」

「コカビエルがそこに居るんですね」

「ええ、そしてそこには」

「絶対に木場の奴が来るはずだ」

 

そうか、木場先輩は逃げたんだよね。

 

「分かった。僕も行きます」

「私も、イッツ」

「ダメだよ、イリナちゃんはこのままここに居て。怪我だってまだ完全に治りきって無いのに」

 

いくら僕とアルジェント先輩の力で傷を癒したとはいえそれは完全にではない。表面上は傷が塞がっていても中はまだ完全に塞がっていないのだから。

 

「それでも、よ。これは私達の任務でもあるの。途中で投げ出すなんてしたくはない」

「でも……」

「アスカ、連れて行きましょう」

「部長!」

「イッセー、アスカ、本人がここまで覚悟を決めているのよ。それを私達がとやかく言うのは彼女の覚悟を踏みにじるのと同じよ」

 

僕はそのままイリナちゃんを見る。正確にはその瞳をだ。そこには覚悟の炎が灯っているように見えた。

 

「わかりました、リアス部長の言う通りにします。でも、危険だと思ったらティアを呼んで家に運ばせます」

「ええ、それで構わないわ」

「ところでリアス・グレモリーよ。貴様の兄であるサーゼクスには報告しなくていいのか」

「それなら、朱乃に任せてあるから平気よ」

 

ティアが何時の間に部屋に居たのか分からないけど、誰一人としてそれを疑問に思うことはなかった。

 

「そうだ、イリナちゃんに何か武器を渡しとかないと」

 

最悪、自分の身は自分で守ってもらわないといけなくなる時が来るかもしれないからね。

 

『ギル、何かイリナちゃんに貸せる宝具ある?』

『そうですね、銘がない聖剣なら貸せますよ』

『じゃあ、それをちょっと借りるね』

 

ギルの許可も貰ったし早速渡さないと。

 

「イリナちゃん、ちょっと待って」

「え?」

「changeアーチャー。えーと、これかな」

 

僕はゲートを開いて覗き込みながら聖剣を探した。

 

「これでいいかな?はい、イリナちゃん」

「これって、聖剣?」

「そう、といっても銘がないやつだけどね」

 

僕はイリナちゃんに聖剣を渡す。

 

「それである程度は自分の身は守れるよ。でも、本当に危険になったらティアに向かいに来てもらって僕の家に運んでもらうからね」

「分かったわ。約束する」

 

さて、早く僕達の学園に向かおう。コカビエルを止めるために。

 

「ソーナ、ごめんなさいね。結界を頼んでしまって」

「良いのですよ。それに魔王さまが来るまでの辛抱とでも思っていれば気が楽です」

 

学園に向かうとソーナ会長と生徒会のメンバーが結界を張っていた。

 

「良い、今から相手するのは聖書にも名を残した堕天使の幹部よ。魔王さまが来るまで辛抱するつもりはないは、私達で止める覚悟で行くわよ!」

「「「「「はい」」」」」

 

そのまま結界の中に入る。そこにはまるで王座に座っている王さまのごとく空中に浮かんでいる椅子に座ったコカビエルが居た。

 

「セラフォルーかサーゼクスが来るのか」

「お兄様が来るわ。でも、その前に私達で貴方を止めるわ!」

「ふっ、雑魚ほどよく吠える。まあ、良いだろう。バルパーの話ではエクスカリバーの統合までは時間がまだ掛かるみたいだからな。それまでに私のペットと遊んでいてもらおう!」

 

二つの魔法陣が展開される。そしてそこに現れたのは首が三つある犬だった。

 

「まさか、ケルベロス!なんてものを人間界に呼び寄せるのかしら!」

「それって、地獄の番犬をしている犬の事ですか。部長!」

「いち兄、今はそんなことを聞いている場合じゃないよ!」

 

二匹のケルベロスは敵であるアスカ達を目で捉えると勢いよく襲いかかってきた。

 

「ギルじゃキツいね。changeアサシン!」

 

ジャックの力を使って、ケルベロスの足に斬りかかる。ナイフで素早く斬るも吹き飛ばされてしまう。

 

「があっ!このっ!」

「アスカくん、手を貸すわ!」

「…私も手伝います」

 

一匹に僕とイリナちゃんと塔城さん。もう一匹にはリアス部長といち兄と姫島副部長が相手していた。アルジェント先輩は後方で傷ついた仲間を癒すために待機してもらっていた。

 

「せいっ!今だ、イリナちゃん!」

「ええ!これでもくらいなさい!」

「…隙やりです!」

「がぁぁぁあああぁぁ!」

 

だが、咆哮によって三人は吹き飛ばされてしまう。

 

「くっ、ジャックの能力じゃ力不足だよね。相手が雌なら効果があるんだけど」

 

そもそも、この生物に性別があるのか怪しい。

 

「なら、changeセイバー!」

 

『ジーク、ドラゴンじゃないけど力を貸して』

『勿論だ、マスター』

 

剣をそのまま構えセイバーの身体能力をフルに活用してまずは足の間接部分を斬り付けた。

 

「はあ!」

「ぎゃああぁぁぁ!」

「今度こそ今だ!」

 

アスカの言葉に頷いた小猫とイリナはそのまま思うがままにケルベロスに攻撃し、なんとか倒したのであった。

 

「後はリアス部長の方だけど。あっちは苦戦しているね」

「はい、部長と副部長でなんとか戦っていますけど、イッセー先輩の倍加の時間が長すぎますね」

 

だけど、助けに行こうにも下手に動けば三人を危険にさらすことになる。

 

『エルキドゥ、少し力を借りるよ』

『何かするのかい』

『あれを天の鎖で縛り付けるよ』

 

地面と同化すれば、それなりの数の天の鎖を作れるはずだからね。

 

「changeランサー」

 

足を地面と同化させ準備する。いち兄が離れた瞬間に鎖で縛り付ける。

 

「そこだ!」

 

僕はタイミングよく地面から鎖を作り出し、遠距離で操作して縛り付ける。

 

「これはアスカの力ね」

「部長!今のうちに」

「ええ、そうね。朱乃やるわよ!」

 

部長達もなんとかケルベロスを倒した。そして、僕達はコカビエルへと向き直る。

 

「さぁ、お前のペットはすべて倒したぞ!」

「ふ、ふははははははは!これで全部と誰がいった」

 

すると先程の二匹を呼び出した魔法陣よりも大きな魔法陣が展開される。そこに現れたのは百匹近い数のケルベロスが現れた。

 

「先程まで貴様達が倒したケルベロスなど氷山の一角にすぎない」

「まさか、人工的にケルベロスを作ったとでもいうの!」

 

これは予想外だよね。まさか、ここまで準備をしていたなんて。

 

「私達が手を貸した方が良さそうだな」

「ゼノヴィア!」

「部長、すいません」

「祐斗、これが終わったらお仕置きよ」

 

おお、ヤバイんじゃないんですか。木場先輩。

 

「折角ですけど、そろそろエクスカリバーの統合が終わってしまうかもしれません。だから、ここは僕一人でケルベロス達を殲滅させます」

「ちょ、無理よ!いくらアスカくんでもあの数を一人でなんて」

「changeキャスター」

 

僕は王さまの能力を使うことにした。

 

『王さま、宝具を使います』

『ふっ、良かろう。我の力を存分にあの烏に見せつけてみろ』

 

さて、王さまからの許可がとれたし早速使いますか!

 

「皆、僕の前には決して出ないで下さい」

「分かったわ。皆、アスカの後ろに移動するわよ」

 

さて、皆も急いで僕の後ろに行ってくれたみたいだし……。

 

「覚悟は良いか!地獄の番犬!」

 

僕は斧を地面に突き刺し、石板を開く。

 

「矢を構えよ、(オレ)が許す。至高の財を以ってウルクの守りを見せるがいい!」

 

ケルベロス達は本能で何かを感じたのか大群でアスカに襲いかかるが時すでに遅し。何故ならアスカ達の後ろには古代ウルクの国とその兵士達が召喚されていたからだ。

 

王の号砲(メラム・ディンギル)!」

「「「ぎゃあああああぁぁぁ」」」

「「「がああああぁぁぁぁぁぁ」」」

 

百近くいたケルベロスは一瞬で死に絶え、そこには血の海が広がっていた。

 

「ほう、貴様のその力はウルクの神の力か」

「さあ、どうだろうね。それを教えるほどお人好しじゃないからね」

 

正確には半神半人だけどね。

 

「まぁ、良いだろう。それよりも」

「遂に、遂に完成した!」

 

その声がする方へと視線を向けるとそこには一本の剣が浮かんでいた。


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