ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載 作:アゲハチョウ
イリナちゃんたちと協力関係になってから四日が過ぎた。いっこうに情報すらつかめない状況になっていた。
「イリナちゃん、盗まれたエクスカリバーってどんな物なの?」
「えっと、話によると盗まれたのは三つで一つは持ち主の速さを上げる
「持ち主の速さをですか。強力ですね」
「ええ、そして二つ目が
「幻か。それって自力で抜け出すことは不可能なの?」
「ええ、強い精神力があれば大丈夫のはずよ。そして、最後が
どれも厄介なものだけど、三つ同時には使うのは難しいから相手は恐らく一つの聖剣だけを今は持ち歩いているよね。
「…それより、問題は堕天使のほうです。一体何のために聖剣を盗んだんでしょう」
「たぶん、戦争の続きだと思うよ。塔城さん」
「どういうこと?」
「聖剣を盗めば確実に天使側とは戦争になる。そしてここに来た目的も」
「…アスカくんが言いたいことはわかりました。堕天使はここで何かするつもりなんですね。私たち悪魔とも戦争の続きをするために」
「なるほど、それなら妙に納得いくわね。でも、どうしてコカビエルだけがそんなことをしているのかよ」
そう、そこが問題なのだ。これはきっと…。
「これはきっと、コカビエルが組織に関係なく一人で行っていることなんだよ」
そう、これは堕天使側の組織『
「でも、ならどうして組織のトップであるアザゼルは止めに入らないの?」
「入らないんじゃなくて入れないのでないんですか?」
「そう、塔城さんの言うとおり。たぶん、アザゼルもこの事を認知できていないんだよ」
仕事してるのかなって思うけどね。と言うか、部下の管理ぐらいはしっかりしてほしいよね。
「まあ、良いわ。次はあそこに向かいましょ」
向かった先は小さなドーム状の建物がある場所だった。
「あれ?いち兄?」
「お、アスカ。お前たちもここに来たのか?」
「はい、ここ以外はあらかた探しましたから」
「イリナの方も収穫なしか」
「ええ、ゼノヴィアの方もないみたいね」
偶然、合流した僕たちはそのまま進むことにした。
「ここにもいないとなると手詰まりだよ」
「ああ、そうだな。藤丸の言うとおりだぜ」
「ああ、流石にここまで見つからないとなると」
その場の全員が悩んでいると僕はある気配を感じた。
「modeセイバー!」
「ちょ、なんでこの速さについこれんの?」
「やっぱり、奇襲をしようとしていたか」
こいつを知っている。
「クソ悪魔が調子に乗んな!」
「ちっ!」
僕は一旦後ろに下がり、剣を構える。
「な、お前はフリード!」
「はーい、久しぶりですね。クソ悪魔ども」
「イッセーくん知ってるの?」
「ああ、少し前にアスカに倒されたはずなんだけど」
そう、アルジェント先輩を助けるために僕一人で相手をしたあの腐れ神父だ。
「なんで貴女がその聖剣を持っているのよ!」
「おお、これすっか?シシシッ俺様はコカビエル様に選ばれたんだよ!聖剣使いとしてな!」
「くっ、速い!」
「僕も手伝うよ!」
「私たちも援護するぞ、イリナ!」
「ええ、そうねゼノヴィア!」
となると剣士が僕を含めて四人になるのか。なら、僕は後方で援護しよう。
「なら、僕はいち兄と匙先輩と共に三人を援護します。塔城さんは、部長に連絡を!」
「わかりました」
とりあえず、部長には連絡しとかないと。もしかしたら、情報が手にはいるかもしれないからね。
「changeアーチャー!」
僕は子ギルの能力を使う事にした。流石にスピードが速い相手に王さまとジャック、エルキドゥは相性が悪いからね。
「伸びろ、ライン!」
「匙先輩もドラゴン系の神器なんですね」
「ああ、と言ってもまだまだ使いなれていないけどな!」
あれはリアス部長から話を聞いたことがある。ブリトラと呼ばれたドラゴンの神器だ。魂をいくつかに分けられたからいくつかの種類があるって聞いた。
「ラインよ!」
「天の鎖!」
「ちょ、なんすかこの鎖と舌は!」
「いち兄、今のうちに木場先輩に!」
「おう、木場!受けとれ
《Transfer》
僕と匙先輩でフリードの動きを塞ぎ、その間にいち兄は貯めていた力を木場先輩へと送る。
「ありがとう、イッセーくん!
木場先輩は地面に剣を指して、神器の力でフリードの周りを魔剣で覆い尽くした。
「ちっ、これはピンチってヤツじゃないでありますか!?」
「おとなしく、お縄についてもらおうか!」
「何をしている、フリード」
すると、建物の屋根の方で誰かの声が聞こえてきた。
「バルパーの旦那。助けてくださいよ。ちょっと、この舌と鎖が邪魔で動けないっすよ」
「ふ、なら私がお前に授けた因子を聖剣に集中させろ。そうすれば、斬り離せる。まあ、鎖の方も弾き返せるだろう」
「おお、さすが旦那。わかりやすい!」
すると聖剣に何かが集中して集まり、匙先輩の神器から伸びているラインは斬られ、僕の鎖も弾かれた。
「それにしても
月明かりに照らされた男を見や否やゼノヴィアさんとイリナちゃんたちが驚きの表情をしていた。
「バルパー・ガリレイ!やはり貴様が手引きをしていたのか!」
「あれが、バルパー・ガリレイ。聖剣計画の首謀者…!」
「バルパー・ガリレイ!」
すると、木場先輩がバルパーに向かってもうスピードで近づいた。
「おっとと、そうはさせちぇんよ。クソ悪魔!」
「邪魔だ!」
「木場先輩、ダメです!迂闊に近づいちゃ!」
「あらヨット!」
「がぁっ!」
木場先輩は弾き落とされ、いち兄が走って向かう。
「changeセイバー!」
「おお、ちみが相手かい?このクソちび!」
「はああ!」
「ちょ、なんでだからこの速さに追い付けるんだよ!」
フリードの持っている聖剣は
「フリード、遊んでいる暇はないぞ」
「分かってますぜ、旦那!」
「な、逃がすか!」
「ほな、チャイなら!」
フリードは隠し持っていた閃光弾を使って何処かへと逃げていった。
「逃がすか!行くぞ、イリナ!」
「ちょ、待ってよ!」
「逃がすものか!」
「あ、木場先輩!」
木場先輩もフリードたちの後を追うゼノヴィアさんとイリナちゃんの後に続いて走り去ってしまった。
「さて、どう説明しよう」
「そうね、ちゃんと説明してほしいわね。アスカ?」
後ろを向くとご立腹とリアス部長とこちらもお怒り気味のソーナ会長がいた。
「あはは、はい」
塔城さんは何処か申し訳ないような表情をしている。まあ。仕方ないよ。
「なるほど、貴方たちなりに考えてやったってことで良いのかしらアスカ」
「はい、勝手だと言うのはわかっています。でも、木場先輩を放って置いたら取り返しがつかないと思って」
「はぁ、アスカは少し人がよすぎるわね」
呆れられてしまったのか。リアス部長は少し困った表情をしていた。
「まあ、それが貴方の良いところなのだけれどもね」
「うふふ、部長はアスカくんに甘いですわね」
「な、からかわないでちょうだい朱乃」
ほ、こっちはなんとなったみたいだし、匙先輩の方を助けにいかないと。正直、みてるだけで辛い何故なら。
「ヒィー、やめてください会長!」
「ダメです、あと九十七回残っていますよ」
そう、魔力で強化した手で制服のズボンの上からとはいえお尻を叩かれているのだ。
「なんか、匙の奴が怖がってた理由がわかる気がする」
「イッセー先輩と同じことを考えてました」
うん、僕もそう思うよ。流石にあれは辛いよ。
「あ、あのソーナ会長…」
「なんでしょうか、アスカくん。今は取り込み中なのですが」
こ、怖いです。普段からおとなしい人を怒らすのはやめといた方がいいですよ!って誰にいってるんだろう?
「その匙先輩のお仕置きは止めてもらえないでしょうか?」
「ふ、藤丸……」
なんか見てるだけで罪悪感がすごいんです。
「どうしてですか?」
「えっと、匙先輩は僕が無理矢理頼んで協力してもらっていただけなので、そのお仕置きなら僕が代わりに受けるので匙先輩をお咎め無しにできないでしょうか」
「…それは本当ですか、匙」
「え、そ、それは」
僕はアイコンタクトで気にしないでと言うと匙先輩はすまないと言ってきました。
「は、はい。本当です」
「…はぁ。わかりました、今回の件での貴方のお仕置きは無しにします」
よ、よかったぁー。いち兄なんて少し涙目になってるよ。あれはきっと同情していたんだよね。
「それではアスカくんには来週から一週間生徒会の方を手伝ってもらいます。いいですか、リアス」
「ええ、それで良いわよ。アスカやイッセー、小猫も反省してるみたいだしね」
ほっ、なんとかひと安心だ。でも、来週は生徒会の手伝いってことは依頼の方は今週残り少ない期間で頑張らないと。
「それじゃあ、私たちは一旦アスカの家で話し合いましょうか」
「では、こちらは学園の方で待っています」
「ええ、お願いね」
こうして、匙先輩をなんとかお仕置きから救い。リアス部長からは特に咎めはないという事で、一旦幕を閉じた。