ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載 作:アゲハチョウ
僕はいち兄と約束した場所に塔城さんと一緒向かっていた。
「本当に良いの?」
「…はい。元々、アスカくんが相談してこなかったら私からしていたので、問題はないです」
「そうなんだ。でも、なんだか巻き込んだみたいなことになってごめんね」
どうやら塔城さんも同じ気持ちだったみたいで快く受け入れてくれた。
「おーい、アスカ!」
「いち兄、声が大きい。恥ずかしいよ…」
「イッセー先輩にも話したんですね」
「うん、まあね。お互いに協力できそうなヒトにも声をかけようって話もしたんだ」
いち兄の隣には生徒会に所属していてソーナ・シトリーさんの眷属である匙先輩がいた。どうやら協力を頼んだみたいだ。
「匙先輩に協力を頼んだんだね」
「おい、兵藤。協力ってなんのことだよ!」
「わ、悪い。まだ話してなくてさ。ちょっと話してくるから」
そう言って匙先輩に事の始まりを話した。
「イッセー先輩って抜けてるときがありますよね」
「まあ、そこもいち兄の良いところでもあるんだけどね」
「はぁ、なんだか少し揉めているみたいですよ」
何やら言い争いが始まってしまった。と言うか、匙先輩が逃げようとしているところをいち兄がなんとか引き留めていた。
「…何をやってるんですか?」
「小猫ちゃん!頼む、手伝ってくれ!」
「急にどうしたの」
「匙が話を聞いた途端に逃げるからよ」
「帰らせてくれー!会長にこの事がバレたらきついお仕置きがぁ!」
きついお仕置き?
「大丈夫だって、会長にバレたらアスカと俺で一緒に謝るから」
「え、まあそうですね。こっちから誘ったんですから弁明の手伝いくらいは」
「お前たちは会長の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるんだよ。それに藤丸なら兎も角として兵藤が弁明しても意味がないと思うんだが」
「それは言えてますね」
「小猫ちゃん、フォローしてくれよ…」
「普段の行いだと思うよ」
塔城さんにフォローされなかった事がショックだったのか落ち込んでいるけど普段の行いを振り返ってから言ってもらいたいものだ。
「でもソーナ会長ってそんなに厳しいんですか?」
「藤丸は知らないんだったな」
「いえ、オカ研のメンバーは皆知らないんじゃ」
「いいえ、ソーナ会長は厳しいことで有名ですよ」
「ああ、俺もあのヒトが目の前に現れたら顔がひきつるぜ」
「兵藤は例外として俺も結構厳しくされてるぞ」
ふむ、皆の話をまとめると結構厳しい。僕は特に厳しくされたことはないけど…。
「うーーん?」
「?匙先輩、どうかしたんですか?」
「あ、いや。藤丸の顔がさ。会長が大事にしている写真に写っている男の子と似てるんだよ」
「ほぇ?」
ソーナ会長が大事にしている写真に写っている男の子と?
「一度だけ見せてもらったことがあるんだけど、なんでも初恋の相手なんだとか」
「匙先輩、ドンマイです」
「なんで慰められてるの!?」
「匙先輩、後でお菓子をプレゼントします」
「何か勘違いされてるけど、俺は会長に憧れを抱いているけど恋心は一切ない!」
あれ?そうなのん?匙先輩がソーナ会長に向ける目が他の人たちに向けるものと違うから、てっきりそうなんだと思ったんだけど。
「はぁ、良いからさっさと本題に移ろうぜ」
「あ、そうだった」
話がそれてしまったのをいち兄がもとに戻した。あのいち兄がだ。
「アスカ、お前何か失礼なことを考えたろ」
「気のせいじゃない。それよりいち兄は何か手がかりがあってそんなことをいってるんだよね」
「え?あ、それ…その…」
はぁ、当てもなくもしかして提案したのかな?まったくもう……。
「今どきあんな格好してる人は珍しいからね。こんな風に」
「「「おぉ!!!」」」
スマホに映ったSNSの投稿を見せた。そこには怪しげな格好をした女子二人が映った写真があった。
「迷える子羊に恵みをー」
「恵みをーーーー!」
ああ、なんと言うか。幼馴染みがあんな風になっているなんて誰が想像できたかな?と言うか、唖然としてしまった。
「もう、ゼノヴィアが路銀を全部食べ物に使っちゃうからこうなっちゃったのよ!」
「うるさい!大体、この国が宗教に関心が無さすぎるんだ!」
うん、まあ日本って何を信じるのかは自由な国ですからね。キリスト教の人は少ないんじゃないかな?
『マスター、一応俺もキリスト教に属するんだが』
『あ、そう言えばジークはそうなるのか』
待てよ。英霊には時代とか関係ないんだから色々な宗教を持つ英霊もいるのかな。
『マスター、それより目の前の事が大事じゃないの?』
『そうだぞ。幼き我の言うとおりだ』
『まあまあ、落ち着いてよ。マスターだってそんなことは分かっているだろうからさ』
『そうだよ、
おお、ギルと王さまがいっていることは正論のはずなのにエルキドゥとジャックが僕の事を庇ってくれた。なんと言うか嬉しいです!
「アスカ、あれに声をかけなきゃダメか?」
「いち兄、あれでも幼馴染みだから…ね?」
「…ドンマイです、二人とも」
「なんつうか、ドンマイ?」
ああ、世も末だよね。
「ねえ、二人ともちょっと良いかな?」
「え、アスカくん!?」
「な、なぜ貴様がここに」
「えっと、とりあえずあそこのお店に入ろうよ。奢るから。話を聞いてくれないかな?」
奢ると言う単語に反応した二人は首がもげるんじゃないかってくらいに縦に振っていた。
「う~ん、これこそがふるさとの味よね!」
「いや、ファーストフードがふるさとの味って…」
「すまないが、追加でこれも頼む」
「こいつらには遠慮って言葉がないのか」
「私でもここまで食べませんね」
「小猫ちゃんもこのくらいは普通じゃ…」
「イッセー先輩、余計なことを喋るともぎますよ」
「どこを!?」
これはお金を余分に持ってきておいて正解だったかも。二人分の料金じゃすまないもん絶対。
「ふぅ、ご馳走さま。ごめんね、アスカくんも大変なのに」
「うーん、そうでもないかな?最近だと仕送り以外にも悪魔家業とか稼いでるし、それなりに余裕があるよ」
「ちなみに一回だけこいつの月の仕送りを見せてもらったことがある」
「…どれくらいだったんですか?」
「月に百万近く送られていた」
いち兄、それは一応個人情報だからあまり公言しないでほしいかな?世の中最近物騒だからね。
「それで話と言うのは」
「聖剣の任務についてです」
「と言うのは?」
「イリナちゃんたちが奪還する聖剣“エクスカリバー”のうちの一本だけでも破壊させてくれないかな?または任務の手伝いをさせてほしい」
「それはあの騎士のためか」
騎士って言うのはきっと木場先輩の事だろう。
「話はわかった。だが、私たちが所属する組織と貴様らが所属する組織は敵同士だ。協力がバレた時はどうするつもりだ」
「貴女たちの上司にバレたら悪魔ではなく赤龍帝の力を借りた、または英霊の力を借りたとでも言えば良いです」
「英霊…ですって?過去の英雄たちと繋がりでもあるの?」
繋がりって言うのは当たっているかもしれない。なんせ名前に絆と言う単語が入っているんだから。
「僕の神器の名前は
「な、それじゃあ主とかも…」
「いや、流石に神霊が高い人たちは無理だよ?」
流石に神様とかは無理だよね?
『そうでもない。霊格を落とし人間の体へと憑依と言う形で英霊として存在する神もいる』
『そうなの?王さま?』
『それに神がダメなら我のような半神半人の英霊も無理になるぞ』
ああ、そうか。英雄とかって人間とかもいるけど半分が神様の血を引く英雄も数多く存在するんだよね。
「それで提案のほうは受けてもらえますか」
「ああ、良いだろう。元々回収が難しかったら破壊してもよいと言う命令でもあったからな」
「ちょ、ちょっとゼノヴィア!良いの、そんな簡単に決めちゃって」
「イリナ、良く考えてみたまえ。相手は堕天使の幹部なんだ。私たち二人だけでは奪還どころか何もできないままやられてしまう可能性だってあるんだぞ」
なんかイリナちゃんを論しているけど、大丈夫なのかな?
「でも、主に仕える私たちが悪魔と手を組んだと言うのがバレたら」
「それこそお前の幼馴染みである奴が提案した通りに赤龍帝、ドラゴンと英霊の力を借りたと言うことにすれば良いであろう」
「…はぁ。もうわかったわよ」
「話はまとまったみたいだね?それじゃあ、こっちももう一人の協力者を呼ばなきゃね」
そう言っていち兄に電話を掛けてもらった。勿論、相手は…。
「まさか、君たちが了承するとは思わなかったよ」
「なに、私たちも自分の命は惜しいからな」
木場先輩が来てくれたのはよかったけど、険悪なムードだ。
「君が私たち教会側の人間を恨む気持ちは分かる。だが、最初にもいった通りだ。あの計画は私たち自身でも触れることを禁止している。そして首謀者の男の名前も知れ渡っている」
「その男の名前は?」
「バルパー・ガリレイ。皆殺しの大司教だ」
皆殺しの大司教、ね。通り名は格好いいけどやったことを知っている人間にとっては忌み嫌うものだろうね。
「さて、話はここまでだ。協力といったが具体的にはどうするんだ」
「とりあえずは二グループに別れて散策しましょう。もし、聖剣を持った人間が現れたら連絡することが約束です」
「わかった。それでは私はそこの男子三人と組もう。イリナは藤丸アスカと言ったか?そいつとそこの女子と組めば良いだろう」
バランス的にはそれでいいのかな?
「それじゃあ、明日から行動開始ってことで!」
こうして僕たちは秘密裏に同盟を結んだとさ。