ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載 作:アゲハチョウ
木場先輩が部活を休むようになってから二日たった今日、教会側からの使者が来たと言うことで僕たちは部室で待機していた。今回は木場先輩も強制的に集められた。
「そろそろね」
リアス部長がそう言うとドアがノックされた。
「失礼する」
「……」
入ってきたのは見るからに怪しいフードを被った二人組だった。と言うか、警察に職務質問されなかったのか不思議に思うよ。
「貴様がこの地を治めている悪魔のリアス・グレモリーで良いのだな」
「ええ、そうよ。そして、後ろにいるのが私の下僕よ」
「ふ、まあ良いだろう。それでは話し合い、いや警告を聞いて貰おうではないか」
フードをはずすとそこには青い髪に緑のメッシュが入った女子と栗色の髪をツインテールにしている女子がいた。
「警告、ね。一体、貴女たちは何をしようとしているのかしら」
「それではまず経緯から話そう。数週間前にとあるバチカンの教会が堕天使に襲われエクスカリバーの一つが盗まれた」
「なんですって!!」
エクスカリバーが盗まれた!?って、一つ?
「エクスカリバーって存在しているんですか?部長」
「いいえ、違うわよ。イッセー。エクスカリバーは先の大戦で折れて存在しなくなったのよ」
「「お、折れた!?」」
え、エクスカリバーって折れるものだっけ?確かに聖剣のなかでは折れてしまったものとかあるけど、エクスカリバーはアーサー王が部下に命令して泉に返したはずじゃ。
『それより、おかしいぞ。マスター』
『どうしたの、王さま』
『神造兵器であるはずの
え?神造兵器って神様が造ったて言うあれのこと?でも、実際にリアス部長たちは折れたっていってるよ。
『だから、マスター。僕たちが知っている
まさか、そんなことが?でも、それなら王さまが驚いた事と理由が合致するね。
「ああ、今はこんな姿になってしまったがな」
意識を戻してみるとどうやら話が進んでいたようだ。
「これが私が所持している“
布で巻かれていた大剣の刀身を見せるこの人の名前は…。
『マスター、彼女の名前はゼノヴィアだそうだ』
『あ、ジーク。代わりに聞いてくれてたんだね』
どうやら自己紹介もされていたみたいだけど僕は王さまと話をしていて聞いていなかったからね。
「そして、私のは“
「おい、イリナ。あまり悪魔に聖剣の事を教えるな」
「いいじゃない、ゼノヴィア。友好的にいかないと」
うん?今、あの人なんっていった?イリナって言ってたよね?同名の人かな?
「それで用件は貴女たちの任務に介入しないでほしいと言うことで良いのね」
「ああ、悪魔側がもしかしたら堕天使側と手を組んで何かしようとしていると上の人間は考えているようだ」
ふむ、こんな条件はきっとリアス部長は呑めないよね。自分が管理している場所で変なことされるんだもん。良い気がしないよね。
「私たちからの警告は以上だ。行くぞ、イリナ」
「ええ、でもちょっと待ってゼノヴィア」
するとイリナって人がアルジェント先輩の前に立って話しかけた。
「お久しぶりね、アーシアちゃん」
「イリナさん、本当にイリナさんなんですね」
「ええ、そうよ。ごめんなさいね、あのとき守ってあげられなくて。それと、こっちも久しぶりだねイッセーくんにアスカくん」
「お前、本当にあのイリナなんだよな」
ん?何々知り合いなの?と言うか、僕も知り合いなのかな?
「おい、アスカ。ほら、紫藤イリナだよ。俺たちと良く一緒に遊んでたろ」
「え、イリナくんって男の子だよね?」
「はぁ、お前はまだ勘違いしてるのかよ。イリナは女の子だったんだよ」
「あ、あはは、まあ仕方ないよね。あのときは男の子みたいだったし、間違えてても不思議じゃないよ」
「え、ええええええ!」
うそ!マジで!?女の子だったの!?
「マジで!僕今まで男の子だと…」
「最低ですね、アスカくん」
「あらあら、今まで誤解していたみたいですわね」
「うふふ、アスカらしいわね」
く、みんなにまで呆れられている。
「それより、イリナく、じゃなくてイリナちゃんはアルジェント先輩と知り合いなんだね」
「ええ、教会が一緒だったのよ。でも、私なあのときアーシアちゃんを守ることができなかったわ」
あのときと言うのはきっと魔女として烙印を押されて迫害されたときの事をいっているんだろうね。
「いいえ、イリナさんだけが最後まで私の事を信じてくれました。それだけで私は救われていたんですよ」
「そっか……。それなら良かったわ」
うん、仲良き事は良いことかな?三竦みの関係もこうなったら良いよね。
「待ってくれるかい、君たち」
「うん、君は先程から私たちに殺気を向けてきた少年か」
木場先輩の顔がヤバイよ。憎悪に、復讐に取り憑かれているよ。
「僕は聖剣計画の生き残りだよ。早速だけど君たちが持っているエクスカリバーを破壊させてもらうよ」
「ほう、あの計画の生き残りか。なら、受けてたとう。だが、こちらとしてもあの計画は触れてはならないくらいに嫌悪されている。首謀者は追放され今では堕天使側の人間になっているがな」
やっぱり、自分達の組織の人間が行った事であるが故に嫌悪されているんだね。
「じゃあ、早速だけどやろうか」
「ああ良いだろう。イリナも誰か一人と戦ってみてはどうだ」
「そうね…、じゃあアスカくんと戦おうかしら」
「え?僕?」
「ええ、神器持ってるんでしょ?」
あ、あははバレてるみたい。
「あ、そうそうイッセーくんにアーシアちゃん。お幸せにね」
イリナちゃんの言葉聞くと二人して顔を赤くしていた。ドストレートに言われたらそうなるよね。
「それじゃあ、ルールを確認するわ。相手を傷つけるような攻撃は禁止よ。危険だと判断したら即止めるわ」
リアス部長が審判のもと試合が行われる。僕は誰で戦うか迷っていた。
『あの
『なら、僕の力を使ってみたらどうだい』
名乗りをあげたのはエルキドゥだった。
『ええ、
『うーん、ジャックだとやっぱり厳しいかな?相手は予測不能の斬撃を繰り出してくるだろうし、かといって王さまやギルの力では間合いを詰められないかもしれないけど形を変えられるんじゃ意味がないからね。ジークだとカウンターもらったらヤバイからね』
ジャックにこういう風に説明すると少し拗ねてしまった。
『なら今度はジャックの力で誰かと戦うからそのときに一杯戦うから。ね?』
『うぅ、わかったよ
ふう、なんとか理解してくれたみたいだし。それじゃあ!
「
僕の服装とかが変わる。マントのような服にネックレスのような物を首から下げ、髪の色も緑色へと変化した。
「あら、姿が変わるんだね。可愛いよ、アスカくん」
「えーと、お世辞は良いかな?」
なんかガチなトーンで言われたからどう言って良いか分からなかったよ。
「それじゃあ、始め!」
リアス部長の合図と共にイリナちゃんが攻撃を仕掛けてくる。
「先手必勝よ!」
「なら、後手必勝だね」
僕は袖から天の鎖を大量に出してイリナちゃんを拘束した。
「ちょ、なにこれ!?」
「これがエルキドゥの能力なのか」
すごいや。まるで自身が武器そのものみたいだよ。
『みたいじゃなくてその物だよマスター』
おおっと、エルキドゥにつっこまれてしまった。
「木場先輩!?」
木場先輩の方へと目を移すと危険な状態になっていた。
「くっ、初めてだけど。うまくいって」
僕は足を地面と同化させて、木場先輩の前に盾を作り上げた。
「ほう、これは貴様の神器の力なのか」
「一部だけどね?これ以上はやめてもらえるかな?」
「ふ、良いだろう。イリナをそろそろ解放してくれ、私たちはもう行かなくてはならないからな」
「わかったよ」
僕はイリナちゃんの拘束を解いた。
「ごめんね、手荒な真似しちゃって」
「ううん、良いわよ。それにしても相変わらず優しいね、アスカくんは」
「あはは、イリナちゃんも変わっていなくて安心したよ」
「うふふ、それじゃあまたね」
イリナちゃんとゼノヴィアさんはそのまま学園を去っていった。
「あれ?木場先輩は?」
「それが、いつの間にかいなくなってたみたいで…」
「今、部長が使い魔で探しているところです」
「木場の野郎、大丈夫か」
「心配ですね」
皆、心配してますよ。どこにいってしまったんですか。
「…ねぇ、いち兄。木場先輩の手伝いをしちゃダメかな?」
「手伝いって復讐のか」
「うん、別に人を殺すとかじゃなくてあくまでも木場先輩の目的は恐らくエクスカリバーの破壊。それなら大丈夫じゃないかなって」
いち兄は考え込む。
「よし、それなら部長たちにばれないようにしよう」
「うん、そうだね」
「あと、協力できそうなやつも探そう」
こうして僕といち兄は木場先輩を助けるべく行動するのであった。