ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載 作:アゲハチョウ
どうも、僕は藤丸アスカだよ!今日は久々の部活動なんだけど、部室が業者の清掃で使えないので僕の部屋で部活動をすることになったんだけど……。
「これが小さい頃のアスカ…」
「あらあら、可愛いですわね」
「純真無垢みたいです」
「とても可愛らしいですね、イッセーさん」
「ああ、この頃から女子からも人気だったからな」
「うん、元気そうな男の子だね」
「皆さん、アルバムを置いて活動に移りましょうよ」
そう、皆はティアがいつの間にか見つけ出した僕のアルバムを見てなごんでいた。
「はあ、ティアも良くこんなものを見つけたね」
「ふ、なに少しこの部屋をせんさ…、整理していたら見つかっただけだ」
「いま、詮索って言おうとしたよね」
「……」
「目をそらすな」
まったく、まあべつに見られてダメなものは無いしほとぼりが覚めるまでこのままでも良いかな。
「ねえ、アスカくん」
「?どうかしましたか、木場先輩?」
「この写真に写っている…」
「え?」
見せられたのはいち兄と僕の幼馴染みである子が写っている写真だった。
「ああ、これは僕のもう一人の幼馴染みのイリナくんですね。懐かしいです」
「いや、アスカ。あいつはなその…」
「いや、それじゃなくてこの後ろに写っている剣だよ」
指で示されたところを見ると確かに剣が飾ってあった。
「あ、本当ですね」
「これはどういうものなのか知っているのかい?」
「すいません、何分昔のことなので聞いたかもしれないんですけど覚えてはいないですね」
なんだろう、気のせいかもしれないけど木場先輩の纏う雰囲気がいつもと違うような気がする。
「これはね、アスカくん。聖剣だよ」
その言葉を口にしたときの木場先輩の瞳には復讐の火が灯っていたことを僕は知らないでいた。
次の日、来週開催される球技大会に向けていつものメンバーで練習していると
「裕斗、いくわよ!」
「……」
木場先輩はリアス部長の声が聞こえていないのかボーとしたままだった。そんな状態だと分からなくてリアス部長が打ったボールが木場先輩の元へと飛んでいく。
「危ねえぞ、木場!」
「…イッセーくん」
どうやらいち兄が間一髪のところでカバーに入ってくれたお陰で木場先輩にボールは当たることはなかった。
「これで目が覚めたかしら」
「…すいません、部長。僕はしばらく休みます」
「裕斗!」
練習後、リアス部長が木場先輩のあまりにもひどい態度に叱りつけると木場先輩は何処かへと行こうとしていた。
「お、おい!木場、どうしたんだよ!お前らしくないぞ!悩みがあるならいえよ、仲間だろ!」
「仲間…ね。イッセーくん、僕は根本的なことを思い出したんだよ。僕がどうして悪魔になったのかと言うことをね」
木場先輩の目はどこまで暗い闇を映していた。
「僕は聖剣“エクスカリバー”を破壊するために悪魔になったんだよ」
エクスカリバー。それはケルト神話だけではなくアーサー王の伝説にも出てくるアーサー・ペンドラゴンの代名詞とも言える武器の名前である。
それを破壊する。木場先輩はそのまま何処かへといってしまった。
「木場先輩は一体どうしてしまったんだろう」
「部長はなにか知っているんですか」
「ええ、裕斗があそこまで聖剣を憎む理由を私は知っているわ。裕斗はね、とある研究で唯一生き残った生存者なのよ」
「そのとある研究って言うのは一体なんなんですか?」
それが木場先輩の現状の原因なのだろう。
「名前は聖剣計画。人工的に聖剣を扱える人間を増やそうとしたものよ。聖剣を扱うには特別な粒子が必要なの。でも、裕斗たちは一人一人のそれが弱くて少なかった。だから、それられを無理矢理抜き取り不要になった裕斗たちを殺そうとしたのよ。裕斗は危機一髪のところで私が悪魔に転生させることができたけど、他のメンバーはそうはいかなったわ」
「そんなことが…」
「教会がそんな非道なことをしていたなんて私は知りませんでした」
「仕方ないわ、アーシアがシスターになる前には口にすることも禁止されたみたいだもの。知らなくて当然だわ」
どうやら、リアス部長も木場先輩を助けた後も多少調べていたのだろう。それなりに詳しく話してくれた。
『エクスカリバーか。まさか存在しているなんて…』
『ふ、悪魔が存在しているのだ。聖剣の一つや二つ存在していても可笑しくはないだろう』
『まあ、ギルの言う事は間違ってはいないかもね』
『はい、賢王の僕の言っていることは一理あるよね』
三人がいっていることは別に間違ってはいないけどさ。
『だが、喉から手が出る程の物は名のない無銘の物が多いはずだ』
『うん、まあ聖剣の代表格と言えばエクスカリバーだけど、他にもグラム、デュランダル、カリバーンとかも聖剣だよね』
聖剣が存在するなら魔剣も存在するよね。
『それより、木場先輩が心配だよ』
『あの男の人?たぶん一歩間違えたら戻れなくなるよ、
『戻れなくなるって…』
『ジャックが言っていることは間違いではない。マスター、あの騎士は今、危ういところだ』
ジャックとジークが危うい、戻れなくなると言うことは……。
『復讐に取り憑かれた者の末路ほど哀れなものなどない』
復讐、木場先輩は一体どういう気持ちでいたのだろう。
「復讐はやってはいけない何て言う一般論じゃ、きっと木場先輩は止まらないよね」
家に帰り、ギルたちと話を終えたあとベットに座り込んだ。
「どうすれば良いんだろう」
同情する部分もあるよ。でも、やっぱり賛同できることではないよね。
「はぁ、これからどうなるんだろう……」
僕はこの時知らなかった。新たな騒動が僕たちに近づいてきていることに。